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2023.06.20

【風と私】「身長190センチは向かい風」 タレントのリンドウさんが直面した「人生の逆風」とは?

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みなさんには、好きな風、あるいは、苦手な風がありますか?
夏だけで見ても、青嵐、海風、南風など、いろんな風の種類があります。一方で、人生にも追い風や向かい風などが吹くかもしれません。
今回は、「人生の逆風」に立ち向かって自ら道を切り開き、中国でのモデル活動を経て、現在は日本で、190センチの身長を生かして、タレントとして活躍するリンドウさんにお話を聞きました。

リンドウさん
タレント。1996年生まれ、神奈川県出身。日米ミックス。身長190センチ。中国・上海でのモデル活動を経て、現在は日本で活動中。TikTokなど、SNSの総フォロー数は300万人超え。ホリプロデジタルエンターテイメントに所属。

風を感じる好きなシチュエーションは?
僕の好きな風は、暴風や向かい風などの「逆風」です。
普通、リアルな逆風が吹いているときは、外を歩くのも嫌だという気持ちになるかもしれません。また、人生の逆風が吹いているときは、「何もかもやめたい」「逃げ出したい」となるかもしれません。そして、何か新しいアクションを起こすとき、怖いとき、そこから目を背けたくなることもあると思います。
でも、「逃げ出したい、目を背けたい」と思う状況に向き合ってこそ、次のステージにいけると僕は考えています。だから、逆風が吹いているときは、「あ、次のステージにいくチャンスだな」と感じるため、逆風が大好きなのです。

逆に、「追い風」は、自分で制御ができないため、あまり好きではありません。勢いよく、どんどん押されて前に、勝手に進んでしまうからです。「追い風」によって進んだ先に成功があっても、自分の力で前進した訳ではないと感じるため、好きではないのです。
ただ、昔からこういう考え方だったわけではなく、人とのいろんな出会いや失敗体験を通じて、こう考えるようになりました。

「身長が高すぎる」ことがマイナスに 日本でのモデル活動は順風満帆ではなかった

もともとはモデルをされていたそうですが、どんな経緯でスタートされたのですか?

19歳からモデル活動を始めました。大手ブランドファッションショーのパリ・コレクションをYouTubeで見たことがきっかけです。
まず、その動画を見た瞬間に、すぐにパリ行きのチケットを買ってヨーロッパへ行きました。ただ、パリでもモデル事務所に入る必要がありますので、自分でピンポンを押して1軒1軒回って面接を受けましたが、全部落ちてしまいました。次いで、ロンドン、ミラノにも行ったのですが、同様の結果でした。

帰国後も諦められず、日本の事務所に入り、オーディションに挑戦しつつも、バイト中心の生活をしながら、「次、何をやろうかな」と考えました。「モデルを目指していたはずなのに…」と、大きな挫折を味わっていたのが、今から4年ほど前のことです。

活路を求めて中国・上海へ向かうが、人生のどん底が待っていた

日本、ヨーロッパで、そういった挫折を経験したなかで、中国に渡ることになったきっかけは?

その後、中国でチャレンジすることになったのは、中国人の友人が、「友だちが上海でモデル事務所をやっているからやってみない?」と誘ってくれたことがきっかけです。住む家や給与の保証もありませんでしたが、「3カ月だけやってみよう」と決めました。

英語も、中国語も話せなかったので、正直、怖かったですし、いざ行ってみたら、本能として、(必要な言語を)話せないと死んでしまうと感じました。
それまで、日本ではただ適当に生きてればよかったのですが、自分で考えて行動する必要に迫られ、オーディションで合格するための戦略を必死に練るようになりました。
モデルさんは、みんなかっこいいので、普通に勝負しては勝てません。まずは中国語を覚えてコミュニケーションを工夫しなければと、猛勉強して日常会話程度は話せるようになりました。

ただ、それでも本当に結果が出ず、当時は「地獄のような日々」と感じていました。

モデルは身長が高ければ高いほど、有利かと思われるかもしれません。でも、高すぎても不利になるのです。一般的に、クライアントが用意する服装は最高でも188センチくらいがマックスです。そのため、日本でオーディションを受けた場合、「身長が高過ぎる。ごめんね」とほぼ必ず言われます。 中国でも実際、300回中150回ぐらい、「キミ、服のサイズがでかすぎるから意味ないよ」と言われました。片道2時間かけて行っても、身長は関係ないとしても、基本的に審査は一瞬、10秒くらいで終わってしまいます。
到着して、少し僕の顔を見たら、「今日はありがとう、バイバイ」と言われてしまうような感じです。当時のやりたい夢がついえるような、人として自分が否定される感覚もあり、すごくつらかったです。

