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2022.09.07

ポジティブ思考もネガティブ思考も、練習でバージョンアップ! 対話のヒント

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この連載では、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの有資格社員で活動している「YJぴあさぽ(※1)」が、よい「対話」のヒント、実際の2on1やオープンダイアローグから、みなさんのコミュニケーションに役立てていただけそうなことをお伝えしています。

※1 YJぴあさぽ:
同僚を「ピア=仲間」ととらえ、キャリアや人間関係などに関する対話をすることで応援しています。具体的には、定期的に「オープンダイアローグ(※2)」と「2on1」を実施しています。
※2 オープンダイアローグ:
フィンランドで開発された精神科医療の包括的なアプローチで「開かれた対話」と訳されます。YJぴあさぽでは、話すこと、そして聴くこと、「対話」を大事にしたいという思いから、対話の場を「オープンダイアローグ」と呼んでいます。

みーさん
グッドコンディション推進室で従業員の健康増進企画を担当。夫と高校生の娘の三人暮らし。
保有資格:産業カウンセラー(JAICO)、交流分析士インストラクター、国家資格公認心理師
    目次:
  1. 人間は訓練の生き物
  2. ポジティブ思考、ネガティブ思考ってなんだろう
  3. ポジティブ思考の訓練
  4. ネガティブ思考の訓練

人間は訓練の生き物

ヤフーでは、2020年から「新しい働き方」としてフルリモート前提の勤務に移行しています。そのため、私もほぼ毎日自宅で仕事をしており、オフィスに出社するのは特別な用事がある数カ月に1回くらい、という生活です。
そのような生活を続けた結果、先日出社したときは、乗車するタイミングが遅れてしまい、後ろの人が私を抜かして乗車する、ということがありました。ホームドアの横に並んで待つ、乗り込むなどの動作が、なんだかぎこちなく、通勤に慣れている方のリズムを乱してしまい申し訳なかったです…。「通勤が下手になっている」ということに気がつきました。

毎日通勤していたころを思い出してみると、降車する方を優先するときは、電車内にどれくらい降りる人がいるか把握していました。そして、「降車する人の流れの切れ目にさっと自分が乗車する」ことを無意識にしていたのです。
長年やっていたこれらのことが、ちょっと通勤しないだけで下手になってしまうなんて、人間は本当に、訓練の生き物だと思います。

(写真はイメージです)

ポジティブ思考、ネガティブ思考ってなんだろう

私たちがよく耳にする「ポジティブ思考」「ネガティブ思考」も、「自分はそういう性格だ」と決めつけずに、「もしかしたら練習が足りていないからかもしれない」という視点で見つめなおしてみるといいかもしれません。

たとえば、同じ出来事でも、ポジティブに受け止める人と、ネガティブに受け止める人がいます。どちらが良い、正しいではなく、物事は見る側面や見方によって、別の見え方をするものなのです。
それ自体は物事の側面なので、どちらも否定するものではないと思います。ただ、その受け止め方がいつもどちらかに偏っている場合には、生きづらさを感じたり、物事がうまくいかなかったり、何かしらの不都合が生じることがあるかもしれません。

ここで改めて、ポジティブ思考、ネガティブ思考について考えてみましょう。

ポジティブな思考

物事をポジティブに受け止めて、感情、思考、行動に発展する
例1:新しい仕事の打診があったので、喜んで引き受けた
例2:健康診断で再検査の項目があったけれど、自分は大丈夫と考えて、再検査を受けなかった

ネガティブな思考

物事をネガティブに受け止めて、感情、思考、行動に発展する
例3:新しい仕事の打診があったけれど、自信がないので断った
例4:健康診断で再検査の項目があったので、重い病気が見つかるかもと考えて、再検査を受けた

みなさんは、4つの例のどれが正解だと思いますか? 

…実は、正解はありません。どの例も、そういう風にとらえて決める人はいますよね。
ただ、いつも、どちらかだけの受け止め方だと問題が起こることがあります。それぞれの例について、詳しくみていきましょう。

例1:新しい仕事の打診があったので、喜んで引き受けた

このポジティブは基本的に良さそうな反応です。でも、いつも同じように反応していたら、もしキャパオーバーになったときに気づけないかもしれません。

例2:健康診断で再検査の項目があったけれど、「自分は大丈夫」と再検査を受けなかった

このポジティブはあまり良くないことですが、実はこういう反応をする方は多いと思います。何度も再検査の指示があっても、反応を変えなければ病気が見つかることが遅れてしまうかもしれません。

(写真はイメージです)

例3:新しい仕事の打診があったけれど、自信がないので断った

このネガティブは、私もその気持ちがとてもわかります。こういう反応が必要な状況もあると思います。ただ、ずっとこの反応を続けた場合、もしかしたら成長の機会を失ってしまうかもしれません。

例4:健康診断で再検査の項目があったので、重い病気が見つかるかもと考えて、再検査を受けた

この例は、ちゃんと対処している「良いネガティブ」です。ネガティブに受け止めているのに、再検査などの行動に移さない方もいるからです。これは、「ネガティブに受け止めてポジティブに行動している」とも言えるでしょう。

※これらの例は一例です。その人によって、ポジティブに受け止めた後の思考と行動も異なります。同じ行動でも、ネガティブに思考した結果か、ポジティブに思考した結果かも人によります。

