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2022.06.10

ヤフーの新旧CTOが語り合う——日本のユーザーに最適化したサービス作りと10年後の未来像

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これまでヤフーのCTOを務めてきた藤門千明と、新たにCTOに就任した小久保雅彦。前回の「ヤフーの新旧CTOが語り合う──社内受発注からの脱却とエンジニアの成長につながったクリエイターマインドとは」に続き、本記事では世界から見たヤフーの技術力と日本のユーザーに最適化したサービス作り、10年後のヤフーの未来像、エンジニアが成長し続ける風土や環境について語ってもらいました。

プロフィール

藤門のプロフィール画像
Zホールディングス株式会社 専務執行役員
Co-GCTO(Co-Group Chief Technology Officer) AI CPO 藤門 千明
2005年に筑波大学大学院を卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。
エンジニアとして「Yahoo! JAPAN ID」や「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」の決済システム構築などに携わる。決済金融部門のテクニカルディレクターや「Yahoo! JAPAN」を支えるプラットフォームの責任者を経て、2015年にヤフー株式会社CTOに就任。
2019年10月にZホールディングス株式会社 常務執行役員 CTO、ヤフー株式会社 取締役 常務執行役員CTOに就任。2022年4月より現職。
小久保のプロフィール画像
ヤフー株式会社 取締役 常務執行役員
CTO(最高技術責任者) 小久保雅彦
千葉工業大学情報工学科卒業後、銀行ネットワークの開発やインターネットプロバイダーでの認証・課金の開発・運用等の経験を経て、2004年にヤフー入社。ポイント事業の立ち上げや公金決済サービスの立ち上げ、ウォレット事業、カード事業などに従事したのち、2013年よりセントラルサービスカンパニー開発本部長*、2018年よりコマースカンパニーCTO。2021年執行役員に就任し、2022年4月より現職。(*当時の組織名)

技術力は、世界に負けていない

──ヤフーはこれから、5年後10年後のスパンではどのようにありたいか。新CTOとしての抱負を伺っていきたいと思います。まずは、現在のヤフーの技術力についてはどう考えていますか。

藤門の顔画像

仕事上、海外の大手IT企業のトップエンジニアたちと話すことが多いのですが、ヤフーのエンジニアやデザイナーのスキルは、海外と全く遜色ないと感じています。ヤフーだけではなく、日本のインターネット企業全体でそうです。もちろん、最終的なプロダクトやサービスに展開する戦略やスピードでは、少し弱い面もありますが、技術力は負けていない。だから、日本のエンジニアはもっと自信を持っていいと思っています。
ただ、ヤフーのエンジニアは謙虚な人が多くて、実はすごいことをしているのに、それを外に出さない。これはクリエイターマインドの2番目に掲げた「社外に対してオープンになる」というテーマとも関係するところです。世界と渡り合えるスキルが十分あることを理解して、もっとオープンマインドで進んでいってほしい。
ヤフーの事業はサービスブランド名の「Yahoo! JAPAN」の通り、日本をメインターゲットにしています。しかし、使っている技術は別に国内の技術だけではない。そもそもインターネット企業では技術の国籍は全く関係ない。優れた技術を選ぶことが重要で、国内か国外かなんて意識することはないのです。
事業の特性上、ヤフーは日本向けのアプリを開発していますが、グローバルで通用するインフラ技術を使い、グローバルで通用するオープンソースを作っていると自負しています。

藤門さんのトーク中画像
▲Zホールディングス株式会社 専務執行役員 Co-GCTO(Co-Group Chief Technology Officer) AI CPO 藤門 千明
小久保の顔画像

われわれヤフーは、世界の技術を使いながら、まずは国内向けサービスとして日本一になろうと考えています。そこでは、グローバル仕様をそのまま使うのではなく、日本のユーザーが最も快適に使えるようにするための最適化が重要です。
グローバルの技術、グローバルのサービスだけでなく、日本独自に進化を遂げているサービスもあります。商品を購入することで付与されるストアポイントは、その好例。ヤフーをご利用いただくお客様が便利でワクワクするような、日本向けに適したサービスをこれからもたくさん届けたいですね。
ちなみに、ヤフーのエンジニアはみんな技術が大好きなので、最新トレンドをいち早くキャッチアップする人も多く、オープンソースなどのコミュニティで活動する人もたくさんいる。そして重要なのは、その技術力や知識を生かして、ヤフーにしかできないサービスをどう作っていくかです。
ヤフーは主要な事業だけでもメディア、コマース、金融と、幅広く事業を展開しています。データセンターも自前で構築しており、さまざまなデータが手元にある。それらのデータを統合的に使えるからこそ、他社にはできない優れたサービスを提供できるはずです。それが5年後、10年後にでも実現できれば、ヤフーは世界的にも希有な会社になれると思います。
まずは日本で、テクノロジーでもサービスでも、圧倒的にナンバーワンになる。それを目指したいし、それができるのがヤフーで働くことの最大メリットだと思います。日本一になったら次はどうするか。おそらくZホールディングスの戦略に伴い、アジアにサービスを広げていくことになるでしょう。

