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2023.08.14

「忙しくて余裕がない…」自分と対話して心を落ち着かせるには? よい「対話」のヒント

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この連載では、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの有資格社員で活動している「YJぴあさぽ(※1)」が、よい「対話」のヒントをお伝えしています。
※1 YJぴあさぽ: 同僚を「ピア=仲間」ととらえ、キャリアや人間関係などに関する対話をすることで応援しています。

みーさん
グッドコンディション推進室で従業員の健康増進企画を担当。夫と高校生の娘の3人暮らし。
保有資格:産業カウンセラー(JAICO)、交流分析士インストラクター、国家資格公認心理師

7月は仕事がとても忙しく、プライベートでも心配事が多くて、なかなかこの記事を書き進めることができませんでした。やるべきことはなんとかやっているのに、心が落ち着かず、常に焦っているように感じていました。
そうすると当然、自己内対話も細切れにSNSでの短いやりとりをしているようで、じっくり問題に向き合って解決する時間を持てませんでした。

この記事を読んでくださっている方にも、このような経験がある方は多いのではないでしょうか。現代人は常に多くの情報にアクセスできますし、仕事でも家庭でもタスクを多く抱えている人も多いと思います。
調子が良いときは、パフォーマンス高くそれらをこなすことができていても、疲れていたり、何か歯車がくるうようなことがあったりすると、パフォーマンスが下がってしまい、気分も落ち込み気味になってしまいます。
また、自分に余裕がなければ他者とのコミュニケーションの質も悪くなってしまいがちです。自分では気づかないままに相手を責めてしまったり、傾聴ができなくなったりということも。

今回は、このような状況を解決するためのアイディアを共有します。このところ忙しかった、という方もぜひ読んでみてください!

脳内ツッコミが、優しくない

忙しくてもパフォーマンス高く仕事などができているときは、見通しがたっている状態です。このときに脳内から送られる応援メッセージをイメージしてみると、「今日はここまでこれをやればよい、この次はこれをやる、やり方はわかっている、このペースでいけば間に合う、よし、今日の分こなせた!」という感じです。
「今日の分」「目の前の作業」だけでなく「その先の見通し」や「これができた先のいいこと」まで視野が広がっているので、焦らず安心してタスクに集中できます。

では、焦ってばかりで、やってはいるのに落ち着かないときの脳内ツッコミはどうでしょう。
「急げ~」「間に合わないよ!」「次のタスクの準備はできている?」「会議が続いている…」「チャットの返事をしたら長くなってしまった」「メールの返事を書かないと」など、目の前のことを手当たり次第に次々と言ってくるようなイメージではないでしょうか?
これでは焦るばかりで、できることもできなくなってしまいます。そして、忙しいのに、現実逃避をしてスマホを見ながら、脳内ツッコミが自分を責め続ける…私もよくこういうことがあります。

マインドフルネスの講師によると、このように脳内がうるさい状態は、スマホのアプリがいくつも立ち上がっている状態のようなものなのだとか。このような状況を落ち着かせるため、マインドフルネスを行うことでひとつひとつのアプリを消していくことができると教えてもらいました。マインドフルネスは一人で取り組めるので、とても有効です。

忙しくても5分か10分、思い切ってこの「脳内ツッコミ」をカウンセラーになったつもりで楽な姿勢で目を軽く閉じ、時間を決めて傾聴してみましょう。
「忙しいのに目を閉じている場合じゃないかも」←「そう思っているんだね」
「マインドフルネスの効果がなかったらどうしよう」←「と不安に感じている」
「早く仕事を終わらせないと」←「時間に追われていると感じる」
「そう、時間に追われている」←「ほっとする時間はある?」
「トイレの中でも仕事のことを考えている」←「それは大変」
「焦ってばかりで嫌になっちゃうな」←「焦っていることが嫌だと思う」
「焦っていないで集中しろと思う」←「焦らないで集中したい」
「でも焦っている」←「焦っているんだね」
「焦っているなぁ」

このようにやりとりしてみたら、脳内ツッコミが大人しくなってくれたでしょうか。
少なくとも「焦っているんだなぁ」ということはかなり明らかになりました。脳内で主張しているうちの、「焦っている!」と主張している人は、やっと伝わったのでひとまず落ち着きます。

(写真はイメージです)

