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2022.04.04

「東京の会社員」を辞めずに、愛するふるさとで暮らす ヤフーの新しい働き方

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ヤフーは2016年10月から、通勤時間が2時間以上かかる従業員などを対象に新幹線通勤を認めています。これは、東京オフィスをはじめ、各拠点での勤務を継続するための施策です。
今回は、この制度を使って2017年からふるさとの新潟県・越後湯沢に移住して新幹線通勤、そして2020年からはリモートワークによる「新しい働き方」を実現している角谷に、移住の理由やリモートワークでの時間の使い方、オンライン上でのコミュニケーションの工夫などを聞きました。

    目次:
  1. 3年間の新幹線通勤「地元に戻る=会社を辞める」ではなかった
  2. リモートワークで時間を上手に使うために工夫していること
  3. 移住を検討するときに大切なこと:人生の中で優先したいことを明確にしておく
  4. 移住して持てた「2つの視点」が仕事でも家業でもプラスに
  5. オンライン環境では「今の状態を100点とは思わない」ことが大事
角谷 真一郎(すみや しんいちろう)
2012年入社。2013年より人事本部の組織活性チームに所属。2016年より人財開発本部の業務推進チームで、新規採用、障がいのある社員の業務サポート(業務開拓、業務管理、コンディションケアなど)を主に行っている。昨年結婚し、夫婦そろってリモートワーク生活。

越後湯沢の魅力は?
東京から(新幹線で)75分移動しただけで、雪が3メートルある別世界を味わえるところです。
海外経験のある方に聞いたのですが、世界中を探しても同じ移動時間でこんなに劇的に景色や気候が変わる所はないそうです。劇的に気候も風景も変わる「びっくり箱」のようなところが特に好きです。

移住を考えている人へ
移住に必要なものは「だめだったら帰ってくればいい」くらいの柔軟さだと思います。
もし、移住してみて「ちょっと違うな」と感じたら、また戻ればいいと思っています。物理的には東京と比較して少なくなるもの(お店やコンビニエンスストアなど)も多いですが、その代わりに東京にはないものがあります。「東京にないけど移住先にはある」ものを楽しめる人には向いているかもしれません。

3年間の新幹線通勤から完全移住へ「地元に戻る=会社を辞める」ではなかった

2016年10月:人事制度が改定され、新幹線通勤が可能に
2017年1月:準備期間を経て、越後湯沢の実家へUターン。東京オフィスへ毎日新幹線で通勤
2020年4月:完全リモートワーク制度により、東京オフィスへの出社は2、3カ月で1回くらいに
現在も移住生活継続中。冬の週末は旅館の仕事を手伝う

約3年間は毎日新幹線通勤 朝7時に家を出る生活

2016年11月から、ヤフーの新幹線通勤の制度を利用して実家の越後湯沢から東京オフィスに通勤するようになりました。

当時、新幹線通勤をしてでも実家で暮らそうと思った理由は、10代のころからずっと「いつかふるさとに帰りたい」という思いがあったからです。そのため、「20代は東京でいろいろなことに挑戦して、30代のどこかのタイミングで地元に戻りたい」と思っていました。

ただ、「地元に戻る=会社を辞めること」だとも思っていたので、「(ヤフーを)いつ辞めようか…」と考え始めたのがちょうど30歳になる年でした。その時に、ヤフーの人事制度が新しく発表され、新幹線通勤も可能になったので、ぜひこの制度を利用したいと思いました。
当時の同僚や上司は、移住前に私の実家に何回か遊びに来てくれていたこともあり、「ああ、あそこから通うんだ、いいね」「また遊びに行くね」と移住の後押しをしてくださったのでありがたかったです。採用の仕事では夜遅くまで面接がある日もあるので、「東京発の最終新幹線に間に合うように、21時半にはオフィスを出たいです」と相談し、全面的に協力していただきました。

新幹線通勤時代は朝7時に出勤。後ろに見えるのは越後湯沢駅と上越新幹線の高架橋

家族を支えたい、ふるさとが好きだから 移住を選択

2年前に完全リモートワークの制度になったので、2020年4月からは越後湯沢の実家で平日は実家でリモートワークをし、冬の週末は旅館の仕事を手伝っています。東京オフィスに出社するのは2、3カ月に1回くらいです。

雪かきは大切な仕事のひとつ

移住した理由は「家族、特に高齢の母をサポートしたい」という思い、そして「ふるさとが好きだから」という、この2つです。この気持ちは今日までずっと変わっていません。
毎日新幹線で通勤していたころは、家族の体調が悪いと連絡がきても「まだ200キロ離れた場所にいるから、すぐには駆けつけられない」というもどかしさがありましたが、今はいつでも家族を支えられるという安心感があります。

