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2020.09.25

ヤフーの「顔」、Yahoo! JAPANトップページ サービスマネージャーの仕事を深掘り!

みなさんはヤフーと聞いてなにをイメージしますか?

いろいろとあるかとは思いますが、赤いロゴが印象的な、Yahoo! JAPANのトップページを思い浮かべた方も多いのではないでしょうか?

今回は、そのPC版Yahoo! JAPANトップページに13年にわたり携わっている、サービスマネージャーの田仲にインタビュー。

月間780億ページビューを誇るトップページは、まさに「ヤフーの顔」ともいえるとても重要なページです。
スマートフォンがまだない時代にサービスを開始したPC版Yahoo! JAPANトップページ(以下、トップページ)は、これまで社会の変化に応じてユーザーにとって有益な情報を届けるために、みえないところで変化し続けてきました。

そんなトップページの運用、サービス改善における取り組みや苦労、仕事のやりがいや喜びなどについてたっぷりと話を聞きました。

プロフィール


田仲千春
2007年 中途入社
メディアカンパニー メディア統括本部 PC版Yahoo! JAPANトップページ サービスマネージャー
2018年より、PC版Yahoo! JAPANトップページの担当になり、トップページ全体のプロセス改善も行う。
干場 未来子
ピープル・デベロップメント統括本部 コーポレートPD本部
マーケティングソリューション事業で営業、エデュケーション、プロダクトマーケティング担当などを経て、2016年に人事へ異動し、採用ブランディングを担当。


今回は毎日多くの方にご利用いただいているYahoo! JAPANトップページに長く携わってきた田仲さんにいろいろとお話が聞けるということでワクワクしています! さっそくですが、まずPC版Yahoo! JAPANトップページについて、サービスマネージャーとしての業務内容を教えてください。

PC版トップページのサービスマネージャーは、広告の売り上げアップやユーザー数の成長といったものをかなえるための機能提案や、サービスの保守運用に関わる意思決定をしています。
トップページはデバイスを問わず、「日常生活をより豊かで快適に」という目的のもと、それぞれのデバイスごとの特性に応じた機能提供、改修、改善に取り組んでいます。サービスマネージャーの役割は開発担当者からの改善提案を受けて、最終的な方向性を決定することです。事業責任を負う立場ですので当然ながらプレッシャーもあります。

ヤフーのミッションなども考慮しつつさまざまな要素に田仲さんが目を配ることで、トップページの構成が練り上げられているんですね

「Yahoo! JAPANトップページはヤフーの顔である」ということは、経営陣からよく言われているので、その点は常に意識しています。
トップページのアクセス数全体としては、やはりいまはPC版よりもアプリやスマートフォン版のブラウザが多いのですが、日中の時間帯に限るとPC版のアクセスもとても多いことが分かっています。オフィスでご覧いただいている方が多く、取引先の方々からも「日中はPCでみている」という声をいただきます。

その戦略とは、具体的にどのようなものでしょうか?

われわれの部署(メディアカンパニー)は広告による収益をあげることを目的としています。一方、会社全体としてヤフーはコマース領域にも注力していく、というビジネスの柱も立てています。
ですので、メディアのことだけでなくコマースの戦略も考慮してページを作り込んでいかなければなりません。
また、データ活用についても会社の成長の軸として打ち出していますので、どんなところでどんなデータを活用してユーザーに便利な生活を提供したいのか、ということも十分に把握したうえで、トップページの戦略や方向性を立てるなど、バランスを考えていくことが重要です。

なるほど。トップページはユーザーに一番閲覧いただくページですので、何か変更を加えたいと思ったときに大きく変えることは難しいのでは思います。そのあたり、ユーザーに違和感を与えない工夫について教えてください。

実は昨年、PC版トップページのデザインを大きく変更しようと考え、試験提供も行ったのですが、それまでのデザインに親しんでいるユーザーが非常に多かったため全面刷新を見送りました。
すべてを一気に変えるのではなく、事業上のメリットが大きい変更要素をピックアップして少しずつ段階的に導入したのです。
たとえば、トピックスの下に多数の記事が表示されています(タイムライン)が、こちらはかつて下の方に位置していました。しかしスマートフォン版トップページでは閲覧数が伸びていたので、PC版においてももう少し目立つ上方に移動させ、スマートフォン版のようにページの中央部分に主要な情報を集約した構成にするなど、ユーザーが違和感を覚えることなく自然に使えるように改修を進めました。

▲Yahoo! JAPANトップページ 変更前後 トピックスの下の記事(タイムライン)を下段から中段へ移動させた

自然にみせるために苦労したところは?

