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企業情報

2022.10.26

女性も男性も働きやすい職場を目指して「女性の健康検定」とは

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2014年に、女性特有の健康課題とより良い働き方に関する基本的な知識を習得していることを認定する「女性の健康検定」を20名の社員が受検しました。
その後、このとき受検した社員による有志プロジェクトである「女性の健康支援プロジェクト」を発足。現在も、健康に関する「サポーター」として社員の相談を受けるなど、女性の健康についての啓発活動を行っています。

また、今年6月には、代表取締役社長の小澤を含めた常務執行役員以上の全員11名が「女性の健康検定」を受検し、全員合格しました。
今回は、この検定を実施している「女性の健康とメノポーズ協会」理事長の三羽さんに、この検定ができた背景やこれまでの活動、女性が健康に働き続けるために知っておきたいことなどをうかがいました。

三羽 良枝(みわ よしえ)さん
出版社に勤務後、現在は一般社団法人「女性の健康とメノポーズ協会」理事長。
「女性の健康支援」「女性の健康教育」「女性の健康経営®」の3事業部門において、女性の生涯を通した健康づくりとより良い働き方に関する啓発とサポート活動を実施。「女性の健康電話相談」「女性の健康検定」、フォーラム開催、調査研究など14部門の活動を行っている。

女性の健康検定とは

女性の健康検定とは
・女性特有の健康課題とより良い働き方に関するリテラシー向上を図る目的で実施
・個人、企業・団体の人事担当者、役員、管理職の女性・男性が対象
・女性も男性も働きやすい、多様性豊かな職場づくりと持続可能な社会の実現を目指す

女性の健康検定は、女性特有の健康課題とより良い働き方に関するリテラシー向上を図る目的で、個人、企業・団体の人事担当者、役員、管理職などを対象に2012年より実施している検定です。
これまでに女性・男性を問わず約2,000名の方が合格しています。この検定の実施を通じて、「女性も男性も働きやすい、多様性豊かな職場づくりと持続可能な社会の実現」を目指しています。

検定の活用例

健康教育
・女性特有の健康課題に対する適切な対処ができるようになる
・望んだライフキャリアを実現しやすくなる
人材育成
・支援型リーダー育成や管理職研修に活用できる
・健康経営・女性活躍推進担当の学習に役立つ
・メンターの育成に役立つ
女性の健康経営
・女性特有の健康課題の相互理解により職場のコミュニケーションが向上する
・女性社員の健康とワークライフバランスの適切な相談対応が可能となる
・女性も男性も働きやすい職場づくりとパフォーマンスの向上に役立つ

働く女性の「仕事と健康」を考えるために 女性の健康検定ができた背景

「女性の健康とメノポーズ協会」設立の背景

1996年の「女性の健康とメノポーズ協会(旧メノポーズを考える会)」の設立当時は、「会を設立して責任を持って継続して活動をやり抜けるのだろうか?」と自問しつつも、「鉄の意志と情熱があればできる!」という言葉から力をもらい、主に以下のことを目指して活動をスタートしました。

1)女性の特性も考慮した総合的な医療の推進
30代から40代にかけて数回受けた手術の体験から、「心身をトータルにとらえ、女性の特性も考慮した総合的、長期的な医療が進んでほしい」という思いがありました。
2)女性の健康に関する情報を広く伝える
当時は医療業界でも社会的にもほとんど知られていなかった「女性は全身に女性ホルモン作用を受けており、生涯の健康や生活にも大きく影響している」という情報を広く伝えていきたいと考えました。
3)女性特有の症状で悩んでいる女性のネットワークづくり
更年期症状で悩んでいた先輩たちが「気の持ちようで乗り切るしかない」「我慢すればいい」などと感じていることを知りました。女性ホルモンのメカニズムが要因である更年期症状について、同世代の女性たちと共有しネットワークづくりをしたいと思いました。
4)女性がよりよい医療と理解が得られる環境づくり
後に続く若い世代の女性たちがよりよい医療を受けられること、そして女性特有の不調への理解を得られる環境を作りたいという思いもありました。

写真はイメージです

女性の健康検定ができた背景

協会設立の26年前はまだ、女性特有の健康課題についてはほとんど認知されてない状況でした。
ですが、協会で長年実施している調査や「女性の健康電話相談」などから、健康課題が多くの女性にとって仕事にも大きく影響を及ぼしている実情を把握できました。
具体的には、
「職場内に更年期による不調への理解があまりなく、肩身が狭く降格を申し出た」
「不調を相談できないうちに悪化してしまい、離職しなければならなかった」
など、健康問題が仕事にも大きな影響を及ぼしているという声が全国から多く寄せられました。

