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企業情報

2022.07.15

「現地に飛び込んで、地域の熱量を知る機会をつくり、インプットを続けたい」 ヤフーの新しい働き方

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ヤフーでは働き方のアップデートを続け、2020年からはフルリモート前提の働き方になっています。リモートワークの制度自体は、2014年にスタートしました。2017年当時からこの制度を活用して、全国のさまざまな地域を訪れて最先端の技術や情報に関するインプットを重ねながら「新しい働き方」を実践する水田に、リモートワークで効率よく働くためのコツなどを聞きました。

    目次:
  1. 「月1回、東京以外で仕事をしてみた」ことが、IT業界とそれ以外の業界をつなげる活動のきっかけ
  2. インプットを増やすためにはどんどんアウトプットをした方がいい
  3. オンライン環境で、効率よく働くためのコツ コミュニケーションの工夫
  4. オンラインになったからこそ情報をお互いにやりとりしやすくなった
  5. 各地で活動することで、「自分がどう社会と接点を持ちたいか」を考えるようになった

水田 千惠(みずた ちえ)
2003年入社。CTO室で主に社外の協賛案件のサポート、ヤフーのクリエイター(エンジニア・デザイナー)が活躍できる場づくりに取り組んでいる。「Bonfire」(社内外のクリエイター向けの技術勉強会)の企画運営を担当。「未来を発明する人々をエンパワーメントする」をコンセプトとしたウェブメディア・Future Questionsの編集長でもある。
※アートにも興味があり、トップのアート写真は、地元山口県宇部市民に愛される「蟻の城」(常磐公園の芝生の丘に設置されている)を水田が撮影したもの。

「月1回、東京以外で仕事をしてみた」ことが、IT業界とそれ以外の業界をつなげる活動のきっかけ

拠点は東京ですが、今は毎月、地元である山口県でテレワークしています。1週間から10日を山口で過ごしているので、月3分の1が山口、3分の2が東京です。月1回行くペースが定着しているので、比較的どちらでも居心地がよく、仕事をしやすい環境です。山口の実家にもテレワークスペースの部屋を用意し、環境を整えました。

ヤフーでは、社員一人ひとりのニーズにあわせて働く場所や環境を選択できる制度、「どこでもオフィス」を2014年より開始し、2016年からは月5回まで取得できるようになりました。その制度を積極的に活用して、「毎月1回、東京ではないどこかで仕事をしてみよう」と、「どこかでオフィス」という自分独自のルールを思いつきました。
新型コロナウイルス感染症の影響で、ヤフーでは2020年からはリモートワークの上限回数が撤廃されてフルリモートが可能な環境に切り替わりましたが、これまで独自で行っていた「どこかでオフィス」が今の自分らしい働き方のきっかけだったと思います。いろいろな地域の人と交流したり、地域課題を知ったりするために現地に飛び込んでみたいという好奇心でスタートしました。

最初に行ったのは熊本市です。他には石川県金沢市、福島県会津若松市、香川県高松市と小豆島の小豆島町、長野県上田市、福岡市、山口県宇部市などにも行きました。現地では、地域のコミュニティーの方と何かしら交流するイベントに参加したり、コワーキングスペースを利用したりしたことで、その地域の熱量を知ることができる貴重な機会になりました。
2017年当時はまだまだIT業界とそれ以外の業界がつながっていない、なかなか地域に溶け込みづらいという、壁のようなものを感じるような場面もありました。その壁を乗りこえるための熱量はどういうものがあるのかを知りたくて、この熊本市の訪問をきっかけに、その後もいろいろな地域に実際に飛び込んでみたい、と思い行動に移しました。

左は副業で、地元のお茶の名産地で地域の課題をヒアリングしているところ(写真は山口県からの提供)右は山口大学で非常勤講師として講義をしているところ

インプットを増やすためには、どんどんアウトプットをした方がいい

アウトプットをすることがインプットにつながると思っています。
そのためには、まずは私が何に興味を持っているのか、何を知りたいと思っているのか、そういうことを自分がきちんと宣言する、自分が何者であるかをきちんと表現することが大事だととらえています。それがその先の人や情報のネットワークによりつながりやすくなると思うので、アウトプットを積極的にすることから始めるのがオススメです。

・水田がTwitterで、OpenStreetMapを活用して行っている「#ふるさとマッピング」の取り組み

また、自分が「こういう技術に興味がある」、「こういうインターフェースを作ってみたい」ということを宣言するためにも、たとえば「Hack Day」(※)などで、作品としてプロトタイプを作ることはとても効果的だと思います。作品を作るだけでなく、ブログを書いたりSNSで発信したりして、「自分がどういうことに興味があります」と宣言することで、それらの情報が集まりやすくなると思います。

水田が行っている電子工作の取り組み(外部サイト)

インプットするときには、実際に物事が起こっている熱源を見に行く、中に飛び込んでいくことがすごく大事だと思っているので、フットワークの軽さが必要です。

私が知りたい、会いたいと思ってすぐに行動する場合、以前は週末や有給休暇を利用して行っていました。それが、「どこでもオフィス」を活用すれば、平日の業務時間外で移動して、仕事をしながらもインプットの機会を織り交ぜられるのは、この制度の魅力だと思います。