繰り返しになりますが、ポジティブが良くて、ネガティブが悪いわけでもありません。どちらのとらえ方も適切にできることが大切です。

私たちYJぴあさぽが行っている対話の場面では、ネガティブな言葉もしっかり聴きます。十分に聴いた上で、本当にポジティブな見方がないか聞いてみると、ポジティブな要素は絶対にあります。良いことに気づいていない…ということも多いのです。
これは「良かった探し」というよりは「良いこと無視」状態を緩めるお手伝いかなと思います。

反対に、「悪いこと無視」状態も決して良くありません。多くの方は、「愚痴を言ってはいけない」「ネガティブに考えてはいけない」と、感じていることにふたをしてしまっている場合もあります。ネガティブな見方もあって良いし、ネガティブな感情や思考も言葉にして存在を認めれば、落ち着いて向き合うことができます。

ポジティブ思考の訓練

ネガティブな反応が多いと感じている人は、自分に合ったポジティブ思考にチャレンジしてみましょう。いきなりネガティブ思考をなくすことは難しいので、ポジティブ思考をプラスするイメージです。それだけでネガティブ思考の連鎖を止めることができます。

ネガティブ思考の連鎖について詳しく説明すると、たとえば、信号が目の前で赤になってしまったとき「今日は運が悪い!」と思っていませんか? それは、「運が悪い」から始まるネガティブ探しの1日になってしまいます。世の中には信号が目の前で赤になっても、なにも思わない人、すぐに忘れてしまう人もいます。

ポジティブ思考は、前向きな未来への期待の力が湧きます。毎日、そしてここぞというときにも、使えるようになりたいですね。

(写真はイメージです)

1.思考からアプローチ

大勢の人の前で話すとき、「緊張したらどうしよう、嫌だな」を、「こんなにたくさんの人が自分に注目してくれるなんてありがたいな、緊張してもがんばろう」に置き換えます。
「〇〇になったら嫌だな」を「〇〇になったとしても大丈夫」に置き換えるのがポイントです。
「せっかく上手くいっていた仕事に横やりが入ってがっかり」(「横やり」という言葉が浮かぶ時点で、相当にネガティブですね)は、「横やりは横やりだけど、そのことによって、この仕事がより良くなる可能性や自分が楽しくなる可能性はないだろうか?」と置き換えてみます。
こちらも、ポイントは自分がコントロール不能なこと(横やり)に注目せず、自分がコントロール可能なことに注目することです。

2.体からアプローチ

背筋を伸ばして、胸を張り、目線は上+笑顔+息を深く吸って深く吐く。
とてもシンプルなことですが、ぜひやってみてください。この姿勢で落ち込んだ気持ちにはなりにくい人が多いと思います。体からくる情報は、かなりポジティブ、ネガティブに影響します。
また、お気に入りのポジティブなポーズを考えてみてもいいかもしれません。たとえば、両手を握って、空へ突き上げる「やったー!」のポーズ、ちょっと恥ずかしいという方は、小さくガッツポーズ、など。

(写真はイメージです)

実は、ポジティブなポーズが苦手な人は、ポジティブな言葉を自分にかけるのも苦手なようです。そんなときは、無理せずどんな言葉ならしっくりくるか、その人と一緒に考えることがあります。

「ポジティブ思考ができない自分はダメ」とネガティブ思考になった場合も、「自分で課題に気づいて取り組んでいる自分はよく頑張っている」と、これなら納得できる、と思えるポジティブな思考を見つけます。練習そのものがポジティブなことだと気づくことも、練習の成果です。

ネガティブ思考の訓練

ネガティブ思考は、リスクに気づいたり慎重になったりすることで、危険を回避できる機能があるので、悪いものではありません。ネガティブ思考から、危険回避(ポジティブな行動)につなげることができれば機能的(役に立つ)です。

ただ、そうした必要な危険察知の機能以上に、思考が働き過ぎていたり、問題を解決しないネガティブな行動につながったりしたときは、途中で止められるといいと思います。
「自分はダメだ」といった一方的なネガティブは、反省しているように見えて思考停止している場合もあり、問題の解決にはつながりません。そして、自分以外に向く「あいつはダメだ」「こんな仕事ダメだ」なども、思考停止としてしまうため機能しません。
適切にダメ出し(ネガティブ思考)したあとには、ポジティブ思考に切り替えて問題解決に取り組む「機能するネガティブ思考」を意識してみましょう。

また、うまくいっているときにも、ネガティブ思考の人は不安になってしまいネガティブを発揮しがちです。せっかくのうれしい出来事なのに、「きっとこれから悪いことが起こるにちがいない」などと喜べないことも…。
そんなときは、「悪いことは、起こるかもしれないし、起こらないかもしれない」ことを思い出してください。思い出した上で、慎重にネガティブにも考えた結果、今は喜んでも大丈夫、と思えたら安心ですね。

ここまでご紹介してきたことは例に過ぎず、この通りにやりましょうということではありません。ポジティブ思考もネガティブ思考も、過去の経験などから身につけたものだと思います。短期間で変えることは難しいかもしれませんが、どちらかをもっと上手に使いたい、と思った方は、自分にしっくりくる方法を探すための参考にしてみてください。

まとめ
・ポジティブ思考もネガティブ思考もどちらも役にたつ
・「良いこと無視」をやめて、ポジティブ思考をしてみよう
・「ネガティブ思考停止」をやめて、「機能するネガティブ思考」を意識しよう

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