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2022.11.09

「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 「聴く」ための初級編(31~40)

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この連載では、よい対話にするために心がけたいことや「聴く」ためのヒントを、「YJぴあさぽ(※)」のメンバーがお伝えしています。
※YJぴあさぽ 産業カウンセラーや国家資格キャリアコンサルタントの有資格社員によるボランティアプロジェクト。

まさみん
ZアカデミアでZホールディングス全体の組織活性、人材育成、コミュニケーション円滑化の取り組みなどを担当。
保有資格:国家資格キャリアコンサルタント、トラストコーチングスクール 認定コーチング スキルアドバイザー

聴く 初級編 31-40

この連載では、よい「対話」にするために大切な「聴く」ためのヒントをお伝えしています。これまで30のヒントをお伝えしました。
友人やキャリアコンサルタントの先輩、同僚も読んでコメントを寄せてくれました。
そして、多くの方がこのヒントを読んで、
「ああ、自分はこれができていない!」
「子どもの話、聴けていないなあ、さえぎっているなあと、反省です」
と「反省」しているようです。

みなさん、ついつい、自分のできていないところに意識がいってしまうのかもしれません。
できていないところではなく、「てきているところ」に目を向けて、自分に花丸や「いいね!」をつけてほしいなと思います。

ときには自分に「花丸」や「いいね!」をしてみましょう。(写真はイメージです)

今回も初級編です。何度も書いていますが、とにかくトライです!
お伝えしているヒントを意識して、アクションに起こすことで身についていくと感じています。よかったら、1日1ヒント、実践してみてくださいね。

31.全然、理解できない…からスタート。理解するために聴く

「聴く」を続けていると、時には自分の価値観と正反対の方の話を聴くことがあります。
「常識」や「ものの見方、考え方」は、まさに千差万別。まずは、そのことに気が付くことがとても大切だと思います。
全然、理解できない…があってもいいのです。そこから、スタートです。
理解しようとするからこそ「聴く」のだと思います。

参照)21.「聴く」の難しさに気づく

32.簡単に「わかる」と言わず、理解しようとすることが大事

「わかる~!」とテレビなどでもよく耳にします。
でも、対話しているとき「聴く」の中では、私は簡単には「わかります」とは言いません。

「聴く」を続けていると、とても大変な状況の方に出会うこともあります。
育児や介護、仕事との両立が大変、ご自身の体調に不安なことがある…など。また、お子さんのこと、人間関係の難しさを感じて悩んでいる方も。
すべて、簡単に、「わかる~!」とは言えない状況です。
でも、それでいいのだと思います。同じ境遇ではないので、簡単に「わかる」とはいえないけれど、理解しようとしてくれる人がいる、というだけで人は心が少し軽くなるように思います。

33.オンラインでは、話し手の気持ちが落ち着くまで見守る

私たちYJぴあさぽは、「対話」をオンラインで行っています。
社員は日本全国、どこに居住してもいいので、YJぴあさぽも参加してくれる人も東京や大阪、福岡、さまざまなところからZoomに入ります。
場所の制限がないので、全国どこからでも話を聴けるのは、とても素晴らしいと感じています。

ただ、時々とても大変な状況を話しながら、時に涙ぐんだり、声を詰まらせて一時中断したりする方もいます。私はこんな時が、一番、もどかしいと感じます。
もし対面で話を聴いていたら、そっとハンカチを差し出してあげたり、背中や肩に(相手が嫌でなければ)手を置いたり、ハグしたりできるのに…と、オンラインの課題を感じる時があります。 でも、そんな時でもできることがあります。
それは「待つ」ことです。ただ、話し手の気持ちが落ち着くのを見守ります。
「大丈夫ですよ、思いがあふれてきますよね」「ゆっくりでいいですよ」とお伝えします。

こんな風に寄り添えたらと思うことも…。(写真はイメージです)