中国は当初、短期で3カ月だけという契約で、1日5件か6件のオーディションがありました。約2カ月半、活動し約300回受けて、全部落ちたのです。
ただ、回数を重ねるごとにだんだん分かったこともあります。決める相手も人間でしたので、たとえ洋服が小さくても、僕がほかのモデルさんと比べてファンが多いとか、コミュニケーションがうまいとか、服の売り上げが上がるとか、そういった面が出せるようになれば、強みになるんじゃないかと。

あとは、それを実践するために、オーディションに臨む対応を変えるなど、いろんな実験を試みました。たとえば、ちょっと「すかした感じ」にしてみたり「無愛想な感じ」や「元気な感じ」にふるまってみたりなど、自分のいろいろな面を見せることがだんだん楽しくなってきました。
それでも仕事はもらえず、ご飯を買うお金もわずかしかなかったので、パン屋さんで5本入りのパンを買って、1週間食べてしのいだことも。移動も基本的に自転車で、1時間以上漕ぐこともよくありました。今だから笑って話せますが、当時はかなり苦しい生活でした。

風向きが変わったきっかけはSNS

そういった苦しい状況がどんなことがあって、変わったのでしょうか?

流れが好転したきっかけは、中国版のTikTok(Douyin)をやり始めたことです。
バズっている動画を参考にしながら、自分らしさを生かして再生回数を増やすにはどうすれば良いかを真剣に考えました。そして、オーディションではマイナスポイントになっていた、身長やスタイルをあえて、生かすのが個性も出てインパクトもあり、良いのではないかと考えました。
また、僕はモデルを目指している身でありながら、服装に無頓着で無難な服ばかり着ていたのですが、仲間のアドバイスで自分により似合うものや自分らしさを表現できる服装を意識しました。

そのようにTikTokと、おしゃれになった自分を掛け算していったら、バズりはじめて、知名度が上がったのです。クライアントからも「TikTokで見たよ」と言ってもらえるようになりました。
そこで一段、ステージが上がった感覚がありました。それが300回のオーディションのうちの最後、残り5回目ぐらいだったと思います。
この調子なら、「もう少し頑張れば、勝てるぞ」と思いました。

SNSでバズったことがきっかけで、オーディションに行ったとき、自分の見せ方も分かるようになりました。3ヶ月の期間で、300回程度は落ちてしまったのですが、その後、世界的にも知名度の高い大きなクライアントからも、次々に仕事の話をいただけるようになりました。 SNSで全てが鍛えられて、人生が変わりましたね。

その後、日本に帰ってきた理由は、言語の壁もありましたが、中国で磨いた技術、編集力、コンテンツをInstagramとTikTokに活用したら、日本のユーザーから反応がよかったからです。
これは、きっともう「日本に戻れ」ということだ、一度、中国を離れようと思うようになったのです。正直、中国では居心地が良くなりすぎていたので、一度そこから抜けださないといけないという気持ちもあり、帰国して活動を始めました。

どんなにつらいときでもSNSをやり続けられたのは、楽しかったから

SNSは現在もご自身で企画などされているのですか? やり続けられる理由、モチベーションを教えてください。

僕がSNSを継続できた一番の理由は、それが楽しかったからです。当時はオーディションで落ち続けてメンタル的にきつかったですし、現在もつらいときはつらいですが、楽しかった思い出もあるので、つらい気持ちのときも、続けていたら自然と楽しくなってくるのです。
企画から撮影、編集まで全て楽しんでいます。ファンとの交流も楽しいですが、やっぱり一番楽しいのは、自分がなにか投稿して、ファンからいただくメッセージなどを見たときでしょうか。自分が想像したものが形になったときも幸せを実感します。

ですから、中国時代にオーディションに落ち続けたときもそうでしたが、どんなにつらくても、どんなに挫折しても、やめたい、と思っても、その動きだけはやめませんでした。
泣きたいくらいつらいことがあった日も必ず、投稿内容を考えて、泣きながらでも投稿していました。
苦しいこと、つらいことは、足を止めたらその場で止まってしまいます。でも、動けば動くほど、苦しかったことはどんどん後ろにいきます。だから絶対に歩みを止めたくないと思っています。

