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2021.10.04

ヤフークリエイターの活躍を社内外に発信し、輝く場を創る──DevRel活動で目指すもの

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ヤフーには「Developer Relations ※以下DevRel(デブレル)」、という組織があります。 ヤフーの技術や知識、ヤフーのエンジニアやデザイナーなどクリエイターたちの活躍を社外に向けて積極的に発信する役割を担っています。 今回はDevRel事業全般を担当する部長の石原拓と、「Yahoo! JAPAN Tech Blog」の運用を担当する山本学に、ヤフーのDevRel活動について語ってもらいました。

プロフィール


CTO室Developer Relations
部長 石原 拓
2000年ヤフーにエンジニアとして入社。2020年からDevRel担当になり、現在は部長職を務める。DevRel事業全般の調整、組織のマネジメントを担当。
CTO室Developer Relations
オウンドメディアリーダー 山本 学
2011年ヤフー入社。新規事業開発に関わるなかで、開発者向けの勉強会やセミナー運営に関わる。現在は「Yahoo! JAPAN Tech Blog」のほか、技術ポータルサイト「Yahoo!デベロッパーネットワーク」の運営も担当。大阪支社勤務。
PD統括本部 コーポレートPD本部
干場 未来子
マーケティングソリューション事業で営業、エデュケーション、プロダクトマーケティング、マーケティングチームなどを経て、2016年に人事へ異動し、採用ブランディングを担当。

クリエイターの活動を社内外に発信するヤフーの「DevRel」の役割とは

まずはヤフーにおけるDevRelの役割と活動について教えてください。

ヤフーのDevRelは、外部のデベロッパー向けに情報を提供するだけではなく、クリエイターの活動や知見をイベントやメディアを通して、ヤフーの社内外に伝えていくところに注力しています。
イベント系では、学生向けハッカソン「Hack U」や一般クリエイター向けハッカソンの「Hack Day」の企画・運営を行っています。同時に社内向けのイベントにも関わっています。 メディア系は、社外のテック系メディアの記事への寄稿や、ヤフーの技術ブログ「Yahoo! JAPAN Tech Blog(以下Tech Blog)」による情報発信、「Developers & Designers Dashboard(DDD)」 という社内のクリエイター向けに情報を蓄積したサイトの運営なども含まれます。


かなり幅広く活動をしているんですね。

もともとヤフーには「Hack Day」や「Tech Meetup」などのテック系イベントが活発な風土があったんですね。 2018年頃に、CTOの藤門がこれらの活動を組織として支援、強化しようと熱心に訴えたことから、DevRelという組織が発足しました。
藤門との1on1ミーティングでは、「単なる企業PRではなく、社員が個人としてちゃんと発信する場が必要だ」という話や、ヤフーのエンジニアがどんなことを考え、どんな工夫をしているのかをもっとアウトプットしていこうと話していました。 藤門のバックアップは心強かったですね。
ヤフーでは、「全ての結果を自分ごとにする」「困難なことにチャレンジする」「社外に対してオープンになる」という3本柱からなる「クリエイターマインド」が求められます。 はじめの2つは普段の業務のなかでも発揮しやすいのですが、最後の「オープンになる」に関しては、意識的に行動を起こしていかないとなかなか実現できない。 それを支援するのが私の担当する「Tech Blog」であり、ひいてはDevRelのミッションだと思っています。

クリエイターの情熱が発火点。その輝きを技術ブランドの発展につなげる

DevRelを通じて実現したいことは、まずイベントやメディア発信を通して、ヤフーのクリエイターがより輝くための機会を提供することですね。さらに、社内のクリエイターに情報を共有することで、業務での成果向上につながる支援も目的の一つです。

▲CTO室Developer Relations 部長 石原 拓

こうした情報発信や支援活動を通して結果的に「ヤフーのクリエイターは面白そうな仕事をしている」ことが外部に伝われば、ヤフーの認知度や好感度も高まり、ファンも増えます。 そのなかからヤフーに入って一緒に仕事をしたいという人がいるかもしれません。そうした循環が大切だと考えています。

その循環はうまく回っていると思いますね。学生時代に「Hack U」のイベントに参加して、ヤフーの技術や社風・文化に興味を持って入社した人が、いまでは社員として「Hack U」を手伝ってくれていますから。

