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企業情報

2022.10.31

リモートワークで雑談が生まれる仕組みの作り方 コミュニケーションを活性化するオンラインラジオ

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リモートワークでは、オフィスに出社し顔を合わせていた時よりも雑談が減り、業務で必要コミュニケーションのみになってしまいがちです。
また、ZoomやSlackなどでは「雑談しよう」と思わない限り雑談ができないため、話したいときに話せなかったり、気分や体調などを気軽に共有したりしにくくなっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして、リモートワーク環境で異動したり、入社したりした方は、上司や同僚との関係を構築するのが難しいと感じているかもしれません。

ヤフーでは、2020年からフルリモート前提の勤務に移行しており、対面での「雑談」は減っていますが、それを補うためのさまざまな取り組みを実施しています。
今回は、CISO(※)室で週1回配信している「オンラインラジオ」の取り組みについて、あえて「ラジオ」を選んだ理由、リモートワーク下でも、コミュニケーションを活発にするための工夫などを担当者に聞きました。
※CISO:
Chief Information Security Officerの略。最高情報セキュリティ責任者。

左から小島、佐藤、瀬川
小島 義孝(こじま よしたか)
CISO室のセキュリティマネジメントチームに所属し、主にISMS認証取得関連の管理業務に携わっている。「リモートワークPJ」として、CISO室のコミュニケーション活性化を目的に、ラジオやイベント運営を担当。

佐藤 祐介(さとう ゆうすけ)
2021年、ヤフーが新しい働き方に移行してから入社。セキュリティ監視室のSOCに所属し外部からの攻撃などの監視・分析、インシデント対応やセキュリティ強化を行っている。小島と同じ「リモートワークPJ」にも所属し、ラジオなどのコミュニケーションの活性化に取り組んでいる。

瀬川 正(せがわ ただし)
小島と同様にセキュリティマネジメントチームに所属。また、組織運営、予算管理なども担当している。組織運営のひとつとして、「リモートワークPJ」に参加。ラジオやイベントなどの運営を担当している。

雑談のメリット

雑談には他にも以下のようなメリットがあるとも考えられています。

・信頼関係が構築される
日常的な雑談によって本音を言いやすい雰囲気があると、社員同士のコミュニケーションが円滑になります。
・質問や相談が気軽にできる
オフィスに出社していたときは、常に周りに人がいたため、仕事上でわからないことがあったら、すぐに質問して疑問を解消できていたのではないでしょうか。雑談が気軽にできる雰囲気や仕組みがあれば、ちょっとしたことでも相談や報告がしやすくなります。
・ストレスを解消できる
同僚との雑談で、仕事の悩みやグチをちょっと話すだけで、気持ちがスッキリしたことはありませんか? 仕事の合間に雑談をすることで、気持ちが少し楽になる効果もあります。
・お互いの状況を把握できる
上司は部下の体調は良さそうか、仕事量は無理のない範囲かなどを知ることができます。雑談する時間を持つことで、お互いの変化に気づいて早めに対処しやすくなります。

また、雑談で気軽に話せる関係を築くことで「心理的安全性を高める効果がある」ともいわれています。

雑談のメリット
・信頼関係が構築される
・質問や相談が気軽にできる
・ストレスを解消できる
・お互いの状況を把握できる

コミュニケーション活性化のひとつとしてはじめたラジオ番組

瀬川:
私や小島は社歴が長く、コロナ禍前に築いた社内の人間関係がある程度あります。そのため、リモートワーク中心の働き方の課題に気づけなかったり、問題と思わなかったりすると感じていました。それを基準にしてしまうと、リモートワークで会社の働き方を切り替えたあとにヤフーに入ってきた人が何に困っているのか、なかなか気づくことができなくなってしまいます。
そのため、コミュニケーション活性化の取り組みを検討する際には必ず、リモートワークになってから入社や異動してきたメンバーに加わってもらっています。入社後、ほとんど同僚や上司と対面で会った経験のないメンバーの目線から、リモートワーク上での困っていることを聞き、それらを解決するための取り組みを実施しています。

ヤフーの新しい働き方への移行に伴って、減ったり、なくなったり、不便になったりしたものを極力なくす、または軽減するために、継続的に改善をしていくことがリモートワークPJのミッションです。

小島:
ただ、リモートワーク中心の働き方のなかで、どうコミュニケーションを取ったらいいか、なかなかいい案が出てきませんでした。私が個人的に音声配信をしていたこと、音声配信がコロナ禍に人気になってきていたこともあり、社内のいろいろな人と話せる場ができるのではと思い、ラジオ番組「キャッチアップCISO」を提案しました。