それまでは古いPCに適応していたため全体の画面幅が狭かったのです。
そこで、いまのユーザーが使うPCの画面幅に広げるべく構成を再検討し、いくつもの細かい修正を施しました。それを一部のユーザー向けに試験提供し繰り返し効果を検証した後、結果が良ければすべてのユーザーに公開する、といった地道なプロセスを積み重ねました。

試験提供されるユーザーはどのくらいの人数になるのですか?

通常は全体のユーザーの大体1~2%くらい。検証内容によっては5%くらい必要になることもあります。

試験提供については、もしかすると対象となっていた方の中にも気づいていた方がいらっしゃったかもしれないですね。一時はトップページを大幅に改修しようとした、とのことですが、最終的にそれを断念されたのはなぜなのでしょうか?

試験提供を実施するなかで、検索利用数が減ってしまったことが一番の大きな理由です。トップページのなかで一番利用数が多いのは検索で、その次がトピックス。検索はユーザーに長年親しまれている機能ですし、今後もわれわれが育てないといけないものです。ここにマイナスの影響が出てしまうのは良くないと判断し、提供を断念しました。

PC版のトップページ改修にあたって一番気をつけている点はなんですか?

ユーザー数やページビューはじめとする基本的な指標に影響がないかという点をみています。
一方でBtoCだけでなくBtoBのユーザーにも応えていかなければならない。
ヤフーの広告クライアント向けにも、広告を通じたユーザーコミュニケーションやメッセージングを工夫して期待に応えられるような商品ラインアップを用意するなど、ビジネス上での貢献もできるようにバランスをとっています。

なるほど、いろいろなファクターを総合的に考えて制作されているのですね。たしかにトップページをみると、広告なども違和感なく構成されていますが、クライアントを満足させる工夫はどんなところにあるのですか?

いわゆるファーストビュー(ユーザーがページを開いたときにスクロールをすることなく表示される画面の範囲)のなかで広告が占める割合を最大で何%といった具合で決め、それを超えないように、広告クリエイティブを工夫しています。この割合は時期によっても変わってきます。
ヤフーとしてユーザーに使っていただきたいサービスをバランスよく設置できるように、ときには経営会議で判断を仰ぐこともあります。

話は変わりますが、田仲さんご自身のこれまでのキャリアについて教えてください。

私は2007年に中途でヤフーに入社しました。当時ソフトバンクの汐留オフィスの一角に間借りをしていたモバイル事業部に配属されました。
スマホが発売される以前、ソフトバンクのガラケーでは、「Y!」ボタンを押すとヤフーが開く、という仕組みがあったんですね。
そのトップページをソフトバンクと一緒に制作するというところからヤフーでのキャリアが始まり、その後ガラケーのYahoo! JAPANアプリ、スマートフォンのYahoo! JAPANアプリを経て、現在のPC版Yahoo! JAPANトップページの担当に至ります。キャリアのほとんどでトップページに関わっています。

ガラケー時代からトップページを作り続けているのですね。いまPC 版のトップページを作られていますが、PC版ならではの特徴などはありますか?

スマートフォン版と比べてPC版のページは表現領域が広いので、その分工夫の余地があります。
また、利用者層に合わせたページ作りも心掛けています。PC版のトップページは長きにわたりご利用いただいているユーザーも多く、たとえばオフィスで「業務時間中にほかのサイトをみるのはだめだけど、ヤフーだったらいいよ」という企業もあると聞いています。ですので、オフィスでお使いいただいているユーザーや、高い年齢層のユーザーへ有益な情報をわかりやすく提供するために見せ方を工夫するなどの、差別化を行っています。

スマートフォン版とPC版のユーザー層はそんなに違うものなのですか?

使われ方は違いますね。PC版はやはりオフィスでの利用が多いので、アクセスのピークはお昼なのですが、スマートフォン版のピークは夜です。夕方以降、帰宅途中や帰宅後の余暇の時間に使われる方が多いです。

▲メディアカンパニー メディア統括本部 田仲千春

長くトップページに関わってきて、これまでで一番変わったことを教えてください。

よりユーザー一人ひとりの趣味趣向に合った情報提供ができるようになった点です。PC版がメインだった時代は、多くの人にとって有益な情報を提供することが重要でした。しかし、スマートフォンの登場により、個々のユーザーが必要としているものを利用動向から推測できるようになりました。そういったユーザーごとの趣味嗜好の傾向からそれぞれのユーザーにとって満足いただける情報を提供するための仕組みは工夫しています。
加えてあげるとすれば、他社や自治体との連携です。たとえば宅配便の荷物がもうすぐ届きますよ、というお知らせや、防災関連情報をすばやく発信したりなど。ユーザーにきちんと「いま必要な情報」を提供できるようになったのは大きい変化だと思います。

