ヤフー株式会社は、2023年10月1日にLINEヤフー株式会社になりました。LINEヤフー株式会社のコーポレートサイトはこちらです。
当ページに記載されている情報は、2023年9月30日時点の情報です。

企業情報

2022.10.26

違いを知り、理解するために 役員が「女性の健康検定」を受検した理由

画像

内閣府男女共同参画局が実施した「男女の健康意識に関する調査」によると、
・20代から30代の7、8割が月経に関する何らかの不調を感じている
・月経痛は20代の約64%、30代の約52%が抱えている
という結果になっています。
参考)男女の健康意識に関する調査

女性は「月経」だけでなく「妊娠」「出産」「閉経」などのライフステージによって、大きくホルモンバランスが変化し、それに伴う不調が体や心にさまざまな症状として出てくることは、さまざまな研究によって明らかになっています。
そして、これらの不調は決して本人だけの問題ではありません。仕事のパフォーマンスや他者とのコミュニケーションに影響を与えてしまう可能性も…。女性特有の症状や体と心の変化について理解を深めることは、当事者である女性はもちろん、女性とともに働き、生活している男性にとっても、大切なことといえそうです。

2022年6月、代表取締役社長の小澤を含めた常務執行役員の全11名が「女性の健康検定(※1)」を受検し合格しました。これは、有志社員による「女性の健康支援プロジェクト」のスポンサーでもある、専務執行役員の宮澤がまず受検し、その後、常務以上の役員全員に「(常務執行役員以上の)全員で受検しましょう!」と提案したことがきっかけだったそうです。
※1 女性の健康検定:
一般社団法人 女性の健康とメノポーズ協会が実施。女性の健康課題における予防・対策、およびワーク・ライフ・バランスの知識と情報に関するリテラシーを評価・認定する。

「女性の健康検定の勉強を通して学んだことは、これまで知らなかったことばかりだった」という宮澤に、受検してみて感じたこと、役員の受検を提案した理由などを聞きました。

宮澤 弦(みやざわ げん)
取締役 専務執行役員。2021年より、女性の健康支援プロジェクトのスポンサー(※2)。

体と心の健康維持のために心がけていること
ストレスは絶対に誰でもあり、たまっていってしまうものなので、「流して、溶かす(解消する)」しかないと思っています。「笑う」「運動する」「お風呂に入る」「森林浴」など、自分に合った方法で溶かしていくのがいいですね。「その日のストレスはその日のうちに溶かし切って」翌日を迎えることをできるだけ意識して過ごしています。

※2 ダイバーシティスポンサーシップ制度:
ヤフーのダイバーシティを推進し、働きやすい社内風土を醸成するため、有志を中心とした6つの社内プロジェクトを執行役員がサポートしている。女性の健康支援プロジェクトのほか、パパママプロジェクト(育児・子育て)、ウーマンプロジェクト(女性の活躍)、レインボープロジェクト(LGBTなど性的マイノリティー)、ノーマライゼーションプロジェクト(障がい者)、グローバルプロジェクト(外国籍社員)がある。

女性の健康課題について理解したことで、自分ごとに置き換えて想像できるように

昨年、女性の健康支援プロジェクトのスポンサーになったときに、「男性も年代によって、たとえば疲れやすくなる、太りやすくなるなどの変化はある」と話していたら、「まず前提として、個人差はあるものの、女性の体調は安定していることがほとんどありません」と言われてびっくりしました。
これまで私が一緒に仕事をしている女性のみなさんはいつも元気そうに見えていましたが、実際は体調不良を感じることがあっても、できる限り周囲の人に見せないよう努力しているのかもしれない、と気づくきっかけになりました。

その後、メンバーから勧められて女性の健康検定を受検したことで、「女性の体調は不安定なことが多い」理由を具体的に知ることができました。
検定の勉強を通して学んだことは、これまで私が知らなかったことばかりでした。女性の健康状態はライフイベントの多様化に伴い非常に大きく変化しています。少子化、長寿化などが重なって、生涯の生理回数は増えているそうです。そのために生じる体調トラブルが増加していることにも驚きました。

私は結婚していて子どももいるので、女性の健康についてある程度の理解はあると思っていましたが、本当の意味ではほとんど知らなかったことを痛感しました。そして、私たちのライフイベントが変化し多様になっている中で、女性の健康やキャリアのとらえ方や考え方をアップデートできているだろうかと、改めて考えるきっかけになりました。

また、まず私たちがやるべきことは、女性の健康について勉強して理解することではないかと思いました。それによって、女性がより働きやすくなるよう、今以上に気を配れるようになるかもしれないと思ったことから、役員全員での受検を提案してみたところ、社長の小澤は「うん、いいんじゃない!」と即答でした。

試験日が決まってからは全員、「どう勉強したら合格できる?」「何時間勉強する必要がある?」と焦っていましたね(笑)
小澤は「社会人になって、こんなに試験勉強をしたのは初めてだった」と言っていました。

「女性の健康検定」を常務執行役員が受検した理由
・女性の健康支援プロジェクトのスポンサーである宮澤がまず受検・合格
・女性の体調トラブルが激増しているなど、知らなかったことばかりだったことに衝撃を受けた
・女性の健康やキャリアのとらえ方をアップデートできているか改めて考えるきっかけに
・常務執行役員以上の受検について、社長も「やろう!」と即答 11名全員が合格