34.大きく違う考えのときも 不思議に思うから…聴く

大変な状況の方の気持ちを簡単に、「わかる~!」と言わない、という話は、前段でしました。また、違う状況でも、わからない…と感じることがあると思います。

一般的に仕事をする上では、「当たり前」「常識」と考えられていること(これも、人それぞれかもしれませんね)と大きく考えが違う方もいます。
たとえば、「約束の時間には遅れない」。
「先日、会議の時間にほんの5分くらい遅れただけで、上長から怒られたんですよね…。冒頭の内容なんてあまり意味がないし、中身は理解できているんだからいいと思うんですよ、いちいち細かくて、嫌になります」
という話を聴くことも。

そんな時、心の中では「いやいや、会議には時間通りに参加するべきなのでは…」という思いがよぎりますが、まずは聴いてみます。
「会議に5分遅れたことを、怒られて嫌になってしまったのですね?」
話された言葉と同じ言葉を、あえて語尾をあげて(疑問形で)聞いてみることもあります。
または、
「どうして5分遅れたのですか?」
と聴くこともあります。
「どうして~」の問いをするときは、詰問にならないようやわらかく、がポイントです。
遅れた理由が、「実家の母から連絡が急にきて…(父の介護のことで)」
と続いた場合は、「上長にその理由は話しましたか?」とたずねました。
また、「上長は、何について怒っているように感じましたか?」と聴いてみてもいいかもしれません。

質問の仕方については、中級編で詳しく書こうと思います。
わからないから「聴く」、不思議に思うから「聴く」でいいと思います。

35.「…ではないんですけど」の後に、その人の伝えたいことがある

YJぴあさぽと対話をしている時、Zoomに入室してくるときは、少なからず皆さん緊張した顔をしています。
「特になにを話したいということもないんですけど…」
「悩んでいるわけではないんですけど…」
この、「ど…」に続く言葉に注目です。
「ど…最近、仕事に集中できなくて…」
「ど…この先、どうしたらいいのか、なんとなく不安で…」

「ど…」の後には、その人が本当に伝えたいことがあるように感じます。
そして、続く言葉も曖昧なものが多いです。「なんとなく」「ふつう」「ちょっと」とか。

そのあと言葉が続かないときは、
「なんとなく… どんな気持ちですか?」
「ちょっと…どんなことを思い浮かべていますか?」
などと聴いてみます。 「ど…」は、その人の本当に伝えたいことを知るための鍵になるときがあります。

「〇〇ど…」は、その人が伝えたいことを知るための鍵かもしれません。(写真はイメージです)

36.心のシャッターが開かない…相手の様子から、気づいたことを質問する

時には、なかなかシャッターが開かない方もいます。Zoomに入室して、こちらは、和顔施(仏教の教えの1つで「やさしいほほえみをもって人に接する」こと)でいても、にこりともしない(作り笑いをしてほしいわけではないのですが、やはり、少し気になります)、または目をあまり合わせてくれない…など。
オンラインでの対話では、その人が直前までなにをしていたのかわからないこともあるので、こんな時も少し待ってみます。

天気の話をしてみたり、ランチの後であれば、「ランチはしっかり取れましたか?」と聴いてみたり。少しずつ聴いていくと、「つい、さっき病院から戻ったばかりで…」「子どもがちょうど、帰宅して…」などと、少し余裕がなかった理由を話してくれる方もいます。
他にも、なんだかそわそわしていたり、「上長も、同僚も、いい方で別に悩んでいるわけではないんですけど…」待っても次の言葉がなかったり、ということも。

実は、相手の表情、身振り、顔色、などにも大切な情報が入っています。たとえば、顔色が悪い、そわそわしている、すごく早口…など、話している言葉以外にも、相手をより知ることができると思います。
そんなときには、「最近、ちゃんと睡眠とれていますか?」「ご自身のための時間は、ありますか?」などと質問することもあります。
参考). 話している相手の様子を観察して、気づいたことを質問してみる

