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2023.06.29

【風と私】「心にゆとりを持つことが何より大事」 プロキャンパー・森風美さんが語るキャンプの楽しみ方

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梅雨が明けると、本格的な夏とともに、キャンプシーズンがやってきます。今年こそは、ご家族でアウトドアを楽しみたいと考えている方、あるいは、はやりのソロキャンプを計画している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、プロのキャンパーとして活動する森風美さんに、風に対処する方法のほか、キャンプの魅力、楽しみ方などをうかがいました。

森 風美(もり ふうみ)さん
プロキャンパー。1994年、千葉生まれ、神奈川育ち。慶應義塾大学在学中からキャンプに夢中になり、4年生時にWEBメディア「なちゅガール」編集長に就任。車中泊やキャンプ、釣りなど、誰でも楽しめるアウトドアスタイルを発信中。著書に「はじめよう!ソロキャンプ」(山と渓谷社)

風を感じる好きなシチュエーションは?
5月ぐらいに吹く、そよ風が一番好きです。ハンモックに揺られているときに、ふわっと吹いた風に土の匂いや草の匂いも少し混ざっていて「これから暖かくなってアウトドアシーズンだな」と感じます。
ハンモックを楽しむときは、設営の準備などが一段落してのリラックスタイムでもあります。キャンプでは、テントで過ごしているときも楽しいのですが、ハンモックに揺られているときは、特にリラックスでき、自然と一体化している感覚が一番強くなるような気がします。

雨でもキャンプはできるが、風が強すぎると困難 実は風の対応が一番重要

キャンプや釣りでは、風に対してどのような対策をしているのでしょうか?

キャンプで使用するテントや日差しや雨を防ぐためのタープは、基本的に風に強いわけではないので、出かける前に風の強さに問題がないかをチェックします。
テントを張るとき、テントの入り口の向きを風下側に向けると中に風が吹き込まず、飛ばされにくくなります。本当は景色を優先したいところですが、風が強い日は風下側に入り口を向けます。
キャンプ前には、降水確率のほか、風の強さはもちろん、風の向きをチェックします。雨でもキャンプはできますが、風が強すぎると難しいので、実は一番重要と言えるかもしれません。
山のふもとで遮るものが何もなく、強風が山から下りてくるような場所もありますし、山の天気は変わりやすいので、こまめに天気予報を確認しています。

また、たき火やバーベキューのときは、風が強すぎると火が大きく高くなりすぎて、火の粉が舞ってテントに穴を開けることもありますし、草木に延焼してしまうおそれもあります。
そのため、風が強い日はまず、中止や延期に加え、火を使わずに実施する選択肢も考えます。風対策できるアイテムもあるので、そういったものを使用するのも良いと思います。
風で服に火の粉が飛ぶのは日常茶飯事なので、難燃素材のジャケットを着用し、ダウンの服は避けるなど、服装にも注意が必要です。

個人的には、風速3メートルを超えると「たき火はやめた方が良い」と感じます。また、テントをガイロープ(テントロープ)という補助ロープでしっかりとめるなど、より慎重に行う必要もでてきます。風速5メートルを超える場合は、キャンプ自体もちょっと危うくなることも…。
ちなみに風速2メートル以上になると、蚊などの虫が風に飛ばされていなくなる感覚もあります。
強すぎなければ、風が吹いているほうが特に夏は涼しく過ごせますし、無風の状態よりも風がある程度吹いているほうが、たき火もおこしやすくなります。たとえば、風上側に着火剤を置いて、その下側にまきを置いて火を付けると風の力で燃え移るので、風の流れを確認して活用する方法もあります。

かわいいテントに一目ぼれして、おままごと感覚でソロキャンプをスタート

森さんは、どのような経緯でキャンプにのめり込んでいったのでしょうか?

