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企業情報

2023.01.20

「聴いてもらう」ことが当たり前の世の中に よい対話のために心がけたいこと

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2023年がスタートしました。行動制限のない年末年始は3年ぶりだったため、久しぶりに親戚やご家族、友人や同僚など、大切な人と会ってたくさん話せたという方も多いのではないでしょうか? また、ご自身の内面とじっくり向き合う「自分との対話」の時間をもてた方もいらっしゃるかもしれませんね。

産業カウンセラーや国家資格キャリアコンサルタントの有資格社員によるボランティアプロジェクト「YJぴあさぽ」は、社員と「対話」し寄り添うことを目的に、「2on1」「オープンダイアローグ」を約1年続けてきました。
YJぴあさぽの立ち上げ時にアドバイスしてくださったキャリアコンサルタントの渡邉さんとYJぴあさぽの2人が、「よい対話のために大切なこと」「聴くことのメリット」などについて語り合いました。今回は、その内容をお届けします。

左から渡邉さん、YJぴあさぽの後藤、鈴木
渡邉 由里(わたなべ ゆり)さん
株式会社オフィス渡喜(ワタキ)代表。大学のキャリアセンターで学生支援、企業の新卒採用、セルフ・キャリアドック、海外赴任者のメンターなどを担当。多方面でキャリアに関わる業務を請け負っている。また、キャリアコンサルタントを目指す方のサポートも担当するなど、後進の育成にも力を注いでいる。
保有資格:
国家資格2級キャリアコンサルティング技能士、国家資格キャリアコンサルタント、CDA(Career Development Adviser)、全米NLPプラクティショナー、TCS認定コーチ、メンタルヘルスマネジメントⅡ種・Ⅲ種

「企業の社員の方に向けて、政府主導で導入を進められてきた、セルフ・キャリアドック(※1)というものがあります。導入してらっしゃる会社さんに対して、社員の方のお話を聞いています。海外に駐在されている方をリモートでサポートしたり、お話を聞いたりすることもあります。 自分の感情を吐き出す場がないと、揺らいでしまったり、お仕事がうまく立ち行かなくなってしまったりということもあると思います。それをフォローしていくお仕事だと思っています」
※1 セルフ・キャリアドック:
企業の人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談やキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施。従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組み、またはそのための企業内の「仕組み」のこと 参考)「セルフ・キャリアドック」導入の方針と展開 (厚生労働省)

後藤 雅美(ごとう まさみ)
ZアカデミアでZホールディングス全体の組織活性、人材育成、コミュニケーション円滑化の取り組みなどを担当。保有資格:国家資格キャリアコンサルタント、トラストコーチングスクール 認定コーチング スキルアドバイザー

鈴木 麻未(すずき まみ)
グッドコンディション推進室で従業員の健康増進企画を担当。保有資格:産業カウンセラー(JAICO)、交流分析士インストラクター、国家資格公認心理師

リモート環境で話すことが増えてからは、「感情を聴く」ことがより大切に

後藤:
キャリアコンサルタントの面接で、「この資格をどうやって生かしますか」は必ず聞かれる質問の1つです。私は「企業で社員をサポートしたいと思っています」と、答えました。それを実現させたいという思いを鈴木や他の同僚に話してみたところ、すぐに同意してくれました。その後、会社からのサポートもあって、YJぴあさぽの活動をスタートできました。
その際に、渡邉さんにもご相談させていただいたら、「ぜひぜひ!」とこの活動を後押ししてくださったこともあり、今回改めてお話をうかがいたいと思っています。

今のヤフーは、フルリモートで仕事ができる環境になっていますが、コロナ禍をきっかけに働き方も変化した今の社会の中で、対話が必要だと思われる瞬間はどのようなときですか?

渡邉さん:
企業の方のお話を聞いていると、特に上司の方から「部下からの相談に対して、どうやってアドバイスしたらいいか」というご相談を受けることが多くなっています。
特に、上司の方は会議後にちょっと残ってお話を聴く時間を設けるなど、「あえて聴く」時間をつくっているけれど、なかなか話してくれる人がいない、という悩みをよく聞きます。

これは、リモートになる前からだと思うのですが、仕事の場面って、レポート的な話し方をしませんか? これを「PREP法」と言いますが、結論から言って、その内容を話して、最後は結論で締めるという、「報連相」的なノウハウが企業の中で根付いていますよね。
※2 PREP法:
結論・理由・具体例・結論の流れで相手に話を伝える方法