小久保さんのトーク中画像
▲ヤフー株式会社 取締役 常務執行役員 CTO(最高技術責任者) 小久保 雅彦
藤門の顔画像

私は外資系の大手IT企業にヘッドハンティングを何度受けても、17年間ヤフーに残ることを選び続けたのは、小久保さんが言ったように、データセンターを立ち上げるところから、アプリ一つひとつの改善まで、全部自前でできる会社がほかにはなかったから。
グローバル仕様を単にローカライズするのではなく、自分の書いたコードでサービスを実現し、それをユーザーに直接届けたかったし、日本のユーザーにダイレクトに届く、技術の手触り感を大切にしたかったんです。それができるのがヤフーだと思っているから、いまもずっとZホールディングスに残り続けているのです。

メディア、コマース、金融事業でエンジニアに求めるミッションとは

──これからのヤフーを支えるエンジニアの役割を、新CTOとしてどのように考えているのか。特にメディア、コマース、金融の3つの事業に対してお聞かせください。

小久保の顔画像

検索サービスを含めてメディア事業では、ユーザーそれぞれの興味・関心に特化したパーソナライズ化が重要な鍵になります。とはいえ、過度なパーソナライズはユーザーに敬遠され、逆にユーザーの利便性を失うことにもなりかねない。そこで、パーソナライズされた情報提供と、一般的なトレンド情報を同時に提供していくことを考えています。
Yahoo! JAPANのトップページでは、最新ニュースや誰もが知っておくべき記事と、個人が関心を持っている分野の記事をバランスよく配置するということですね。このカスタマイズとジェネラルの両立は、検索機能や広告の掲示でも同じことが言えると思います。
情報が整理されてわかりやすいメディアとして、ヤフーが一番使いやすいと言われたい。そのための技術を駆使するのが、エンジニアの役割です。
コマース領域では、ユーザーが欲しい商品を探しやすくするために、メディア事業同様にさらに技術を磨き込んでいきたいと思っています。そして今後は、「いますぐ届けてほしい」を実現するクイックコマースにも力を入れていきます。
食料品・日用品などを対象エリアに配達するサービスですね。ヤフーは、2021年7月からグループ企業のアスクルや出前館と連携し、都内の一部エリアで実証実験をスタートさせました。2022年1月から「Yahoo!マート」というサービス名で本格展開を開始しており、2022年度中には23区全エリアに店舗数を拡大していきます。全国展開までにはまだ時間がかかるかもしれないですけど、新たなインフラとしてチャレンジしていきたい領域だと考えています。

藤門の顔画像

「Yahoo!マート」は最短15分での配送を目指しています。この15分を実現するためにどのようなシステムを作るか、ここはエンジニアの腕の見せどころです。
商品をミスなくピッキングできるUXになっているか、どの商品からピッキングすべきかを提示できるか、配達員がユーザーに商品をお届けするための移動時間が最小になるルートを提案できるかなど、技術やデザインで解決していきたい領域が多くあり、これらのチャレンジは大変面白いと思います。

藤門さんのトーク中画像
──PayPayを軸にした金融事業についてはいかがですか。

小久保の顔画像

これだけ速いスピードでユーザーが急拡大したサービスは、ヤフーではほかにありませんでした。PayPayで急激なトラフィック増や利用者数が増える事態に遭遇し、エンジニアはこれまでのやり方が通用しないという経験をした。ありえないぐらいの大規模トラフィックに対してどう準備すべきか。これは、いまもこれからも重要な技術的課題だと思います。
PayPayは金融インフラの一つに成長してきましたから、今後は商品購入の決済手段としてだけでなく、資金運用や証券、保険サービスの購入にも広がっていくでしょう。しかし、こうした金融サービスは現状では手続きが面倒な面があります。
手続きをいかにスマートにしていくか、UIデザインも含めてヤフーのクリエイターとしての力が試されます。金融領域に深入りしていくと、法規制や個人認証などヤフーだけでは解決できない問題も立ち現れてくる。国や自治体とともにそうした課題を解決するための新たな技術開発が必要になります。
同時に、PayPayで購入できる新しい金融商品やサービス開発にあたっても、エンジニアの力が必要です。それらを含めて、金融はヤフーの事業のなかでも最も伸びしろの大きな領域だと思っています。