瀬川:
このラジオでは、毎回ゲストを呼んで、業務に関わることだけではなく、プライベートな部分も聞くことで、その人の人となりを知ってもらえるかもしれないと思って始めました。ゲストは、新しい働き方になってから入社したり、異動してきたりした人を優先して出演してもらっています。

ただ、「ラジオ」という形は、昭和世代の私たちのようなメンバーには刺さっても、それ以下の若い世代にはウケないということもありえると思っていました。でも、まずはトライ・アンド・エラーでやってみて、部署内の反応が良ければ続ければいいし、反応が悪ければやめよう、と試行錯誤しながら進めていましたね。

小島:
毎日出社していたときは、「ちょっとした相談」が気軽にできていたと思います。でも、リモートワークになったことでその場がほぼなくなりました。話しかけるにはZoomを立ち上げたり、Slackで1回声がけしたりする必要があり、ちょっと堅苦しいというか、気軽なものではなくなっていますよね。

そのステップを極力なくせるよう、このラジオを聴いてもらうことで、あまり顔を知らない、まだ話したことのない人でも、「この人は、そういえばこういう人だから話しかけやすいよね」と思ってもらうことを目的に、できる限り人となりが見える内容にすることを意識しました。

佐藤:
私は前職では、リモートワークは一切していませんでした。去年、ヤフーに中途入社した当時はちょうど緊急事態宣言が発令されていたこともあり、上司とも、採用の方とも対面で会ったこともありませんでした。
入社後も3、4カ月くらいは、仕事に関わること以外でしゃべる機会、いわゆるちょっとした雑談の機会はほとんどありませんでした。そういった意味でも、ラジオなら業務の合間に聞けますし、同じ部署で働いている人たちの人となりが知れるので、今の働き方と合っていたのではと思います。

コミュニケーション活性化のひとつとしてはじめたラジオ番組
・週1回配信
・新しい働き方になってから入社したり、異動してきたりした人がゲスト
・ゲストのプライベートな部分も聞くことで、その人の人となりを知ってもらうことが目的

リモートワークでコミュニケーションを活性化するには

瀬川:
ヤフーには、各社員が仕事の内容やその年のミッション、持っている資格などを記入するページがあるのですが、それとは別に、CISO室内だけのメンバー紹介ページをつくっています。そこには、好きなものや好きなこと、休みの日に何をやっているかなど、仕事以外のことをメインに書いてもらっています。

小島:
ラジオの収録前にそのページを見ておいて、気になった趣味などについて質問して、そこから話が広がっていくという流れで進めることが多いですね。その人の魅力がより伝わるように、どのように話を展開していくかを一番に考えています。

これは私見ですが、リモート中心の働き方になったことで、みなさん会社の人とはあまり雑談をしていないと思います。そのため、「自分がはまっていることや、趣味に関連することを人に言いたい、伝えたい」と思っている人が前よりも多くなっているような気がします。1つ問いかけると、普段は比較的無口な人も思った以上に話してくれます。

また、最近はCISO室以外の人もゲストに来てもらっています。たとえば、よりよい伝え方を学ぶためにフリーのアナウンサーをお呼びしたり、以前ヤフーで産業医をされていた方に、リモート下における働き方で気をつけることについて話していただいたりしました。このように、「新しい働き方」に関連することをテーマに話してもらえる方をゲストにお呼びしています。

新しい人の人となりを知ることがうれしい理由

佐藤:
私はヤフーに入社して約1年になりますが、このラジオをきっかけに、前よりも仕事しやすくなったり、声がかけやすくなったりしたと感じています。たとえば、このラジオの収録で会った人とのつながりができますし、ラジオで聞いたことのある人とは、その内容で話しかけやすくなります。 

人と話すことが好きなので、初めて会う方と話せることが楽しいですね。上司が私の出たラジオを聞いて「佐藤くんが好きな服のブランドを調べたよ」と言われたことがあり、とてもうれしかったです。
このラジオを通じて、自分のプライベートの部分も知ってもらうきっかけになりましたし、それは他の人にとっても同じだと思うので、とてもやりがいを感じています。

瀬川:
このラジオのゲストは、新しい働き方になってから入社したメンバーと他の部署から異動してきたメンバーなので、(社歴の長い)私も知らない人ばかりです。その人の紹介ページだけでは知り得ないことを知ることができることが毎回新鮮ですし、うれしいです。
「新しい人の人となりを知るうれしさ」のようなものをもう少し言語化してみると、まず、「(その人のことを)知らない」ということは、人はみんな不安に感じるのではないでしょうか。
そのため、「その人がどんな人か、どんなことが好きなのか」知ることで、その不安が減り、親しみや共感に変わっていくような気がします。

