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2020.12.07

マーケティングデータコンサルタント×マーケティングデータアナリスト対談で知る―――ヤフーのデータインテリジェンスとは?

ヤフーが膨大なデータを生かしてインターネット広告の世界をより効果的で信頼性の高いものにするためには、マーケティングデータコンサルタント、マーケティングデータアナリストという二つの職種が重要な鍵を握っています。それぞれの部署を統括する二人に、ヤフーのデータ分析やデータマーケティングとはどういう仕事なのか。その面白さや深みなどをうかがいました。

プロフィール


重山 直志(データコンサルタント)
マーケティングソリューションズ統括本部 テクノロジーサービス本部 コンサルティングサービス部 部長
2012年に新卒入社。営業からキャリアをスタート。デジタル広告を扱ううえでデータマーケティングの知識は不可欠だと考え、Yahoo! DMPやYahoo!プレミアムDSPなどのデータプロダクトのセールスにキャリアチェンジ。現在はデータコンサルタントとして、組織運営をリードしている。
堀江 亮介(データアナリスト)
マーケティングソリューションズ統括本部 テクノロジーサービス本部 データインテリジェンス部 部長
2009年に新卒入社。入社当初は広告営業に従事。入社4年目に営業戦略系の部門に異動。その後、データアナリストとビジネス部門の連携強化のためジョブチェンの制度を利用して現在の部署に異動。

営業・コンサル・アナリストが分業、協業してクライアントの課題に応える

まずは、お二人の部署の紹介からお願いします。

私が所属するデータインテリジェンス部は、全体で約40~50人程度が所属している部署です。所属するメンバーの職種は大きく三つに分かれていて、一つはいわゆるデータアナリスト。多変量解析や機械学習を用いてクライアントのマーケティングに関わるデータ分析をします。
次に、そのアナリストの生産性を高めるために、エンジニアとともにインフラやツールを企画し、整備する人。職種で言うとPMやデータスチュワードが近いと思います。最後に、分析事例から得た知見を、ほかの企業にも応用できるような汎用性のある形にする、いわゆるソリューション開発を行う人たちがいます。

▲マーケティングソリューションズ統括本部 堀江亮介(データインテリジェンス部 部長)

コンサルティングサービス部は、営業と一緒にクライアントのもとへ伺い、マーケティング上の課題をヒアリングして、データで解決策を企画するミッションをもっています。案件に関するデータ分析をして、課題抽出や仮説立てから開始します。分析内容が高度になる場合は、データインテリジェンス部に協力を仰ぎ、一緒に案件に取り組んでいきます。
ヤフーのデータマーケティングでは、個々のクライアントを担当する営業部隊の役割も重要です。私たちは営業が持ち込んできた案件に対してソリューションを提供し、必要であればデータインテリジェンス部とともに、クライアントに提案する流れになります。

▲マーケティングソリューションズ統括本部 重山直志(コンサルティングサービス部 部長)

データのバリエーションとデータ活用の柔軟性こそがヤフーの強み

ヤフーのデータマーケティングの特徴はどんなところにありますか。

クライアントのなかには業界に特化した深いデータを望む企業もありますが、ヤフーのデータは広さに定評があるものの、必ずしもすべての業界に特化したデータを保有しているわけではありません。むしろ、ヤフーならではのデータマーケティングの特徴はデータ量だけではなく、データ活用における柔軟性の高さにあると考えています。
ヤフーは国内カンパニーであることから、エンジニアや企画職、各分野のエキスパートが物理的にも心理的にも皆が近い距離で働いています。
加えて社員の裁量も大きいので、職種やサービスを横断した連携が至る所で生まれています。
仮に要件を満たすデータが存在しないとしても、社員のアイデアやクライアントニーズに合わせて社内で連携しながら、データを調達したり作ったり加工したりといったアプローチが取れます。
クライアント目線でもヤフーには幅広い相談がしやすいという側面があると思います。

データのバリエーションの多彩さも、ヤフーの特徴ですね。検索データからeコマースの購買データまで、実に幅広い。最近はPayPayの実績が伸びているので、オンラインショッピングだけでなく、リアル店舗での購買データも活用できるようになりました。これはほかのプラットフォーマーにはない強みです。
私たちは日本人を一番知っている会社になることで、デジタルマーケティングにおいても一番相談されるようなプラットフォーマーでありたいと常に考えています。


技術の観点でも、40~50人ものアナリストが集まる分析主務の専門部署を作っている事業会社は珍しいですね。アナリストは得意領域が人それぞれ違いますが、一つの部署に集まることで、自分ができなくても隣の席の人ができることがある。そういった交流によって培われた、組織としての分析力は業界トップクラスだと自負しています。

