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2023.06.27

【風と私】ランナー山﨑由貴さん「走ることで母でも妻でもない自分になれる」

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仕事・家事・育児の合間に、ランニング、トレイルランニング、ロードバイクを楽しんでいる山﨑由貴さんは、3人の女の子のお母さんでもあります。
山﨑さんが取り組んでいる種目は、どれも「風」に影響されやすい競技ですが、どのように風と向き合いながら走ることを楽しんでいるのでしょうか? 風と走ることの関係、走るための時間=自分の時間を持つために心がけていることなどをうかがいました。

山﨑 由貴(やまざき ゆき)さん
アクティブインフルエンサー。ランニング歴は8年目。フルマラソンを8回完走(自己ベスト3:44:20)、ウルトラマラソンに(※)3回出場。50km以上のウルトラトレイル4回。ロードバイク歴は3年目。
※ウルトラマラソン:
42.195kmを超える道のりを走るマラソンのこと。100kmなど一定の距離を走るもの(距離走)と、24時間走のように一定の時間を走り距離を競うもの(時間走)がある

【好きな風】
・山の稜線(りょうせん:山の尾根)を吹き抜ける冷たい風
・春の訪れを告げる、春一番

走ることで「自分を大切にできる時間」を得られた

山﨑さんはあまり運動がお好きではなかったそうですが、今のように走るようになったきっかけを教えてください。

ランニングを始めたのは8年くらい前、2人目の出産後に体調をくずしてしまい、治療に耐えられる体力をつけたいと思ったことがきっかけです。まだ小さな子どもがいてなかなか習い事には行けなかったので、まずは自宅の周りを少し歩いたり走ったりするところから始めました。
そのときはまだ、「健康になりたい」というポジティブな意識ではなく、ネガティブな感情のほうが大きかったですね。「このまま体調が悪いままだったら、どこにも行けない…」という、切羽詰まった気持ちでした。

さらに、ワンオペ育児のストレスもたまっていて、とにかく1人になりたいという気持ちがあったので、子どもを寝かしつけてから、靴を履いて1人で外に出るだけで救われたような気がしました。
まだ遠くに出かけることはできませんでしたが、「30分でも20分でも、私は1人になれるんだ」と感じました。そうやって、自分の体調がよくないことや子育てや家事に追われて時間がないことなどへのネガティブな感情を、少しずつポジティブに変えていく時間を持ったことで、自分を大切にできたような気がしたのです。

ランニングを続けるうちに、少しずつ睡眠や冷え性が改善され、体調も回復していきました。そして、「ランニングが楽しい」「ランニングで元気になれる」と実感し、走ることがもっと楽しくなりました。できるだけ早く家事を終わらせたり、子どもを夫や友人にお願いをしたり、先に寝かせるようにしたりなど、走る時間を確保するためにいろいろ工夫もしました。ランニングが日々の習慣になるまで、半年もかからなかったと思います。

今は週3、4日、10キロ前後走っています。それに加えて、月に2、3回は20キロ以上を走るようにしています。私にとって走ることは生活の一部であり、そして健康を維持するための習慣で、毎日の朝ご飯を食べるような感覚です。

トレイルランニングが、走るための土台作りに

お子さんがいらっしゃる中、ご自宅の周囲などではなく山を走るトレイルランニングに挑戦するのは大変だったのではないでしょうか?

3人目を出産してからも、子育てをしながらランニングやマラソンに取り組んでいたのですが、そのころ夫がトレイルランニングを始めて、土日に山へ行くので不在の週末が多くなりました。その間、私は家で子育てをするため走りに行けなくなってしまい、正直ちょっとムカついていました…!

