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2019.02.07

新幹線や特急に乗って超遠方から通勤して来るヤフー社員に聞いた、地方暮らしと仕事を両立させる秘訣とは?

ヤフーでは2016年9月から、通勤時間が往復2時間以上かかる従業員を対象に新幹線通勤を認めています。

自然あふれる環境で子供を育てたり、地方の実家で親を介護したりしながら、東京オフィスをはじめ、各拠点での勤務を継続できるようにするための施策です。今回は、これらの制度を使って自分の思い描く暮らし方を実現している3人に、地方移住のきっかけや地方での暮らしぶり、仕事との両立の秘訣などを聞きました。

地方移住して新幹線通勤するヤフー社員プロフィール

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▲ 武居 秀和
Developer Relations 本部 デベロッパーコミュニティ部長 / Hack Dayプロデューサー。内外のエンジニア、デザイナーおよび学生との関係性を構築する仕事。クリエイターと共に技術を楽しむイベント「Hack Day」の責任者を12年にわたって務める。

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▲ 芝野 幹子
メディアカンパニー検索統括本部 求人検索本部。転職・求人サイトや企業サイトのあらゆる求人情報をまとめて検索できる「Yahoo!しごと検索(※2020/11/09 サービス終了「スタンバイ」に移管)」の企画担当。求職者と募集企業をマッチングする仕事。地方自治体からの求人を媒介する企画なども立てる。

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▲ 角谷 真一郎
ピープル・デベロップメント統括本部 コーポレートPD本部 採用・育成部。主に障がい者の採用・育成を担当。ヤフーの障がい者採用は「障がいに配慮はするが遠慮はしない」が基本方針。自身も視覚障がい者だが、文字拡大が容易なPCなどを支給され、健常者と変わることなく仕事をしている。

新潟・静岡・山梨─新幹線通勤で異空間を行き来する

──ヤフーでは毎月最大15万円までの交通費を補助しており、新幹線で遠方から通う社員がいます。今回は、新幹線や特急を利用して紀尾井町オフィスに通勤している皆さんに、なぜ地方に住むのか、そのライフスタイルを語っていただきたいと思います。

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武居:山梨県笛吹市に住み、中央本線の「石和温泉駅」から特急列車を利用して通勤しています。朝はドア・トゥ・ドアで2時間40分、帰りは2時間半かかります。朝の中央線は混むので、特急でも遅いんですよ。

今朝も鹿にぶつかって遅延しました(笑)。そういう地方ならではのリスクはたしかにあります。ただ、中央本線の特急の最終は新宿駅23時ですから、多少、仕事や付き合いで遅くなっても十分帰れる距離ではあります。
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▲ 山梨県 石和温泉駅

もともとは東京都区内に住んでいました。都会暮らしは長いのですが、妻は山梨県、私が長野県と共に地方出身。週末は夫婦そろって自然と触れあうアクティビティが好きでした。子供ができたのを機会に、都会よりは、田舎でのびのび子育てをしたいと考え、子供が1歳の時に思い切って引っ越しました。

当時はまだ新幹線通勤が会社としては認められていなかった時期でしたが、それでも普通列車の通勤定期代は月額10万円(2016年からは15万円)まで認められており、特急料金だけ自腹で払っても、地方に住んで遠距離通勤する意味はあると考えたんです。

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芝野:私は静岡県三島市在住で、東海道新幹線の「三島駅」から通っています。移住は結婚がきっかけです。富士五湖のキャンプで知り合った夫は住まいも職場も静岡県。結婚しようとなった時、私はヤフーを辞めるつもりはなかったので、週末だけ一緒に過ごす“週末婚”という選択もやむを得ないかなと思っていたんですが、夫は「新幹線だったら通えるよ」と軽く言うんです。
そこで最初は夫の実家のある富士宮市に居を構え、新富士駅から通っていました。ただ、新富士に停まるこだまが少ないので、その後、三島市に引っ越しました。

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▲ 静岡県三島市の源平川
オフィスがある紀尾井町まではドア・トゥ・ドアで片道1時間半。子供は5歳になりますが、富士山が望めて、屋上にはプールもある、とてもきれいな保育園に通っています。保育環境としては、東京ではとうてい叶えられないものですね。

