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企業情報

2023.06.23

「新しい環境でパフォーマンスが発揮できず、コミュニケーションにも自信がもてません…」よい「対話」のヒント実践編

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この連載では、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの有資格社員で活動している「YJぴあさぽ(※1)」が、よい「対話」のヒントをお伝えしています。
※1 YJぴあさぽ: 同僚を「ピア=仲間」ととらえ、キャリアや人間関係などに関する対話をすることで応援しています。

みーさん
グッドコンディション推進室で従業員の健康増進企画を担当。夫と高校生の娘の3人暮らし。
保有資格:産業カウンセラー(JAICO)、交流分析士インストラクター、国家資格公認心理師

A子さんのお悩み:
「新しい環境にまだ慣れず、想うようにパフォーマンスが発揮できていない気がします。周囲の人とのコミュニケーションにも自信がもてません…」

今回のA子さんのお悩みは、就職や、入学、転職などで多くの方が経験したことがありそうですね。また、部下や子どもがまだ緊張していそうと感じて、サポートしたいと思っている上司や親などの立場の方にとっても身近な悩みではないでしょうか。こんな悩みに、私ならどんな風にアプローチできるかなと考えてみました。

新しい環境でパフォーマンスを発揮できなくても「そりゃそうだよ」と受け止める

「新しい環境に慣れなくて、パフォーマンスが発揮できない」
「コミュニケーションにも自信がもてない」
こんな風に、新しい環境で「あれ? 思ったよりもできない…」と気づいて、あせってしまった経験はありませんか?

そんな気持ちになったら、まず「それはそうだよ」と受け止めましょう!

たとえば、プールで100メートル泳ぐのと、海で100メートル泳ぐのは全く違うように、環境によってパフォーマンスは変わってくるのは当然だと思うからです。

私が新卒だったころ、研修で仲良くなった同期が、プレゼン研修で「ウケなかった! 自分と一緒にいたら、あなたたちまでおもしろくないと思われるから一緒にいない方がいい…」とひどく落ち込んでしまったことがありました。
私は「プレゼン研修でおもしろく思われたい」とは思ってもなかったので、とてもびっくりしました。彼はきっと、自分を発揮できる環境なら「これはウケる」と自信があったのでしょう。

こんな風に、「プールだったから100メートル簡単に泳げた」、「地元の仲間だからよりウケた」などは、環境を変えないと気づきにくいものです。
そう考えてみると、新しい環境でパフォーマンス発揮できなくても、そりゃそうだよ! です。そしてそれは、これまでいた場所がいかに恵まれていて、自分にとって優しかったのか、そのありがたさに気づくチャンスでもあります。

環境に慣れるとは「情報」と「スキル」があること

次に、「環境に慣れる」ということについて考えてみましょう。これは「情報」と「スキル」があることだと思います。
たとえば、自宅から駅までの道のりは、多くの人が習熟しています。どこの信号で渡ればいいか、雨の日はどのルートで行けばぬれる距離が短くてすむか、この時間は人の流れはどうか…。それらの情報があるから、迷わず足を止めずに駅まで行けます。でも、引っ越したばかりで慣れないうちは、まだ情報がないので近道を使えないですよね。

この、「迷わない、すぐ使える」という状態が、その環境に慣れている状態なので、「慣れていない」のは、仕事で言えば、情報のある場所や使い方がわからないという状態。そして、間違わないために何度も確認するので、時間もかかります。
また、誰がこの情報を持っていて、どのように相談するとよいかわかっていることも仕事の「スキル」だと思います。それがまだないことが、新しい環境(ここでは職場)でコミュニケーションに自信がもてなくなる理由です。

ちなみに、片付けの極意として「しまう場所を決めておく」があります。モノの場所が決まっていると、片付けるときに「どこにしまうか」を都度考えないので早く片付くのです。
それと同じように、情報とその使い方が分からないと、毎回迷ってしまうので時間がかかります。
こんな風に「環境に慣れない」を整理して少し分解してみました。情報の場所を知り、使いこなすスキルを得ていくことで、「パフォーマンスを発揮できない」悩みは減っていくと思います。

わからないことを質問して、こういう風にすればよい、とスキルを得る。そして、まだ情報をもらっていないのであれば、調べたり聞いたりするしかないので、自信を失う必要はない、とお伝えしたいと思います。環境に慣れるために必要なことを得ていくことで、少しずつ、パフォーマンスを発揮できる環境を作っているわけです。
そう思えれば、まだ思うようにパフォーマンスを発揮していないと感じている方も少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。

また、上司の立場だったら、まだ慣れていない部下に、必要な情報やわからないことを誰に相談したらいいかをしっかり伝えているか、改めて確認してみるとよいかもしれません。そして、伝えた内容を理解しつかいこなせるようになった、定期的に確認できるとよいと思います。 親の立場であれば、まずは「慣れない環境で一つひとつ取り組んでいて、大変だと思うし、頑張っているよね」と伝えて応援できたらいいですね。そして、慣れない状況については情報面でサポートできるかもしれません。

(写真はイメージです)

新しい人間関係に慣れるためにも、情報が大事

新しい人間関係に慣れるためにも、その人がどんな人か、どういう受け答えをするとよいかなどの情報が大事です。相手に関する情報が少ないと、ちょっとした情報から、全体像を推測して判断してしまうことがあるからです。
お互いの情報が少ないときは、そうした不完全な判断をしがちな状況のため、その結果、コミュニケーションがうまくいっているのだろうか、という不安にもつながるのだと思います