男性が女性の体や心の変化についてきちんと知る機会は、実はほとんどない

女性の健康についても、検索すれば多くの情報が得られます。ただ、意識したりある程度の知識があったりしないと、そもそも検索するキーワードも思いつかないと思います。私も今回、勉強していくなかで初めて検索したり調べたりした内容がたくさんありました。

私のように40歳代以降の世代が小学校や中学校の保健体育の授業を受けたのは、30年くらい前になりますし、その内容も覚えていない方がほとんどではないでしょうか? 大人になってからその内容を勉強する機会はほとんどないため、多くの方は女性の健康についての知識がほとんどない状態だと思います。

また、当時受けた授業では、女性の体調の変化やそれによってどういった影響があるのか、ということまではなかったように思います。女性に「月経」があるのはわかっていても、それが女性の体や心、生活にどういう影響を与えているかについては、多くの人は習っていないのではないでしょうか。
でも、女性は体調の変化によって日々の生活にさまざまな影響があり、たとえば「いつもよりイライラしやすくなってしまう」くらい不安定になることもある、ということを当事者の女性はもとより、職場で一緒に仕事をする男性も理解しておくことは、とても大切だと思います。

「その不調がどうして起きているのか」知ることが理解につながっていく

私の妻も、これまでもたびたび「頭が痛い」と言っていましたし、そのほかにも体調の変化があることは理解しているつもりでした。ですが、今回勉強したことで、想像していたよりも何倍もつらそうだと感じるようになりました。「その不調がどうして起きているのか」が知識としてインプットされると、受け取り方も違ってくるのだなと思いましたね。

ちなみに、たとえば私がひどい二日酔いで「地球が滅びるのではないかと感じるくらい頭が痛い!」と言っても、妻はお酒を全く飲まないので、このつらさは絶対に理解してもらえません…。
このような「自分が経験したことのない、これからも経験しないつらさ」については、「どのようにつらいのか」知らないと、理解することは誰にとっても難しいのではないかと思います。

特に女性特有の不調については、男性が事前に察するのは非常に難しいことです。女性からも、たとえばご家族やパートナーなど、身近な人に対しては「今日は少し不安定な時期かもしれない」などと伝えてもらえると、よりお互いの理解につながりやすくなるかもしれません。

これまでは私も、夫婦でケンカになってしまったときなどは、もう少し意固地になっていたこともあったような気がします。ですが今は、妻は体調が不安定ななかでも家事や育児をしていると想像できるようになって、これまでより早めに歩み寄ったり、ねぎらったりできるようになりました。

宮澤:先ほどお話した「ストレスはその日のうちに流して溶かす」と同じく、ケンカも翌日には絶対に引きずらないと決めているので、その日の23時58分ぐらいまでには必ず謝るようにしています(写真は58分を表現中)。
生きる上での一番の土台であり、エネルギーを充電する場でもある家族との関係も、その日のうちにしっかり修復することはとても大切だと思います。

「不安定なほうが当たり前」といわれる女性の健康について理解した上で寄り添っていきたい

これまでは、男女ともに年齢に伴う体調の変化はあるものの、その変化の内容にはそこまで大きな違いがないと思っていました。でも実は、女性にとっては不安定なほうが当たり前、安定しているのが珍しいと知ったことで、価値観が大きく変わりました。
もちろん、女性の中にも個人差はありますし、全ての女性が一様にそうであるということではないのですが、少なからずそういうケースがあるのであれば、そのような状態の女性と一緒に働いていると理解しておくことは、とても大切だと思いました。

小澤をはじめ、役員も一様に「勉強して、これまで知らなかったことを知ることができたことがとても良かった」と言っています。ただ、この検定を受けて合格することが目的ではなくて、もっと女性が活躍できる会社であってほしい。さらには、そもそも「女性が」と言う必要がなくなることが理想だと思っていますので、今はまだ課題も多いと思っています。

社内のアンケート結果などを見ると、「女性特有の不調で使える制度はあっても取りにくい」「同僚の理解が得られにくい」「休むと言いにくい」という声もあがっています。また、「出産のために休んでしまったら、復帰後はキャリアを諦めなければいけないのだろうか」と悩んでいる社員もいるようです。
もちろん、活躍している、楽しく働いているという女性社員もたくさんいますが、その一方でこのような悩みが出てくるということは、女性であるために何らかのネガティブな側面を感じている社員もいる、ということです。

このような悩みに、少なくとも上長が女性の健康についても理解した上で寄り添えたら、だいぶ違うのではないかと考えています。そのためにも、今回の検定受検をきっかけにまず私たち経営陣が理解し、意識を変えることで、現場の意識も変わっていくと期待しています。

11月には、執行役員全員が「女性の健康検定」を受検します。また、それ以外の管理職層は10月から、ダイバーシティ&インクルージョンのマネジメント研修が必須になり、その中には女性をはじめとした「多様性理解」の内容も含まれています。

ダイバーシティ&インクルージョンの領域は、世界と比べると日本企業はまだ遅れていると感じています。今後はさらに私たちの知見を広げ、価値観をアップデートしていきたいと思います。

【関連リンク】

このページの先頭へ