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2022.08.24

「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 「聴く」ための初級編(11~20)

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この連載では、よい対話にするために心がけたいことや「聴く」ためのヒントを、「YJぴあさぽ(※)」のメンバーがお伝えしています。
※YJぴあさぽ:
産業カウンセラーや国家資格キャリアコンサルタントの有資格社員によるボランティアプロジェクト。

まさみん
ZアカデミアでZホールディングス全体の組織活性、人材育成、コミュニケーション円滑化の取り組みなどを担当。
保有資格:国家資格キャリアコンサルタント、トラストコーチングスクール 認定コーチング スキルアドバイザー

この連載では、「対話」の大切さをお伝えしながら「聴く」ためのヒントを、準備編、初級編、中級編に分けてお伝えしていきます。前回は、「聴く」前に 導入(準備編)、「聴く」初級編をお伝えしました。

「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 「聴く」ための準備編

今回も引き続き「聴く」初級編のノウハウをご紹介します。
気になるものがあったら、日常の中でぜひ試してみてください。その時の相手の反応、ご自身の気持ちがどう動いたかなども感じられると、「聴く」スタイルができてくるように思います。

「聴く」初級編

11.「聴く」ためには笑顔と「全集中」が必要

「聴く」前に 導入(準備編)の「5.和顔施(わげんせ)で接する」でお伝えした「和顔施」を覚えていますか?

改めて、「和顔施」です。口角をあげて「にこっ」と、「大好きなものや人を見るときの目」を想像してください。お気に入りの鏡を手元においておくのもいいでしょう。 ここまでは、復習です。

鏡に向かって笑顔の練習をしてみましょう(写真はイメージです)

相手との位置の取り方ですが、対面の場合は、話し手の斜め45度くらいの位置に、オンラインの場合は、画面に向かってやや前のめりくらいの姿勢でゆったりと構えましょう。
そこからが、コミュニケーション、そして「聴く」の始まりです。
「聴」という文字は、耳、目、心の入っている文字ですね。「鬼滅の刃」のセリフでよく耳にする「全集中」は、実は「聴く」ためにも必要です。

12. 無理なく集中して聴ける時間を設定する

あなたは、どれくらいの時間「集中」できますか?
興味のあること、たとえばゲームや動画であれば、没頭することはあるかもしれませんね。
ですが、まだどのような話かがわからずに、相手の話に集中することは、それなりの覚悟が必要だと感じています。
人間が集中できる時間は、「8秒説」「15分説」「25分説」などさまざまですが、正確な数字はあまりわかっていません。相手や内容によりますが、人間の集中できる時間の目安は、だいたい10~30分といったところではないでしょうか。

私たちYJぴあさぽが2on1で話を聴く際は、導入とクロージングで5分、聴く時間は約25分です。 しっかり聴くためにも、長く聴き続けることがいいわけではありません。

13. うなずきやあいづちで、聴いていることをしっかり伝える

うなずきは、多すぎても、少なすぎても…という難しさがあります。
オンラインの場合、声を出しながらうなずくと相手の声が聞こえなくなってしまうことがあります。声は出さずうなずきを多めにして、表情で「聴いているよ」と伝えましょう。

あいづちは、「はい」「ほう」「へえ」「なるほど」「ふむふむ」「おお」「そうなんですね」など、「はひふへほ」の音を、活用してみるといいですね。
いろいろなあいづちで、ちゃんと聞いていることを伝えましょう。
後述しますが、必ずしも相手が言っていることに「同意」しなくてもいいのです。
まず、ここでしてほしいのは「聴いているよ」というサインを「うなずき」や「あいづち」で送ること。
なにも反応がない相手に、人は1分と話していられないと思います。
「聴いているよ」「話を続けていいですよ」というメッセージを、うなずきとあいづちで伝えましょう。

表情でも「聴いている」ことを伝えられます(写真はイメージです)

14. 相手や話す内容によって、声のトーンも変えてみる

人にはそれぞれ声のトーンがありますが、人を安心させる声はどんな声でしょうか。
相手や話す内容によって、少し変えることも大切です。
悲しい話の時には、悲しそうな声であいづちを。楽しい話の時は、楽しそうな声であいづちを。
「そうですか」や「はい」というあいづち1つをとっても、いろいろな声のトーンが使えますよね。
「そうですか(悲しげに)」「そうですか~!!(楽しそうに、喜ぶように)」など、相手のトーンやリズムに合わせてみると、相手は話しやすくなります。

このときに気をつけたいポイントは、「相手以上にはリアクションをしないこと」だと思います。
あまり大きくリアクションをしすぎてしまうと、話し手が必要以上に反応して話のリズムが止まってしまうこともあるため、意識して相手に合わせてみるといいと思います。