対面中心の働き方では、ミーティングの前後の時間に廊下でちょっと感情に触れるような話や他愛もない雑談がありました。ですが、リモートワークではその雑談の部分がなくなっているので、なかなか感情に触れる右脳的なお話を聞けなくなくなっているのではないかと思います。
リモート中心で働くようになった企業の方には、「レポート的な話だけではなく、何があったのかということを、その方の感情も含めてエピソードで聴けるようになるといいですね」とお伝えしています。

具体例で申し上げると、残業の多くなっている社員がいたので事情を聞いてみたそうです。すると、時短勤務の同僚の仕事を自分が担当していることが理由だということでした。
外から見えている部分としては、マンパワーの不測が原因だと考えられますよね。ですが、本当にそうなのだろうか、ということ、そして残業の多くなっている社員がどう感じているのかということを、上司としては聞いていただきたいところです。

この例の場合、レポートだけ聞いていると「その仕事を他の人に振ってください」「(時短勤務の)同僚に次の日やってもらってください」など解決方法をアドバイスしがちです。
ですが、上司の方にさらにうかがったところ、その方は「(時短勤務の同僚の仕事も)自分がやらねばならない」という責任感から、自ら仕事を巻き取ってしまっていたということがわかりました。
もし、上司の方が「レポート」だけでなく「エピソード」として聴けていたら、客観的に自分を振り返ることができて、その方が全部引き受けるのではなく、半分ずつ分担したり、他の人に任せたり、などの工夫が自発的に出てきたかもしれませんね、と、その上司の方にお伝えしました。
このように、レポート内容とは違う右脳的な部分、特に感情をエピソードとして聴いてさしあげることは、このリモート環境で話すことが増えてから特に大事になっていると思います。

後藤:
渡邉さんが、右脳の部分の感情を聴くときに心がけていらっしゃることはありますか?

渡邉さん:
たとえば、ポジティブな感情は聴きやすいのですが、仕事で関係性ができていたとしても、ネガティブな感情には踏み込みにくいところがありますよね。
先ほどの例ですと、「その人の仕事をやらなきゃいけないと思ったとき、どんな気持ちになりますか?」というのは、普通の会話ではなかなか聞けない話です。でも、その感情の部分まで踏み込んでいくことは、本当の思いや右脳的な部分を引き出すために、とても重要だと思います。

鈴木:
上司も、そこは勇気が要るところですよね。話す人もですけど聴く人も、事実を伝えるときは誤解が生まれづらいので「こういう事実がありました」とは言いやすいと思います。
でも、「私はこう感じました」という内容をもし否定されたらと思うと、双方でのリスクが高いからこそ、みんなあまり言えないのだろうなと。その人が思ったことを否定しないで、上司から「あなたはそう感じたんですね」と言ってもらえる関係であることが大切ですよね。

渡邉さん:
そうですね。何を言っても否定されないという安全・安心な場がそこにあるということは、最初の関係性としてつくる必要があります。
その上で感情に踏み込むことはなかなか、すぐできることではありません。頭では理解していても、実際に対面の場になると、踏み込んで聴くことに躊躇(ちゅうちょ)するでしょうし、いざ聞こうとしてもぎこちなくなってしまうかもしれません。ですが、最初はぎこちなくても構いませんので、ぜひ「どう感じたか」踏み込んでみていただきたいです。

リモート環境での対話で心がけたいこと
・「報連相」ではない感情を聴くことは、リモート環境で話すことが増えてから特に大事に
・何を言っても否定されないと安全・安心な場を最初の関係性としてつくる必要がある
・その上で、相手の感情「どう感じたか?」まで踏み込んでみる

上司が心がけたいことは、「アドバイスをぐっとこらえ、ひたすら聴く」こと

鈴木:
今お話しいただいた事例だと、上司の方が良かれと思って解決策を提示してしまうこともありそうだなと思いました。
そうすると、「私がやらなくては!」と同僚の仕事を巻き取って残業が増えている人の気持ちも、私は決して丸投げしているわけではないのに、と思っている時短勤務中の人の気持ちも理解されないまま、上司から解決策を提示されるかもしれないですよね。

渡邉さん:
仕事のスピード感としては、それがおそらく速いのでしょうね。「残業が増えてしまっている人がいるので、この方法で対処しましょう」と上司が言うのは手っ取り早いと思います。でも、それは短期的には一見解決したようには見えますが、その後の自発的な行動につながらないですし、やらされ感につながってしまいかねないですよね。