実家の旅館を手伝っている様子

リモートワークで時間を上手に使うために工夫していること

リモートワーク中心の生活では、毎日のリズムを特に意識して過ごしています。
通勤時間がなくなり、パソコンを立ち上げたらすぐに仕事を始められるため、ぎりぎりの時間まで寝ていることも可能です。そのようなことを避けるためにも、毎日決まった時間に散歩したり、この時間からこの時間までは本を読むと決めたりしています。
そうすることで、「この時間からこの時間までは仕事」「仕事を何時から始めなければいけないので、逆算してそれまでにこれとこれを終わらせよう」というように、時間の使い方をより意識できます。

また、できるだけ「何々しなければいけない」から「何々したい」に変えたいと思っているため、自分にちょっとした「罰」を与えたり、他の人に助けてもらったりもしています。
「罰」は、たとえば6時に起きられなかったら、その日は私の大好きなチョコレートが食べられません(妻に取り上げられてしまいます)。私は自分に甘いところがあるので、それくらいしないとだめでした…。

決めたことができなかった時は、おやつ抜き

他にやっているのは、「仲間をつくること」です。コーチングをやっている先輩に、定期的にかなりストイックにコーチングしてもらっています。
これは、年間4回ほど、集中して2週間くらいずつの期間で毎日受けて「今日、何をしたか、何時から何時まで何をして何を得ましたか」と、言語化するというものです。
そのときに「今朝はぎりぎりの時間まで寝ていました」と言うのは恥ずかしいので、その羞恥心と毎日振り返る厳しさでリズムをつくりました。一度リズムができてしまえば楽なので、それまでは誰かの力を借りてもいいと思います。
このようなことに取り組んだ結果、英語学習の習慣が身につき、TOEICのスコアが680(2019年)から850点(2021年5月)にアップしました。

リモートワークで時間を上手に使うために工夫していること
・自分で決めたことを守れなかったときのちょっとした「罰」を決める
・他の人の力も借りて、自分の行動を定期的に振り返る

TOEICの勉強中。iPadで単語を暗記

移住を検討するときに大切なこと:人生の中で優先したいことを明確にしておく

移住したからといって全ての望みがかなうわけではない、ということはまずお伝えしたいです。また、人生の中で何を優先したいことかを明確にしておくといいと思います。

地方には美術館や博物館などは、東京ほどはありません。そういう環境には耐えられないという人は、その時点で移住は検討し直した方がいいかもしれません。
地方移住は、ないものもあります。でも、それ以上に優先したいものは何なのかを、自分の中で言葉にしておくといいと思います。たとえばそれは家族なのか、自然の中での休日生活なのかなど、自分は何を目的にしたいのか、何を優先したいのか、軸がしっかりしていると迷いにくいと思います。

移住したい場所で試しに暮らしてみる

移住したい場所を検討するときは、できれば1週間、試しにそこで暮らしてみてください。平日きちんと仕事ができるのか。休日どんなアクティビティーができるのか。これらを体験するためには1週間くらいあるといいですね。もしそれが難しければ、3日でもいいので、土日は遊んで月曜は仕事をしてみるぐらいで、まずお試しでやってみる、その土地の空気に触れてみるだけでも十分だと思います。

お試し生活をするときは、「もし今けがをしたら近くに病院はあるのか」「将来子どもを産みたいなと思ったとき、産婦人科は近くにあるのか」など、実際にそこで生活することを考えて意識して確認しておくといいかもしれません。ちょっと先の人生までを想像してその土地を見るといいと思います。

移住を検討するときに大切なこと
・人生の目的、何を優先したいのかを明確にしておく
・1週間くらい、移住してみたい場所で暮らしてみる(仕事と休日両方を体験)
・お試し移住生活では、「ちょっと先の人生」までを想像してその土地を見てみる

移住して持てた「2つの視点」が仕事でも家業でもプラスに

移住してよかったことは、2つの視点を持てたことです。東京と新潟・越後湯沢と2つの場所から仕事を見ることで、いい影響があったと思っています。

新潟県の越後湯沢には本当にいろんな人が県外からいらっしゃるのですが、その方たちの動向が仕事に生かせるヒントになります。
今までの旅行は、「スキー場で滑って、そのあとはホテルに泊まる」という決まったテンプレをなぞる観光がメインだったと感じています。ですが、最近は「自分だけのオリジナルの旅行をしたい」「こういうことを体験したい」というお客さまが増えています。
たとえば、「雪国の人の生活を体験したい」「雪国の動物の生態を知りたいから熊の足跡を見に連れていってほしい」などのリクエストをいただくのですが、これらの経験は私が担当している採用の仕事にも生きてくるのではないかと考えています。

採用活動でも、入社後、課長になって部長になって…というキャリアを求めるのではなく「僕はこういう考えなんですけど、ヤフーに入ったらどんな経験ができますか」という質問をいただくことが増えています。当たり前に「会社」というパッケージを与えられるのではなく、自分なりのストーリーをつくりたい方が増えているようです。
たとえば、「お給料がいくら」ではなくて、「あなたはPython(パイソン:プログラミング言語)でこういうことをやってきたんですね。それなら、ヤフーのエンジニアになるとこういうことが経験できますよ」などと、魅力的なストーリーとして伝えられるようになるのではないかと思っています。

