そのなかの一つに、数学同好会があります。これは数学好きな人が集まっている同好会。どんな活動を行っているのか、潜入してみました。
入社2カ月後に数学同好会を立ち上げた
この数学同好会を立ち上げたのは、2017年に新卒で入社し、現在、サイエンス統括本部に所属する湛溢洋(ザン・イイヤン)。もし数学同好会のようなものがなければ自分で立ち上げてみたいと入社前から決め、入社2カ月後に実現させました。

「参加者は担当業務との結びつきとは無関係に、みんな数学好きだから集まってくれているんです。活動内容は、主にプレゼンテーションです。各々で研究したテーマについて発表し、メンバーからフィードバックをもらいます。発表者は毎回2人で、持ち時間の目安は1人1時間です」(湛)
今回1人目の発表者は2018年新卒入社の木村悠紀。発表テーマは「出生死滅過程と偏微分方程式(PDE)」。野に放った訓練用のモンスター(スライム)が1年後に何体になっているのか(線形出生死滅過程)を、偏微分方程式(PDE)を使って導くというもの。

一つの個体が一定の確率で分裂し、一定の確率で死ぬ。分裂すると自分のコピーができる。老化はしない。
Pr(A): 事象Aが起こる確率
N(t): 時刻tにおけるスライムの個体数
Pn(t) = Pr(N(t) = n | N(0) = 1):最初に1匹だったスライムが時刻tでn体となる確率
後は、どのように解いていくかをプレゼンテーションで示しながら、どんどん説明していきます。



湛はまず自然数と順序数、帰納法などを簡単に説明したうえで、超限帰納法による証明方法を紹介していきました。


数学に関するアウトプットをすることで理解が深まる
勉強会終了後、会長の湛、そして参加者の上岡雄太郎(サイエンス統括本部)、三原千尋(ヤフオク!統括本部)の3人に残ってもらい話を聞きました。
──湛さんは、なぜ、数学同好会を立ち上げたのでしょうか。

きっかけとなったのは、圏論(※数学の分野の一つ)勉強会に参加したことです。常時参加していた同期が10人ぐらいいて、「ヤフーにも数学好きな人がこんなにいるんだ」と驚きました。上岡君もその一人でした。
社内のチャットシステムで、数学について話し合う部屋を作って、同好会として活動しないかと呼びかけました。2018年3月に同好会として認められ、4月の新人歓迎会で行われる、社内クラブ・同好会紹介に間に合うよう活動実績を積み重ねました。
もともとは同期を中心にして立ち上げた同好会ですが、現在は2018年の新卒組に加え、三原さんのような中途入社者にも参加いただいており、メンバーは19人。年齢もバラバラですが、比較的若い人が多いのが特徴です。ただ、社内のチャットルームをウォッチしている人は常時200人以上いるので、実は社内には、ほかにも数学好きな人はたくさんいるのではないかと思います。


数学同好会は自分が調べたことを発表するという活動形式なので、アカデミックに近い感覚を覚えられるのが面白いですね。業務とは関係のない活動を支援してくれるのは、体力がある会社じゃないとできないと思いますし、ヤフーは良い会社だなと思います。

いまも独学で集合論を勉強しています。例えば「『定義できる』とは何か」など、何の疑問も持たずに通り過ぎてしまいがちなことが本当はどういうことなのかを考えられるのが数学の面白いところです。
──みなさん、学生の頃から数学が得意だったんでしょうね。

たとえば、九九を覚えることとかもそう。でもかけ算の成り立ちなどの根本的なところまでは教えてくれません。僕はそういったところが気になってしまうので、それを理解していないまま目の前の問題を解くということが高校生のときはできなかったのです。
でも、大学の教科書にはゼロから書いてある。だから大学に入ってからの数学は楽しかったし、今も大好きなんです。同好会のメンバーは19人ですが、僕みたいな数学専門の学科の出身者は4~5人。そのほかは生物系や物理系の学科などさまざまです。

生物系は理系とはいえ数学をあまり使わない人は多いですが、三原さんのような物理系の人は数学が得意な人が多いような気がします。






そのときのテーマはカーネル法。カーネル法を数学的に考えるとどういうものなのかを調べて、それを発表したんですが、いろんな反応をもらえて、すごく楽しかった。また、みなさんの面白い話を聞くことで、時間のあるときに自分も試してみようというネタも増えます。本当に楽しい集まりです。
──これまでで一番盛り上がったのはどんなテーマですか?




──面白そうな集まりだということがよくわかりました。今後、数学同好会をどのようにしていきたいですか?

これはこれからも継続していきたいので、新入社員には「こういう同好会があるんだ」ということは伝えていきたいですね。新たな参加者が増えると、スピーカーも増えるので、話題も増えると思うんです。



──社外とのコラボレーション企画などは考えていたりしますか。







──ありがとうございました。
「数学が好き」「数学に興味がある」、その条件さえ満たしていれば、誰でも歓迎とのこと。今後も数学好きの興味を引く話題がたくさん展開されていきそうです。
ヤフーにはこうした社内クラブ・同好会制度が活発に行われています。現在、一緒に働いてくれる仲間をさまざまな職種で絶賛募集中ですので、ヤフーに興味をもってくださった方はぜひコチラから応募してみてください!
※社員の所属は取材当時(2019年3月)のものです。