「Hack U」は日本全国どこからでも参加できるパターンと、特定大学とクローズドで実施するパターンがあるのですが、大学と一緒に開催するときは、その大学のOBに仕切ってもらうこともあります。 われわれが直接働きかけなくても、OBと学生の間でイベントが自律的に動く。これは理想的なかたちだと思います。

DevRelがマネージしているイベントやメディア発信は、もともとはクリエイターの自主的な取り組みで始まったものですよね。それが会社にオーソライズされたものになると、発信が窮屈になってしまうことはありませんか。

自主的な取り組みは大切です。ただし、有志の手弁当だけだと、やはり長続きしないんですよね。「Tech Blog」も有志だけで運営されていた時期は、配信する記事の数やジャンルに山・谷・偏りができてしまうことがよくありました。 それをDevRelという組織が関わることによって、クリエイターには執筆作業や、オープンになることそのものに集中してもらい、それ以外のことはDevRelが支援することによって、情報発信が安定し、継続的に発信できるようになりました。
自主的に始まったことに対してあとから関わることで少なからず変化は起きますが、前任者たちの活動をきちんとリスペクトしながら、組織として改善を重ねていくことが大切です。 DevRel内の一部の取り組みでは、もともとやっていた方々にそのままDevRelに加わっていただいたケースもあるので、前任者たちが着火した火種はいまも絶えることなく、もっと大きな炎になって燃えさかっていると思います。

▲CTO室Developer Relations オウンドメディアリーダー 山本 学

私はDevRelに来てまだ1年ですが、着任してすぐに、メンバーがどういう思いでこの仕事をしているかをヒアリングしたことがあるのですが、自分の仕事に情熱を傾けている人がとても多いことに驚きました。 DevRelのメンバーには、もともとイベントの参加者として、ものづくりの楽しさやクリエイターが思い切り輝ける場所があるということを知っている人が多い。だからこそ、現場のクリエイターに「同士」のような目線で寄り添い、サポートできるのです。

DevRelがCTO直属組織であることの強みはどんなところですか。

やはりダイレクトに意見を聞けるなど、CTOとの距離が近いことですね。さらに、CTOに向けて提案がしやすい面もあります。DevRelはイベントやメディア発信で、社外のクリエイターと接する機会がたくさんあります。 そこで知り得た話を直接CTOに伝えることができるし、逆にCTOが内外に伝えたいであろうことを、われわれが代わって発信することもできる。

ヤフーの知見を発信するだけでなく、社外で得てきた有効なインプットを社内に還元していく。そういう双方向のチャネルを担っているのがDevRelだと考えています。

登壇者・執筆者・所属部署の成長に着目した人選

イベントを運営するにあたって苦労することはありますか。

ハッカソンやプログラミングコンテストなどのテック系イベントを企画・運営していると、「DevRelは好きなことやってるだけじゃないか」と社内から見られる可能性もあります。 そうではなく、現場に寄り添っているからこそ、イベントも重要なんだということを説明する責任が私たちにはあります。 現場の「クリエイターマインド」を引き出すことが、結果として実業務にも役立つという循環ですね。その点はきちんと訴えていきたいですね。
たとえば、「Tech Meetup」に登壇してもらう際は、登壇者本人だけではなくて、その上司や周りの人にも「〇〇さんが登壇して話をすることは、組織にとってこのようなプラスになる、〇〇さんの成長にも役に立つ」ということを説明します。 そうしたコミュニケーションを重ね、現場も納得したうえで登壇してもらうわけです。
人前で話すためには、改めて自分の考え整理する必要があります。話すことによって、新たな疑問や課題に気づくことも少なくありません。そういう場で経験を積んでほしいと、あえて若手を推薦してくれる部署もあります。本人が成長するとてもよい機会になったと、上長にも喜んでもらえます。

「Tech Blog」の執筆者はどうアサインしているのですか。

自薦他薦、両方ありますね。書きたいと手を挙げてくれる人もいますし、ヤフーとして発信したいテーマを書いてほしいと、こちらから依頼することもあります。 依頼する場合は、「いま技術的にホットなこのテーマについて、書いてくれる人はいませんか」と、各部署の詳しそうな人に尋ねるようにしています。 単に、このテーマで書ける人を推薦してほしいというだけではなく、執筆体験を通じた成長であったり、事業貢献であったり、記事を書くことの意義を大切にしています。

DevRelが伴走し、安心して発表できる場を提供

ヤフーのエンジニアは自主的、積極的に記事を書いたり、登壇したりしたいという方は多いですか?

