ヤフー株式会社は、2023年10月1日にLINEヤフー株式会社になりました。LINEヤフー株式会社のコーポレートサイトはこちらです。
当ページに記載されている情報は、2023年9月30日時点の情報です。

2023.05.16

ヤフーの 2022年インターンシップを振り返る──約3カ月の長期エンジニアコースで学生とメンターが得るものとは

ヤフーが学生向けに毎年実施するインターンシップ。2022年は従来 の5日間/10日間の短期コースに加え、最長約 3カ月 にわたる長期のエンジニアコースや営業の実務を体験できるコースなど、いままで以上に多種多様なコースが用意されました。そのなかで「Yahoo!検索」の開発にかかわる、長期(約3カ月 )のエンジニアコースでメンターを担当した宮沢時生さんに、インターンシップの様子や参加してみて得た学びなどを語ってもらいました。

宮沢さんのプロフィール画像

宮沢 時生
検索統括本部 プラットフォーム開発本部 開発7部
学生時代から情報システム構築を学びながら、ベンチャー企業の一員としてウェブサイト開発やインターネットセキュリティに携わる。2019年に入社し、検索統括本部で地域情報検索システムのためのプラットフォームを開発。2022年のインターンシップにメンターとして参加。

メンターを引き受けたのは、学生たちの新鮮な発想に触れたかったから

──今年もインターンシップ募集の時期が近づいてきました。2022年度に初めて用意された長期のエンジニアコースが好評だったので、今年も実施される予定です。宮沢さんはそのコースのメンターを担当されました。まずは、普段担当している業務を簡単に教えていただけますか。

「Yahoo!地図」や「Yahoo!カーナビ」などで使われる地域情報の検索システムにかかわっています。例えばユーザーがヤフーのアプリやウェブサイトでお店を探す際、「東京駅 ラーメン」というキーワードで検索したら、その条件に合致した拠点の結果を返却するシステムプラットフォーム開発といった業務です。最近は、拠点から得られる情報をより最適なカテゴリーに分類するために、その検索ロジックのチューニングにも携わっています。

──そのなかで、インターンシップのメンターを担当されたのはどのような経緯ですか。

私は2019年に新卒入社して以来、部署の異動を経験していないため社内の業務でかかわる範囲がそれほど広くなく、若い世代の声を聞く機会が欲しいと思っていました。
そんなときインターンについて上司に声をかけてもらい、学生のフレッシュな意見に触れられると考え、メンターを引き受けました。結果としてインターンのコース内容が実務体験に近く、普段の仕事の一環として取り組めたので負荷も少なく、楽しくメンターを務められました。

▲ 検索統括本部 プラットフォーム開発本部 開発7部 宮沢 時生

学生は、「拠点検索に関する検索パフォーマンスチューニング」を体験

──宮沢さんが担当されたのは、どんな学生の方でしたか。

私たち(開発7部)で受け入れた学生は2人で、そのうち1人を私が担当しました。大学院の研究室で、信号機に代わる新しい交通制御システムの研究をしている方で、地域情報検索とも無縁ではありません。プログラミングスキルも高く、システムを開発することが大好きという点も私たちのチームにマッチしていました。

また、私たちのチームが用意した課題や目標に対しても当初の想定よりかなり早い段階で達成され、その内容も優れたものでした。リモートワークで使うコミュニケーションツールも使いこなし、問題なく作業を進められていましたね。

──学生が取り組む課題の内容は、どのようなものだったのでしょうか。

「拠点検索に関する検索パフォーマンスチューニング」を課題に設定しました。第1フェーズとして、検索プラットフォームの概要を学生に理解してもらうことから始めました。検索プラットフォーム開発の仕事はヤフーの事業全体に大きな影響力を持つもので、技術的にもシステムを構成するコンポーネントが数多くあります。まず全体の仕組みをわかりやすく解説する必要があったので、インプットにかなり時間をかけました。

このフェーズは、長期コースが始まった10月において前半ぐらいで終えて、後半からは検索パフォーマンスの向上という具体的な課題に入りました。技術的にどうアプローチして検証すれば良いかを学生と一緒に議論して、いくつかのアプローチを試すというのが第2フェーズですね。

第3フェーズでは、自分なりの答えを見つけてもらうために、学生にチューニングを任せました。毎日1on1でコードのレビューをしたり、学生からの相談に乗ったり、私の方からアドバイスをしたりなど、実際に業務を一緒に進めるようなイメージで行いました。