今回の例のように、他の人の仕事を巻き取ってしまいがちな方は、きっと優しい方なのでしょう。でもまた「自分がやらなければ」という責任感で同じような問題が起きてしまったときには、自分で気づき解決できる能力をつけておかないと困るのではないかと思います。

現状は上司の方の多くが、一問一答形式で進めていく面談になってしまっているようです。一刻も早く良い解決策を提示してあげること、いいアドバイスをすることが、すべてのいい仕事につながるという気持ちの方が多いと思います。ただ、それは(解決のための)スピード感はあるかもしれないけれども、長期的な、本質的な解決にはつながらないんですね。

鈴木:
私たちも、感情を聴くことや感情に気づくことが大事だと思っているのですが、「いや、感情なんて聴いてもらったことないし」という根底があると、なかなか上司の方も部下の方の話を聴くことが難しいかもしれないと感じています。

渡邉さん:
まさに、その通りです。自分の話を聴いてもらったことのない人が人の話を聴くことはできないと思います。
上司の方が傾聴マインドを使ってくださって部下のお話を聴いていくことで、その人たちも傾聴を広めていくという形が理想的ですね。

ある企業の傾聴研修を担当した時のことですが、経験がある方であればあるほど、みなさんどうしても自分の経験からアドバイスしたくなってしまうようでした。そのため、「これから15分間は、自分のことは話さないでください。『自分のことは話さない』これが基本なので、まず心に留めてください」とお伝えしました。

今は、自分のときと時代も周りを取り巻く環境も違うので、その経験やアドバイスを再現できないことのほうが多いんですよね。それを、こうするとうまくいくよというのは、それこそ成長の芽を摘んでしまうことになりかねないと思います。
上の立場の方であればあるほど、自分の経験談を話さない、自分の経験とほかの人とは違うという視点を持っていただきたいと思っています。

上司が部下の話を「聴く」ときに心がけたいこと
・一問一答形式で進めていく面談にはしない
・解決策を提示することは、本質的な解決にはつながらない
・自分の経験談を話さないでぐっとこらえる

オンラインだからこそできた、YJぴあさぽの2on1とオープンダイアローグ

後藤:
YJぴあさぽは、上下関係のないフラットな同僚として対話をする、というものです。
ヤフーには1on1という、上長と部下の時間がしっかり存在はしているので、それ以外の対話の場としてYJぴあさぽを始めたのですが、この取り組みについてはどう思われましたか?

渡邉さん:
最初は、なぜ2on1なのかな? と思ったのですが、後藤さんからお話を聞いたり(ぴあさぽの連載)記事を読んだりして、これは面白い視点があっていいなと思いました。

2on1の場合、1on1を俯瞰(ふかん)して見る人が1人いるということですよね。
第三者の視点で今のお話をどう思ったか伝えることで、聞いている側の成長にもつながりますし、話し手にとっても視点が増えるので、とても有意義なのではないかと思いました。

鈴木:
1対1の対話だと、相手のコメントに「いや、そんなつもりじゃなかったんです」とは言いづらいかもしれません。ですが、2on1にすることで、最初から「いろいろな視点があって当然」というベースがあります。もし、ぴあさぽのコメントが違うと感じたら、「それは違います」と言いやすい雰囲気にできる点も、2on1ならではのメリットだと思いました。

また、オープンダイアローグでは、ぴあさぽ2名、参加者が3名で話します。私たちはどうしても、(キャリアコンサルタントなどの)資格があるという前提のもとでお話を聴くので、どこかお行儀のいい聴き方をしてしまうところがあるんですね。
でも、話した人以外の参加者2名が比較的自由に、たとえば「私はそんな風にはあまり感じないです」などと発言をしてくれるので、そこが多様な視点につながるということも大きいと思います。
「私たちからはちょっと出なかったようなコメントが出たね」ということが時々あります。
参加者は正直な思いで発言しているので、話した人も素直に、自分とは全然違う感じ方の人がいるんだ、とフラットに聞けるのも、とてもいいところだと思っています。

私たちが持っている資格では、通常は対面でトレーニングをしますし、面談は座る位置や顔の位置も含めて実施していました。でも、リモートワークになり、ぴあさぽの活動は最初からオンライン、Zoomの画面上での対話です。画面上ではありますが、安心して話してもらえる仕組みを検討し、オンラインだからこそ生まれた新しい対話のやり方になったように思います。

