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2017.08.03

国際会議への参加を会社が奨励──「トップカンファレンス参加支援制度」の狙いと成果

塚本の写真

世界中でインターネットやITに関する学術的なカンファレンス(学会)や、技術カンファレンスが頻繁に開かれています。そのなかでも、世界的レベルの研究者・技術者が登壇し、近未来の技術予測の場となるようなカンファレンスがトップカンファレンスと呼ばれています。

ヤフーは、こうしたトップレベルの国際会議や大規模カンファレンスへのエンジニアの参加をサポートし奨励しています。今回は、その狙いと成果についてご紹介します。

世界の研究者・技術者が注目するトップカンファレンス

トップカンファレンス──WWW 技術全般でいえば、2017年に26回目を迎えた「World Wide Web Conference(WWW)」 が権威あるカンファレンスとして有名です。2017年4月の5日間、オーストラリアのパースで開かれた「WWW2017」では、Webの進化、技術標準、社会に対する影響、そしてその将来などについて活発な議論が交わされました。

他にも、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)分野では 「the CHI Conference」が最重要の国際会議といわれ、自然言語処理分野では「ACL(Annual Meeting of the Association for Computational Linguistics)」の動向が研究開発の今後を示唆するといわれています。

最近はGoogleの「Google I/O」やAmazonの「AWS Summit」など企業主催のテックカンファレンスも、ビジネスとアカデミア領域をつないだ最先端テクノロジーの報告が行われるため、研究者・技術者らは関心を持たざるを得ません。

こうした、各分野においてトップレベルといわれるカンファレンスへの参加を支援するのが「トップカンファレンス参加支援制度」です。

「ヤフーは、インターネットのテクノロジー・カンパニーとして世界トップ10に数えられるような会社になることを目指しています。多くのユーザーと多くのサービスから生み出される、他社にはない規模のデータを蓄積しているのが強みですが、これまでの技術に固執することなく、先端技術を開発・選択したり、それらをサービスに応用したりすることにより企業としての競争力を高めなければなりません。

そのためには世界の先端レベルに目線をあわせ、常に自分たちの立ち位置を確認し、できるだけ先端にキャッチアップしておくことが欠かせない。海外カンファレンスは、この目的に最も適した情報ソースなのです」

と制度の趣旨を語るのは、データ&サイエンスソリューション統括本部サイエンス本部長である塚本浩司です。

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▲ データ&サイエンスソリューション統括本部 サイエンス本部長 塚本 浩司

部門任せにせず、全社の制度としてサポート

これまでもトップカンファレンスに積極的に参加する人はいましたが、こういった社外の先進的な技術コミュニティーへ参加することに対する温度感は部門によって差がありました。そのため、こういったコミュニティーへの参加を2014年から全社的な取り組みとして支援することにしました。

支援対象者は、Yahoo! JAPAN研究所などの研究組織に限らず、事業部門のエンジニアも含みます。さらにエンジニアリングだけでなく、UI/UX、Webデザイン領域にも幅を広げているので、デザイナーも対象です。

トップカンファレンスのほとんどは海外で開かれるため、渡航費、参加費等、50万円程度かかりますが、2014年以降、のべ100人以上の研究者、エンジニア、デザイナーが、制度の支援を受けてさまざまなトップカンファレンスに参加してきました。

参加の形態は大きく分けて、発表・聴講の二つがあります。発表に関しては、主に日々のサービス改善のために行っている研究開発業務のうち、大きな成果が出たものをカンファレンスで発表することが奨励されています。この制度でカンファレンスでの発表をサポートしているので、カンファレンスに通すために研究開発をもうひと頑張りする、という光景もよく見られます。

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「トップカンファレンスは論文審査に通るだけでも大変です。しかし、日常の仕事を通して得られた技術的な知見を社外発表することは、ヤフーの技術力を社外へ訴求するうえでも、社会貢献的な観点でも重要な役目。前回の『ACL2016』では、ヤフーから3本の論文が審査を通過、これは日本の大学・企業のなかで最多でした。

また、今年3月の『IEEE PerCom 2017』というユビキタス領域のトップカンファレンスでは、ヤフーが慶大SFC研究所などと共同で行った、スマートフォンのプッシュ通知への反応を改善するビッグデータ研究の成果が、ベストペーパーの最終候補3本のうちの1本に選ばれました」

なお、もう一つのトップカンファレンスの参加形態として、聴講があります。担当する技術開発がトップカンファレンスに投稿するまでのレベルに達していなかったとしても、そういった技術レベルに追いつくために、トップカンファレンスへの参加が十分な効果を持つと認められた場合には、聴講を目的とした参加も奨励しています。

この場合、帰国後に社員に向けた報告会の開催を義務付けることで、全社のレベルの引き上げを図ると同時に参加制度の透明性を担保しています。これらの参加の可否は最終的にはCTOなどが審査を行っています。

リアルに国際会議へ参加することで得られる刺激

カンファレンス参加支援制度が始まって4年目。ヤフー社内にも変化が現れていると塚本はいいます。

「トップカンファレンスに参加することで、自分が進めている研究開発のレベルを、世界の技術レベルと比べて評価することができるようになりました。より高い目線で仕事を進められるメンバーは着実に増えていますし、先進的な技術がサービスに導入され、課題解決される例も増加しています。ヤフーがこれまで先端を行っていたとはいいにくかった技術領域において、先端のキャッチアップも早くなったように感じます」

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なにより、リアルに国際会議へ参加することで得られる刺激は重要です。

「セミナーやセッションの参加状況で、いまどんな研究や技術に注目が集まっているかを肌で感じることができます。それが社内の技術動向にも影響を与える。世界にインパクトがあった著名な論文を書いた人と実際に会議の場で会ってみると、自分と同じくらい若い人だったことがわかって、なおさら刺激を受けたという参加者もいますね」

副次的な効果として、大学や大学院での研究を進めていくなかでヤフーの研究者による論文発表を知り、自分の研究実績を企業でも生かせる可能性を見出して、ヤフーに応募してくる学生も増えてきました。

トップカンファレンスは、学生と企業人、企業人とアカデミアの研究者など、国際的な人的ネットワークを形成する場にもなっているのです。

「これまで参加したことがない人にもなるべく一度は参加してもらって、世界のレベルを感じてきてほしい」と塚本は呼びかけます。

世界レベルの技術を見据えたうえで、よりよい技術をつくり、よりユーザーの課題を解決するサービスを実現していくことは、ヤフーのミッションの一つ。今後もこの制度を継続し、さらに拡充させていきます。

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