15. リアクションや話すスピードを相手に合わせる

相手が落ち着いて話をしてくれるように、話すスピードも相手に合わせてみましょう。
みなさんは「ミラーリング」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは仕草などを同じにすることですが、声のトーンや、話す速さにも同じことが言えるように思います。

(写真はイメージです)

ただ、時には気持ちが高ぶっていて、興奮気味に話す方もいらっしゃいます。
そんなときは、気持ちを落ち着けてもらうためにも、あえて0.7倍くらいに話す速さを抑えてみましょう。「もう少しゆっくり話してください」とあえていわなくても、こちらがゆっくり話したり、落ち着いたトーンで話したりすると、相手もミラーリングの効果なのか、だんだん落ち着いてくるように感じます。

16. 視線はそらしすぎず、合わせすぎず 相手が話しやすい視線を意識する

聴くときに「全集中」を意識すると、人はどうしても、相手の目をじっとみてしまうようです。集中して聴いた方がいいとはいえ、それだと少し話しづらいですよね。
そんなときは、相手の眉間や鼻の頭をやんわりとみるといいといわれています。ポイントは「視線をそらし過ぎず、合わせすぎない」です。
視線が合うことで信頼関係が増しますが、合わせすぎると今度は「緊張」が増してしまうので、相手が話しやすい「視線」を探る必要があります。

17.表情や声のトーン、身振りなどの非言語のコミュニケーションも大切

後半では、質問の仕方など、言葉にも焦点を当てていきますが、一番大切なのは、「非言語のコミュニケーション」です。
言葉のコミュニケーションに人は注力しがちですが、私は非言語コミュニケーションがそれ以上に大切だと感じています。

非言語コミュニケーションとは、言語に頼らないコミュニケーションのことで、英語では、Nonverbal communication(ノンバーバルコミュニケーション)とも呼ばれています。
今まで挙げてきたものは、ほぼすべて非言語のコミュニケーションです。

「メラビアンの法則(※)」によると、人と人がコミュニケーションをとるときには、
「言語情報7%」「聴覚情報38%」「視覚情報55%」
という割合で影響を与えあっているそうです。
言語から影響を受けることは7%で、実際には聴覚と視覚から得る情報が93%。
言葉よりも、雰囲気やイメージ、なんとなくの感じ方が感情や印象を左右するそうです。
※メラビアンの法則:
アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンによって提唱。「3Vの法則」や「7-38-55ルール」ともいう。

非言語のコミュニケーションができることが、とても重要です。

聴くときの表情や声のトーン、身振りなどからも、たくさんのことが伝わります(写真はイメージです)

18.一番大切なのは、相手を思う気持ち

非言語のコミュニケーションのテクニック(技法)について書いてきましたが、一番大切なのは、相手を思う気持ちです。
誰もがつらい時、悲しい時、言葉はなくても、隣に人がいてくれるだけで安らいだ記憶があるのではないでしょうか? ただそこにいるだけでも思いは伝わるし、相手は安心することがあると思います。

19. 話している相手の様子を観察して、気づいたことを質問してみる

「観察」というと少しクールな印象を受けるかもしれませんが、相手の表情、身振り、顔色、なども大切な情報が入っています。
身なりが整っていない(余裕がないのかな?)、顔色が悪い(眠れているかな?)、そわそわしている、すごく早口で話している…など、相手を観察していると、話している言葉以外にも、相手をより知ることができると思います。
私たちYJぴあさぽは、そんなときには、「最近、ちゃんと睡眠とれていますか?」「ご自身のための時間は、ありますか?」などと質問することもあります。

20. 話し手の情報をあえて事前には入れず、話してくれたことを「聴く」

私は、YJぴあさぽとして聴くときには、話し手の情報を事前にできるだけ「入れない」ようにしています。
YJぴあさぽは、同僚による支援、応援を会社の中で行っているため、その人の組織、役職、キャリアの歩み方を事前に知ることが可能です。でも、私はできるだけ先入観のない状態で相手に向き合いたいと考えています。

必要以上に事前に情報を入れてしまうと、どうしてもバイアスをかけてしまうことがあります。「この人は、管理職なのか」「部署異動の回数が多いな」など…。
そのような情報を何も入れずに、相手が話してくれたことを「聴く」ところからがスタートだと思っています。

参考:<ちょっと専門的なこと>

今までお伝えしてきたことは、キャリアコンサルティングの学びの中にあります。
アイビィ(※米国のカウンセリング心理学者)が提唱する『マイクロカウンセリング技法』の中の、「かかわり行動」です。

木村周先生の著書『キャリアコンサルティング理論と実際』によるところのマイクロカウンセリング技法は、
・かかわり行動
・かかわり技法
・積極技法
・技法の統合
の4つの技法に分けられます。
対話をするうえで活用できるヒントになるので、興味を持った方は、読んでみてくださいね。

【関連リンク】

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