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企業情報

2023.07.06

【風と私】起業家・福井仁美さんが「新しい価値観」の風を吹かせるときに考えていること

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私たちの人生にはときどき、仕事上のトラブルや越えられない壁などの「逆風」が吹くことがあります。
逆風が吹いたとき、それに正面から立ち向かうのか、風がおさまるまで身をひそめるのか、またはそれ以上に大きな風を自ら起こすのか…逆風への向き合い方は人それぞれです。
「眉毛をケアする」という新しい考え方を日本に提案し、経営者として数々の人生やビジネスの「逆風」や「追い風」を受けてきたという、起業家の福井仁美さん。それらの風とどう向き合ってきたのか、そしてどのような新しい風を起こしてきたのか、うかがいました。

福井 仁美(ふくい ひとみ)さん
早稲田大学を卒業後、スポーツキャスターやモデルとして活動。2008年~2015年「王様のブランチ」のリポーターも務める。その後、28歳で起業。2018年、眉毛をケアする「ハリウッドブロウリフト(※)」という概念を生み出し、国内初となる商材の開発に着手する。2022年には「ブロウアーティスト」という新たな職業を生み出した。
※ハリウッドブロウリフト:
日本人向けに開発された液剤を使用して、眉の生え癖を改善し、毛流れを整え、ワックスで仕上げる最新美容

「眉毛は本来、下から生えますが、髪の毛と同じように人それぞれ生え癖があります。この眉毛の生え癖さえ直せば、自分で眉毛を好きな方向に動かしたり、本来あるべきところに持ってきたりなど、自分でスタイリングできるようになり、自分の眉毛を好きになれます」

風を感じる好きなシチュエーションは?
1つ目は、朝起きて窓を開けたらレースカーテンが風でひらひらと揺れているとき。直接的な風は感じないですが、視覚で風を感じて「いい朝がきたな」とうれしくなる場面です。
2つ目は、自然の中で感じる風です。今でこそサウナがはやっていますが、健康ランドが好きな家族だったので、私は小学生のころからサウナに通っていました。当時は、「サウナは暑いから嫌だな」と思っていましたが、大人になるにつれてその気持ちよさがわかってきて、今でも時間を作って通っています。特に、自然の中にあるサウナから出たあとに外で感じる「ふわっ」と吹いてくる心地よい風が大好きです。また、私は世界中を旅するのが好きなのですが、旅先の自然豊かな場所で感じる風が特に好きです。

まだ誰も知らないものを探して「新しい風」を起こす

仕事を進めるとき、風に逆らって頑張るのか、いい風を見極めて追い風に乗るのか、ご自身が風を起こすのか…どのタイプですか?

自分で新しい風を起こすタイプだと思います。もともと、すでにはやってしまって いるものにはあまり興味がもてないので、「まだ誰もやっていないことは何だろう?」とよく考えています。
20代の約8年、「王様のブランチ」という番組のリポーターとして、最先端の情報をお伝えしてきたことも影響しているかもしれません。リポーター時代に、まだ誰も知らないものを伝えたときのワクワク感や、新オープンのお店を番組で紹介した翌日に、そのお店に長い行列をつくれた、などの達成感がありました。今でも、あのころ新しいものを探していたような気持ちで、ビジネスを進めています。

「まだ誰もやっていないこと」を探すため、常に広い視野を持つことを心がけています。海外に行っても観光せずにあえて現地の人と同じ生活をしてみることも。たとえば、LAに行ったら買い物をしたり観光地に行ったりするのではなく、現地の人が住んでいる地域にある美容院に行くなど、観光ではなく日常生活を送ってみるようにしています。
私は「0から1を生み出す」ことが得意なので、まだ誰もやっていないことを提案するイノベーターでい続けたいと思っています。海外にいるときは、これを日本でやるにはどうしたらいいかな、この価値観を日本に持っていきたいな、など、現地の生活をしたからこそ得られるヒントもあると感じています。

「逆風」をきっかけに起業 チームだからこそ見られる景色を見たい

-リポーター時代を経て、今の事業にはどのようにつながっていったのでしょうか?

