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2023.02.14

心の状況を「感じる」ためには? 4つの感情(喜び、恐れ、怒り、悲しみ)の役割

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この連載では、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの有資格社員で活動している「YJぴあさぽ(※1)」が、よい「対話」のヒントをお伝えしています。
※1 YJぴあさぽ:
同僚を「ピア=仲間」ととらえ、キャリアや人間関係などに関する対話をすることで応援しています。具体的には、定期的に「オープンダイアローグ(※2)」と「2on1」を実施しています。

みーさん
グッドコンディション推進室で従業員の健康増進企画を担当。夫と高校生の娘の3人暮らし。
保有資格:産業カウンセラー(JAICO)、交流分析士インストラクター、国家資格公認心理師
「この記事が掲載される2月は今日よりも寒いかもしれませんが、暖かくしてお過ごしください。 寒い日に温かいものを飲んだり、毛布にくるまったりして、自分で自分を暖かくして過ごせるのは、最高に幸せですよね」

喜び、恐れ、怒り、悲しみの感情に気がつくことが大切

2023年1月の、曇り空の寒い日。2時間のオンライン会議が終わり、気づいたら身体が芯から冷え切っていたのでびっくりしました。部屋の暖房は入れていたので会議前は寒くなかったのに、椅子に座りっぱなしだったせいでしょうか。「わー、冷えてしまった! 寒い寒い!」と、ひざ掛けを出したり、温かいコーヒーを入れなおしたりとうろうろ動いているうちに、ようやく身体が温かくなってきました。

冷えている途中で気づいて、暖房の温度を上げるなど対処をすればよかったのですが、じわじわと冷えていたために対処が遅れました。まだまだ寒い日が続くので、気をつけようと思います。

この、「寒いな」と感じることで状況を検知して、気づいて対処ができるので、「感じること」はとても重要です。

(写真はイメージです)

このように、身体は「寒い」「暑い」などと感じられますが、では心の状況を「感じる」ものは何でしょうか?
その一つは感情だと思います。ただ、感情は目に見えないので「寒い」「熱い」よりも気づくことが難しいこともあるかもしれません。
身体が寒さでじわじわと冷えていくように、心の状況の悪化に気づかず何も対処できなかった、ということにならないように、今回は感情の役割について目を向けてみたいと思います。

昨年、YJぴあさぽを立ち上げるときにアドバイスしてくださったキャリアコンサルタントの渡邉由里さんと対談させていただきました。
「聴いてもらう」ことが当たり前の世の中に よい対話のために心がけたいこと

そのときに「自分の感情をしっかり聴いてもらったことがない人は、感情を話すのも難しいのではないか」という話題がありました。まずは自分の感情がどのように動いているか「気づき」「相手に伝える」ことが「対話」においてもとても大切だと思います。

交流分析では感情について、喜び、恐れ、怒り、悲しみの4つの感情として説明していますので、この記事ではそれをベースの考えとしたいと思います。

「恐れ」の意味を理解していれば対処ができる

感情の話をするときに一番わかりやすいと思うのは、「恐れ」という感情です。
この不快な感情があることで、むやみに危険なものに近づかないなど身を守ることにつながります。私は、恐れの感情をシンプルに考えたいときには、「動物園にいる猿山の猿」が見慣れないものを見つけて怖がったり怪しんだりして「キー!」と威嚇(いかく)する顔を想像しています。動物でも感じる感情だからこそ、根源的な感情だと思います。

(写真はイメージです)

ちなみに、私は殺虫剤のCMで有名な「黒い虫」が、固有名称を書くのも嫌なくらい怖いです。単なる虫の一種であることは理解しているので、いざというときには対処できるように、念のため家には殺虫剤を置いています(幸い、ここ十数年室内で出会ったことはありません)。
このように、自分が感じている恐れの意味を理解していれば、対処するために準備しておくことができます。恐れは根源的な感情なので、誰にも子供のころにはさまざまな恐れがあったのではないでしょうか。
でも、たとえば「男の子なんだから」「もうお姉ちゃんなんだから」などと、感情を否定され閉じ込めていたら、大人になってから恐れの感情に気づくことは難しいかもしれません。

大人になっても怖いことはあると思います。失敗することや、理不尽な暴力、事件や事故や災害、老いや衰えなども恐れの対象になるかもしれません。
これらの「怖い」気持ちにふたをせず、「自分は〇〇が怖いんだな」と気づくことで、適切な対処につながると考えてみてください。一見、抱かない方がよいように思える「恐れ」も役に立つのです。

「怒り」を適切に使えば問題解決につながる

次に、「怒り」の感情です。怒りは、大事なものが脅かされたときに沸き起こる感情です。大事なものは、もしかしたら自分の身かもしれませんし、精神的なものかもしれません。
「脅かすものを防ぐための対処として怒りを表明する」という適切な使われ方をすればと、問題解決につながります。

「怒り」には犬が、近づいてくる知らない人に「ワン!(NO!嫌だ!やめろ!)」とほえて警告するようなイメージを持っています。状況や困難を突破することに役立つこともある、瞬発力のある感情が怒りです。このように目の前の危険を回避するような怒りを感じたら、その場で行動できた方がいいと思います。

(写真はイメージです)

