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企業情報

2022.10.28

「リモートワーク時代」の新しい対話 ヤフーの「2on1」とは

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YJぴあさぽは、同僚を「ピア=仲間」ととらえ、支え合う仕組みです。産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの有資格社員が、希望する社員とキャリアや人間関係などに関する対話をすることで応援・支援している有志プロジェクトです。定期的に「オープンダイアローグ」と「2on1」を実施しています。

「2on1」で「同僚として支援」することを大切にして、できるだけオープンな関係性が保てる方法はないかと考え検討した結果、YJぴあさぽ2名と社員1名の「2on1」という形で実施しています。
※今回は、2on1の流れを理解いただくために作成した架空の内容をもとにご紹介します。

参加者

Aさん
46歳。大学卒業後、食品メーカーに勤務し22年、2020年のコロナ禍に就職活動をして、中途でヤフーに入社。
家族構成:本人、妻、息子6歳
相談内容:
長年、食品メーカーに勤務していたが、長時間勤務、遠距離の通勤などで一時体調を崩し、働き方を考える。2020年にヤフー入社。当初よりリモートワークで勤務。
働く場所を自由に選択できるリモートワークの制度もありがたく、子育てにも関われて、満足している。ただ、直属の上長やメンバーとコロナ禍のため、対面でコミュニケ―ションを取る機会がなく、これでいいのか…と不安に感じることも。まわりの働き方が見えず、まだ一度も対面で会っていないメンバーも多く、腹を割ってのコミュニケーションができないことへの、もどかしい思いを感じることがある。

YJぴあさぽ

まさみん
ZアカデミアでZホールディングス全体の組織活性、人材育成、コミュニケーション円滑化の取り組みなどを担当。
保有資格:国家資格キャリアコンサルタント、トラストコーチングスクール 認定コーチング スキルアドバイザー
みーさん
グッドコンディション推進室で従業員の健康増進企画を担当。夫と高校生の娘の三人暮らし。 保有資格:産業カウンセラー(JAICO)、交流分析士インストラクター、国家資格公認心理師

2on1の流れ(架空の内容です)

ここがポイント!
AさんがZoomに入室する前に、1~5を行います。
「聴く」前に 導入(準備編)

Zoomに5分ほど前に入室し、みーさんにも「今日の調子はどう?」「少し秋らしくなったよね」など、YJぴあさぽ同士でも軽く緊張をほぐします。

(AさんがZoomに入室)

ここがポイント!
AさんがZoom入室されたら、まずは、さわやかにお出迎えです。
少し緊張して入室してくる方もいるので、少しでも気持ちを軽くできればと思っています。

よろしくお願いします。YJぴあさぽのまさみんと呼んでいただければと思います。

もし呼ぶときがあれば、みーさんと呼んでください。よろしくお願いします。

Aさんはなんとお呼びしましょうか。そのまま、Aさんでいいですか?

はい、Aさんでお願いします。

では、よろしくお願いします。今日は30分間、Aさんのお時間です。どんなお話をしていただいてもかまいません。
ここでのお話は、私たちにはきちんと守秘義務がありますので、どこかにお話がもれるようなことは一切ありません。安心してAさんのお気持ちをお話していただければと思います。

特に明確なゴールがあったり、何か課題解決をしたりする場ではありません。どのようにこの時間を使っていただいてもいいので、気持ちの整理の時間として使われる方もいらっしゃいます。
YJぴあさぽが2名いますが、きょうは、私がメインでAさんのお話をお聞きしますね。

ありがとうございます。では、お願いします。
コロナ禍に中途入社しました。前職は少しハードで、長時間労働でしたし、遠距離通勤していたこともあり、ちょっと体調をくずしてしまいました。それをきっかけにライフワークを改めて考えて、働き方を変えたいという思いもあって、ヤフーに入社しました。
入社して2年ほどになりますが、体調も、家族との時間がとれるようになったことも含めて、とてもいい状態です。

なるほど、前の会社では長距離の通勤があったり、ハードワークが続いたりしていたので、ヤフーにコロナ禍で転職をされて、今は少し落ち着いていて、家族の方も安心されている感じでしょうか。

ここがポイント!
聴く 初級編(11~18)を意識
Aさんの話されたことを、少しまとめて伝え返しています。
そうすることで、自分はそんなことを話したかな。 と、客観的な視点に立つことができます。

そうですね。完全リモートワークという働き方は、個人的には非常にありがたく、体調も良くなってきました。6歳になる息子の子育てに関われることもありがたいです。今までにはない家族との触れ合いもあって、良い再スタートを切れているなと感じています。

ただ、上長とかメンバーとの人間関係に課題感があるとかそういうことではないのですが…、コロナ禍に入社しているので、対面でほとんどお会いしたことがないんですね。
対面コミュニケーションの少なさというものが、前職での働き方とはあまりにも違いがあり過ぎるので、時々、これで本当に大丈夫なのかなと感じることがあります。

