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2022.08.03

人は自分の存在を認めてほしいもの 自己“存在”肯定感を支えるストロークを意識しよう 対話のヒント

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産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの有資格社員で活動している「YJぴあさぽ」は、同僚を「ピア=仲間」ととらえ、キャリアや人間関係などに関する対話をすることで応援しています。具体的には、定期的に「オープンダイアローグ(※)」と「2on1」を実施しています。

※オープンダイアローグ:
フィンランドで開発された精神科医療の包括的なアプローチで「開かれた対話」と訳されます。YJぴあさぽでは、話すこと、そして聴くこと、「対話」を大事にしたいという思いから、対話の場を「オープンダイアローグ」と呼んでいます。

この連載では、よい「対話」のヒント、実際の2on1やオープンダイアローグから、みなさんのコミュニケーションに役立てていただけそうなことをお伝えしていきます。

みーさん
グッドコンディション推進室で従業員の健康増進企画を担当。夫と高校生の娘の三人暮らし。
保有資格:産業カウンセラー(JAICO)、交流分析士インストラクター、国家資格公認心理師
    目次:
  1. 心に栄養を与える「ストローク」とは
  2. ポジティブなストロークは人間関係を良好にする コミュニケーションのヒント
  3. 自分にもポジティブストロークを与えよう!

先日、2歳くらいの女の子を前かごに乗せた自転車が止まっているのを見かけました。
女の子のお母さんは、私に背を向ける形で自転車の横に立っています。
「ちょこんと座っていてかわいいなぁ」と思いながら女の子を見ていたら、その女の子が私に気づいて「あ!」という表情になり、すぐにニコニコと笑顔で小さな手を振ってくれました。

(写真はイメージです)

その笑顔に、心を撃ち抜かれてしまいました…。

手を振り続けてくれるその女の子に、私も笑顔で手を振り返し「手を振ってくれて、ありがとう~」と小さく声をかけながら自転車の横を通り過ぎました。

あのときの「あ!」という反応からの笑顔を思い出すと、今でも心が温かくなります。
もちろん、笑顔で手を振る姿がとてもかわいくてうれしかったのもあるのですが、「自分の存在をポジティブに認知してもらったと感じること」は、心を元気にしてくれ、そして心の健康にとても良い効果があると改めて実感しました。

心に栄養を与える「ストローク」とは

人と人との関係や交流に着目した、交流分析(※)という心理学では、この「存在をポジティブに認知してもらったと感じること」を「ストローク」という概念で説明しています。
※交流分析:
1950年代半ば、アメリカの精神科医エリック・バーンによって開発された心理学。自分と他人との関係に着目することで、人間関係の改善や自律的な生き方や自己実現に役立つと考えられている。
対人関係の改善や、自己理解を助けるさまざまな理論があり、ストローク理論はその一つ。

この「ストローク」は、人が人の存在を認める刺激の一単位を指します。笑顔などの表情や誉め言葉、逆に責める言葉など、人がお互いに与え合うたくさんの信号がストロークです。
人は生まれてからさまざまなストロークを親や他者から与えられ、自分からも与えることを学びながら成長します。
「自己肯定感」という言葉はよく知られていますが、ストロークは「自己“存在”肯定感」を支えます。「自分が存在していい」という究極の肯定感を支えることから、ストロークは空気と同じように生きる上で欠かせないと言えるでしょう。

ストロークには3つのカテゴリーがあります。
1.ポジティブ「よくやったね」とネガティブ「へまをやったな」
2.条件付き「その笑顔のときのあなたが好き」と無条件「あなたが嫌い」
3.言語的と非言語
この3つのカテゴリーを組み合わせると、8つのタイプのストロークになります。

  無条件 条件付き
ポジティブ 無条件に肯定
◎いてくれてありがとう
(存在肯定)
条件付き肯定
テストで良い点だったので、ほめる
(条件を満たせは肯定)
ネガティブ 無条件にネガティブ
×虐待やいじめ
(存在否定)
条件付きネガティブ
悪いことをしたときに、しかられる
(存在否定ではない)
  非言語 言語
ポジティブ 笑顔、ハグ、握手 よくやったね、ありがとう
ネガティブ にらむ、たたく、蹴とばす だめなやつだな

