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2023.02.01

「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 自分を知り、「セレンディピティ」を高めるために意識したいこと 「聴く」ための中級編(51~60)

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この連載では、よい対話にするために心がけたいことや「聴く」ためのヒントを、「YJぴあさぽ(※)」のメンバーがお伝えしています。
※YJぴあさぽ:
産業カウンセラーや国家資格キャリアコンサルタントの有資格社員によるボランティアプロジェクト。

まさみん
ZアカデミアでZホールディングス全体の組織活性、人材育成、コミュニケーション円滑化の取り組みなどを担当。
保有資格:国家資格キャリアコンサルタント、トラストコーチングスクール 認定コーチング スキルアドバイザー

「聴く」中級編

2023年がスタートしましたね。「新しい年の始まり」はワクワクしたり清々しい気持ちになったりします。みなさんは、年末年始をどのように過ごしたでしょうか?
私は、和歌山県・高野山の宿坊で年越しをしました。朝のお勤めや護摩行も経験し、大みそかは雪の残る壇上伽藍(だんじょうがらん)で除夜の鐘を聴きました。厳かで、静謐(せいひつ)な空気に包まれた場で、ゆく年を振り返り、くる年に希望を感じました。
1月1日は、壇上伽藍 金堂(こんどう)で行われる、修正会(しゅしょうえ)へ。
この行事は「正」月に「修」する儀式であることから修正会と呼ばれています。もとは、礼仏して罪過を懺悔(さんげ)することにより、除災招福・五穀豊穣・国家安穏を祈る、悔過(けか)と呼ばれるものでした。
参照)一年の息災を祈念する行事

手がかじかむ寒さ、屋内なのに吐く息が白い中、高野山の僧侶が薬師如来像を囲み、般若心境を読経します。次第に心が落ち着いてきて、自分とゆっくり語り合っているような感覚になりました。
みなさんにも、こんな風に自分を取り戻す瞬間や心の声を聴けたと感じる時間があるのではないでしょうか。

今回は「自分との対話」をテーマにしたいと思います。

51.自分のことは案外知らない? 「ジョハリの窓」とは

みなさんは、「ジョハリの窓」、という言葉を聞いたことはありますか?
これは自己理解を深めるツールの1つとして、キャリアコンサルタントの学びの中でも出てきます。
心理学者のジョセフさんとハリーさんが一緒に考えた「対人関係における気づき」のモデルで、自分と他人の「認識のズレ」を理解することが目的です。

「あなたの知らないあなた」

盲点の窓 他人は知っているけど、自分では知らない
「えー、私ってそんな風に思われてたの?」
秘密の窓 自分はわかっているけど、他人には内緒にしている
「実は私、すごく臆病で不安になるんだよね…」
開放の窓 自分も他人もわかっている「私は、大胆な人」
「そうね、あなたはとても大胆な人!」
未知の窓 自分も他人もわからない、まだ知らない
「私の秘められた才能って何だろう…?」

この4つの窓も、自分との対話、そして、周りの人との対話を通じて理解が深まると考えられています。
参照)kaonabi人事用語集より

ここからは、みなさんが「自分を知る」ためのヒントをいくつかお伝えしていきます。

52.自分についてのクイズで「自分」を知る

家族で年越しをした高野山までは、車で行きました。長いドライブになったので、車内でクイズ大会をしました。その名も「〇〇のこと一番知ってるぞ!王決定戦」(〇〇は、各自の名前が入ります)
たとえば、私については「お母さんのことを一番知っている王」を決めるクイズです。

問題:「私が一番得意だと思っている料理はなんでしょうか?」
心の中で決めていた答えは、かなりの頻度で作っている「ローストビーフ」。
ですが、息子1「えー、グリーンカレーかなあ」、息子2「みそ汁」。夫「ラタトゥイユ」という答え。なんと全員「ハズレ!」でした。

答えを伝えると、息子1が「そうか、(私は)ローストビーフだと思ってるんだね」とかなり意外そうだったことにも驚きました。
そして、私は得意料理だと思っていたけれど、実は、家族はそんなにローストビーフを好きではなかったの? とも思ってしまいました。
もしかしたら「得意料理」という定義が難しかったのかもしれませんが、こんな風に、クイズ形式で自分のことを知るのもおもしろいなと思いました。

他にも、
「私が一番好きな時間はどんな時でしょう?」
「一番得意な科目(仕事)はなんでしょう?」
「行ってみたい国はどこでしょう?」
「大好きな食べ物はなんでしょう?」
お子さんだったら、「一番の仲良しは誰?」と聞いてみてもいいかもしれませんね。

