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2022.09.28

「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 「聴く」ための初級編(21~30)

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この連載では、よい対話にするために心がけたいことや「聴く」ためのヒントを、「YJぴあさぽ(※)」のメンバーがお伝えしています。
※YJぴあさぽ
産業カウンセラーや国家資格キャリアコンサルタントの有資格社員によるボランティアプロジェクト。

まさみん
ZアカデミアでZホールディングス全体の組織活性、人材育成、コミュニケーション円滑化の取り組みなどを担当。
保有資格:国家資格キャリアコンサルタント、トラストコーチングスクール 認定コーチング スキルアドバイザー

この連載では、「対話」の大切さをお伝えしながら「聴く」ためのヒントを、準備編、初級編、中級編に分けてお伝えしていきます。これまで「聴く」前の導入(準備編)、「聴く」初級編をお伝えしました。

「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 「聴く」ための準備編
「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 「聴く」ための初級編(11~20)

これまで、「聴く」ための20のヒントをお届けしてきました。
私たちは毎日、何気なく聞いたり、話したりを当たり前のようにしているものですね。
「聴く」に意識を持つことで、何かが少しずつ変わるのではと思っています。

このブログを読んでくださっている方は、「聴く」ことに何かしらの課題を感じ、行動を少し変えたいと感じている人もいるかもしれません。
何かを、変えたい時、私は「考える」ことよりも、「行動してみる」ことを大切にしています。このブログでお伝えしているヒントが、みなさんにとって、行動してみるきっかけのひとつになればうれしいです。
それでは、初級編の続きにまいります!

「聴く」初級編

21.「聴く」の難しさに気づく

「聴く」ことは誰にでもできる、そう感じている人は多いと思います。
でも、ここまで読んでくださった方は、もしかしたら、「聴く」のはなんだか難しそう…と眉間にしわが寄っているかもしれません。
誰でもできると思っていた「聴く」ことが、案外、そうでもないと感じていただけているのではないでしょうか。

みなさんは、パートナーや子どもの話、会社の同僚の話を10分、相手の話を奪わないで、遮らないで、集中して、指示やアドバイスをしないで「聴く」ことができるでしょうか。

22.相手の話を奪わない

私たちYJぴあさぽが話を聴いているときも、時々「自分の意見」がむくむくと湧きあがってくることがあります。
たとえば、子育てで悩みを抱えている方が話し手の時は、つい自分の経験談を「待ってました!」とばかりに話したくなります。「ああ、それは2歳児のいやいや期だよ、私は○○を利用したよ」と、自分の話を始めてしまいそうになります。

でも、ここはちょっと待った! です。相手の話を奪わないでほしいのです。
まずは、相手にしっかりその状況を話してもらいましょう。
どうしても、自分が知っていることに関して、人はアドバイスをしたくなるようです。
ですが、誰しも同じ状況ではないですよね。時代が違ったり、親子の関係も違ったりするため、アドバイスはあまり「再現性」がないように思います。
ついつい相手にアドバイスしたくなってしまう気持ちの奥には、「私と話して参考になったでしょ、課題が解決できたでしょ」と思われたいという気持ちがあるのではないでしょうか。
もちろん、時と場合によりますので、アドバイスが必要な時はありますが、まずは「聴く」で始めてみましょう。

23.身近な大切な人の話を「聴く」にトライ! その1

キャリアコンサルタントの講座の中で学び始めたころ、家でも「傾聴」を試してみたくなりました。
当時中学生だった子どもに、「私と10分話そう!」と声をかけると、初めは身構えられていたような気がします。(何かお小言が始まるのか? と思うようです)
事情を少し説明して、タイマーで10分セットしてから、「なんでも話してみて」と言っても、あまり話してくれません。
「最近、学校はどう?」と問いかけると、「別に」「普通」などと言いつつ、次第にぽつり、ぽつりと、話してくれます。
部活の話、友達の話…なかなかこちらが聞きたい、勉強の話は出てこないこともありますが、ここはぐっと堪えて「聴く」を意識しました。

24.身近な大切な人の話を「聴く」にトライ! その2

子どもの話は、あっちにいったりこっちにいったりと、集中していないと話についていくのもなかなか大変です。途中で考えこんで、無言になることもあると思います(無言も大切な「間」です。これについては後で説明しますね)。

少しすると、私の聴き方が、普段と違うと子どもも感じたようでした。
なぜなら、途中で「どうして、●●しなかったわけ?」(詰問口調)「〇〇すればいいじゃない!」(命令口調または助言)で話を遮らなかったからだと思います。
「後で言いたいこと」をぐっとこらえて「聴く」と「話す」を明確に分けることも大切です。

初めに「傾聴」を意識して、子どもの話を聴いた時は、いかに自分は、今まで、聴いていなかったかにがく然としました。大切な人だからこそ、アドバイスや解決策を早く提示したくなりますが、まずは10分、大切な誰かの話を聴くのにトライしてみましょう。