──学生が研究室で使っている環境とヤフーの実務で使う環境は違うと思いますが、その点はどのように対応しましたか。

実際にヤフーの開発環境での構築を体験してもらうために、パソコンの貸与も含め、環境構築に関する資料を提供して開発を進めてもらいました。

テスト環境としてヤフーの実務と同じ条件のデータベースを使い、パフォーマンスを改善

──検索パフォーマンスチューニングという課題に対しては、具体的にどのように取り組んでいったのでしょうか。

ABYSSというヤフーの検索エンジンライブラリをベースにした検索サービス構築プラットフォームがあるのですが、それに対する設定ファイルの書き方一つでもパフォーマンスは変化します。データベースへの、クエリのパラメーターを調整するだけでもレイテンシに差が生じることがある。学生にはレイテンシを何秒上げるといった数字目標は与えなかったのですが、レイテンシを向上させるためには「どの設定をどのようにいじれば良いのか」という深い理解が必要なので、そのための調査を体験してもらいました。

また、これらのデータベースや設定ファイルは、実際のヤフーの業務で使われているものと同じものです。もちろん本稼働とは別のテスト環境なのでどんなにいじったり、その結果壊れたりしても良いものを用意しています。このように本番と同じ条件のテスト環境でシステムの改善を行えることが、ヤフーのインターンシップの面白さだと思います。

──検索パフォーマンスチューニングは宮沢さんたちが日々の業務でも行っているテーマであり、普段の業務の一部をインターンの学生が体験できた、というわけですよね。

その通りです。私たちが日々の業務のなかで、パフォーマンスを上げるために「こうしたら良いのでは?」と感じていた部分を、2022年のインターンシップで調査から実際のチューニングまで行ってもらいました。それを約3カ月というスケジュール通りに進めていただいたうえに、実際のパフォーマンス向上にもつながった。最終的な成果発表会のレポートも期待以上のものでしたね。

学生に聞いたところ、大学での研究などにおいてデータベースをチューニングした経験はないとのことで、ご自身の基礎的な技術力がしっかりしていたということです。設定ファイルはPythonスクリプトで書いていたのですが、Pythonを含む基本的な知識があり、効率良く課題に取り組むことで、目標を達成できたのだと思います。

日々のコミュニケーションを欠かさず、一緒に開発・運用コストについても議論

──学生と毎日1on1ミーティングを行ったとのことですが、具体的にどういった話をしましたか。

1on1では課題解決のためのすり合わせを常に行っていました。具体的には、技術力以前に目標の方向性やベクトルについて、私と学生の間で認識などをそろえる必要があるのでそのためのコミュニケーションの時間にもしました。

例えばパフォーマンスチューニングに限らず、システム開発において正解は必ずしも一つではありません。システムを改善したことでメリットがあるユーザーもいれば、そうでないユーザーもいます。より多数のユーザーにとって有益となる方向性を選ぶために、その開発コストや運用コストについても考える必要がある。そうした、なかなか答えの見つからない議論をしっかり1on1で重ねられたことも、学生が成果を上げられた理由の一つになっていると思います。

──開発コストなどの重要な観点を学生に理解してもらうためには、どんな工夫をされましたか。

まず前提としては学生に実際の検索ログを見てもらったのですが、なかには拠点情報を求めるクエリに、意図不明な情報がそのまま紛れ込んでしまうものがありました。もしかすると、システムが間違えて送ってきたものかもしれない。そして、そういった特殊なクエリパターンによってはパフォーマンスが下がってしまう可能性がありました。

それらの課題への対応策はあるのですが、そのためのロジックを加えると、やはりシステムが肥大化してしまう。つまり、運用コストが余計にかかってしまうのです。そのあたりをどうするか、そうした異常なクエリについての詳細をまずは調べてもらいました。そのうえで、処理にかかわるメリットとデメリットを比較し、実際のアーキテクチャ設計、システム構成を踏まえて検討いただきました。

──現場での検証業務にかなり近い内容を任せたのですね。

そうですね。もちろん具体策は私たちと一緒に考えますが、学生に開発コストについてもイメージしてもらうために、必要な作業だったと思います。1on1は平均すると一日30分程度でしたが、場合によっては1時間、2時間となった日もあります。私だけでなく、ほかの社員を交えて話をすることもありました。

インターンシップはメンターだけでなく、チーム全体で対応するものだと思います。パフォーマンスチューニングでは、私の担当外のコンポーネントについても知っておく必要がありますし、技術情報についてはチームとして対応しました。