(写真はイメージです)

53. 「他者」を通じて自分を知り、「対話」してみる

自分を知るためには、自分と対話することも大切ですが、先ほどの「自分を知るクイズ」のように他者から見た自分を知ることも有益だと思います。
「他者」といっても、いろいろな関係性があるので、たとえば、一緒に暮らしている家族は知っているけど、職場や学校の人は知らないこと。逆に、家族が知らないことを友だちや習い事やサークルで会う仲間が知っていることもあるかもしれません。

人は、いくつもコミュニティーを持っているのだと思います。そして、あえて意識的に、このコミュニティーをでは、「この顔」と使い分けていることもあるのではないでしょうか。
時には、「どうして、自分はこのコミュニティーではこの顔をしているのかな」「今、この場で他の人から見えている自分はどんな自分なんだろう?」などと考えてみると、また自分への理解が深まると思います。

54. 2023年のスタートに「セレンディピティ」を高めよう

キャリアコンサルタントの学びをしている中で、「セレンディピティ」という言葉ほど私を、わくわくさせてくれた言葉はありません。この単語の可能性に「ときめく」と言ってもいいほどです。

「セレンディピティ」は辞書によると、「思わぬものを偶然に発見する才能」とあります。
参照)weblio辞書

これは、予想していなかったものを発見したり、ひらめきによって新たなアイデアが浮かんだりすること。 代表的な例としては、リンゴが木から落ちるのを見たニュートンが、「万有引力の法則」を発見したことが挙げられます。
この言葉はペルシアの小説「セレンディップの三人の王子たち(The Three Princes of Serendip)」という、3人の王子が王様の命令で旅をしながら、困難を機転や知恵で乗り越えていく物語にちなんだものだといわれています。
参考)セレンディップの三人の王子たち―ペルシアのおとぎ話 (偕成社文庫)

この物語に解釈が少し加わり、「想像もしていなかったことによって、もたらされた幸運に気づき、引き寄せる能力」と説明されることが多いようです。
「想像もしていなかった」ように思うけれど、実はかなりの確率で「想像していなかった」ことが起きる要因、種(ある人は「フック」と書いていました)をまいていて、その種が、ふとしたところで芽が出ているのではないでしょうか。
そして、「能力」とあるので、これは鍛えられるものだと思います

みなさんは最近、「セレンディピティ」を感じたことはありますか?

55.セレンディピティを高めるトレーニング その1

セレンディピティを最近、感じたことがある! という方、いいですね。
「気づく力」があるのだと思います。
私は、時には「勘違いかも?」と思うほど、セレンディピティを探しています。
そして、「セレンディピティを見つけた」と思った時は、マンガやドラマで、主人公が膝をついて天を仰いで「神に感謝します!」というポーズをとりたいような気持ちになります。

(写真はイメージです(アフロ))

「セレンディピティ」だと思ったら、まず「意識」しましょう。
その場に立ち止まり「これ、セレンディピティじゃない!」と感じ、味わう。
そのアンテナが立てられると、次も「これ、セレンディピティかもしれない!」と感じられるようになると思います。
また、「セレンディピティ」は自分には起きていない、と感じている方もいるかもしれませんので、ここで感度を高める練習を1つご紹介します。

まずは、出来事の両面を見てみる練習をしてみるのはどうでしょうか?
私の中にも、「何でもポジティブに捉えるまさみん」と「なんでもネガティブに捉えるまさみん」がいます。

たとえば、ぎりぎり乗れそうなエレベーターや電車やバスのドアが直前で締まってしまった経験はありませんか?
ネガティブまさみんは「あー行っちゃったよー」心の中で、「ちぇっ、ついてないな」と感じます。
でも、そんな時に、後ろから同僚が「久しぶり!」と声をかけてくれたことがありました。
今、ヤフーはフルリモートが可能な働き方なので、久々に出社すると、こういううれしい再会があります。
その同僚とは、3年ぶりくらいに会えたので、次のエレベーターに一緒に乗り、降りるまでの、ほんの2分くらいの間にお互いの近況を伝えあい、「今度はランチでも…」と幸せな時間が過ごせました。

もちろん、すべての「ちぇっ」と思う出来事に、このようなことが起きるわけではないと思います。ですが、「今起きたこの(ちぇっ、と思う)出来事を、ポジティブまさみんならどんな風に、捉えるだろう?」と考えてみることで、セレンディピティの感度が高まるように思います。
そして、「これは一見、ついていない出来事だけど、もしかしたら幸福の女神が私にほほえんでいるのかもしれない。まだそれに気づいてないだけかも」とまで想像できたら、いいですよね。