ヤフーのマーケティングデータの約9割はトランザクションデータですが、これを時系列で分析できる環境が構築されています。このバリエーション豊富な大量のデータをほとんど事故もなく日常的にさばき、保存できるデータインフラがあることも私たちの強みです。
データ分析のフロント部分では、堀江さんの部署が作ってくれるツールや環境があるので、私たちコンサルタントも簡単にデータを分析することができます。
データ分析はAIの活用も重要ですが、すべてをAIに任せることはできない。それ以前に、人の手でしっかりデータを可視化して、そこからさまざまなインサイトを得ることが、コンサルタントという仕事において重要だったりしますね。

ブランドの認知度や好感度をインターネット上で表現する試み

クライアント企業からの案件を受けた場合、どのような業務フローで進めていますか。

まずは営業が、日常的にクライアントとコミュニケーションをしながら、ご相談に対応しています。なかには営業だけで完結する依頼案件や相談もありますが、必要に応じて、私たちコンサルタントやアナリストがアサインされます。とはいえ、営業部とは密接に連携取っていますので、自動車会社様の例では、新車のリリースやマイナーチェンジ時は必ずアサインされています。
例えば、半年後に新車がローンチするので、そのマーケティングプランの立案を手伝ってほしいという依頼。それを受けて、コンサルタントはまずその新車がどういう層を狙っているのか、競合はどうかなど、ヤフーのデータで見える状況を分析し、クライアントと一緒に仮説を立て始めるわけです。
課題のヒアリングをした後に、コンサルタントのみで対応ができそうなプロジェクトなのか、アナリストが必要になるプロジェクトなのか、結論を出します。分析の手法がいままでとそれほど変わらないようであればコンサルタントだけで解決しますが、より難しい案件はすぐインテリジェンス部と一緒に動くようにしています。

広告代理店とのデータ協業も注力しています。クライアントのマーケティングゴールを達成するために、広告代理店とも一緒にプロジェクト化し、日々連携しています。
提案の方向性を決めていく作業がコンサルタントとして最も重要です。最終的な提案活動は営業が行うのですが、彼らがプレゼンする際の提案骨子を作ることが、コンサルタントの一番重要なタスクです。


インターネット広告が誕生したのは、1996年くらいのことですが、そこから一気に市場が急成長してきました。
この急成長は、誰が何回広告を見て、クリックし、購入したかなど、広告効果の分かりやすさが起因していたと思います。
逆に言えば、購入という分かりやすい指標がなければこの「分かりやすさ」はないわけですが、近年また新しい局面に入っているように思います。
ブランドの認知度や好意度などをインターネットのデータで取得することが難しかった指標を、データを活用して表現する動きがこの5~6年で一気に強まってきました。
例えば、検索データ一つとっても、単に何回検索されて何回購入されたかではなく、検索されたキーワードの順序を分析することで、最初に想起されたブランド、興味を持たれたブランド、途中で検討から外れたブランドを表現できるようになりました。
この分析手法は、市場シェアを拡大させたいというクライアントの課題に向き合い、クライアントと一緒に研究を重ねる事で生まれてきました。
私たちはそれを「Yahoo! JAPAN 第一想起分析」と名付け、ほかの企業も利用できるようにソリューション化しています。このように、課題解決から生まれた知見を、一つの「型」にして、汎用的なものに仕立てるのも、データアナリストの重要な任務です。

課題解決から生まれた知見を、一つの「型」にして汎用化する

ヤフーにはさまざまな広告プロダクトがありますが、広告に関する提案も行うのですか。

広告の話ももちろんしますが、俗にいうセールスは行いません。あくまでクライアントのマーケティングゴールに対して、最適なプランをご提示させていただくことに重きをおいています。

アナリストの役割はクライアントの課題にミートした広告の効果を数字で証明すること。また、広告効果が良くても悪くてもその理由や考察を説明できることが重要だと考えています。

私たちがクライアントにマーケティング効果を提案するときは、効果検証をどういう角度でやっていくのかも含まれています。何を分析、効果検証したらいいか明確でない提案書では、クライアントもアナリストが困ってしまいますから。

アナリストとコンサルタントの連携が重要。効果検証を次の提案につなげる

クライアントの課題は、ときに複雑であるケースもあります。例えば、ターゲットが「富裕層」の場合、どんな富裕層なのか、その人たちにどんなブランドイメージを植え付けたいのかなどを考えなければならない場合があります。

広告効果を分析する切り口はいろいろあるので、なかには空振りすることもあります。最近興味深かったのが、富裕層にアプローチして、高単価の商品を販売したい企業から、ヤフーのデータから富裕層を見つけて広告を配信したいという課題をいただきました。そこで論点になったのが、「富裕層」をどう定義するかという問題です。
単純にユーザーデータから得られる年収データを活用する方法もありますし、Yahoo!ショッピングの購買データから富裕層を絞りこむなどして、ユーザーにアプローチするという方法もあります。
さまざまなアプローチがあるなかで、どれが最適解かを見極めるのが難しいポイントです。アナリストはある程度のボリュームのデータさえあれば、信頼性の高いモデルを作ることは得意です。一方で、クライアントの反応まではアナリストは想像しきれないことがある。
そこで、コンサルタントがレビューを行い、それを通じてアナリストが分析を進めていく。アナリストとコンサルタントの連携はとても重要です。