大丈夫なのかな、と思うんですね。

ここがポイント!
Aさんが、「これで本当に大丈夫なのかな…」というコメントを受けて、私も、「大丈夫かな」と思うのですね と伝えました。
何が、「大丈夫なのか」を確認しつつ、Aさんの言う、「大丈夫なのか」という不安の気持ちをAさんの言葉で聴きたいという意図があります。

はい。上長からは、ありがたいことに期待をしていただいているようで、チームをいずれお任せしたいというようなコメントもいただいています。

ただ、これまでずっと対面コミュニケーションを中心に働いてきたという経験値から、自分がこのリモートコミュニケーションの状況下でチームを任されていくことを想像すると、周りの皆さんがどう働いているのかをリアルに見ることができない状況なので、不安があるなと…。

ちょっと不安があるのですね。

ここがポイント!
Aさんが「不安があるな…」と「…」という沈黙の時間も大切にします。
25.何も話さない時間は、黄金の時間かもしれない
そして、改めて、Aさんが言葉にした「不安がある」を私も言葉にしています。

そうですね。もちろん、マイクロマネジメントをしようとは決して思っていないのですが、やはりマネジャーとしての責任を果たすというときに、周りの一緒に働くメンバーや上長のコンディション、仕事の状況、具体的には相談できる時間があるというようなことも含めて、タイミングのつかみ方がリモートではやりにくいなと思っています。

一度も会っていない状態で仕事をしているので、どこまで腹を割った会話を投げかけていいのだろうかなどと考えてしまうことが最近増えてきました。
これまでの健康の課題などはクリアになったものの、新たな課題として自分の中に出てきて、ちょっともどかしく感じています。

ここがポイント!
具体的に何がAさんを不安にさせているのか、話を聴いていくと、次第にわかってきます。

もどかしさを感じているのですね。

ここがポイント!
Aさんの「もどかしさを感じる」という言葉を受けています。
そして、今までのAさんが話されたことを、少しずつまとめてAさんに改めて伝えます。

コロナ禍で転職活動も大変だったと思いますが、ヤフーに入社後、働きやすさや人間関係に特に大きな問題もない。けれども、やはり数回しかリアルでは会っていなくて、メンバーの中には会ったことのない人もいると。
上長からもすごく期待をされているけれど、そうなるともっといろんな人のことをリアルに知っておいたほうがいいのかなとか、このままで大丈夫なのかなとか、そのような不安があるっていうことでしょうか。

ここがポイント!
ここで、Aさんが今日は、何を主に話したかったのかを、簡潔にお伝えしました。

そうですね。絶対的な答えはないということだけわかっています。
「こうしなければならない」というルールがあまりない上でコミュニケーションを新たに生み出して、関わる人たちの心理的安全性を確保していくようなことにも、私自身も取り組んでいきたいと考えています。
そのためにはやり方をいろいろ考えないといけないなといったところで、みなさんはどうしているのだろうなと…。

どうしているのかなと。なるほど、そうですよね。
みーさん、これまでのお話を聞いてどうですか?

ここがポイント!
ここで、今まで見守り役に徹してくれていた、YJぴあさぽのみーさんに問いかけます。

中途入社されたいうことですけども、まず、YJぴあさぽを見つけて申し込んでいただいてよかったな、と思いました。
コミュニケーションをとっていくというところは、ヤフーに前からいる社員もリモートワークになったときに戸惑いがあったと思います。
Aさんは今回、中途で入ったばかりで、これまでの人間関係がないなかでは当然感じる戸惑いだろうなとも思いながら聞いていました。

その一方で、メンバーに気を配って、上長からの期待に応えたいっていう気持ちも感じつつ、なんて言うか、「正解はないけれど、不安」という、その不安な気持ちはたとえばどういう場面で感じたのかなとも思ったのですが、いかがでしょうか。

ここがポイント!
メインで聴く担当ではない時は、対話全体を聴くので、異なる視点や俯瞰(ふかん)した気づきを見つけやすくなります。

聴くに集中している分、もっと聴きたい! ここを教えて欲しいという気持ちが自然にわいてきます。それをお伝えすることで、対話がより広がることがあります。

やっぱり相手をまったく知ることができていないというところでしょうか。
名前と顔はもちろんわかるのですが、その方がどういう目的や目標を持って、今一緒に働かれているのか、というような会話をする機会がなかなかなく…。