小島:
リモートワークだと、他の人が何をやっていのかわからないので、瀬川が言ったような不安は誰にでもあると思います。 他の人がどういう生活で、どういうリズムで仕事をしているのか少しでもわかると、ちょっと安心できたり、心のゆとりができたりするのではないかなと思います。

このラジオをきっかけに…
・仕事上でも声をかけやすくなった
・上長に自分のことを知ってもらえた
・他の人がどんな風に働いているのか知ることで安心できる

リモートワークで、新しいメンバーを受け入れる側と受け入れられる側ができること

小島:
まず、受け入れる側ができることは(新しい人に)「自己紹介」を書いてもらうこと。仕事以外のプライベートなことも、自由に書いてもらっています。具体的には、お国(出身地)の自慢、好きな食べ物、苦手な食べ物、プライベートの過ごし方などです。
私たちはそこを知ることで仕事上でも声がかけやすくなりますし、懇親会のときなどに「この人はこういうことに興味があったはずなので、ちょっと聞いてみよう」と思うきっかけの1つになっているのではないかと思います。

書いてもらった内容や量を見るだけでも、人となりがかなりわかるので、やってよかった施策の1つですね。これなら、チーム単位などでやりやすいのではないかと思います。

佐藤:
完全オンラインの働き方は、最初は不安でしたが、慣れるだろうと思ってヤフーに飛び込みました。先ほどもお話したように、入社後3、4カ月くらいは社内の人との交流がほとんどなかったのですが、リモートワークPJに入ってからは、チーム以外の方とも交流する機会が増えました。
また、新しい社員を対象にした研修は、状況が許す限り基本的にリアル対面で行っています。そのように、ときには「対面で研修を行う」というのも、新しい人がなじみやすくなると思います。

小島:
性格上、寡黙な人と、私のように話すのが好きな人の2つに分かれると思っています。 消極的だったり、人前に出るのが苦手だったりする人は、おそらくこのリモート下の中でコミュケーションをとることに難しさを感じてしまう部分もあるのではないかと思います。

今後も、すべてのメンバーについての情報やコミュニケーションの量が均一化されるようにする施策をどんどん打っていきたいですね。たとえば、基本はリモートワークの働き方だけれど、会う機会も増やしていく施策にも取り組んでいきたいです。
ヤフーはこれからもリモートワークが続くので、半永久的にその取り組みを続けていく必要があると思っています。

自然に会話がうまれるような取り組みを

瀬川:
コロナの状況もありますが、いつか運動会をやってみたいですね。チームに分かれて何か競技をやることで、自然にちょっとした会話が生まれてコミュニケーションを取るようになるでしょうし、連帯感も生まれると思います。

リモートワークで失われたものは、「突然誰かがふらっと来て、雑談する」時間だと思います。リモートワークでは、(会議室間の)移動時間もいらないので、Zoomを落としては入り、落としては入りになって、本当に雑談する間がありません。雑談でできていた気分転換の機会が失われてしまったと感じています。
また、会社から合宿費(※)が出るので、違う場所に行ってメンバーが顔合わせて合宿に行くというのも状況次第ですが、ゆくゆくは検討したいと思っています。
※合宿費:
組織の重要なアジェンダ議論や、業務を通じた関係の構築などに、半期1回まで「合宿費」の利用が可能。

佐藤:
瀬川の「合宿」に似ていますが、社員旅行をやってみたいなと思います。
このラジオがもっと回数を重ねて規模が大きくなったら、社長にもぜひゲストとして来てもらいたいですね。

小島:
この前初めて、リモートワークPJで「伝える力セミナー」を全社に向けて開催しました。これが好評で、多くの社員に参加してもらえたので、今後は「伝える力」をヤフー社員がさらに身につけるための活動にも重きをおいて、上手に発信できる人を増やしていきたいと思っています。

今、「CISO杯」という、LINEのCISOとヤフーのCISOがお互いのメンバーコミュニケーション活性化のために始めたゴルフコンペを定期的にやっています。回を重ねるごとに参加人数が増えてきました。初めて会う人との会話がそこで生まれるのが、リアルなイベントの良さだと感じています。
今後は、外で会って一緒に何かに取り組んだり、一緒に運動したりするということも軸にして、新しい取り組みを進めていきたいと思います。

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