その当時は長崎に住んでいたのですが、ある日、夫から「子どもをおんぶして連れて行くから、家族で山に行こう」と誘われて雲仙普賢岳に行きました。準備が大変で時間が取られる、まだ小さい子どもを連れた移動はハードなどの理由で、行くまではあまり気が進みませんでした。でも、夫は無邪気に「楽しいでしょう、きれいでしょう」と楽しんでいて(笑)。行ってみたら、確かにとても楽しかったんです。

さらに、不整地である山を登ることでハムストリングやお尻も鍛えられるので、ランニングのパフォーマンスを上げるためにもトレイルランニングは有効だなと感じ、クロストレーニング(1つの種目にとらわれず、複数の運動を行うこと)としてトレイルランニングにも取り組むようになりました。

ちょうど、「1分1秒でも速く走りたい」という気持ちより、ゆっくり長く走ることが楽しくなっている時期でもありました。ランニングでは1カ月に300キロくらい走るようになっていたんですね。とにかく走ろう走ろうとしていて、スピード練習やフォームチェックなどもせず、がむしゃらに走っていたので、疲労だけがたまっている状態でした。それだけ走っても記録が伸びることもなく、停滞を感じていたので、山を走ることで、今まで使っていない筋肉も使えるようになることが純粋に楽しかったです。

また、ランニングは家を出るだけでスタートできますが、トレイルランニングの8割は準備が占めていて、気象条件の確認やコース設定を前夜までに準備することから始まります。たとえば「家に何時までには帰る必要があるので、何時から登り始める必要がある」など、山登りはスタートするまでの時間さえもパフォーマンスに関わってくるところにも、おもしろさを感じました。

ただ、私は思い立ったらすぐ行きたい! と思い、手ぶらで出かけてしまうタイプです。そのため、「明日は長い距離を走るから今夜はしっかりビタミンとたんぱく質を取って、よく寝ておこう」など、事前にしっかり準備することが必要なトレイルランニングは、私の性格を改善するための訓練にもなっているような気がします。

まだ子育てが忙しい時期だったので、山に行く準備をし、山を走って帰ってきて、幼稚園のお迎えに間に合った時の達成感は、ランニング以上でした。「明日はお母さん、山に行きたいから延長保育してもいい?」と、子どもにお願いして1時間の延長保育をすることで、2~3キロ走る距離を延ばせる、など計画を立てていました。時間通りに山から戻り子どもを迎えに行って、夕飯の支度まで予定通りできたところまでが、トレイルランニングの楽しさだと感じています。

ランニング・トレイルランニング・ロードバイクと風の関係

山﨑さんが走る(ランニング、トレイルランニング、ロードバイク)とき、向かい風や追い風など、風はどう影響しますか?

基本的には「走りたい」と思ったときに走っていますが、外を見て今日は風が強いと思ったらあまり無理はしません。私は痩せ型であまりパワーもないので、LSD(Long Slow Distanceの略。長い距離をゆっくり走ること)など、タイムを記録しない練習に切り替えます。

昔はタイムをかなり意識していたので、風があっても「今日は絶対5分半で10キロ走る」などと、意固地になっていたこともありました。でも、どんなコースでも、行きか帰りのどちらかは向かい風ですよね。それでも、風が強い日は「風のせいで目標通りに走れなかった」と落ち込みがちでした。
最近は、記録を更新するより「こうやって走っている生活を60歳になっても維持したい」という考えに変わったので、風が強い日は迷わず練習内容を変えています。

ロードバイクで乗っている自転車はホイール(タイヤ)が太いので、風を真っすぐ切り抜いていく空気抵抗は優位な作りになっています。でも、横から風を受けた場合はかなり危険になります。峠や左右に何もない場所、大型トラックが幹線道路などで横を通り抜けたときの突風にあおられたりすることもあるので、気をつける必要があります。

また、春一番が吹く季節には、お天気は良くても午後から強い風が吹き、横滑りして側溝に落ちてしまったり、落車につながったりすることも。風が強い時季には基本的に海側へ行かないようにする、風の影響を受けにくい山の中や峠道を走るなどの工夫が必要です。
ロードバイクでは、走っているときのパワーをサイクルコンピューターでリアルタイムに見ることが可能です。向かい風を受けているときも同じパワーを維持できているから走力は落としていない、ということが数値で見えるので、向かい風もトレーニングの一部としてポジティブに捉えています。

逆に、今日は風がほとんどない、という日は(陸上競技場の)トラックまで行ってスピード練習することもあります。やはり追い風のときは、ランニングでもロードバイクでも走りやすいです。特に、ロードバイクは自分の体重を機材で支えているので、追い風に押されて出したことのない速度域が出ることもあって気持ちがいいですね。

