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企業情報

2023.05.26

東日本大震災から12年 企業事例から学ぶ防災・減災の取り組み(LINE社)

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東日本大震災から12年。災害への当事者意識が薄れてしまうという課題の解決を目的に、全6回の防災・減災体験ワークショップを実施。災害の事実や復興の現状・課題を大学生に実際に見て感じてもらい、災害情報の活用方法や適切な発信方法を学ぶ機会を提供しました。
今回は、LINE社で防災・減災タスクフォースに携わりながら、ヤフーと共同で「3.11企画」にも取り組んでいる入江さんの講演内容をまとめました。

入江 真実花(いりえ まみか)
2019年LINE社に入社。2022年にヤフーと共同で実施した「3.11企画」でLINE社側の統括を務めた。LINE社内の組織横断で災害対応、機能企画・啓発活動を取り仕切る「防災・減災タスクフォース」の発足にも携わる。

LINE社はどのように災害に向き合ってきたのか

今回は、LINE社における防災関連の取り組みをテーマに、防災、減災のために実施してきたことをお伝えしたいと思います。

みなさんは、2011年の東日本大震災をきっかけに「LINE」が誕生したことをご存じでしょうか。当時、多くの方が家族や友人、知人と連絡が取れない、無事かわからない、居場所がわからないといった課題を抱えていました。そのため、「大切な人と連絡が取れる手段が必要だ」という思いから開発をスタートし、2011年6月、2カ月の開発期間を経てリリースされました。

このような経緯で開発されたLINEは、リリースから3年余りで全世界4億人のユーザーが利用するサービスへと成長していきます。

2016年4月に発生した熊本地震でも、家族や友人同士の連絡手段として広く活用されました。
総務省が公表した調査結果からも、熊本地震発生後の連絡手段として、携帯通話の次にLINEが使われていたことがわかります。
このとき、LINEはMAU(月間アクティブユーザー数)が約6,100万人で、日本人の2人に1人くらいが使っているサービスでした。そのような普及状況で、被災者の約4割の方に使っていただいたというのは、LINE社にとってうれしい数字です。

また、先ほど「携帯通話の次に使われた」という話をしましたが、接続性においては携帯通話を大きく上回る評価を得ています。
実際、電話がつながりにくい状況下において災害対応を行うため、熊本市職員の方々がLINEを活用するということもあったようです。このような経緯から、2017年には熊本市と合同の避難訓練を実施して、LINEを活用する実証実験を行いました。また、2020年には鹿児島市でLINEのオープンチャットを活用した防災訓練も実施されています。

熊本地震の経験も踏まえ、平時に使い慣れているツールを災害時にも活用するという「デュアルユース」という観点で、LINE公式アカウントを活用した取り組みも広がっていったように思います。
そしてLINE公式アカウントの活用により、地方公共団体から地元住民の方々に対し直接LINEで情報を届けられるようになっていきました。

行政でのLINE活用

「LINE安否確認」機能の開発について

ここからは、防災に関する新たな取り組みについてご紹介します。
横浜市が公表したアンケート結果(※1)によると、災害時、多くの方が何よりも心配しているのが友人や家族の安否でした。そんな「大切な人を心配する気持ち」を少しでも軽減したいという思いから作られたのが「LINE安否確認」という機能です。

緊急時に役立つLINEの使い方(LINE安否確認)

※1:横浜市民の防災・減災の意識・取組に関するアンケート

以上の調査結果からもわかるように、LINEは緊急時の連絡方法として最も選ばれているサービスとなっています。
LINE安否確認は、LINEのトーク機能が抱えている、個別に返信することの負荷や電池の消耗といった、災害時における課題の解決を目指して開発されました。

LINE安否確認により、被災者がLINEの友だちに一括で安否を知らせたり、LINEでつながっている家族や知り合いなどの安否を一覧で確認したりできるようになりました。
また、登録した安否情報は随時更新ができるため、自分の詳細な状況を随時発信できるようにもなりました。

「LINEスマート通知」での「防災速報」の提供について

また、災害発生時にいち早く一人一人に合った防災情報をLINEで受け取っていただけるように、LINE公式アカウント「LINEスマート通知」で「防災速報」機能をヤフーのみなさんと合同で制作しました。リリースからわずか1カ月で登録者数170万人を突破し、今も多くの方にご活用いただいています。

LINEスマート通知の「防災速報」

これは、LINEで防災速報が届く機能で、「現在地連動」をオンにすればいつでも今いる場所の防災速報を受け取ることができます。さらに速報を受け取りたい地域を3カ所まで設定できるため、たとえば離れて暮らすご家族の居住地や職場、学校なども登録できます。

取得できる情報も、地震だけではなく津波情報や火山情報、国民保護情報などからほしい情報だけを選ぶことができます。

LINEの防災・減災タスクフォースの設置と目的、取り組みについて

LINE社は2022年10月、LINE社内全体が一丸となって防災・減災に取り組むことを目指し、タスクフォースを設置しました。これによって、社外との連携が今まで以上のスピード感で実現できるようになりました。

LINEは現在、MAUが9,500万人(2023年3月末時点)、つまり日本の人口の約7割の方に使っていただいています。
ユーザーの推定居住地を見ても日本における人口分布比率におおむね近しく、さらに1日に1回以上LINEを利用する方がユーザー全体のおよそ7割以上ということから、日本全国に住む幅広い方々に高頻度でご利用いただいているサービスであると考えています。

このような背景もあり、LINE社の防災・減災タスクフォースでは、「一人でも多くの命が助かる未来」を本気で目指しています。
また、8,000万人以上のユーザーを抱えるヤフーと協力して防災に取り組めば、より一層多くの方々に命を守るための情報をお届けしたり、災害時に役立つ機能を提供したりできると考えています。

最後に、LINE社の防災・減災タスクフォースが現在行っている取り組みをご紹介します。防災科研センター長の臼田先生に監修いただき、ヤフーと共同で、防災行動を分かりやすく学べる啓発コンテンツ「スマホ避難シミュレーション」を制作しました。

スマホ避難シミュレーションでは、親しみやすい主人公とともにゲーム感覚で防災を学ぶことができます。今回は、誰でもやってしまいがちな危険行動の問題点や、正しい防災行動を確認できるクイズを盛り込みました。また、東日本大震災や熊本地震の教訓を学べるストーリーになるように工夫しました。

東日本大震災のチャリティー企画として、「3.11」と検索すると10円を寄付する企画なども2021年から、ヤフーと一緒に毎年実施しています。

LINE社は防災・減災タスクフォースを通じてヤフーとともに、防災について学ぶ機会や、被災地支援について考える機会、防災に役立つ機能を知る機会を作っています。
これからも、ヤフーとともに引き続き力を合わせながら、「一人でも多くの命が助かる未来」を目指して防災・減災に取り組んでいきたいと思います。

(※2023年3月10日の登壇時に話された内容です)

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