もともと家族がアウトドア好きで、幼いころから、キャンプに行ったり、釣りに行ったりしていました。自分の中で一番古い記憶が、河口湖で釣りをしている母を見ながら富士山の絵を描いていたことです。年齢イコールキャンプ歴です。

大学2年生のとき、雑誌でキノコ柄の小さなかわいいテントを見つけて調べてみたことをきっかけに「ソロキャンプ」を知りました。
そこで興味を持ち、周りにやっている子もいなかったので、「じゃあやってみよう」という感じです。一目ぼれしたキノコ柄のテントを買って、当時は車の免許もなかったので、キャリーバッグにキャンプ道具一式を入れて近場のキャンプ場に行きました。
自然の中で過ごす楽しさは知っていたので、テントの周りを飾り付けたり、一人分のキャンプご飯を作ったりするのが楽しくて、おままごとをしているような感じでのめり込んでいきました。

だんだんソロキャンプに慣れてきて、船に乗って伊豆大島に行ったり、飛行機に乗って石垣島に行ったり、徐々に活動するエリアも広げていきました。最近は設備がそろっていることより、森の雰囲気やハンモックの可否などの観点で選んでいます。

今では、仕事とプライベートを合わせると年間100日間はキャンプ場にいます。コロナ禍以降、ロックダウンの3カ月間は、自宅で過ごしていましたが、その後はむしろ、3密になりにくいアウトドアは新型コロナウイルスの影響を受けづらかったため、キャンプのニーズが増えて仕事としては追い風でした。

キャンプは、心にゆとりを持って楽しむことが大事

初心者の場合、キャンプはどんな意識で参加するとより楽しめますか?

キャンプは、一般的に「テントを建てて、料理しなきゃ」「これも、あれもやらなきゃ」など、やることが多いと思っている方も多いかもしれません。ですが、たとえば、キャンプ場の許可を得てデリバリーサービスを活用したり、カフェのテイクアウトやコンビニエンスストアのお弁当、カップ麺を食べたりするだけでも楽しめると個人的には思います。最初はあまりハードルを上げずに、まずは自分のしたいことをやってみてください。
楽しむ余裕がないと疲れてしまいますし、冷静な判断ができなくなるときもあるので、その結果、事故につながりかねません。心にゆとりを持つことが何より大事です。
初心者の方は、空模様が微妙かなと思ったら、コテージ泊にしてしまってもいいと思います。

釣りキャンプにしても、どうしてもコンテンツが盛り沢山になってしまうため、1泊2日なら、1日目チェックイン前の午前中、2泊3日なら中日を使うなど、スケジュールに余裕を持たせましょう。少ない道具で、小さな魚をねらう「ちょい釣り」もおすすめです。釣りをとことん楽しむのであれば、コテージ泊にしてしまう方法もあります。ただ、万が一釣れなかった時に備えて、レトルトなど予備の食事は忘れずに。

私は2019年に軽バン(ワンボックスカー)を購入し、少しずつDIYをしながら車中泊車に改造中です。この軽バンのおかげでアウトドアライフが快適になりました。ちなみに、愛称は「なまけもの号」です。気候はもちろん、気分、状況に応じてスタイルを変えて楽しむ人が増えている印象です。

キャンプは直訳すると「野外で生活する」という意味です。さらに言うと「野外で」普段していること、読書でも、睡眠、食事、なんでもそうですが、生活の一部を切り取って外で楽しむ遊びだと思います。

外で食べるだけで、なんだか気持ちいいし、いつも以上においしく感じたことはありませんか? 普段と異なる環境で、使いやすいキッチンでもなく、火がおきないこともある中で、苦労を乗りこえて食べるご飯だから、よりおいしく感じるのではないでしょうか。

ソロキャンプは自分だけの秘密基地をつくる感覚で、何もかも気軽に楽しめる

ソロキャンプの魅力、自然の中で過ごす楽しさは?