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角谷:新潟県南魚沼郡湯沢町、上越新幹線の「越後湯沢駅」から徒歩4分のところに住んでいます。実家は70年続くスキー民宿。土日は実家を手伝い、平日は東京に通勤という生活です。

朝7時の新幹線に乗れば、9時から業務開始できます。冬の湯沢は膝の上まで埋まるぐらい雪が深いですが、トンネルを抜け、都心に着くとすっかり晴れている。このギャップを毎日のように体験しています。

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▲雪深い新潟県南魚沼郡湯沢町から、新幹線で東京・紀尾井町オフィスへ
湯沢に引っ越したのは2017年1月から。父が亡くなり、高齢の母を助けたいというのが一番の理由です。冬の雪下ろしは老人一人ではとても無理ですからね。会社で新幹線通勤が認められたことが大きな後押しになりました。

地元の振興に貢献したいという思いもあり、会社を終えて湯沢に戻ってから、青年会の夜の会合に顔を出すことなどもあります。


── 普通列車および新幹線の定期代について、会社からは月額15万円まで補助されますが、実際にかかる通勤費用と会社の補助額はどのぐらいですか?

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武居: 特急料金は通勤補助費の対象にならないので、それだけは自腹で出しています。特急回数券や、えきねっと割引を使うことで出費は月額3万円弱に抑えられます。

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芝野: 新幹線はこだま限定定期を使うので、1カ月約9万円。それに地下鉄定期があるので、会社からの交通費補助は合わせて10万円程度ですね。

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角谷: 私は新幹線定期が14万8000円。越後湯沢まで片道200キロを超しますから(笑)。それに地下鉄定期が6000円。上限15万円を4000円オーバーですが、その分は自腹です。


── 遠距離通勤なりの苦労も多いと思いますが、それでもあえて地方に住むメリットをどう感じていますか。

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武居:私の場合、子育て環境の充実というのが地方移住の最大のポイントでした。例えば、いま子供が通っている保育園は野外保育を基本とするユニークなもの。終日、森の中で遊び、自然の中で学ぶんですよ。のびのび走り回って疲れた子供は夜9時には寝ちゃいます。

それだけでなく、生活費を含め、生活環境が充実していることも地方移住を決めた要素でした。今の自宅は駅まで徒歩4分、築4年の3LDK、駐車場2台分付きのアパートで、家賃が月額8万円。

部屋からは南アルプスの山脈が望め、一番近い山の登山口まで徒歩10分。「どこでもオフィス」制度を使って在宅勤務をする時は、トレイルランニングをしてから仕事を始めることもあります。

都会ではなかなかない、近所とのおつき合いも楽しんでいます。子供を知り合いに預けたり、こちらも預かったりすることも多い。採れたての野菜や果物がドアノブにかかっていたりする。それに対するお返しは、子供が着なくなった古着でするとか。物々交換の経済ですよ(笑)。

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▲武居さんの部屋からの眺望と、トレイルランニングコース
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芝野:移住する前も、週末は地方に遊びに行ってました。田舎は野菜もおいしいし、温泉も好きだし、だから都会の生活にまったく未練はなかったんですね。そういう田舎の暮らしが当たり前の日常になったことがハッピーです。

それに地域によっては、地方自治体が移住支援を行っていることもあり、それを上手に活用できれば、もっと暮らしやすくなります。ちなみに、私は今、三島市の地方創生会議の住民議員をやっていて、市が実施する移住支援の施策を評価したりしています。

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角谷:湯沢町も移住定住支援に熱心です。湯沢町は昨年(2016年)から、新幹線を利用して通勤する人に定期券購入費用1カ月5万円を上限に補助するという制度を始めました。

私は会社から全額補助が出るので、自治体の支援は受けていませんが、いい制度だと思います。人口減少をどうしたら食い止められるかはどの地方自治体にとっても課題ですからね。


──普段の週末はどのように過ごしていますか?