(写真はイメージです)

25.何も話さない時間は、黄金の時間かもしれない

無言の状態に、あなたはどれくらい耐えられますか?
私は「聴く」を学ぶ前は、ものの5秒も待てませんでした。「あ、話が途絶えてしまった…どうしよう、何を話そう…」「シーンとしちゃったね」と、つい実況してしまうことも。
そして、相手が話している間に次は何を話そう…と会話の次、その次、を探している自分もいました。相手の話から、どんどん遠ざかり、上の空になっていくのです。みなさんにもおなじような経験があるのではないでしょうか。
「聴く」ときは、何も話さない時間がとても貴重です。実は、相手がじっくりと考えている黄金の時間かもしれないからです。
相手の話を「聴く」ときも、ふっと無言になったら、「考えているのかもしれない」と待ってみましょう。

26.身近な大切な人の話を聴いてみて

あなたの大切な人を思い浮かべてみてください。そして、その人の話をじっくり「聴いた」のはいつですか?
その人も、「聴いてもらった」と感じているでしょうか?

ヤフーには、「1on1ミーティング」という制度(※)があります。 ※1on1ミーティング」(以下1on1):
上司が部下の主体的な内省を促す目的で行う、人材育成の手法のこと。
参考:「1on1ミーティング」で強い組織をつくる 人材育成のための部下とのコミュニケーション

もしかしたら、会社の人の話は案外「聴く」ことができているのではないでしょうか? 仕事だから「聴く」努力をしているという気持ちもわかります。
たとえば、大切な家族、子どもやパートナー、両親などとはいつでも話せると思うかもしれません。
でも、大切な人だからこそ、しっかり「聴く」時間を取っていただけたらと思います。

(写真はイメージです)

27.身近な大切な人の話ほど…聴けていない?

身近な大切な人の話を聴くときの「落とし穴」があります。
それは、「ああ、その話ね、知っている」「前に聞いた」などと思ってしまうことです。
たとえば、子どもが「塾の勉強が大変で、いやだ」とよく話しているとします。
そうすると、「塾でね…」と子どもが話し出した途端、「勉強がいやだから、塾をやめたいというだろうな」と頭の中で素早く子どもの話しそうなことを予想してしまいます。
もしかしたら、「塾に新しい先生がきて、その先生がおもしろい人でね」と話すかもしれないのに、「聴く」ことをせずに「(塾を)やめたいなんて言わないでね」と先回りしてしまうかもしれません。
身近な人の話ほど、「知っているつもり」にならず、先入観のない状態で聴いてみましょう。
参考)「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 「聴く」ための初級編(11~20)

(写真はイメージです)

28.聴かれてどうだった? も聴いてみる

身近な人の話を10分間しっかり聴いたら、話してくれた人に、「どんな感じだった?」と聴いてみてください。
「なんだか、少しすっきりした」「〇〇してみようかなと思ったよ」(アドバイスはしていないのに)、「また、話したい!」などと言ってくれたらうれしいですね。

29.「聴く」モードスイッチをオンに

身近な人との「聴く」は、日常に流されてその時間が取れないことが多いようです。
たとえば、学校から帰宅した子どもが、母親がいる台所の近くをうろうろしているなど、話をしたそうにしているな…というサインをちゃんと受け取れるといいですね。
とはいえ、家事や仕事に忙しく、ついつい「聴く」ことを後回しにしてしまうこともあるかもしれません。そんなときは、1日の中で「聴く」時間を決めてはいかがでしょうか。

・寝る前
お風呂に入っているとき(お子さんがお風呂に入っていて、親が脱衣所に座り話を聞いていた という方もいました)
・帰宅して、晩酌したりおやつを食べたりしているとき
・塾の送り迎えのとき
など、お互いがリラックスできる時間帯が理想です。その時は、「聴く」モードのスイッチをオンにしましょう。

(写真はイメージです)

30.「聴く」の楽しさにも気がつく

YJぴあさぽで話を聴いた後は、その人が少しやわらかい表情になり、口調も穏やかになったと感じることがあります。
そんな時、私の心にも小さな花が咲いたような、うれしい気持ちになります。

有志の仲間もそうだと思うのですが、この活動を続けているのは、「もしかしたら、少しお役に立てたかな」という気持ちからです。
もちろん、想像とは違う反応が返ってくることもあります。残念だな、悲しいな、と感じることも、もしかしたらこれからあるかもしれません。
でも、「聴く」ことは楽しく、あたたかい気持ちになることの方が多いと思います。
あなたなりの、「聴く」楽しさを見つけていただけたらと思います。

参考書籍

・キャリアコンサルティング理論と実際 木村 周
・LISTEN―知性豊かで創造力がある人になれる ケイト・マーフィ (著), 篠田 真貴子(監訳)

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