ただ、怒りの感情を適切に使うことは難しいこともありますよね。たとえば、クレームを伝えるときに怒り続ける人のケースでは、他の場面で抑圧され続けていたことで形を変えた別の怒りを、出せるところで爆発させているのかもしれない…と思います。
また、子どもへの怒りも、子どもを守るための怒りなのか、自分の何かを守るための怒りなのか、ただ怒りという手段に依存しているのか、どれなのだろうか? とときどき意識してみるとコントロールできるかもしれません。

怒りは、適切に使われれば大事なものを守ることに役立ちますが、「アンガーマネジメント」という言葉もあるように、適切な制御ができないと逆に大事なものや人間関係や壊してしまうこともあります。
怒りが自分の心から消えないときは、「自分の何が脅かされたのだろう?」と意識してみると、怒りの原因がわかるかもしれません。そして、怒りがなかなか消えないという人は、怒りは自分を守るためだったのだと気づき、「もう怒らなくても大丈夫」と解放してみてください。

そんな風に自分の怒りに寄り添えると、冷静にその場での適切な対処ができると思います。否定せずに受け止めてもらえる場で、他者に聴いてもらうのもいいですね。

「悲しみ」を感じることは、心を回復させるために大切

「悲しい」という感情は、大事な人やものの喪失に関係しています。今ここには、そして未来にもその大事な人やものはもう存在しないことを思い、悲しみます。つまり過去に向けられた感情です。大きな喪失に対しては、しっかりと悲しむことで心を回復させる役割があります。とても心が痛くつらい感情ですが、生きるためにも必要な感情です。

また、理不尽な喪失に対する悲しみを怒りでごまかしたり、ふたをしたりしていると、喪失の傷はいつまでも癒えることはありません。過去のことであっても悲しみ尽くしていない喪失があれば、「あのときは悲しかった」と感じなおすことも癒やしにつながることがあります。

「喜び」や幸せを感じることは生きる力の根源

最後に、「喜び」です。喜びはポジティブで幸せな感情です。これまで、感情は心の状態を検知し、必要な対処をすることに役立つと繰り返してきましたが、喜びは何も対処がいらない感情です。

本当に満ち足りていて足りないものがなにもなくて「幸せだなあ~」と心の底から湧き上がるような、喜びを感じていますか? 過去や未来に足りないものがあってもいい。「ああ、今は幸せだ」と湧き上がる感情はあるでしょうか。

できることなら、いつも喜んでいたいのに、未来への恐れや、いま感じている怒りや過去の悲しみにとらわれて、「今ここにある幸せ」を感じられないことがあります。
また、うれしいことがあっても、自分で自分に「この程度で満足してはダメだ」「自分には解決すべき問題がいっぱいだから、幸せなんて感じている場合じゃない」などと、幸せな感情を否定することもあるかもしれませんね。
ですが、喜びや幸せを感じることは生きる力の根源だと思います。もし今、喜びの感情があまり感じられないのであれば、少しずつ意識して取り戻していけるとよいと思います。

感情の役割や意味を知ると、人生の味方になってくれる

ここまで、4つの感情の役割についてお伝えしてきました。
感情は自然と湧き上がるものですが、その役割や意味について考えると、感情も人生の味方になってくれると思います。

実は、私は幸せを感じるのが得意です。思い返せば、学生時代に「自分が幸せだと感じたら、それは誰にも冒せない領域なのではないか!」と考えたことがきっかけだったと思います。
その後も、「うれしいな」「幸せだなあ」とポジティブに感じるときは、否定せずにしっかり味わうようにして人生を送ってきました。

先日は、眠くなってベッドに行くときに「眠くなって、さあ寝ていいって最高だな」と思って、布団に入ったところ、布団がふかふかだったので、「寒い冬に暖かい羽毛布団なんて、昔だったら王様だ!」とさらに幸せな気分で眠りました。
こんな風に、自分がより感じたい「喜び」の感情も練習するとより気づけるようになります。今では、調子の良いときは「私は最高に幸せだ、関東地方で10本の指に入るくらい、今は幸せ」と本気で思えるくらいになりました。

(暖かい布団の中はしあわせですね。写真はイメージです)

心の中は見えないので、誰の心の中も外からはどの感情があるのかわかりません。誰もが恐れも怒りも悲しみも感じることがあると思います。でも、喜びを感じる瞬間が少しでも多くあってほしいなと願っています。

大切な人や周囲の人たちとの「対話」によって、自分の本当の感情に気づくことがあります。自分の感情を大切にしてもらうことで、相手の感情も大切にできるようになるものです。「感情、あまり感じないかも」という方も、「感情がけっこう揺れ動きます」という方も、この感情の役割という視点を、役立ててみてださい。

YJぴあさぽおすすめ:「対話」「コミュニケーション」のヒントになる本

「言葉にできる力」をつけたい方におすすめ 「伝える」ことに迷いを感じていたときに出会った一冊

「言葉にできる」は武器になる。
コピーライター 梅田悟司

テレワークの普及によりリモート中心の働き方が珍しくなくなった昨今、コミュニケーションのあり方も変化し続けています。
対面、オンラインでの対話を通して自分の考えや思いを相手に伝えることや、時には文字のみで伝えるなど、今まで以上にコミュニケーションの質を意識している方も多いのではないでしょうか?

私自身も、「あれ? 伝えたい事が正しく伝わっていないかも」と感じることもしばしばあり、「伝える」という行為の本質に迷いを感じていたときに出会った一冊です。「言葉にできる力」をつけたい方におすすめです。(YJぴあさぽ運営事務局:みま)

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