「王様のブランチ」のリポーターを約8年担当したころ、「そろそろ世代交代かな」と。後輩のリポーターも増えてきて、それまでは勢いのある風に乗れていたのが、次第に弱くなっていくようにも感じました。そのタイミングで仕事もいったん辞めたので、そのときはある意味「逆風」を感じていましたね。
リポーターの仕事を通じて、新しいものを広める、誰も知らないものを認知してもらうための動きをずっと続けていたこともあり、その後PR事業を立ち上げました。ブログやSNSで新商品を紹介するなど、いろいろなことを試してみながら「これは仕事につながらないだろうか」と模索する日々でした。
ただ、起業に関しては、大学時代の同級生たちが独立したり会社を立ち上げたりしはじめるタイミングだったこともあり、起業の手続きについての相談もしやすいなど背中を押してもらえたことも、追い風だったと思います。

起業をして大変だったことは、人を雇うこと、そしてチームをつくること。過去に立ち上げた会社では、サロンスタッフがほぼ全員辞めてしまった経験があります。そのときは、人についてきてもらうことの難しさを痛感しました。
私は、野球部のマネージャーだったこともあり、チームプレイが好きです。チームの方がより「夢に向かって頑張る」実感があるからかもしれません。
ただ、最近はフリーランスや個人事業主の働き方を選ぶ人も増えていますよね。だからこそ、チームの一員として私と働くことを選んでくれたメンバーは、とても大切な存在です。
このチームで、「ハリウッドブロウリフト」の技術がこんなに世界に広まった、こんなにたくさんのファンができた、などの、大きな目標を達成したい。そして「チームだからこそ見られる景色」を一緒に見たいと思っています。

また、全国にいる(ハリウッドブロウリフトの)講師は、審査員の前で自分をアピールしてもらう「オーディション形式」で選んでいます。スキルがまだそれほどなくても、最初からビジョンが一緒だったり、ブランドに共感してくれたりする、思いのある人と働きたいと思っているからです。また、オーディションまでの短期間で準備をして、当日に自分を精いっぱい出し切ることを経験してもらいたいと考えています。
採用したメンバーの個性を重要視し、「個々の思いがまずある」という前提で、チームづくりをしています。今は、事業が急成長していることもあり、日々突風が吹いているような状況なので、助け合わないと進めません。メンバー全員が思いを持ち、そしてお互いを補いあいながら働いている、いい関係性だと思います。
ただ、会社をさらに成長させていくためには、そのための体制づくりも必要です。新しいことに挑戦し続ける勢いを維持することと、そのための組織をつくることとのバランスを調整するのが大変だと感じています。

眉毛をケアする「ブロウアーティスト」という新しい職業

今、お仕事で感じていらっしゃるのはどんな「風」ですか?

私が手掛けている「ハリウッドブロウリフト」は、創業4年を迎え、多くの方に認知いただき、支持してくださる方も増えました。「眉毛美容」は、日本ではこれまでかなりニッチでした。以前はなかった、爪をケアする「ネイリスト」という仕事が生まれたように、私たちは眉毛をケアする「ブロウアーティスト」という新しい職業を生み出しました。

私たちがこの事業を始めたのは、コロナ禍の直前です。緊急事態宣言やまん防など、当時はみなさんが外出しなくなり、ましてやサロンに行くなんてもってのほか、という状況でしたよね。
お客様にサロンに来ていただけないだけでなく、スタッフへの技術講習も対面で実施することを大切にしていたのですがそれも難しく、このままでは会社がつぶれてしまうのではないかと思いました。

ですが、マスクを外せない生活が続いたことで、コロナ禍前よりメイクがシンプルになった、ファンデーションやリップをあまり使わなくなった、という方も多かったのではないでしょうか。そこで浮いた美容代を眉毛に投資してもらえたら、と思い「眉毛をケアすることが当たり前」という新しい習慣を提案してきました。
コロナ禍でみなさんがマスクをするようになったことで、顔のパーツは「目と眉毛」しか見えないという状況が続いていましたよね。そのように、マスクをしていても見えている眉毛の重要性を、多くの方が感じてくださったこともあり、眉毛市場、そしてブロウリフトの市場が次第に大きくなっていきました。

それに伴い、好意的な声もたくさんいただきましたが、競合も出てきましたし、ネガティブな意見もありました。注目度が高まるということは、いろんな風が渦巻いているということでもあります。 そのため、今の事業において感じているのは、かなり強い風です。その風に逆らうと、歩きにくく髪の毛も乱れてしまいますが、うまく乗れば風に押されて勢いよく歩けるような「勢いのある風」がいろいろな方向から吹いてきているのを感じています。今後この風を勢いのある追い風にするか、逆風にしてしまうのかは、私たち次第だと思っています。

マスクをしていると、見える顔のパーツは目と眉毛だけ(写真はイメージです)

眉毛は「顔の額縁」そして、口と同じくらい話す「第2の口」?

