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2023.06.14

「聴いてもらう」「聴いてもらい上手」になるには? 「対話」から学ぶコミュニケーションのヒント 「聴く」ための中級編(81~90)

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この連載(※)ではこれまで「聴く」ためのヒントをお伝えしてきましたが、「聴いてもらう」ヒントも知りたい! という声がありました。
あなたは、誰かに話を聞いてもらうときに、どんな工夫をしているでしょうか?
今回は、「聴くため」「話すため」のヒントではなく、「聴いてもらう」「聴いてもらい上手」になるヒントをまとめてみました。

※1よい対話にするために心がけたいことや「聴く」ためのヒントを、「YJぴあさぽ」のメンバーがお伝えしています。
YJぴあさぽ:産業カウンセラーや国家資格キャリアコンサルタントの有資格社員によるボランティアプロジェクト。

まさみん
ZアカデミアでZホールディングス全体の組織活性、人材育成、コミュニケーション円滑化の取り組みなどを担当。
保有資格:国家資格キャリアコンサルタント、トラストコーチングスクール 認定コーチング スキルアドバイザー

81.あなたの周りに、聴いてくれる人はいますか? 聴いてくれる人の探し方

一番大事にしたいポイントは、聴いてくれる人が、心身ともに健康であることだと思います。
これは、「聴く」ための準備編(※2)でも書きましたが、「聴く」「聴いてもらう」ためにとても重要なことだと思います。
そして、あなたが安心して話せる人がいいですね。
私たちは、さまざまな関係性のなかにいます。関係性も、強いものから比較的ゆるいものまでありますね。
たとえば、親、子ども、パートナー、兄弟姉妹、友人、同僚、上司部下…。あなたは、誰に一番話しやすいですか? そして、誰に一番聴いてもらいたいでしょうか。私は、学生時代や社会人になったばかりのころは、よく母や祖母に聴いてもらっていました。
もちろん、話の内容にもよると思いますが、まずあなたの頭の中にふっと思い浮かんだ人は誰でしょうか? きっと、その人は、あなたにとって安心できる人だと思います。

※2「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 「聴く」ための準備編

82.聴いてくれる人は、まずは1人。理想は、3人いるといい

聴いてくれる人が1人思い浮かんだら、次に3人に増やしてみることも、おすすめです。
これは、わたしが「聴いてもらいたい!」と思っているときに意識していることです。
人は、どうしても同調してくれる人に救いを求めがちだと感じます(私もそうです)。
もしかしたら、みなさんが1人目に思い浮かべたのは、話したことに対して、「そうだね。そうだね、わかるよ」と聴いてくれる人ではないでしょうか?
今度はあえて、少し違う角度から聴いてくれる人を探してみましょう。
そうすることで、より多角的に物事をとらえられ、あなたの視点が広がるはずです。

意識するポイントは、あなたとタイプの違う人
・年代
・趣味嗜好(しこう)
・ライフスタイル

1人目は、自分の話に集中して、言葉をさえぎることなく、共感的理解を示し、最後までしっかりと聴いてくれる人(ヤフーにおけるYJぴあさぽのような存在)。

2人目は、違う角度で聴いてくれる人。はじめは、「え? どうしてそんなことを言うの?」と感じても、少し時間がたつと納得できることがあります。

3人目は、この話をどんなふうに自分が心に収めたいかによって違うかもしれません。
共感してくれそうな人? 勇気づけてくれる人? 冷静にしてくれる人? など。
こんな風に、それぞれ違う立場から聴いてくれる人が3人もいれば、十分だと思います。

83.子どもに真剣に話してみる

「子どもの話を聴くことはよくあっても、大人が子どもに真剣に聴いてもらうってどういうこと?」と思われるでしょうか。
以前、この記事(※3)でも書いたことがありますが、子どもはバイアスがない分、驚くほど、ていねいにきいてくれ、時には心の中にすっと入る一言をくれることがあります。
子どもが幼かったころ、仕事が忙しくて時間がない、疲れている、でも家族のことも大事にしたい…そんな思いを抱えてもやもやと過ごしていた時期がありました。