現在も、動画の企画など、全て自分で考えています。常に新しいことをやっていかないと廃れてしまうので、過去にバズったものと同じ型だとしても、少し違うスパイスを加えるなど、そういう工夫は常に意識しています。
TikTokをはじめとした、SNSにおける自分の見せ方を見つけるためには、まず自分が楽しんでそのコンテンツを見ることが大事だと僕は思います。そうすると、自分もこういう動画を撮りたいとか、こういうふうにやってみたい、と感じるものがあると思うので、その人の動画の編集の仕方や音源、ファッションなどをまねしてみてほしいです。まねをしても、結局その人そのものになれないので、必ずそこから自分独自の路線が生まれると思います。
「まず楽しんで、そこからなりたい人をまねして、オリジナリティーを作ってください」というのが、僕からのアドバイスです。

もちろん、人の意見も参考にしますし、アドバイスは今でも真摯(しんし)に受け止めます。ただ、中国へ行って、もらった意見やアドバイスをそのまま受け入れるのではなく、一度、「自分の意見」として落とし込んで考え直すことを学びました。
実は、その後、妻となるパートナーと出会って影響を受け、考え方など、変わった部分も多いです。ちゃんとはっきり、思ったことを言うタイプの女性です。SNSに関してもいろいろとアドバイスをしてくれました。
僕はそれまでは、控えめなタイプでしたが、もっと自己主張をするようになりました。妻とは、今でもお互いになんでも言い合える関係だと思います。客観的に見て、言うべきことを言ってくれるので、いつも感謝しています。

苦しいときこそ思考を止めずに、人生の逆風に立ち向かいたい

さまざまなご経験を経て、今はどんな風が吹いていますか? 今後の展望などありましたら教えてください。

日本でタレント活動をしていている今は、全方位からの「逆風」を感じています。中国では、前へ前へとガツガツ出て行かなければ目立たなかったのでそのスタンスで行動してしまうのですが、日本では文化が異なりますよね。すべてが未知の挑戦ですし、中国で活動していた頃の名残もあって自己主張をしすぎてしまう事もあり、四方八方からの風を受けてふわふわと身体が少し浮いてしまっている感じなのです。それでも、これがダメなら、こうやればいいか、日本では礼儀を大切にしながら前に行けば良いのかな、などと日々思考錯誤し、少しずつですが成長を実感しています。

動画作成以外では、ジュエリーブランドを立ち上げて、デザインから経理、ホームページの作成、発送まで全部、やっています。自分が作ったものが誰かの喜びにつながり、反響を得られることが幸せです。最近は、デザインを検討するときなどに話題のChatGPTも使ってみました。たとえば、今、展開しているジュエリーブランドのテーマは、花と花の根、水と太陽なのですが、これらを一つにまとめて表現したいときは便利です。また、自分の頭にある思いを言語化するツールとしても使いやすいですし、新しい技術を学んだり、活用したりすることも楽しいですね。

これからの目標はまず、今よりもより多くの人に僕を知ってもらうこと。そして、自分の動画で多くの人を笑顔にすることです。落ち込んでいる人がいたら、元気にできるような表現者になりたいと日々思っています。

僕は、挫折をたくさん経験しました。何かうまくいかないことがあって、悩んでいる方には、「負けずに、逃げずに、とにかく考えて行動してほしい」と伝えたいです。考えて進み続ければ、絶対に報われるはずですから。
それから、以前は、何かうまくいかないことがあったら、「縁がないからしょうがない」と思っていたこともありました。でも、「縁」は運命みたいなもので、自分で行動すれば切り開けると思うようになりました。

尊敬するミュージシャンが、「誰かのせいにしたり、誰かを責めたりする前に、自分を責めなきゃいけない」と言っていた言葉が印象に残っていて、いつも自分に言い聞かせています。「あのとき、人のせいにしてしまったけど、冷静に考えたら自分が悪かったな」ということが過去、ありました。 まず、「自分はどうか?」と考えると、何事も人を責めずに済みますし、変な衝突も起きないので後悔することも減りました。
これからも、何か失敗した、何かうまくいかなかった、という「逆風」が吹いたときは、まず自分に何ができることはないかを考えながら、しっかりその状況に向き合って、前に進んでいきたいと思います。

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風の影響を受けやすいスポーツやレジャーをする際などにもぜひご利用ください。

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