移住してよかったこと
・東京と新潟・越後湯沢 2つの場所から仕事を考えることができた
・越後湯沢の観光客が求めるものを知り、採用の仕事にも活かせた

オンライン環境では「今の状態を100点とは思わない」ことが大事

オンライン環境で働く上で特に心がけているのは、今の状態を100点と思わないことです。常に「もっとできることがあるのではないか」と思い続けています。
私は障がいの有無にかかわらず、社員が活躍できる舞台を整えることに取り組んでいます。具体的には、アプリテストや事務業務を他部門から確保してきて、障がいのある社員のスキルとマッチングさせる役割です。

彼らに「問題なく業務を行えていますか?」と聞くと、「大丈夫です」って言うんですね。でも、少し角度を変えて質問してみると、「実はこんなことで悩んでいました」という反応が出てくることがあります。
「オンラインではなく対面でやりとりしていたら気づけたかもしれない」「オンラインだけのやりとりで本当に大丈夫なのだろうか…」と悩むことは、まだあります。
相手が大丈夫と言っていて、一見問題なさそうにタスクが進んでいる時こそ、そこに何か落とし穴がないか、もっと改善できるところはないかと向上心を持ち続けることを大切にしています。

コミュニケーション量より頻度を増やす

対面ではない分、「大丈夫ではない部分」に気づくためには、コミュニケーションの量より頻度を増やすことが大切だと思っています。1回の1on1ミーティングを1時間ぐらい行うよりも、ちょっとしたときにZoomなどで声がけしています。そうすることで、日々のちょっとした変化、たとえば「いつもより声が沈んでいるな」などがわかります。

コミュニケーションの頻度を増やすためには、まず、相手からの発信を小まめに拾うのがよいと思います。たとえば、日報のコメントやSlackの発言などから、「先週と比べて対応した件数が増えたね」など、必ずポジティブなことをきっかけにして話すようにしています。
たとえば、「先週より対応件数を増やせているみたいだけど、工夫したことを聞かせてもらえる?」というように。私は、1日に2つは接している人のいいところを見つけようと決めていて、定期的に本人にも伝えています。

もちろん、時にはネガティブなことを伝える必要もあります。そんな時も、ポジティブな会話をして信頼関係ができていると、ネガティブなフィードバックをしても受け入れてくれやすくなると感じています。

角谷がサポートしているメンバーとの1on1の様子

上長からのフィードバックの質をより上げるために 特に見てほしいところを宣言

上長に対しては、「この1週間はこれを頑張るので、見ておいてください」と宣言し、その内容について、何か気づいた点があったら教えてください、とお願いしています。
また、週1回の上長との1on1の時間(30分)をうまく使うことも大切だと思っています。そのための工夫の1つとして、私は1on1のフォーマットを決めています。
私の今期の課題は「アサーティブコミュニケーション(※)」なのですが、まずそれについて進捗(しんちょく)やトピックがある週は「今週(上長が)気になったことを教えてください」と伝えて、冒頭の5分を使います。
※アサーティブコミュニケーション:
自己主張をすると同時に、相手の気持ちや考え、感情を理解し尊重できること。

その後は業務の優先順位を4象限(緊急かつ重要、緊急ではないけど重要、重要だけど緊急ではない、緊急でも重要でもない)で業務の状況を一目でわかるようにします。お互いの認識がずれているところがないかチェックし、残り15分は雑談やフリートークに使うのが基本の型になっています。

このように型を決めておくことで、上長も「このメンバーにはこのポイントを伝えればいい」とわかりフィードバックしやすくなるようです。「今期はこれを一貫したテーマにしましょう」と共有しておくと、自分にとってプラスになるフィードバックを得られやすくなるのではないかと思います。

オンライン環境で働く上で特に大事なこと
・今の状態を100点と思わず、「もっとよくできるのではないか」と考えてみる
・コミュニケーションの量ではなく、頻度を増やす
・相手のいい点を意識して見つけて、定期的にフィードバックする
・上長には、特に見てほしいところを宣言し、そのテーマで定期的にフィードバックを受ける

これから挑戦していきたいことは、リモート環境下でのコミュニケーションのブラッシュアップです。
完全オンラインで障がいのある社員をマネジメントするという、これまであまり例のないことにヤフーが先駆者として良い事例を作っていくため、チーム一丸となって取り組んでいきます。

コミュニケーションの質を上げるために特に必要なことは、フィードバックの精度(内容)を高めることだと思います。自分のアクションに対してフィードバックが返ってきたら、やっぱりうれしいですよね。
本人が望んでいる成長に向かうフィードバックをするために、まだまだできることがたくさんあると思っています。

もし、みなさんが「何かを変えたい」「変わりたい」と思ったら、まず自分がいる場所を変えてみてもいいかもしれません。
その選択肢のひとつが、移住です。住む場所を変えることはやはり大きいと思います。
私は移住したことで「東京の会社員」を辞めずに、愛するふるさとで暮らすことができ、人生の幸福度がもっと上がりました。

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