ヤフーには世間から関心を持たれる技術や知見がたくさんあるのに、エンジニアたちは「自分がやっていることはたいしたことじゃない」と謙遜する人が多いですね。 ヤフーはクリエイターの数も多く、全体の技術レベルも高いので、そのなかで仕事をしていると自身の技術力や知見の価値に気づきにくいのかもしれません。これは実にもったいないですよね。
ヤフー規模のシステムを開発し、安定した運営を継続するのは技術力が高くないと難しいので、社外からはヤフーの事例や知見を聞きたい人は多いはず。そうした内外のギャップを理解してもらい、発信してもらうようにするのも私たちDevRelの仕事ですね。

一つひとつのサービスやプロジェクトや案件のステークホルダーが多いので、自分一人のアウトプットのようなスタンスで発信することに抵抗を感じる人もいますね。その場合は、連名で書いてもらったりすることもあります。

いまはエンジニア向けのメディアプラットフォームもいくつかありますね。自社メディアやブログに書くのとはどう違うのでしょうか。

▲ピープル・デベロップメント統括本部 コーポレートPD本部 干場 未来子

確かに、個人で技術情報を発信している人もいますよね。メディアが多様化するなかで、企業が母体の「Tech Blog」に書く価値は「安心して発信できること」だと思っています。
コンプライアンス意識から、「これは社外秘だから書いちゃいけないんじゃないか」「この情報はどこまで社外に出していいのだろうか」と悩まれる人もいます。社外の人にどう読まれるかを意識しながら記事を書くのは、結構な労力がかかると思います。
「Tech Blog」では、DevRelが「この内容は社外に出して大丈夫」「この内容は事業戦略上、表に出せないから削ってほしい」というように、安心して書いてもらえるようにサポートしています。つまり、メディアの編集者の役割を私たちが果たしているわけです。 たとえば、「こういう情報を加えたほうが専門的な人に刺さるんじゃないか」「読者に誤解を与えないようにこっちの表現にしないか」といったアドバイスをしています。
DevRelの「Tech Blog」担当者は、私も含めてエンジニアや企画職からキャリアを変えた人ばかり。その意味で編集のスペシャリストではないかもしれませんが、記事の企画を成功させるためのノウハウは十分備えているつもりです。

記事を書いた人へどのようなフィードバックをしているのですか?

記事の反響は、必ず伝えるようにしています。自分で確認する人も多いのですが、たとえば、ポジティブな意見が10個あっても、ネガティブな意見が1個でもあると、それにめげちゃうことがあります。 私たちはポジティブな反響や発信したことの効果などを伝えていますね。やはり、記事を書いてよかったという体験をみんなに持ってほしいですから。それと、社内の反響や意見もフィードバックすると、すごく喜んでもらえたりします。

アクセルを踏みすぎず、隠れた宝石にも光を当てる

最後にこれからのDevRelはどうありたいか、今後の抱負を聞かせてください。

ヤフーの「Tech Blog」に限らず、エンジニアブログの文化は、世の中に浸透しつつありますが、私たちとしては変なアクセルの踏み方をしないようにしたいと考えています。 「オープンなのはかっこいい」というクリエイターのオープンマインドはこれからも大切にしたいものの、人には常に事情やタイミングがあるので「オープンじゃないのはかっこ悪い」という行き過ぎた空気感は作りたくありません。 オープンであることをみんなで推奨していく空気を醸成しつつも、内にこもっている人に対して排斥したり無理強いをしたりするのではなく、よきタイミングで背中を押すような存在でありたいです。そのバランスをどう舵取りするかを大切にしていきたいですね。

ヤフーのクリエイターはたくさんいますが、実際にイベントに関わる人や「Tech Blog」に記事を書く人はまだ数パーセントでしょう。でも、どこかでもっと輝きたいと思っている人は多いはずです。 そういう人たちにも刺さるような施策をこれからもっと作っていきたいと思っています。DevRelの施策が現場に寄り添い、役立ち、それを通してヤフーのクリエイターたちの魅力が外部にもきちんと伝わる。そのループを回し、どう強くしていくかは永遠の課題です。


クリエイターが安心して情報を発信できる、もっと輝けるようにサポートしているDevRelの活動を私もよく知ることができた貴重な時間になりました!本日はありがとうございました!

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