インターンシップをより有意義なものにするには、このようにきちんと学生をサポートしていくことが重要です。そうした認識がチーム全体にあったと思います。

約3カ月にわたる取り組みのなかで、学生のモチベーションを維持するための工夫

──1on1では技術や仕事の話以外に、どんな話をしましたか。

雑談として、例えばサッカー日本代表の話などをしましたね。インターンシップ中に出社する機会があったので、その時は一緒にお酒を飲みに行きました。学生のチャーミングな一面も発見できてうれしかったです。やはり短期コースよりも長期コースの方が、学生とより親密になれると思いましたね。

──全体を通しては、長期コースならではのメリットをどの点に感じましたか。

やはり長期でないと実現できない内容があります。検索パフォーマンスチューニングという抽象的な課題であり調査も必要でしたし、各コンポーネントについて理解することはとても大変。もしこの課題を5日間でやろうとしたら、説明だけで終わってしまいそうな気がします(笑)。

──約3カ月の長丁場であり、学生とメンター双方のモチベーションを維持することも重要になりますね。

当然ながら学生が企業のインターンシップで学びたいことと、企業が学生に提供したいことのマッチングが重要です。そこが互いに明確になっていて、ズレがなければお互いのモチベーションは長期でも維持できると思います。

もちろん先ほども触れたように、1on1で雑談を交わす機会も大切ですし、何より学生の考えや意見を引き出すことが重要です。学生の質問やアウトプットに対してこちらも真摯に応える。その関係がモチベーション維持にもつながるのではないでしょうか。

また、私が担当させていただいた学生は、ご自身の目線で問題解決の方向性を示すことができる方でした。私自身、学生の新鮮な意見を聞いて気づいたこともあります。インターンシップのメンターを担当させてもらったことで、自分自身にとっても得るものが大きかったです。

インターンシップ終了後のアンケートでは学生から、「ヤフーの重要な技術の一部に触れられた経験は、自分にとって大きな糧になる」「難易度は高かったけれど、チャレンジングな課題に取り組めて良かった」といった内容のコメントをもらいました。とてもありがたいことにインターンシップを通して、大学院修了後はヤフーに入社したいという意向を持ってくれたそうです。私もメンターをやったかいがありました。

──2023年もメンターのオファーがあったら、またやってみたいですか。

ぜひ、やりたいですね。2022年のインターンシップでは、学生に与えた課題がやや抽象的だったという反省もあります。また、コロナ禍の影響でオフィス見学にあまり時間を取ることができませんでした。学生の皆さんからも「オフィスをもっと見てみたい!」という要望があると思うので、2023年もインターンシップにかかわるなら、その点にさらに応えたいと考えています。

長期のエンジニアコースは、今後もさらに拡充

▲ PD統括本部 コーポレートPD本部 採用部 田中 崚也

最後に、インターンシップの人事担当である田中崚也にも、今後の展望などを聞きました。

2022年度のインターンシップは、全体で91コース、約160人の学生を受け入れました。インターン生には毎年、事後のアンケートに協力いただいているのですが、「非常に満足」もしくは「満足」と答えた学生の割合が100%。なかでも2022年度は、「非常に満足」と答えた学生の割合が前年に比べ5ポイント上昇するなど、学生にとってより充実したインターンシップを提供できたことが、この結果からわかります。

また、2022年度はエンジニア向けの長期コースを初めて取り入れました。これまでは5日間コースと10日間コースだけでしたが、学生に与える課題によっては課題達成のための時間が少ないといった課題もあり、長期コースも用意して学生のニーズにしっかりと応えていきたいという思いがありました。

結果的に、長期コースのインターンを通してヤフーの業務への理解が深まったという声も多く寄せられました。引き続き、長期コースの拡充を図っていきたいと考えています。

コロナ禍でヤフーはリモートワークが推進され、インターンシップも原則としてオンラインで実施されるようになりました。東京以外の地方在住の学生がインターンシップに参加するハードルが低くなったというメリットがありますが、実際のオフィスを体験する機会も欲しいという声も聞いています。このあたりを2023年度はアップデートしたいと考えています。

2023年夏のインターンシップ プレエントリー受付中

今年もインターンシップを実施します!下記ページからのご応募をお待ちしています
インターンシップページ

プレエントリー応募締切は6月5日です。

関連記事

このページの先頭へ