そんな話を、当時まだ保育園生の子どもにしてみたら、「ママも頑張ってるんだね。大丈夫だよ、僕たちは元気だから」と言ってくれました。
子どもにとっては何気ない一言だったのかもしれません。でもそのとき、子どもに「頑張っているんだね」と認められたような気がしました。
小さい子に大人の話をしてもしかたない、子どもは話が聞けない、というのは思い込みだと感じました。もしかしたら、素晴らしい聴き手が、あなたのすぐ近くにいるかもしれません。

※3 40.へこむとふくらむ? 見方を変えて良い点に目を向ける

(写真はイメージです)

84.聴いてもらえそうなタイミングを見つける

聴いてくれそうな人がいても、「あとでね!」と言われると、話したい気持ちで膨らんでいた心がしぼんでしまうので、その人が忙しそうな時はできれば避けたいですよね。
聴いてもらうためには、聴いてもらえそうなタイミングを見つけることも大切です。

ポイント1.その人が、1人になる時間
お手洗いやお茶を飲みに席を立つ時、移動時のエレベータや廊下、仕事であれば、会議の最初または最後(会議室に早めに行く、または最後まで残る)など。
私たちはリモートワーク中心の働き方のため、Zoomなどでオンライン会議をすることが多いのですが、そのときも、最後まで残っている方には、やはりひと声かけたくなります。

ポイント2.その人がリラックスしている時間に
前述しましたが、その人が1人でいても、何かに集中していたり、忙しそうにしていたりするときは避けた方が無難です。
私は、家族に話を聴いてもらいたいときは、散歩や軽いランニングの時に、時間をとってもらうことがあります。あまり構える感じがなく、同じ方向を向いているので、聴いてもらいやすいと感じます。

ポイント3.「予約」を取る
1.2の合わせ技ですが、なかなか聴いてもらえるタイミングが見つけられないときは、「予約」をとらせてもらいましょう(※4)。
「ちょっと話を聴いてほしいのですが、都合はどうですか?」と。
家族でも、いつ、なにを話したいか明確にして「予約」をすると、聴いてもらいやすくなることもあります。

※4 「対話」から学ぶコミュニケ―ションのヒント 「聴く」ための初級編(11~20)12. 無理なく集中して聴ける時間を設定する

85.相手が聴きたくなるような状況をあえて作る

どうしても声をかけられない、聴いてもらう予約もとりづらい…という人は、時々であれば、相手に「どうしたの? なにか、話したいことがある?」と聴いてもらう状況をあえて作るのも効果的です。
たとえば、会話をしているときに、違う方向をみて考えるそぶりをしてみたり、首をかしげてみたり。時には、少し大き目の「ため息をつく」という方もいました。
そのような様子に気づいたら、「あれ、どうしたのかな?」と聴きたくなるのではないでしょうか。

でもこれは、あくまで時々、どうしても声をかけられなかったときにしてくださいね。基本的には、やはり自分から「話を聴いてもらえませんか?」と言えるといいと思います。

86.聴いてもらいたいときに遠慮はせずに「時間が欲しい」と伝える

本当は聴いてもらいたいのに、「たいした話じゃないんですけど…」「〇〇さんが暇ならでいいんですけど…」「時間があれば…」と、遠慮がちに声をかける方もいます。
でも、その人に聴いてもらいたい! という気持ちがあるなら、「相手の貴重な時間をいただく」という気持ちをしっかりと持って、「時間をください」と伝えることをおすすめします。

そして、聴いてもらった後は、「〇〇さんに聴いてもらえて、よかったです。貴重な時間をありがとうございます」と伝えれば、十分だと思います。そして、「なにかの時は、ぜひ、私にも〇〇さんのお話を聴かせてくださいね」と添えることができれば、聴く、聴いてもらう、いい関係が築けるかもしれません。

(写真はイメージです)

87.心の声を出してみる

また、少し距離のある人、関係性がまだあまりできていない人、いつも多忙そうな人に聴いてもらいたいときは、ぽつりとあなたの心の声を出してみましょう。

「あー、〇〇さんにちょっとでいいから、聴いてほしいな~」「〇〇さんの時間、10分いただけたら、うれしいなあと思いました」など、本心をあえて口に出してみるのもおすすめです。
大人になって、相手の状況もよく考えられるからこそ、遠慮もしますよね。でも、時には自分の心の声に従って、素直につぶやいてみてもいいのではないでしょうか。