ほかにクライアントの課題を解決したことから、アイデアを型化した例はありますか。

ヤフーのデータを用いて、ユーザーがどんな携帯電話の機種・キャリアを使っているかを知りたいという相談がありました。これはあまり世の中にないデータなのです。いろいろなデータソースを収集し、処理してまとめ上げないと表現できない。
それをアナリストチームが、通信キャリアやPCの機種、ブラウザー、携帯端末がAndroidかiPhoneか、Androidなら型番やメーカーまで幅広いデータを集め、それをデータベースにすることに成功しました。
おかげで、そのクライアントだけでなく、iPhoneやAndroidの機種を限定したユーザーにアプローチしたいという他企業のニーズにも応えることができるようになりました。このデータベースは、広告効果分析や消費者理解のためのツールとして、いろいろな場面で活用されています。

▲データ活用における業務プロセス

見えなかったものを可視化し、データ活用の進化を価値に変えていく

この仕事で大きなやりがいを感じるのは、どんなときでしょうか。

ヤフーのデータに魅力を感じていただき、ヤフー広告の年間契約を結ぶことができたときはやはり達成感がありますね。ただ、それ以上にクライアントから日々気軽に相談いただけることが何よりうれしいです。特定のプラットフォーマーに相談する文化もこれまでなかったと思いますので。

データインテリジェンス部では、「マーケティングソリューションのデファクトスタンダードを作る」というビジョンを掲げています。個々の分析案件も大切ですが、それらを集合体にして一つのソリューションにまとめ、たくさんの人に使われているとわかったときの喜びはやはり得がたいものです。
私たちが開発したソリューションを、データマーケティングに関わる世の中のすべての人に使ってもらえている状態。それが理想ですね。

ヤフーにおける、データマーケティングのこれからの課題を教えてください。また、それを解決するためにどんな人材を求めていますか。

データ分析に必要な技術は比較的習得しやすいし、教えてもらえばすぐにできるようになります。しかし、クライアントの課題を聞いて、そこにフィットした提案をしっかり作っていくことがコンサルタント業務の主要部分です。
こればかりはどうしても本人の思考力がベースになるし、それを磨くための経験が不可欠です。いい経験を積んでもらうためにメンバーの影響力を高めていくことが必要で、そこが一番の課題ですね。

単にいいものを出せばいいという段階から、いまはそれらをより多くのクライアントに届けなければいけない段階に入っています。
データアナリストの知見を集め、ソリューションを量産していくことがこれからの課題。
そのためには要件定義がきちんとできていないと、スピードも出ないし、安全にデータを扱えなくなってくる。そのあたりが部門の課題であり、伸びしろでもあります。ビジネス部門との連携は当然のこととして、今後はエンジニアとアナリストの間に立ち、相互の言葉を翻訳できる人も必要になってきます。


これからもヤフーが扱うデータは増えていくし、オフラインの購買データや位置情報のデータなど、よりバリエーションも増えてきます。それらのデータを使って、クライアントにどんな価値を提案できるのか。
データ活用の進化をしっかり価値に変えてクライアントに届けたいという熱意が、この仕事を楽しむための条件だと思いますね。

異業界から人材を求めるとすれば、どんな人ですか。

規模や領域にかかわらず、マーケティング領域でクライアントの課題と向き合ってきたような方には非常にやりがいのある仕事だと思います。
コロナ禍の影響でインターネット広告市場は急伸しており、これまでご縁がなかったクライアントからの相談も増えてきています。ウィズコロナ時代に新しい事業を展開する企業もあり、そういったときにデータマーケティングは重要な役割を果たしていくと思います。


アナリストに技術力は必要ですが、いろいろな部門とのコミュニケーションが求められるので、技術とコミュニケーション能力をバランスよく保有している人が理想的です。

デジタルマーケティングに携わっている人たちに共通しているのは、デジタルによっていままで見えなかったことが可視化されること、いままで計測できなかったことができるようになることなどに楽しさを感じる点だと思っています。
デジタルマーケティングにはこうした本質があるので、今後も成長を続けていくはずです。不可視のものを、データを通して可視化したい、その先にあるクライアントやユーザーの心の高ぶりを感じたい、それがコンサルタント、アナリストを問わず、この仕事に関わる人の共通の思いではないでしょうか。


ヤフーがデータを活用してクライアントに提供しているサービスの価値をものすごく感じました! 本日はありがとうございました!


この記事を読んでマーケティングデータコンサルタントやマーケティングデータアナリストに興味を持っていただいた方は、ぜひ下記より本職種の詳細をご確認ください。

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