後藤:
オンラインにしていることで、北海道の参加者も沖縄からの参加者もZoomだったら距離は関係なく対話できることもメリットですよね。

鈴木:
オンラインだからこそ、質の担保が一緒になるとも思います。
たとえば、体の大きな男性がぴあさぽとしてサポートする側だったら、もしかしたらリアルで会うと存在感の情報が少し多過ぎることはあるかもしれません。
人と会うのが苦手な人は、生身の人間は情報量が多過ぎてちょっと疲れてしまう。たとえば「実写のドラマだと怖い顔をしている人がいるととても怖いので、アニメのほうが楽しめる」という人もいます。

対面ではその人の顔色やしぐさなどからも状態を知ることができるという良い面もありますが、反対に対面ほど情報量がないことで心理的に楽になり、逆に話しやすくなるという点も。これはオンラインならではの良さかもしれません。

後藤:
コロナ禍でオンラインになって、キャリアコンサルタントもセミナーなどもZoomで実施されることも増えましたが、渡邉さんが感じている変化はありますか?

渡邉さん:
キャリアコンサルティングもセミナーも、皆さんオンラインを使い慣れてきた事もあり、コロナ前よりも比較的大人数でグループカウンセリングやセミナーを開催する事が増えました。これまで参加しにくいと感じていた場でも、Zoom開催によってハードルが下がったと感じます。
グループカウンセリングで「自分の悩みは全社的な悩みなのか」と気づくと、社内で相談しやすい風土が醸成され気持ちが楽になるようですし、セミナーでは不明瞭な点を自分のタイミングでメッセージ出来ることからライブ感あるやり取りも可能になりました。

Zoomで個人面談するときは、同じ空間にいなくて空気感が伝わらないからこそ、より、相手の感情に注意を向けて聴いていこうと思っています。
具体的には、(Zoomに)入ってきたときの表情はしっかり見ます。画面をオンにするタイミングが少し遅れた方には、「何かありましたか?」と聴いてみることもあります。
対面だと、部屋に入ってからも相手の様子を見ることができますが、Zoomでは最初のスタートのときに特に意識を向けて見ていることが多いですね。

Zoomで面談するときに心がけたいこと
・対面以上に相手の感情に注意を向けて聴く
・Zoomに入ってきたときの表情に特に注目する

企業でキャリアコンサルタントの資格を使って対話していくメリット、その可能性

渡邉さん:
キャリアカウンセリングというと、なかには転職のための相談をする場だと思われる方もいらっしゃるようです。ですが、実際には転職を勧めるものではなく、まずはフラットにお話を聴きます。
もし、その方が転職をしたいという話で来たとしても、転職する前に今ここでできることはなんだろうと、まず考えてもらうことで、転職せずに踏みとどまる方が圧倒的に多いんですね。そのようなことも企業の方には事前にお伝えしています。

鈴木:
私たちがYJぴあさぽの案内ページを作るときに心がけたのは、たとえば「ちょっと立ち止まって未来について考えたい」「自分の気持ちを整理したい」など、よりよい未来のためのポジティブな時間として使ってほしいと伝えることでした。でも、もちろん少し元気がなかったり、モヤモヤしていたりするときも、なんでも話していい場になっていれば、と思います。

ぴあさぽを利用してくれている人は、「自分らしさや強みを発揮したい」「仕事と私生活を含めたライフキャリアを考えたい」「将来のことを考える時間を持ちたい」など、漠然と感じていることを話したいという方も多いですね。
「おしゃべりしたい方もお気軽に」と書いているので、そこで心理的ハードルを下げられたのかもしれません。

後藤:
「気持ちの整理をするために来ました」という方も多いです。また、中途入社の方で、「まだフランクにしゃべれる人がいないから、ちょっとおしゃべりしたいです」という人もいました。そういう時は、じゃあ今日は楽しくおしゃべりする場にしましょう、と伝えています。

「今日はどんなふうに時間を使っていただいてもいいんですよ」というと、実はこういう話について話したい、という人もいれば、リモートワークであまり誰かと話していないので…という人もいます。

渡邉さん:
ずっと自分の時間を人のために、ご家族のためにというふうに過ごしていると、自分のことが後回しになってしまう人が多いですよね。
そして、いつの間にか自分らしい夢だったりとか、自分らしい価値観だったりとか、そういったものを封印してしまっている人もとても多いです。私がお話を聴く時間に少しでも、自分のことについて考える、自分のことだけに使う時間をつくってさしあげられたらといつも思っています。

