ヤフー株式会社は、2023年10月1日にLINEヤフー株式会社になりました。LINEヤフー株式会社のコーポレートサイトはこちらです。
当ページに記載されている情報は、2023年9月30日時点の情報です。

CTO
メッセージ

いくつもの高い峰を踏破しな
がら、
エンジニアは成長する

「決定権」と「責任」のセットでエンジニアは成長する

私が入社したのは2004年のことですが、そもそもヤフーを選んだのは、インターネットサービスを支える技術で開発がしたかったことと、エンジニアの裁量範囲が広く、現場のエンジニアに判断を任せてくれる、そんな環境を求めたからでした。

私はサービスそのものを企画するというよりは、サービスをいかに最適かつ最速で実現できるかを考えるタイプだったのですが、ヤフーはアーキテクチャの採用から、どうやってパフォーマンスを出すかまで、自分たちで決めることができました。

その意味では、ヤフーを選んだのは正解でした。ヤフーはそれまでに勤めてきた会社より圧倒的にサービス数も多く、規模も大きいです。貴重な経験の機会に恵まれる会社で、入社以来、どんな仕事も積極的に取り組み、成果を上げることで周囲の信頼を得てきました。信頼に見合う決定権と責任をもつことができるため、頑張り次第でいかようにも成長できる環境だと思っています。

2018年の「PayPay」の立ち上げもコマースカンパニーCTOとして大きな経験になりました。最初の「100億円あげちゃうキャンペーン」の際も、予想以上のトラフィックによって一時サービスがダウンしてしまい、ユーザーやお店の方々はもちろんのこと、社内外の関係各所にも大変な迷惑をかけてしまいました。

他にもシステムの負荷対策については、PayPay1周年記念のキャンペーン、超PayPay祭など、コマースカンパニーCTO任期中のこの3年間で何度か大きな事故を起こしてきました。どれも似ているようで観点が違う事故でしたが、その都度厳しいご意見もいただき、大反省しながら、みんなで力をあわせて改善を重ねてきました。事象を正しくとらえること、思い込みを捨てて客観的に判断し再発しないための対策を検討すること、それでも何か起きてしまったときは迅速に対処すること、これら改善のくりかえしこそが自身の成長に直結したと感じています。

成長機会は逃さず、トライの数だけ成長できる

自分の技量を超えた仕事を任されることは、人によってはストレスになるかもしれません。しかし、それをクリアする頃には、自分が一回り成長したように感じるものです。急峻な山道でも、ひたすら歩き続ければ必ず頂上にたどりつけます。そうすれば、もし次にさらに標高の高い峰を目の前にしても、また頑張って登ってみようという意欲が湧くものです。

一つの仕事を成し遂げたら、また新たな難しい課題にチャレンジする。私自身もその繰り返しでしたが、そのたびに新鮮な気持ちになり、技術に対しても会社に対しても興味をずっともち続けることができました。自分がヤフーで仕事をする意味をそのたびに再発見することもありました。おそらくそのことが、ヤフーに長くいることになった要因かもしれません。

こうした成長機会は、特別に私だけに与えられたものではありません。担当サービスや日々の業務から課題をみつけ、それをチャンスと捉えトライする。そのような成長機会をみつけ、課題解決に取り組むチャンスは全てのエンジニアに公平にあります。トライの数だけエンジニアが成長し、ひいてはヤフーの成長にもつながるのです。

継続的なモダナイゼーションをテーマに、AI・データ基盤も拡充

今後の技術戦略を立てるにあたっては、これまでの経験を通して学んだことのすべてを生かしたいと考えています。まず、エンジニアがサービス開発に専念できる技術的な環境をいかに整えるかが重要です。

数年かけたシステム全体のモダナイゼーションもそのための施策でしたが、それですべてが安泰ということではありません。その後何もしなければいずれ技術は陳腐化します。継続的なモダナイゼーションが必要であり、そこで重要なのは効率化だと考えています。

テストの自動化やデプロイなど、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)を中心とした開発スタイルをより強固にすることで開発生産性を向上させる必要があります。また、開発だけでなく、オペレーション作業についても自動化などによる効率化が進むことで、削減できたリソースをサービス開発に振り向けることが可能になります。

AIやデータ活用を採り入れたサービス開発も重点目標です。まず、データ活用のためのデータ整備は大前提です。そして、広告のクリック予測やショッピングのレコメンド技術など、従来の技術を磨きながら、一部のサービスではなくすべてのサービスに広げることが重要です。

AI技術については、3段階のレベルがあると思っています。第一にはチャレンジングな領域で新たなAIの仕組みをつくること。第二にそれをできるだけコモディティ化したうえですべてのサービスで使える状態にすること。第三にはさらに現場の日常的なオペレーションにおいて、これまで気づけなかったことをAIでできるだけ早く発見し、誰もがデータ活用できる状態にすること。これらを順に進めていきます。

データ活用においては、ユーザーの個人情報保護も重要な課題です。今後強化されていく法規制に柔軟に対応するためには、まずは社内にどんなデータがあるのか、それをどのように活用しているかを把握し、コントロールすることが欠かせません。この点については、CDO(チーフ・データ・オフィサー)やCISO(チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー)と一緒に考えながら、ヤフーとしての方針がぶれないようにしていきたいと思います。

「広くて、深いエンジニア組織」が理想

「良いサービスをたくさん世にだすこと」がやりたいことの根幹です。そのもとで、エンジニアひとりひとりが自身の能力を最大限発揮できる環境を提供することが、引き続き重要なテーマになってきます。

コロナ禍をきっかけに、ヤフーは大胆なリモートワーク施策を進めてきました。ヤフーは東京、名古屋、大阪、福岡に開発拠点がありますが、リモートワークが常態化したことで、むしろこれまで以上に拠点を超えたコラボレーションが容易になりました。

エンジニアのキャリアパスについては、より柔軟に、かつ幅広い選択肢を提供していきます。一つの部署で技術を積み上げ、特定スキルのスペシャリストになるという道もあります。また、いろんなサービスを渡り歩いたり、フロントエンドエンジニアからバックエンド、プラットフォームエンジニアなど役割を変えながら、複数の技術や領域にまたがって経験を積み、成長していくこともできます。その成長の過程で、自分のスペシャリティーを深く掘り下げても良いと思います。

スペシャリストの象徴としての「黒帯制度」がヤフーにはありますが、これにもぜひ多くの人がチャレンジしてほしいと思います。幅広いスキルをもつ人と、専門性の高いスペシャリストがそれぞれ活躍することで、ヤフーのエンジニア全体でみれば、「広くて、深い」状態になっていることが理想です。

「ヤフーのエンジニアとして成長を実感できて楽しい」、常に社内をこのような思いでいっぱいにすること。それが、私のCTOとしての最大のミッションだと考えています。

小久保雅彦

ヤフー株式会社 取締役 常務執行役員
CTO(最高技術責任者)

1972年生まれ。大学卒業後、SIerでの銀行ネットワーク構築、C++コンパイラ開発、インターネットプロバイダの認証・課金システムの開発・運用などを経て、2004年にヤフー入社。ポイント、カード、公金決済システムのほか、法人向け課金プラットフォーム、IDプラットフォームなど主に決済・ID系の開発業務に携わる。2018年にコマースカンパニーCTO、2020年にコマースCTO就任し、その後執行役員も兼任。2022年4月よりヤフーCTOに就任。

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