(写真はイメージです)

56.セレンディピティを高めるトレーニング その2

「セレンディピティ」を最近感じてないな、という方は、ちょっと振り返ってみましょう。どうでしょうか。見つかりましたか?
あった! という方は、そのセレンディピティはなぜ起こったと思いますか?
そして、どんな行動をしていて、どんな種をまいたから起こったのでしょうか。
きっと、何かしらの行動(発言も含めて)が思い当たるはずです。

私がキャリアコンサルタントとしてこの記事を書かせていただいていることにも、2つのセレンディピティがあると思っています(本当はもっと多くのセレンディピティの集合体だと思っていますが、まずは2つ、ご紹介させてください)。

57.私のセレンディピティ キャリアコンサルタントとの出会い

1つ目は、「私とキャリアコンサルタントの出会い」です。
数年前、年齢的なこともあって、キャリアや体調についてもやもやしていました。そんなことを時折、社内の先輩に話していたのです。
その時にふと、その方から言われたのが、「まさみんさん、キャリアコンサルタントが向いているかもしれませんね」というアドバイスでした。
その時、初めて、キャリアコンサルタントという単語に出会ったのですが、何だか心がワクワクする、と感じました。
どうするとなれるのか知りたいと思い、すぐに調べて、学校を調査して、その週には申し込みをしていました。

58.私のセレンディピティ コーポレートブログでの連載

このブログが、私にとっては2つ目の、そして大きな「セレンディピティ」です。
YJぴあさぽの取材をこのブログの担当者がしてくれた時に、「私たちぴあさぽで、対話について何か発信できればいいなと思っているんです」と何気なく話してみました。
担当者は「いいですね! やりましょう!」と即答でした。ちょうど、私たちがこれまで続けてきた「対話」を通じて得た経験やスキルを連載にできないだろうか、と思っていたそうです。
この時も、「神様ありがとうございます!」とセレンディピティゲット! ポーズを心の中でしました。
そしていつか、このブログが書籍化されたらいいなぁ…とセレンディピティの種もまいています。

59.セレンディピティを高めるトレーニング まとめ

私がこれまで感じたセレンディピティの瞬間をご紹介してきました。

セレンディピティは能力(才能)の1つなので、必ず「鍛える」ことができます。
意識して自分と対話していると、「セレンディピティセンサー」の感度が高まり、ピピピ、と働くようになるので、ぜひ試してみてください。

セレンディピティを高めるためには

  • 行動する(新しいことをやってみる、行ったことのない場所に行ってみるなど)
  • 人とつながる(異業種など、さまざまな人と接してみるなど)
  • 感じる、受け取る

60.大切な人にも、セレンディピティのきっかけを贈ろう

また、周りの人にも、きっかけやチャンス、幸運を贈っていることがあるはずです。

以前、YJぴあさぽの対話の中で、「いつかは、海外で暮らしたいと思っています」と話した人がいました。私も同じことを考えているので、より「(セレンディピティ)見つけた!」と思い、新聞でみかけた「越境テレワークの支援サービスの拡大」という記事を共有しました。

こんな風に、対話の中で、相手にセレンディピティのきっかけを贈っていること、そして、相手から贈られていることもあると思います。

動いてみる、人とつながってみる、感じて、受け取ってみる。

2023年、まずは自分と対話し、「自分を知る」ための時間を持ってみてくださいね。

YJぴあさぽおすすめ:「対話」「コミュニケーション」のヒントになる本

傾聴のメリットや効果をしっかり学べる 手元に置いておきたい一冊

はじめての傾聴術
古宮昇/著

「話し方教室や講座はよく聞くけど、聞き方の教室ってあまり聞かないな…?」となんとなく考えていた時に、気になって手に取った本です。

「共感をもって聴く」など傾聴の基本的な態度や実践的なテクニックだけではなく、人の心の成り立ち、心の動きについても心理学の基礎的内容もふまえて解説されているので、傾聴のメリットや効果をしっかり理解しながら学ぶことができます。 また、事例や「聴く」ためのポイント、心理学的用語もイラストを交えて解説されているのでとてもわかりやすいです。

読み切って終了という感じではなく、手元に置いてときどきページをめくり、自分の心の振り返りも行っています。
傾聴をまずは学んでみたい、という方におすすめです。(YJぴあさぽ:ヒトちゃん)

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