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武居:湯量豊富な温泉に恵まれており、最寄りの温泉は歩いて5分。お気に入りはアルカリでお肌つるつるの美肌の湯です。後はサイクリングロードを子供と自転車で走るとか、幼稚園仲間の家族と一緒に登山とか。

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マルシェ、朝市、ワイナリーや酒蔵探訪などのイベントもたくさんあるので、東京にいなくても、飽きることがないですね。

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芝野:三島市も、祭りやフードフェスティバルなどイベントが盛りだくさん。週末は蛍が飛ぶ川で水遊びしたり、キャンプしたり。子供も喜んで遊んでいる。そういう自然の遊びが周囲にたくさんあるから、うちの子はディズニーランドとかキッザニアとか都市型の遊びにはまだあまり興味を示さないんですよね。

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▲車で40分で行けるキャンプ場や保育園に隣接する公園

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角谷:温泉だったら私も自慢できますよ。なにしろ湯の街、越後湯沢。マンションの中に自然温泉の大浴場がありますから。冬場の土日はもっぱら実家の民宿の手伝いですが、春から秋にかけては、温泉街のイベントの仕掛けや、FUJI ROCK FESTIVALのボランティアなどもやっています。

地元の青年会のメンバーや観光客と触れあうのは楽しい。一日の半々を都会と田舎で暮らす生活。毎日別世界を味わっているようなものです。

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▲ 温泉街のイベント、地元の青年会、農作業の様子

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武居:そもそも、田舎の空気っていいものでしょう。山の匂い、草の匂い、空気が違う。駅に着くとホッとします。僕の場合、田舎にないものといえば、今の職場だけ。それ以外は、僕に必要なものは全部ある。もし都会的なエンターテイメントが恋しくなったら、地方中心都市、僕の場合は甲府市まで出ればそれなりに味わえる。

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芝野:大都会が好きで、都会のカルチャーが好きな人には無理かもしれませんが、そうではない人には、田舎暮らしはお薦めです。とはいえ、三島あたりだとイメージとしての田舎なわけじゃなくて、中心街に出ればそれなりに都市生活も楽しめる。

本格的なエスニックとか中華料理店とかはないけれど、実はおいしい店は東京以外にもあるんです。もちろん、東京のレストランに行きたければ、私たちの場合は、会社帰りにちょっと赤坂に寄り道すればいいですからね。

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新幹線通勤は“第三の時間”。その活用法は?

──新幹線や特急に乗っている時間は長いと思いますが、毎日、どのように有効活用していますか?

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芝野:私は結婚、妊娠という、生活が激変するタイミングで新幹線通勤を始めました。新幹線に乗っている約1時間は、自分が一人になれる唯一の時間。だから、そこでモードを切り替えるようにしています。

車中はできるだけ仕事をしないようにしていますが、朝の通勤で品川を越えたあたりから徐々に仕事モードに入る。帰りの車中も頭の中で仕事から家へとゆっくりモードを切り替えます。

そんなふうに新幹線の時間を有意義に過ごすために最適なギアを実は武居さんに教えてもらったんです。

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武居: ノイズキャンセリングのヘッドホンのことですか? 長距離通勤では、列車の音や周りの騒音が身体に負担を与えるらしいと、軽井沢から通勤している役員に聞いたことがあるんです。

お勧めされて買ってみたのが、高性能のヘッドホン。3万円もするけど、外界を完全にシャットアウトして自分の世界に入れる。私は英語力の維持を兼ねて、往復の間は英語の動画を見ることが多いですね。

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角谷:新幹線通勤は、会社でも家でもない、私にとって“第三の時間”だと考えています。越後湯沢からは100%座れますから、ゆっくり落ち着いて、何かに取り組める。この時間をTOEICの勉強に充てたら、過去最高のスコアを出すことができました。

2年前までは、いやだなあと思いながらも毎日満員電車に揺られていた。それを思うと、今は夢のようです。車窓からの風景が季節ごとに変化するのを楽しみながら、通勤できるわけですから。私は新幹線通勤が大好きなんですよ(笑)。


──あえて、地方移住・新幹線通勤のデメリットを挙げるとすれば何でしょうか?