改めて、眉毛ケアの大切さについて教えてください。また、自分でできるケアはありますか?

眉毛は「顔の額縁」ともいわれているほどで、眉毛を変えるだけで顔が変わります。ただ、なかなか変える勇気がない、または自分に似合う眉毛がよくわからず、いったんそのままにしておこうと思われることが多いパーツでもあると思います。
ですが、たとえば朝、すっぴんで子どもを保育園などへ送っていくお母さんや、遅刻しそうな学生、さっとコンビニに行く女性などが「すっぴんだけど、眉毛だけは描いている」という場面、実はけっこう多いですよね。眉毛がしっかり存在していないと、顔が「なんだか足りない」感じになることを、みなさん心のどこかでわかっているのだと思います。

ちなみに、口元を隠したまま、びっくりしたり怒ったりしてみると、実は目はそこまで動いておらず、眉毛がよく動いていることがわかると思います。会話をしているとき、眉毛はかなり多くの感情を伝えています。「眉毛で語る」と言ってもいいくらいなので、それこそ「第2の口」だと思って眉毛を大切にしてほしいですね。

びっくりしたとき、一番動いているのは実は眉毛(写真はイメージです)

多くの方は、眉毛は長くなったら切ったりそったりして、どこか「無駄毛」のように考えていると思います。でも、眉毛はとても大切な毛なので、「処理」するものではなく、「ケアする」「育てる」ものだと考えてみてください。
たとえば、癖毛の方は髪が広がってしまったり、パサパサに見えたりしますが、ストレートパーマなどでこの癖を取れば、自分で巻くことも楽になり、それこそ、とかすだけでも出かけられるようになりますよね。
この「癖が直ってベースが整うととても楽になる」という概念を、眉毛にも反映したものがブロウリフトの考え方です。たとえるなら、髪の毛にかけるストレートパーマの眉毛版、のようなイメージです。
体も、姿勢の癖が直ると腰痛がなくなるなど、毎日の行動が楽になります。そのように考えると、何らかの「癖」は、私たちの生活にかなり影響を及ぼしていると思います。

「新しい価値観」の風を吹かせ続けたい

最後に、これから福井さんが新たに吹かせたい「風」を教えてください。

私たちは、サロンでケアするだけでなく、ご自身でできる範囲で眉毛を伸ばしたりていねいにケアしたりする習慣が日本に根付いている状態を目指したいと思っています。
なかなか眉毛のケアのためにサロンには行けない、という方は、まずは透明マスカラで眉毛を動かしてご自身の眉毛の生え癖を確認してみてください。
眉毛の量が少ないと思っていた人も、実は眉毛が1カ所に集中して生えているだけ、ということもあります。生え癖に気づけたら、今度は「この眉の生え癖を改善してみよう」と考えながら、眉毛の形ではなく眉毛そのものを見て「ここに眉毛があればいいのに」などと考えながらケアするのもオススメです。
整えることで、眉毛を扱うのが楽になり、楽になったことで自分の眉毛がもっと好きになり、その後も眉毛を整えたくなる、という気持ちの変化につながったらうれしいですね。

これから起こしたい風は、「ここから吹く風」。そして、「えっ、こんな風が吹いたの?」と驚いてもらえるような新しい風です。
それも、入念に準備して吹かせるのではなく、突然吹いてくる風を吹かせたいですね。「あ、冬が終わって、季節が変わる」と変化を感じてちょっとうれしくなる春一番のような、「今はまだない、新しい価値観」の風を吹かせ続けたいと思います。

Yahoo!天気アプリの「風レーダー」

最大72時間先まで世界中の風速と風向の予報が、流れる線のアニメーションで視覚的にわかります。また、選択地点の風速と風向の推移をグラフとテキストで「非常に強い風」「猛烈な風」など、いつ風が強まるのか、どの方角にどの程度の風が吹くのかを一目で確認できます。
風の影響を受けやすいスポーツやレジャーをする際などにもぜひご利用ください。

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