ただ、どんなに頑張って自分について考えを深めようと思っても、表面上からさらにそれ以上考えることができない人もいます。曖昧さを嫌い、正解を話さないといけないと考えるタイプの方に多いと思います。そのときは思い切ってもう話題を変えてしまいます。
まずは、その時間を苦痛じゃない、また来てもいいかな? というくらいの気持ちで帰ってもらえたら、それで成功だと思うようにしています。

後藤:
ぴあさぽの対話のときも、本当は何がしたいのかが、なかなか出てこず黙ってしまった方もいました。ですが、「最近、楽しいことはありましたか?」と聞いてみたら、趣味の話が出てきました。
何か自分の中で掘り起こして、と言われると大変だけど、趣味に関する事実であれば話しやすい、ということもあるようでした。

ぴあさぽの活動を約1年続けてきましたが、正解はないですし、相手に満足してもらうこともゴールではないと思っています。相手が言いにくいことも、時には質問した方が良いと感じるときもあります。でも、この時間は私たちが何か決めてこうしようという時間ではなくて、相手にお任せの時間。私たちぴあさぽはそこに、プロのスキルと守秘義務を持った上で、立ち会っているという気持ちです。

「聴いてもらう」ことが当たり前の世の中にしたい

後藤:
ヤフーには1on1があるので、お互いの話を聴く、話すという文化はかなり定着していると思っています。でも、同僚同士や斜めの関係での対話にはまだまだ深めていくチャンスがありそうな気がします。

鈴木:
傾聴は、上から目線では絶対できないことです。多様性が大切にされ、対話して理解して支援し合い、お互い成長するというようにスタイルが変わってきたからこそ、相手がどう思っていて、どういうふうにしたら一番いいと思うかを話すことができます。
ぴあさぽの場だけではなく、仕事上でもそういう関係性でいたほうが、いい生産性が生まれ、真の問題解決へ進むのではないかと思いました。

「傾聴」は仕事の面でも有効です。たとえば、大きな会議で報告をする場面などでは、「情報」を整理して報告します。ですが、報告後に質問されたら、「この人は何を懸念して質問しているのだろう」と着目して寄り添って答えています。そうすることで、相手も質問の意図を理解してもらえたと思い、やりとりもスムーズになります。
前半は情報を簡潔に伝えて確認してもらうコミュニケーション、後半は伝える役割だけでなく「傾聴」する側でもあると意識すると、質問やご意見にも苦手意識を持たずに落ち着いて対応できると思います。

仕事以外でも、たとえば自分の欲しいものややりたいことを伝えたり、何に困っているのか伝えたりするためにも、「相手のことを聴く」ことは役に立つと思います。

渡邉さん:
「話して聴いてもらう」ことは、仕事のパフォーマンス発揮にもつながると思います。
たとえば、「もやもや」するなどのネガティブな感情は自分の中で、どちらかというと排除したいものですよね。このもやもやを解決するのは自分ですから、あえて人に話さない人も多いと思います。ですが、このもやもやを人に話すことで改めて理解でき、心の整理にもつながります。

「もやもや」という曖昧なワードを、そのなかにどういう意味があるのか、たとえば苦しいと思っているのか、イライラするのか、もしくはワクワクの前兆か、細かく分解していく「チャンクダウン」という方法があります。
心の中の曖昧な感情をしっかりと自分で言語化していくことで、その対処や切り替えができるようになるので、仕事のパフォーマンスを上げたり、心を整えたりする効果があると思います。

また、しっかりと相手の話を「聴く」ためには、たとえば1分でもいいので、仕事や家事などを置いて相手に向き合ってみてください。
テレビやスマホを見ながら、家事をしながらではなく、いったんそれを置いて相手の方を見て「聴くよ」と伝えるだけでも、しっかり聴いてもらっているという気持ちになると思います。

「話を聴いてもらう」という傾聴のマインドを、ぴあさぽの活動を通じて御社の中で広めていただきたいと思います。
やはり、自分の話を「聴いて」もらった人でないと、その先に広めていくことができないのではないでしょうか。YJぴあさぽの活動の輪を広げていっていただき、より多くの方にとって「聴いてもらう」ことが当たり前になっていったらうれしいですね。

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