37.相手の心を開くスイッチを探す

「はなしてくださいね!」オーラ全開だと、相手が引いてしまうことがあります。
話したいけど、話すのには勇気がいることもあると思います。

そんな時は、
「急に、寒くなりましたね。どちらにお住まいですか?」
「秋は、食べ物がおいしいですよね、私は焼き芋が大好きで…」
などと、ほんの少し、自分の話をしてみます。

そうすると、緊張がほどけて、食べ物の話をきっかけに、「実は…」話してくれる人もいれば、それでもやっぱり、話してくれない人もいます。でも、「あまり話してくれなかったな」と思いがちですが、その方なりの時間の使い方があるので、それでも良いのだと思っています。
そんな時は、「YJぴあさぽは複数名いるので、またお時間を取って顔をだしてみてくださいね」とお伝えします。

38.話を聴いてもらっていないとき、相手は心のシャッターを下ろす

前回の2オン1の記事でもお伝えしましたが、ここでも改めて書きたいと思います。 参考)「リモートワーク時代」の新しい対話 ヤフーの「2on1」とは

あなたなら、どんな時に心のシャッターを閉めますか?
または、早くこの会話を切り上げたい、と思うでしょうか。
幸いにも、YJぴあさぽでしてきた対話では、この「シャッターが下りてしまった」ことはまだありません。

ですが、私と子どもとの対話を考えると、よく、やってしまっています!
途中までは、「聴く」を意識して全集中で聴いていますが、「聴きたい話と違うな…」と感じた瞬間に、自分の中で興味がうせたり、次になにを言おうかと考えたりしてしまうのです。
そんな表情は、かならず相手に伝わるものです。
また、よくあるのが、スマホが気になってどこか上の空になってしまうこと。「聴く」時は、別室に置いておきましょう。
「ああ、聴いているようで、聴いてもらっていないな…」
と思った時に、話し手の心のシャッターは下りてしまいます。

39.下りたシャッターは無理に開けず、時間が解決

しっかり「聴く」に集中できず、話し手の心のシャッターが下りてしまったときは、率直に謝ります。もちろん、相手が子どもでも、大人でもです。
そして、「ごめんなさい、もう一度、●●のところから聴かせてもらえますか?」とお願いします。

ただ、しっかり「聴いて」いても、相手の心のシャッターは降りてしまうことがあります。
話している途中で、これ以上は言わない方がいいと話し手が感じて、黙ることもあるからです。
聴き手側に理由があるか、話している側に理由があるかは、わからない時もあります。

下りてしまった心のシャッターは、決して無理にこじ開けないようにします。 時間が解決することもあります。

下りてしまった心のシャッターは、決して無理にこじ開けようとはしません。(写真はイメージです)

40.へこむとふくらむ? 見方を変えて良い点に目を向ける

YJぴあさぽで話を聴いたあと、多くの方は、「ありがとうございました、話せてよかったです」と言ってくれます。でも、時には、そうでないこともあるだろうなと覚悟しています。
支援、応援したいと思っていても、そうならない、そう受け取られないこともいつかあるかもしれません。
息子が幼いころ、仕事で落ち込んでいた話をしたことがありました。
「ママ、ちょっとこういうことがあってで、へこんだんだよねえ」
息子「へこむっていうことは、どこかはふくらむんでしょ?」
なるほど、と思いました。こんな風に、少し視野を広げて 見方を変えるだけでも、気持ちが楽になることがあるかもしれません。

冒頭では、「自分のできているところに目を向けて、ハナマルを」と書きましたが、実は私も、自分にだめ出しをしてしまうタイプです。
99%いいねと他者が言ってくれても、1%の課題があると、その1%に固執してしまい、つい落ち込んでしまいます。

YJぴあさぽで、話を聴くときはできるだけ、その人の「いいね!」に目を向け、穏やかな気持ちで「聴く」を続けていきたいと思っています。

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