私が「どこかでオフィス」で取り組んできたことは、「北前船(きたまえぶね)※」のように、伝統を受け渡しながら、文化を継承していくような動きの現代版に近いのかもしれません。
テクノロジーや新しいものなどを翻訳者・通訳者、または伝承者がさまざまな地域と混ざり合いながら伝えていくことで、種がまかれて芽生えたり、その種を拾って他の地域に持っていったりする動きにつながっていきました。

※「Hack Day」は、ヤフーが主催するハッカソンイベント。テクノロジーを活用して、日本の課題を解決するためのアイデア作品を競い合う。
※北前船は、江戸時代から明治時代にかけて日本海海運で活躍した北国廻船

東京の自宅からCode for Yamaguchiのイベント運営をしているシーン。Tシャツは水田自らデザインしたもの

オンライン環境で、効率よく働くためのコツ コミュニケーションの工夫

オンとオフの切り替えは、しっかり意識しています。同じ部屋で本業とプライベート、時には副業が続く時があるので、気持ちの切り替えをしないと頭を切り替えるのが難しい部分があります。
そういうときは、たとえばバーチャル背景を話す相手によって変えるなど、デジタル空間を切り替えることもあります。
また、私は山口県の課題解決などの副業をするときは、必ず山口にゆかりのあるブランドの服を身に着けています。そのように、形から入るというか、自分の中にそういうエッセンスを取り入れることを意識しています。

リアルで会うときよりもデジタルだからやりやすいことがあると思っています。たとえば「面白いサービスがあるから触ってみてほしい」と伝えるときに、対面で会ったときにそれをすぐに紹介しようとすると、パソコンを立ち上げたり、スマホを用意したりする必要がありますよね。ですが、Zoom上だと、たとえばチャット欄にURLを貼ってすぐに見てもらうことができます。
また、新しい取り組みをはじめる時には、まず自分が何に興味があるかをオンライン上でプレゼンテーションする時間を取るようにしています。
具体的には、「今、こういうテクノロジーに興味があります」「こういうテクノロジーをどう使うとどう面白いか」というようなことまで、深く話すような時間をミーティングの冒頭や終わりにできるだけつくっています。自分が何に興味があるかを相手に理解してもらい、そして相手が何をどういうふうに面白がっているのか、をお互いが知る時間を作ることが大事だと思います。

ヤフーのオープンコラボレーション空間LODGEで、オンラインでのクリエイターよろず相談の様子

オンラインになったからこそ、情報をやりとりしやすくなった

私と同様、もっと多くの人がテクノロジーを翻訳したり媒介したりするなどしていくと、よりわくわくする未来が実現していくのではないかと考えています。 たとえばVR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)などの新しい技術については、わからないことで最初怖いと感じることもあるかもしれません。でも、身近な人から「最近ドローンを買いました」「最近VRでこんな世界に行きました」というように、その人の言葉で聞くことで、「その技術を自分も触ってみようかな」「ちょっと試してみたいな」と思うきっかけにつながりやすいのではないでしょうか。
そんな風に、テクノロジーを仲介・媒介するような役割が地方、全国、全世界に増えていくといいなと思っています。
私が先ほど、自分がどんなことに興味があるか積極的に発信しているとお話したのは、たとえば「水田さんはVRについて興味があるんだな」と知っておいてもらうことで、何か気になることが生まれたときに、「あのニュースってどういう意味ですか」などと気軽に聞いてもらえるようになることも期待しているからです。
お互いに「これとこれについては、私は何かしら会話ができます」と知っていることで、それぞれが情報を持ち寄って、さらに深く議論するきっかけにもなるのではないかと思います。そういう意味では実は、オンラインになったからこそ情報をお互いにやりとりしやすくなった部分があるのではないかと思っています。
たとえば、VRヘッドセットをいつも持ち歩いてはいないですが、オンラインで話していたら、自宅にはあるのですぐに出して見せることもできますよね。

水田がVRで世界的なテックイベントであるサウス・バイ・サウスウエストに海外出張した際のビジュアル

各地で活動することで、「自分がどう社会と接点を持ちたいか」を考えるようになった

私はインターネットがどう人とつながって、世の中をより良くしていくかにとても興味があります。今は特に、ヤフーというインターネットのサービスを通じて世の中にどう貢献できるのか、世の中の人とどうつながれるのかということに一番関心があります。
「どこでもオフィス」の制度を使って各地で活動することで、会社の中だけでなく、社会の中で自分がどう働いていたいか、自分がどう社会と接点を持ちたいかをまず考えるようになってきました。
ヤフーの好きなところは、興味があることについてしっかり発信したり、グループをつくってコミュニケーションしたりしている人が多いことです。「ハックマインド」「クリエーターマインド」を持ち、さらにオープンに新しいものに向き合う人も多いので、モチベーションを共有しやすいところも魅力です。
そのような人たちと、これからも新しいこと、面白いことを共有し、試してみるということを続けていければと思います。

コロナ禍で、リアルな集まりは減りましたが、逆にバーチャルで完結するコミュニティーの活動が社内でも活発になりました。また、Slackを通じて「こういうことに興味ある」「こういうVRのサービスが出てきたけど誰か一緒にやりませんか」などの声掛けがすぐにでき、一緒に体験できる仲間が見つかるという面でも、社内のコミュニティーにとても助けられています。
新型コロナウイルス感染症による影響を見極めながら、また、「どこかでオフィス」の取り組みを行って知見を広げていきたいと思います。

東京にて、地元山口のメディアから取材を受けた際の1シーン

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