相手もあなたの情報がまだ少なくて不安もあり遠慮しているだけということもあるので、自分が知っておいて欲しいと思う「自分のこと」を少しずつ伝えていくスモールステップが人間関係を構築していきます。
たとえば「この資料がよくまとまっていて分かりやすかったです」「先ほどの指示は意図が明確で助かりました」などを伝えるときに、「自分は、こういう資料を活用して対応できます」「自分は、先ほどのような、意図が明確な指示をしてもらえると作業しやすいです」という風に、自分のこととして伝えることもできます。このように情報を少しずつ交換しながら、人間関係はできていくのだと思います。

新しく人間関係を作っていく中では、自分がどういう関係性を築きたいのかについても考えてみてください。まずは仕事上の支障や不安がない程度に関係性が築けたらいいなど、「慣れた」とはどういう状態かを具体的に考えておくといいと思います。そうすることで、相手に合わせすぎてしまうことや、他の人と比べてまだ浅い関係性が気になってしまうことが少し防げるかもしれません。

これまでの自分を味方にして、「50%は慣れている」と感じるように課題設定してみる

新しい環境で能力が発揮できないと感じるときは、本来の自分について考えてみたり、「何がうまくいっていないのか」「新しい環境で目指していること」などを言語化してみたりすることもおすすめです。
また、新しい環境に慣れてある程度予想通りに進むとラクになるように感じますが、言い換えれば、変化がなく退屈で成長の機会に乏しいという面もあります。
新しい環境、人間関係の中に入っていくことは大変ですが、成長のチャンスでもあります。
ただ、今回のA子さんのお悩みのように、ちょっと元気がなくなってしまうこともあるので、そうした場面の乗り越え方を少し紹介します。

それは、新しい環境でも、本来の自分の得意なことや経験済のことにチャレンジする方法です。たとえば、「50%は慣れていて、50%は慣れていない」と感じることなら、50%はある程度自信をもってできる要素があり、「できそう」と感じられるのでやる気も出やすくなります。

これは私の経験ですが、小学校のPTAの役割を決める必要があり、講演会の運営を担当したことがありました。PTAで役割を担当するのが初めてで不安でしたが、仕事上で社外講師をアテンドしてセミナーを運営した経験があったので、立候補しました。 先生とのやりとりや保護者へのプリント配布など、初めてのことも多く大変でしたが、「講師を呼びアテンドする」部分については、これまでの経験から勝手がわかっていたので、ストレスなく対応できました。仕事上で経験してきたことを社外でもアレンジできた、という実績になったと思います。

こんな風に「自分が50%はできそう」と感じたことからチャレンジする方法は、仕事や勉強、ダイエットや片付けなどにも有効なのでおすすめです。
この方法は「自分の力を最大限に発揮する!脳のトリセツ」に詳しく紹介されていますので、興味がある方は読んでみてくださいね。
自分の力を最大限に発揮する!脳のトリセツ

うまくいかないときは、システム(仕組み)に目を向けてみる

新しい環境になかなか慣れないのは、自分の性格のせい、または職場のせい…? と思っている方はいませんか? そんなときは、「なかなか慣れないのは、システムや仕組みのせいかもしれない」と、違う見方をしてみましょう。

たとえば、リモートワーク中心で、リアルで会ったことはない、そして週に1度の会議でも画面はオフの環境。このように他の人の働きぶりがわからない環境で人間関係を深めていきたいと思ったら、どんな方法があるでしょうか? 少し時間がかかるのではないでしょうか。
もちろん、リモートワーク中心の働き方でも、グループチャットが活発だったり、業務で密にやりとりされたりすることで、自然に人間関係ができることはあると思います。
ただ、そううまくいかないことも多いですよね。だからこそ、新年度になると新卒研修や新入学キャンプなどのレクリエーションが行われるのではないでしょうか。

今の働き方の仕組み上、環境に慣れるのに時間がかかりそうだな、という見方をすれば、仕組みを変える方向にアイデアが浮かびます。人とのやりとりをする仕組みとして、業務に関係しそうなニュースをシェアする、新しい役割に立候補する、会社が企画するイベントに参加する、などできることはあると思います。
上司の方も、仕組み上で不足していることはないだろうか? という見方で、サポートを考えてみてください。もしも、用がないとチーム内でのコミュニケーションが発生しないという状況ならば、仕組みが少し足りていないのかもしれません。

ヤフーでは、上司との定期的な1on1や、毎日の業務報告、チームごとのグループチャットを活用するなど、リモートワークでもパフォーマンス高く働く仕組みがいくつも考えられています。コーポレートブログの記事にもあるのでぜひ参考にしてみてください。
リモートワークに必要なマインドとは ヤフーの回遊部(1)

リモートワークの働き方で人間関係を深めていくのは難しいことも?(写真はイメージです)

新しい環境にはそのうち慣れていくもの、コミュニケーション力や常識力は大人になるにつれて身につくもの、と思われがちですが、実際は、今回ご紹介したように少しずつ段階を踏んでいくのだと思います。
新しい環境で悩んでいらっしゃる方も、これまでの自分の経験や本来の良さを生かすことで、きっと活躍できると信じています。少しでも参考になることがあればうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

「対話」「コミュニケーション」のヒントになる本

相互理解や行動変容を促す「創造的コミュニケーション」としての対話の重要性を学ぶ

この本は、精神科医である著者が今までの経験の中で有効と感じたえりすぐりの対話技術のエッセンスが、アプローチ別に紹介されています。
対話による「安全性を高める」「新たな視点を得る」ことが人の心にあらゆる可能性をもたらすことが実感できます。対話技術として、さまざまなパターンの質問の投げかけや状況に応じた考え方も学びになりますが、自分のことを当てはめて読むことで、自分との対話にもなったと感じます。

「対話」は単なるスキルではなく、その根源にあるのは人とのつながりや相手を大切に思い、その人に潜在している力を引き出すことだとあらためて実感し、誰かと対話したくなりました。(くみこ:ソフトバンク)

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