今住んでいる神奈川県は東西に長く、少し湾曲している地形なので、「朝は向かい風で小田原まで行ったのに、どうして帰りも向かい風になるのだろう?」と思う日があります。「今日は南風だから帰りは追い風だね」「帰りは追い風に乗って超高速で帰れるね」などと、仲間とも風について話しながら走っています。

トレイルランニングのために山に行くようになったことで、「今日は午後から風が出てきそう」などとなんとなく感じられるようにもなりました。
「このサイクリングロードは今の時季は南風」「冬は北風が吹くから横へ走ろう」など、これまでの経験とその日の朝に感じたことから走る計画をたてることもあります。山で感じた雲の流れ方や風の吹き方など、天候の変化に合わせて行動を決めることも、楽しみのひとつです。

母でも妻でもない自分の時間を持つことは、家族にとっても大事なこと

山﨑さんのように、自分のための時間も大切にしたいと思っている方へのメッセージをお願いします。

走り始めたときはまだ、走りに行くことは自分だけの喜びだと思っていたので、子どものコンディションがいいときに預かり保育をお願いして、限られた時間の中で走っていました。そうすることで、「自分の時間」を作る罪悪感をなくしたいと考えたからです。
そのときの経験をもとにみなさんにお伝えしたいのは、もしやりたいことがあったら「自分が好きなことをする時間を作るために(周りの人に迷惑をかけて)申し訳ない」という罪悪感や「人に嫌われたくない」という気持ちは捨ててほしい、ということです。

育児や家族のサポート、仕事などで日々忙しくても、「自分がやりたいことを少しの時間でもいいからやる」ことを積み重ねていくことは、必ず自信になっていくと思います。そして、続けることで少しずつ、周囲の人からも自然と理解してもらえるようになるはずです。

無理をしてしまうと続けることが難しいので、最初は1日のうち15分、30分など、少しでもいいと思います。まだ小さいお子さんがいらっしゃる方が何か自分のための時間を持とうとしたとき、最初は摩擦もあるかもしれませんし、周囲からの声で傷つくこともあると思います。でも、好きなことをすることに誰かに許可をもらう必要はないはずで、最初は自分だけがわかっていればいいと思います。

「私はお母さんだから」「私は奧さんだから」と思っていると時々、人のためだけに生きているような感覚になってしまうことがあります。でも、自分のことも同じくらい大事に思えていなかったら、人のことも大事には思えないのではないでしょうか。
いつか子どもは大きくなりますし、夫も私がいなくてもできることがたくさんあるはずです。人を大事にすることを優先した結果、自分のことがないがしろになってしまったら、あとで絶対に後悔すると思います。

私は、走ることで自分の時間を持ち、自分を大切にできました。そして、「私が元気で明るくいれば家庭もうまく回るはず。お母さんでもない、奧さんでもない自分の時間を持つことは決して自分のためだけではない、家族にとっても大事なことだから後ろめたく感じる必要はない」と、少しずつ思えるようになりました。

子どもにも「今日はこれくらい走ったよ、楽しかったよ」「今度この大会に出るから頑張るよ」などと伝えています。これからも私が楽しんで走っている姿を見てもらいたいですね。
今年は3年ぶりにフルマラソンに復帰する予定です。今取り組んでいるランニングやロードバイクのパフォーマンス向上と筋力不足の改善を目的にしたインナーマッスルの強化の一環として、新たにピラティスも始めました。

私を支えてくれた子どもたちや夫に老後迷惑をかけないように健康を維持していたい、最後まで自身の足で歩いていたいので、60歳になってもフルマラソンで4時間を切れるような体をつくっていくのが今の目標です。

Yahoo!天気アプリの「風レーダー」

最大72時間先まで世界中の風速と風向の予報が、流れる線のアニメーションで視覚的にわかります。また、選択地点の風速と風向の推移をグラフとテキストで「非常に強い風」「猛烈な風」など、いつ風が強まるのか、どの方角にどの程度の風が吹くのかを一目で確認できます。
風の影響を受けやすいスポーツやレジャーをする際などにもぜひご利用ください。

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