これを会議にたとえると、本筋から逸れる意見を何度も発言して、議論が進まない状況に似ています。そんなときには、ホワイトボードにその人の意見を書くことで、聞いてもらった、見えるところに書いてくれたと、納得してそれについて発言することがなくなります。
脳内ツッコミも同じように、放置していると、何度もしこく主張し続けてしまいます。そんな時は、思い切って脳内ツッコミをしっかり聴いてあげると静かになってくれます。

また、お子さんの宿題のサポートなどにも、この方法は役立ちます。やらなくてはと気持ちが焦っていると、焦っている気持ちで消耗して宿題が進まないということがあるので、焦っている気持ちを共有して受け止めてあげましょう。(疲れた~、やりたくない~、などもまずは受け止めてあげましょう)
宿題は本人がするしかないのですが、親が子どもの焦りを聴いてあげることで焦りや不安を解消する方が、親の精神衛生上も良いのではと思います。

心を柔軟に!他者の考え方に触れることで、自分がわかってくる

心のコンディションが悪いと自分で気づくためには、柔軟にいくつもの考え方を持っていることが重要です。「決して負けてはいけない」「完璧でなければならない」「弱音を吐いてはいけない」など、人はさまざまな信念をもっています。
それらは自分を鼓舞するためには役立つこともあると思いますが、調子が悪いときは、うまく働かなくなってしまいます。「信念」と書きましたが、これは単なる「考え方のクセ」とも言えます。自分を鼓舞したいときは「信念よ、我に力を!」と使ってもよいですし、ちょっと今は不調と感じたときは「いつものクセ、ちょっと休憩しておいて」と、使い分けてもいいかもしれませんね。

これまで、心理学のエッセンスをたとえ話も交えて紹介したり、お悩み相談に寄り添いながら答えたりすることで、少しでもみなさんの考え方の選択肢に取り入れてもらえたらと思いながら記事を書いてきました。

いろいろな客観的な事象や考え方に対し、「そういう考え方もあるのか」「でも、私はこう思う」と主観的に考え、新たに浮かんだ考えと壁打ちしながら、「自分」というものの理解が深まっていっていくからです。

また、自分以外の人がもついろいろな考え方に触れたときも、選択肢が並んでいると思うと、今の自分は選ばないけれど、そういう考え方の人もいるのだととらえることができます。

また、ポジティブに自分に取り入れたいと思える考え方についても、その背景も踏まえ、自分の経験や人生と照らしあわせて取り入れるなら、それは表面的なものではなく、自分の一部として生きてくるのではないかと思います。

それでも絶対はないということ、「かもしれない」を大事に

心理学や脳科学でもいろいろな研究が進んでいて、信頼度の高い理論が多く、そして私たちも、その学びにアクセスがしやすくなっているので、本当に素晴らしい時代だなと思います。
私もいろいろな学びを得て、自己理解や、人や社会への理解が深まったと感じています。
また、ぴあさぽとして、目の前の方の言葉を傾聴し、その方を理解する上で、学んだ理論はとても役立っているとも思います。理論があることで、仮説をたてることができ、起こっていることがわかることがあるからです。

それでも、絶対はないということをいつも思っています。あくまで、その人に寄り添うために理論を参考にするだけで、「今目の前にいるこの方は〇〇なのかもしれない」を大事にしています。

たとえば「パフォーマンス高く働かなければならない」「タスクを全てうまくこなさなければならない」という考えがその方の本当の課題ではないこともあります。そして対話や傾聴により、実際の課題に気がつけたら、それはその方にとって良い対話時間になったと言えます。それでも、たとえ「自分の気持ちに気づきました!」と言ってくれたとしても、それすらも「(気づいた)かもしれない」だと思うようにしています。

誰も決めつけられたくはないし、心も考え方も固定化しなくていい、自由度高く変化していい、そういう柔軟さが大事だと思います。

今回は、対話や心について、考える前提のような内容を紹介しました。これも選択肢のひとつ、「かもしれない」と受け止めていただき、みなさんの主観で感じて考えてみていただけたらうれしいです。

「ヤフーのぴあさぽ」として書かせていただくのは、今回で一区切りとなります。
2022年6月からスタートしたぴあさぽの記事を振り返りながら、これまでの考え方のベースとなるような記事にしてみました。
最後まで読んでくださってありがとうございました!

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