小久保さんのトーク中画像

“エンジニアがワガママを言える土壌”を耕すことがCTOの役割

──エンジニアが成長し続ける風土や環境作りについてのお考えを伺います。

藤門の顔画像

これまでもヤフーは、エンジニアの自己研鑚を促す「My Polaris(マイポラリス)」や、エンジニアの活躍分野を広げる「ジョブチェン」など、さまざまな制度を導入してきました。リモートワーク、フルフレックス、副業OK、ギグパートナー制度といった、働き方の多様化も徹底しています。
「エンジニアは生涯勉強を続けなければいけない」というのは文化の問題ですが、文化が根づくまでには相当な時間がかかります。それでも何か象徴的な制度があったほうがいいと考えて提案したのが「My Polaris」でした。
エンジニアが自分で手を挙げて勉強を始める、それを会社が支援する。そうした自己研鑚を通して、エンジニアが自信を持ち、仕事に対しても当事者意識を高めるようになる。そうした循環がうまく定着すれば、それが当たり前の文化になるわけです。これはヤフーではこれが文化として根づいていると思います。
何より以前に比べて、ヤフーのエンジニアはワガママを言うようになりました (笑)。普段の業務でも「ああしたい」「こうしたい」と、どんどん提案してくる。エンジニア勉強会をやれば、質問がどんどん飛んでくる。
私はこれまで、自分で責任を持つ範囲であれば、何でも発言していいと言ってきましたが、それが自然にできるようになってきたと思います。ここまで整ってきた土壌をどう耕すか、これからは小久保さんにお任せします(笑)。

藤門さんと小久保さんのトーク中画像
小久保の顔画像

エンジニアからのいい意味でのワガママは、たしかに増えてきました(笑)。それに対して100%の回答は出せないかもしれないけれど、CTOとしてやるべきことは、まずは試す。そこで問題があったら改善していけばいい、そういう構えで臨みたいと思います。
ヤフーは無制限リモートワークを実現させましたが、これも最初は月5回まで働く場所を自由に選択できる「どこでもオフィス」制度から始まったんですよね。そのなかから、リモートワークの課題を発見していった。
毎日リモートでもOKとなると「ときには出社して集まりたい」とか、「リモートはブレーンストーミング的な会議がしにくい」といった声も出てきました。これを受けて、リモートでもできる最適なブレスト手段はないかと考えるようになりました。計画を立てて実施したら終了ではなく、アンケートなどで社員の声をきちんと聞き、数字で測定して改善につなげていきたいと思います。
こうした改善活動は、新たな仕組み作りだけでなく、既存の仕組みで現状に合わないものを廃止していくところでも発揮されます。以前は開発のためルールとして100を超えるガイドラインが存在していましたが、モダナイゼーションの取り組みの一環で、本当に必要な30個程に整理したという経験がありました。これまでの慣習・慣行を定期的に見直し、いらないものは捨てて、新たなものを作り出すことは、ヤフーの文化になっていると思いますね。

仮説・検証・改善のサイクルを通して困難にチャレンジする

藤門の顔画像

ヤフーは「データを使って可視化する」ということに、とことんこだわる会社。効果を計測できるものだったら、まずは1回やってみようと考える。ダメだったら止めればいいし、効果が出たら続ければいい。

小久保の顔画像

サービスを新規に開発したり、既存サービスを改善して収益を上げたりするときも、まずは仮説を立て、データを検証して改善していく。藤門さんが起草したクリエイターマインドはじめ、エンジニアの働き方や開発環境の改善も、これまでの制度を踏襲しながら進めていきたいと考えています。
なかでも、「困難なことにチャレンジする」という言葉はとても大切なものだと思います。自分の担当だけでなく、もっと広く、一つ上の目線に立って物事を見ると、自分がやらなければいけないことがさらに見えてきます。
現在の責任範囲以上のことに対して「自分ごと」にするわけですね。そこにチャレンジすることでエンジニアは一人ひとりが成長するし、それが全体の底上げにもつながる。そういう確信を私自身も抱きながら、これからのヤフーを引っ張っていきたいと思います。

藤門の顔画像

小久保さんはお酒が飲めないのに、若いエンジニアに誘われれば必ず飲み会に出席するし、小さなかばん一つ、サンダルでふらっと海外出張に出かけちゃう(笑)。普段からサンダル履きでニコニコしながら社内を闊歩していて、とてもフランクで思いやりのある方です。その人柄を知れば、誰もが魅了されるはず。私も安心してヤフーのCTOを任せられます。これからもともに頑張りましょう。

藤門さんと小久保さんのトーク中画像

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