ソロキャンプでは、自分だけの秘密基地をつくれる感覚が気に入っています。「これを使いたい」と思ったアイテムをピックアップして、料理も好きに決めて、自分だけを満足させることができればいいので、「今日は実験料理だな」と思ったら、たとえ失敗しても楽しめます。
大人数で行くキャンプも宴会のようで楽しいですが、1人で行くキャンプは1人カラオケのように、みんなの盛り上がりを気にすることもなく、ただ自分が歌いたい曲を入れる感覚で、楽しんでほしいです。

キャンプに行って、仕事をするときもあれば、ハンモックで寝るときもあるし、「今日は料理作るぞ」と、料理を頑張るときもあります。その日の気分でなんでも決められ、自分のスケジュールだけで動けるのが良い点です。「今日行きたい」と思い立って行けますし、「天気が悪そうだからやめておこう」という判断も気軽にできる自由度の高さがソロキャンプの魅力です。

自然の中に行くと「思ったよりも風が強いな」「草木が揺れる音がうるさいな」など、都会にいるときとは違う不安を感じることもあるかもしれません。
「空が広いっていいな」「木が青いな」など、自然環境や、季節の変化にも気づけますし、非日常を味わうことで、リフレッシュもできます。
キャンプ場は「ある程度手入れされた遊べる自然」なので、とても楽しい環境だと思います。

キャンプをしていて良かったと思うことは、「自分一人でもこれだけ生活できる」と自信がついたことです。
たとえば、家の中でご飯を作るのは普通ですが、「このキャンプの環境でこんなにおいしいご飯が作れて。すごい!」「たった一人でテントを建てて、寝られた。すごい!」など「意外と自分ってできるんだ」と感じることがあります。
普段の日常生活では何でもないことがキャンプでは大変なので、それができた達成感を味わえることも楽しいことがキャンプの醍醐味(だいごみ)かもしれません。

理想のキャンプ場は、きっと永遠に完成することはない

いつか、キャンプ場を作りたいそうですね。森さんにとって、理想のキャンプ場はどんなところですか?

実は、理想のキャンプ場作りに着手し始めたところです。実家の引っ越しで余る土地が出てきたので、キャンプスペースを作ってみようと思い、いろいろと構想しながら、まずは土地を整備するところから始めています。

また、私のノウハウを生かせるとしたら、ある程度設備が整っているキャンプ場になると思います。初めてのキャンプで不安がある人や、プラスアルファのアクティビティを楽しみたい人に寄り添えるキャンプ場にしたいですね。
たとえば、ハーブの畑があり「自由に料理に使っていいですよ」、私がこれまで集めているキャンプ道具がたくさんあるので、自由に使ってもらうレンタルサービスも考えています。
もちろん、お気に入りのハンモックが楽しめるようにしたいですし、雨風が強いときには避難できる小屋も作りたいです。最近は、サウナにもはまっているので、サウナ小屋も建てたい…などと夢見ています。

「理想のキャンプ場」は、きっと完全な形になることはないと思うので、ある程度の設備、トイレなどが整って「人にもう貸しても大丈夫」と思ったらスタートするかもしれません。
今は女子ソロキャンプ(犬連れキャンプ)をメインテーマに情報発信していますが、いつか家族や子連れキャンプ、おばあちゃんキャンプなど、その時々違った気づきや遊び方がうまれるような気がしています。自分のライフスタイルに合わせてアウトドアの楽しさを発信することで、多くの方に、より長く、自由な外遊びの楽しさを知ってもらえたらと思っています 。

Yahoo!天気アプリの「風レーダー」

最大72時間先まで世界中の風速と風向の予報が、流れる線のアニメーションで視覚的にわかります。また、選択地点の風速と風向の推移をグラフとテキストで「非常に強い風」「猛烈な風」など、いつ風が強まるのか、どの方角にどの程度の風が吹くのかを一目で確認できます。
風の影響を受けやすいスポーツやレジャーをする際などにもぜひご利用ください。

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