当時はまだ、女性特有の健康問題と仕事とを結びつける考え方はほとんどありませんでした。ですが、働く女性が増えてきたことで、今後はこれらを融合させた視点が不可欠になっていくと痛感したことから、女性の健康に関する知識と理解を広めることを目的に、この検定をつくりました。

この検定は、1997年より実施している健康意識調査や「女性の健康電話相談」の記録データ(約5万5千件)などの集計分析をもとに作成しました。客観性を重視するためにも、エビデンスのある科学的(医学的)情報にもとづく内容のみを反映しています。
また、女性医療を専門とする「一般社団法人日本女性医学学会」理事長に監修いただき、医学をはじめ、運動学、栄養学、キャリアコンサルティング、心理学、医療行政など、各分野の専門家の方たちとも一緒に作っています。

女性の健康検定ができた背景
・女性特有の健康問題と仕事とを結びつける考え方はほとんどなかった
・多くの女性にとって健康課題が仕事や生活に大きく影響を及ぼしていた
・女性の健康に関する知識と理解を広めることを目指して検定を作成
・健康意識調査や相談データなどをもとにエビデンスのある情報を反映
・医学や運動学、栄養学、心理学など、各分野の専門家と一緒に作成

女性特有の健康課題は世代ごとに異なる

ライフステージごとの女性ホルモンの変化と疾患 (出典:一般社団法人女性の健康とメノポーズ協会「年代別女性の健康と働き方」)

女性特有の健康課題(起きやすい疾患)は、世代ごとに異なります。ですが、各世代に起きやすい疾患には、医学的なデータにもとづいた治療法が確立しているので改善できます。
この検定で習得したそれらの知識があれば、ご自身の体調不良についても、今のライフステージ(※1)では健康課題として起きうる不調なのだと、客観的にとらえられるようになります。その上でライフスタイルの見直しや上手に医療も取り入れるなど、適切な対処ができるのではないかと思います。

また、女性特有の健康課題と働き方に関する知識と理解を持つことは、女性自身はもとより、女性を登用する立場の方にとっても非常に有意義だと考えています。
ただ、これは決して「健康のことは女性だけ重視して、たとえば月経や更年期の問題で女性だけ優遇をしてほしい」ということではありません。更年期の問題は男性にもありますが、症状や定義などが異なります。そのため、女性特有の健康課題を知り理解することが求められると考えています。

まず、女性の体は一生の中で、また月経のある世代は毎月の中で、大きな変化があります。
たとえば月経においては、経済的損失との関連も試算(※2)されている月経前のPMS、PMDD(※3)などの疾患もあります。これらも女性特有のメカニズムが要因で起きるものです。
また、40代前半の更年期に向かうころには月経の状態も変化していきます。女性ホルモンの分泌量が不安定になり減少していく影響で、40歳前後から不調を感じ始めたり不安になったりする方も多くいます。

このような年代ごとに異なる症状も、知識を持つことで「ひどい月経痛は放置しないで婦人科で診てもらおう」「年代的に女性ホルモンの減少かもしれないから、婦人科の更年期外来に行ってみよう」など、早期に治療や改善ができるようになります。
また、女性のライフイベントのひとつに、妊娠・出産・育児があります。妊娠・出産を望む場合は、女性ならではの体の変化を事前に知っておくことで、ご自身のライフキャリアの設計と合わせてその時期を前もって考えられるのではないでしょうか。

このように、女性特有の健康課題がライフステージごとに異なり、さらに女性の一生と仕事に大きく関わっていることを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思っています。

※1 ライフステージ:
少女期、思春期、性成熟期を経て、更年期、老年期と体や心、女性ホルモンの状態が変わっていく
※2 女性特有の月経随伴(ずいはん)症状による労働損失は年間4,911億円と試算されている
参考)健康経営における女性の健康の取り組みについて(3ページに記載)
※3
PMS:
Premenstrual Syndromeの略。「月経前症候群」とも呼ばれる。月経前の3から10日の間に続く精神的、身体的な症状のこと
PMDD:
Premenstrual Dysphoric Disorderの略。「月経前不快気分障害」とも呼ばれる。PMSの中でも特に精神状態に関する症状が著しく現れる

女性特有の健康課題は世代ごとに異なる
・月経や月経前の不調は女性特有のメカニズムが要因
・更年期に女性ホルモンが減少することで不調を感じることも
・年代ごとに異なる症状について知っておくことで、早期の治療や改善が可能に