時代の変化とともに、新しい技術の導入により情報提供の幅が格段に広がったのですね。

ユーザーの趣味趣向に寄った情報と、一般的に重要性の高い情報とのバランスを大切にしています。はい。個々の興味関心だけに寄せすぎてしまうと、たとえばテロや、政権交代のような大きい出来事が起きたりしたときにも、興味関心がないユーザーにとっては、世の中でそれが起きていないことと同義になってしまいます。
ユーザーがみたいものだけではなく「これは世に広く知らせるべき」という価値観のもと選定していくこともトップページのトピックスにおいて大切な意義だと思っています。

そのあたりのバランスもとりながらトップページを構成していくのは大変な作業ですね。

ときに担当者同士で意見がぶつかることもありますが、「いまユーザーにどんな情報を届けるべきなのか」を軸にして議論を重ねたうえで決めています。
トピックスはみなさんにご覧になっていただきたい情報、それより下のタイムラインはユーザーがより深く楽しんでいただける、といったように整理しています。

社会の状況によりトップページも変える必要があるということですね。

社会の状況によって変えるというのもそうですが、ヤフーとしてトップページをどうするかという意思にもよりますね。
次にどんな未来が起きるのか、会社の戦略に応じてわれわれがどのユーザーにどういった価値を届けるのか、という点を常々検討しています。

なるほど。技術的な部分になるかと思うのですが、トップページはいつも「いきなりガラッと変わった」という印象を持つことはありません。そこは具体的にどんな工夫をされているのですか?

実はトップページってこれまではほとんど裏側の仕組みを変えていませんでした。しかしレガシーな環境ではスピーディーなサービス改善がしがたいという難点があり、全社的に技術をモダン化するプロジェクトの流れを受け、トップページも大規模なシステム改修をいれることとなりました。ユーザーにマイナスの影響を与えないように刷新できた、という点で手応えを感じています。

あ、昨年のAdvent CalendarでBest Authorに選ばれた岡部さんのサービス改善ですね!その裏側を大胆に変えたというのはたしか去年でしたよね?

はい、2019年の10月ですね。

お恥ずかしながら、私はいちユーザーとして、刷新されたことに全然気づきませんでした!

ユーザーには違和感を与えることなく、利便性を向上させることを目標としていましたので、そう言っていただけるとうれしいです(笑)。
画像がよりクリアに表示されるようにしたり、今後の大きい変更に耐えられるように表示面のソースの構成を変えたり、エンジニアや制作が毎日顔をつき合わせながら、「うーん、こうしようああしよう」と悩みながら取り組んでいました。

サービスマネージャーとしての仕事の醍醐味はどんなところですか?

経営陣から降りてくる指示に応えることがダイナミックで面白いですね。
自分たちだけでは巻き起こせないことの仕掛け、会社として社会の最前線に乗らなくてはいけないといった状況に対して、トップページだからこそ果たせる役割が必ずあって、そこに携われるのは本当にやりがいを感じています。そうは言っても、始まってしまうととても大変なのですが(笑)。
また、東日本大震災などのように人々が困難に陥っている状況において情報の力で貢献することも、非常に重い責任を感じますがわれわれの責務であると思っています。

本当に世の中の状況変化に対してすぐに動かなければならないのですね。

はい、ですので業界のトレンドはもちろん、GAFAをはじめとする世界規模の企業がいまどんなことをしているのか、またスタートアップの会社がどういう仕掛けをしているのかなど、日々アンテナを張るようにしています。
この業界にいると、知識のアップデートの繰り返しですので、常に勉強ですね。他社の例をみながら自分たちだったらどういうことができただろうとか、そういう考えを巡らすこともあります。

最後に、田仲さんの今後の目標を教えてください。

今後トップページは、ユーザーがただ情報を得るだけでなく、その後具体的な行動を起こしていけるようなサービスにしていきたいと思っています。
「何かを買う」でもいいですし、「より深く調べる」「どこかに出かける」など、何か新しい行動につながるサービスにしたいですね。

ヤフーでトップページの仕事を続けてきて、本当に毎日が充実されているということが伝わってきました。これからまだまだやることは多そうですね!

そうですね。これからもユーザーの要望に応えられるような情報やコンテンツを提供できるように頑張っていきたいと思います。

私も日々利用しているYahoo! JAPANトップページについてのさまざまなお話が聞けて、非常に勉強になりました。ありがとうございました!



(所属や内容は取材時のものです)

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