「無条件のポジティブ」が、最も自己肯定感を満たす心の健康に良いストロークであり、「無条件にネガティブ」は最も自己肯定感を下げるストロークです。

「テストで良い点だったので、ほめる」は、条件(良い結果や行動)に対して送られるポジティブなストロークなので、自信や自己肯定感につながります。ただし、常に条件付きでしかもらえないと、「その条件をクリアしなければ存在してはいけないのか」と心の健康は満たされなくなります。
「無条件のポジティブ」の土台があれば、条件が満たせないときにも心の健康を維持しながら、自己否定にならず「またがんばろう」と回復できます。

「悪いことをしたときに、しかられる」ように、ネガティブであっても条件(悪いことをしたから)があるならば、存在は否定されません。ただ、ネガティブなことを伝えるときは、無条件の肯定的ストローク「いつもありがとう」とセットにすると良いでしょう。

(写真はイメージです)

私が出会った女の子は、きっとお母さんや周囲の方からたくさんのストロークをもらって、無条件の肯定的ストロークを与えることができるやさしい女の子に成長したのでしょう。素直でポジティブなストローク交換を、私たちもしていきたいですね。

ポジティブなストロークは人間関係を良好にする コミュニケーションのヒント

人と接するときは、無条件のポジティブなストロークを与え合うことを意識しましょう。
笑顔で話したり礼儀正しく接したりすることも、ポジティブなストロークになり人間関係を良好にします。

家族や身近な人とのコミュニケーションでも、毎日のあいさつや、こまめにお礼を言い合うなど良好なストローク交換はできます。いつも言葉にすることは難しいかもしれませんが、たとえば誕生日やイベントなどのときに「いつもありがとう」「元気でいてくれてありがとう」など言葉にして伝えることもお互いの心を満たしてくれます。

(写真はイメージです)

そして、ネガティブなストロークには注意しましょう。ネガティブなストロークに出会わずに社会の中で暮らしていくことは難しいこともありますが、受け取るか受け取らないかを自分で決めるという意識をもつことが大切です。

良いストロークで心が満ちていれば、条件付きのネガティブなストロークに変換して、取り入れる必要のある部分だけを受け止められます。
自分を否定されたように感じるのではなく、
「気にかけてくれてありがとう、でも自分で決めたことが気に入っています」
「気にかけてくれてありがとう、確かにそういうこともあるかもしれないですね」
などと、自分らしい心のままにいることができます。

リモートワークは、ネガティブなストロークのリスクが減る一方で、ポジティブなストロークをもらうチャンスも減っている可能性があります。ストローク不足にならないように、1日の中でストロークを意識してみましょう。

自分にもポジティブストロークを与えよう!

ポジティブなストロークの受け取り上手になるために、一番大事なことは、自分で自分にポジティブストロークを与えることです。自分自身に対して、反省ばかりしたり、自己嫌悪に陥ったり、ネガティブなストロークばかりを与えていませんか?
一人でいると人は内省しがちになり、できていないことに目を向けがちです。意識的に自分にポジティブなストロークを与える練習をしましょう。

リモートワークでは、業務終了報告のときに1日をふりかえって、「今日はこれができた」「これだけ進んだ」「予定より遅れたけれどなんとかここまでできた」と自分をねぎらうことを習慣にするのがおすすめです。

不思議なことに、自分自身をねぎらうことができると、他人のことも、より素直にねぎらうことができます。 リモートワークでもチャットで仲間と、
「今日はそろそろ終わります。おつかれさま!」
「こっちはまだもう少しかかりそう」
「無理しないでがんばって」
などの会話をして(ストロークを与え合って)仕事を終えるのも良いかもしれませんね。

まとめ
・自己“存在”肯定感を支える、存在認知のストローク
・ポジティブ、ネガティブ、条件付き? なし? を意識する
・ポジティブなストロークで心を満たして、心の健康を維持しよう

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