女性の健康検定を受けることで、女性にも男性にも働きやすい職場に

女性の健康検定を受けた有資格者がいる企業では、健康経営、特に女性特有の健康課題とより良い職場づくりへの視点が深まっていくと思います。職場の男女相互のコミュニケーション向上が、職場の環境整備やサポート体制にも反映されていき、昨今いわれている「アブセンティーズム」「プレゼンティーズム」(※4)を減らすことにもつながってくるのではないでしょうか。

また、女性自身も適切な治療を受けたり、ライフスタイルを見直したりすることで、パフォーマンスも上がり、効率良く働き続けられるようになることが期待できます。男性は、女性の健康に関する理解を深めることで、職場の同僚やパートナー、ご家族間の関係も良好になるのではないかと思います。
これまで受検された企業からは、「女性特有の健康課題への知識と理解を持つ人が増えることで、女性・男性相互の理解が深まりコミュニケーションも良好になったことで、女性も男性も働きやすい職場づくりにつながった」という声も多くいただいています。

以前、当検定を受検されたある企業の男性役員の方からうかがったエピソードです。部下の女性の具合が悪そうで心配だったものの、どう声がけをしていいのかわからず困っていました。
ですが、当検定を受けて女性の健康推進員の資格を持ったことで知識や理解が深まり、その女性に通院してみることを勧めたそうです。その後、その女性は更年期外来を受診し、治療を受けてすっかり元気になり、前にも増して職場で活躍されていると聞きました。男性役員の方は、有資格者として知識をもとにその女性にアドバイスができて、とても良かったとおっしゃっていました。

※4
アブレンティーズム:
心身の不調により、遅刻や早退、欠勤や休職など、業務が行えない状態
プレゼンティーズム:
心身の健康上の問題によりパフォーマンスが上がらない状態

女性の健康検定を受けることで、働きやすい職場につながる
・健康課題とよりよい職場づくりへの視点が深まる
・男女相互のコミュニケーションが良好に、環境整備やサポート体制にも反映される
・女性自身も適切な治療や、ライフスタイルの見直しをしながら働き続けられる

写真はイメージです

ヤフーさんとは、約10年前に「ヤフーは若い世代が多い会社だけれども、これから更年期を迎える職員も増えてくる。ぜひ世代を通した女性の健康について知りたい」とお声がけいただいて社内セミナーでお話させていただいたこと、その後ヤフーの社員のみなさまが女性の健康検定を受検してくださったことがご縁となりました。

2014年には「女性の健康検定」を受けられた方を中心に女性社員のための相談窓口ができたと聞いています。非常に早い時期からヤフーさんは働く女性の健康について関心をお持ちで、その成果も上げていると感じています。
さらに、今年は常務以上の全役員も受検され全員合格されました。さらに、女性の健康経営推進の活動により、「女性の健康経営アワード」も3回受賞されています。企業としてSDGsで求められるダイバーシティ(女性活躍の推進)の実現に、早くから取り組まれ実績を上げていると思います。

今年から、「女性の健康検定」はオンラインで全国どの場所からも受検していただけるシステムになりました。今後も多くの企業・団体のみなさまにもぜひ、当検定を受けていただきたいと願っています。そして、みなさまと「誰もが健康に働き続けられる」持続可能な社会づくりに貢献してまいります。

働く女性が元気に過ごす10カ条

最後に、女性の健康とメノポーズ協会が提案している「働く女性が元気に過ごす10カ条」をご紹介します。ぜひ、定期的に確認してみてください。一人でも多くの方が元気に働き続けられることを願っています。

働く女性が元気に過ごす10カ条

  1. 運動・栄養・休養を大切に、生涯元気で過ごす健康づくりをしよう
  2. 自分の生き方、働き方、ライフプランをデザインしよう
  3. 乳がん・子宮がんなどの女性検診は、定期的に進んで受けよう
  4. 女性ホルモンのサイクルを知り、月経周期や更年期などに上手に備えよう
  5. 心身の不調を感じたら、一人で悩まず専門家に相談を
  6. 女性の医療に詳しい婦人科などのパートナードクターを持とう
  7. 安心して仕事を続けるために、働く女性の支援制度や法律を活用しよう
  8. 家族・友達との会話や自分の時間を大切に、心の栄養補給を忘れずに
  9. 仕事・趣味・家庭・社会参加を大切に、自分が望むワークライフバランスを心がけよう
  10. 頑張り過ぎず、「自分が何を望み、何が快適なのか」心の声に耳を傾けよう

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