みなさん忙しそうですし、なかなか自分からは一歩踏み出せない感じがあります。決して自分を良く見せたいとかいうことではないのですが、まだ自分を出し切れないというか。

今、話しながら思ったのですが、もしかしたら自分のことももう少し知ってほしいという気持ちもあるのかもしれません。

いずれはチームを任せたい、と言っているということは、上長もAさんを評価されているのだと思います。でも、Aさんが不安を感じて大丈夫かなって思っていることは、もしかして上長は知らないのかもしれませんね。
そういう不安についても、本当は知ってほしいという思いがあるのかなとも感じました。

ここがポイント!
Aさんは「一人で解決しよう」「こんなことを、上長に話していいのかな…」と思い悩んでいる印象です。
そのため、「Aさんが悩んでいることを知っていますか?」と聴いています。

そうですね。自己を開示するのは難しいものだと思いますが、それをしない限りこの不安は解決しないかもしれないですね。ちょっと切り込んで自分を見せてもいいし、不安感の相談を上長に相談できる会社ですよね。

そう思います。ヤフーで実施している「1on1」は、部下のための時間として設定されているので、ぜひお話してみてください。
Aさんが今日、話してくださった気持ちはきっと、転職してすごくハッピーだけど、もう少しみんなと知り合えると、もっとハッピーだし、さらにパフォーマンスが出そうだなっていうとこですよね。

ここがポイント!
これまでのAさんの話をまとめつつ、未来に向けての希望をお伝えしています。

そうですね、そんな気がしています。ちょっとすっきりしました。ありがとうございました。

ここがポイント!
私たちは、何をしたということはないのですが、このように「ちょっとすっきりした」といわれる方が多いです。私たちにとっても、とてもうれしい瞬間です。
Aさんのお顔も、入室した時よりリラックスして、明るくなったように感じました。

社内でも、今所属されているチーム以外でもコミュニティーができると、また広がりもあって、自分の部署以外のことも知っていけると思いますので、よかったら参加してみてください。
今、寝られなくて心配とか、ちゃんと食べられないとか、そんなことはないですか?

ここがポイント!
19. 話している相手の様子を観察して、気づいたことを質問してみる
Aさんには、体調の不安は、あまりなさそうに見えましたが、最後に聴いてみました。
時には、「実は、ここ最近、あまり寝られていません」「食欲がなくて…」などと話される方もいます。そういう時は、別の相談先をご案内することも必要です。

今回、Aさんとは、いい流れでお話を聴けましたが、時には、心のシャッターがなかなか開かない、または、途中でガラガラと音を立てて閉まることもあります。
そんな時、どうしたらいいのか…は次回のブログでお伝えできればと思います!

はい、体調面の心配、不安はまったくありません。今後、もっと貢献する働き方をするために、少しコミュニケーションの観点で不安があったので、お話をさせていただきたいなと思いました。

ありがとうございます。あと2、3分ぐらいになってしまうのですが、言い残したこととか、Aさんが私たちと話して何か思うこととかがあれば。いかがですか。

ここがポイント!
28.聴かれてどうだった? も聴いてみる
話をしてみて、どうだったか? 話し足りなかったことはないか? など最後にお聞きしています。

今日聞いてもらったことで、なんとなくですが、こうすればいいのかもしれない、という入口が見えたので、本当にお話ししてよかったです。ありがとうございました。

今日はご参加いただいて、ありがとうございました。また、気持ちの変化や、話してみたいなと感じられたら、いつでも、何度でも、申し込んでいただいていいのでお待ちしています。
私たち以外にもYJぴあさぽはおりますし、オープンダイアローグという、社員複数とYJぴあさぽで対話をする会も設けています。他の社員の話を聴いてみるのも、視点が変わることがありますので、お時間があればぜひ。

今日は、お話を聴かせていただき、ありがとうございました。
Aさんの良いタイミングでZoomから退室してくださいね。私たちは、お見送りをさせていただきます。

ここがポイント!
改めて、今日、ある意味「勇気」を持ってきてくれたことへの感謝をお伝えしました。
不安な気持ちを人に話すのは「勇気」がいるのではと思います。

最後は、あわただしくZoomから退室するのではなく、「余韻」を大切にして、お見送りすることを心がけています。

(Aさん退室後、みーさんとまさみんが二人になります)

みーさん、おつかれさま。Aさんも、もやもやが少し晴れたようで良かったよね。後半は、かなり、緊張も解けて笑顔もあったね。
みーさんの「不安は具体的にどんな場面で感じるか?」という問い、いいなと思ったよ。

ありがとう。また、オープンダイアローグなどにも、参加してくれたらいいね。

そうだね。おつかれさま。ありがとう!

ここがポイント!
Aさん退室後、YJぴあさぽ同士で、今日の振り返りとお互いをねぎらう時間を作っています。
30 聴くの楽しさについて

Aさんが、参加してくれ、話を聴かせていただき、最後に、少し気持ちが軽くなり、笑顔になってくれたことで、私たちにとってもうれしく、YJぴあさぽを続けていて、良かったと思う瞬間です。

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