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角谷: …………………デメリット、全然ないですねえ。

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武居: 唯一、リスクといえば、特急列車にぶつかってくる鹿ですかねえ(笑)。あとは、子供が急病になった時にすぐに帰れないとか。

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芝野: 東日本大震災のときのような大地震が起きて、新幹線が止まったときのことは常に考えています。おそらく地震が起きたら、電車が動くまで私は東京で待機。夫と娘の静岡組には静岡で頑張ってもらう。

万一、車内に閉じこめられた場合を想定して、車中で一晩過ごせるように、パパママサポーター(※注1)のセミナーで教えてもらった防災グッズを入れたポーチは必ず身につけるようにしています。

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武居: 僕は何があっても歩いて帰りますけどね(笑)。一度、職場から120km離れた自宅まで歩いて帰ってみようと、1日で80kmぐらいまでは歩いた経験があります。

社員のライフスタイルの変化や、多様な働き方を会社が全力でサポート

──新幹線通勤可能なこの環境は、社員の地方暮らしを会社がサポートすることにもなるわけですが、それについてはどう評価していますか?

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角谷: 会社のサポートにはほんと感激します。それに報いるために仕事も頑張らなくちゃと思いますね。

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武居: ライフスタイルは年代や家族構成によって変化するものだと思うんです。僕も20代の頃は、大都会で夜遊び三昧でしたが、結婚して、30代半ばを過ぎる頃になると、気持ちが田舎回帰の方向に向いてきました。最初はトライアルのつもり。無理だったら東京に戻ろうと思ったけれど、結果的に、すごく気に入りましたね。

自分のライフスタイルの変化と仕事をいかに両立させるか。これは、一人ひとりが考える問題ではあるけれど、その選択を会社がサポートできることはとても大切だと思います。

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芝野: 今は東京に住んでいるけれど、これからは田舎に住みたいと考えている人は少なくないはず。さらに今後は、もともと地方に住みながら東京の会社への通勤を続けるというケースも増えてくると思います。親の介護などで、どうしても地方を離れられない人もいるわけですから。そのための高速交通機関として新幹線があるんだと思います。

ヤフーのように新幹線通勤を認め、その交通費を負担する会社がもっと増えてくるといいですね。無論、その前提として働き方改革が会社としてできているかどうかは重要。残業が多すぎると、新幹線通勤なんて土台無理ですから。

何より、私の場合は、育児中の女性でも遠距離通勤できていることを示すよい例だと思うんです。新幹線通勤補助だけでなく、家族の介護や看護が必要な従業員を対象に週休3日ではたらく「えらべる勤務制度」、時短勤務や会社以外のどこでも働ける「どこでもオフィス制度」など、多様な働き方をサポートする制度がいくつもあり、それらを組み合わせて利用できます。こればかりはヤフーでないと無理だったかもしれませんね。

──地方に移住し、新幹線通勤しながらの日々の気づきが、ヤフーでの業務に何かプラスになっていることはありますか。

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武居: 会社にいられる時間が限られているので、優先順位の付け方や時間の使い方がうまくなったと思いますね。それと田舎の町の衰退を目の当たりにして、縁のある地域のためにITで何かできないかということを、よく考えるようになりました。

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芝野: いま私が担当する「Yahoo!しごと検索」では、神戸市熊本市などの地方自治体への就労支援企画をやっているんですが、それを考えるうえでは、私自身の移住経験も役立っていると思います。

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角谷: 短期的には新幹線通勤の時間を有効活用し、例えば英語のスキルを向上させて、業務にも生かせたらと考えています。いずれは民宿の経営とヤフーでの業務を両立できるようになれればいい。今はそのための準備期間といえるかもしれません。

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ヤフーではさまざまなライフステージ、バックグラウンドの社員が最大限に活躍できる環境を制度と風土の両輪でつくっています。
現在もたくさんのポジションでジョインしてくださる仲間を大募集中ですので、ご興味がある方はこちらからエントリーしてください。

(※注1)
パパママサポーター制度は、ヤフーの有志社員が中心となって活動している「パパママプロジェクト」のひとつ。子育て中の従業員を対象とした座談会や情報交換、悩み相談ランチかい、個別の相談受付などを行っている。

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