88.聴いてもらうために「家族会議」を設定する

家族の中でも、「予約」を取るという話をしました。「予約」というと少し仰々しいかもしれませんが、話を聴く側も「何分くらいかかるのか、どんな話なのか…」は気になるものです。
あらかじめ、「30分くらい、子育てについて」「1時間くらい、今後のキャリアについて」と少し頭出しをしておくと、よりいい時間になるように思います。
また、「たとえば、同じような経験のある〇〇さんに、聴いてほしい」などと伝えておくと、相手が自分に求められている「聴く立場」を理解した上で聴いてくれます。
「聴いてもらい上手」になるには、「聴いてもらう前」の準備も大切です。

また、「聴いてもらう場所」にも気を配るといいと思います。あなたにも、聴いてもらう相手にも、心理的に安全な心地いい場所がおすすめです。
家族全員で話をしたい時は、「家族会議」と称して、普段と少し違う場所で話すこともあります。日常から少し離れることで、「話す」「聴く」モードに切り替えやすくなることもあると思うからです。
レストランでもいいですし、家の中であれば、いつも食事をしているところとは違う場所、庭やベランダに椅子を出してみるなど、そんな工夫でも気分が変わります。このように、話を聴く、聴いてもらう時間と場所をしっかりと確保することも、聴いてもらう前にできることの1つです。

(写真はイメージです)

89.聴いてもらう時間をどう使いたいかも伝えておく

聴いてもらうための準備を整え、いよいよ、聴いてもらう時間が来ました。
ここで、大切なことが2つあります。

まず、「聴いてもらい、どうしてほしいか」を伝えておきましょう。
この時間をどう使いたいか、どうしてほしいのかを伝えておくことが大切です。
とにかく、聴いてほしい!(アドバイスや経験談は不要)のか、または、あなたの意見が聴きたいのか、など。

そして、「聴く」と「話す」をできるだけ分けるよう意識しましょう。
たとえば、「今日は、わたしが30分話すから、聴いてね」と、さりげなく「聴く」と「話す」を分けたいことを伝えると、相手が「聴こう」というモードに入ってくれると思います。

私は、あえてわかりやすく話さない前置きから話し始めることがあります。
「あー、なんだか頭の中がこんがらがっていて!」「なんとなく自分で答えはでているけど、それでいいのかわからないから、思いついたことを口にしていくけど聴いてね」などと前置きすることもあります。
そうしておくことで、「結論から言ってほしい」と思う人も少し粘り強く、聴く耳を持ってくれるような気がします。

90.聴いてくれる人がいるのは、とても幸せなこと

YJぴあさぽは毎年、新しいメンバーを迎えています。今期は2期の新メンバーが5名も参加してくれ、今期は事務局含めて16名で活動をすることになりました。
新しいメンバーを迎えるタイミングで、私たちも改めて傾聴や、自己管理、人事制度などの研修を受けています。先日、その中で産業医の先生が話してくれたひと言が、とても心に残っています。

「聴す」。

これは、「ゆるす」と読むそうです。
「聴す=不都合なことがないとして、そうすることを認めること」(辞典より

聴くことは「相手のことをそのまま受け入れ、認める=ゆるす」ことだともいえそうです。
そう考えると、聴いてくれる人がいるのは、とても幸せなことなのではないでしょうか。
誰もが、大切な人の話を聴き、そして聴いてもらえたらいいですね。

「対話」「コミュニケーション」のヒントになる本

人との対話だけではなく、自分との対話について新たな学びを得られる一冊

国家資格キャリアコンサルタントの勉強を通じて人の話を傾聴する奥深さを知り、もっと傾聴できるようになりたいと思っていた時に出会った本です。

この本をおすすめする理由は「うまい話の聞き方」のHow toだけではなく、そもそも人との対話とはなにか、対話ができるようになることで自分にとってどういう影響があるのか、ということが書かれている点です。

本当の意味の人との対話とは、対話によって日々の小さな感動を感じられるようになること。
それが理想のコミュニケーションであり、そのためには自分のとても小さな変化に目を向け・味わい、自分の内側とのコミュニケーションを取り「安心感」を得ること。
自分の内側とのコミュニケーションと、人とのコミュニケーションは比例するという点が、大きな学びでした。

柔らかい口調で語りかけるように書かれており、ビジネスパーソンのみならず老若男女さまざまな方が読みやすい本だと思います。(ひがしおの:LINE)

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