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2022.12.02

えらべる勤務(週休3日)しながら中学受験をサポート 「サステナブルな子育て」に大切なこと

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中学受験は「親の受験」ともいわれています。高校受験や大学受験と違い、小学生が受験生となる中学受験は、体調管理やスケジュール管理など、親のサポートが必要になるためです。
「働きながら中学受験のサポートをすることは、思っていた以上に大変だった」と、2020年10月から2022年3月まで、「えらべる勤務制度(選択的週休3日)※1」の働き方を選んだ和田山(わだやま)は言います。
週休3日の働き方を選んだ理由、中学受験をサポートする上でどのような点が大変だったのか、限られた時間の中で働いた経験がプラスになったことなどを聞きました。

※1 えらべる勤務制度:
2017年に導入された制度。育児や介護、看護を抱えている社員に対し、働き方の選択肢を増やすことで、家族のサポートをしながら安心して働くことができるワークスタイルの提供が目的。
小学生以下の同居の子を養育する従業員、および家族の介護や看護をしている従業員からの申請により、土日の休日に加え、1週あたり1日の休み(無給)を取得できる。月単位で申請や変更(曜日変更、解除)が可能なため、たとえば小学校の夏休みにあわせて8月のみ制度を利用するなど、それぞれの従業員の事情にあった働き方が可能。

和田山 加代子(わだやま かよこ)
2016年入社。法務部にて事業法務(法務相談、契約書作成、ガイドライン策定)、ガバナンス(取締役会、株主総会、CEO会議、コーポレート・ガバナンス報告書、有価証券報告書業務など)、コンプライアンス(グループ会社管理)などの担当を経て、現在はZホールディングス株式会社も兼務し、コンプライアンスチームで内部通報の制度運営などを担当している。

週休3日の働き方が仕事・育児にプラスになったこと
子育てをしていて鍛えられるのは、タイムマネジメント能力や自分のリソースのバランスを取ることなど、何ごとも早め早めに調整する力です。これらの経験は仕事の効率を上げることにも役立っています。
また、たとえばのちほどお話する「受験対策ノート」作りも、担当業務で社内教育、コンプライアンス教材を作成するときに、わかりやすい教材をつくることに生かせました。一方で、受験のスケジュール管理のためWBS(プロジェクト管理に使用される作業分解構造図)を作って、「どこの中学はいつまでに出願して、いつまでに何をするか」管理していたのですが、これは業務で使用していたプロジェクトマネジメントのスキルを応用しました。週休3日でも、子育てとバランスを取りながら働き、時間的制約や経験の量によってハードルをどんどん高くすることで仕事のスキルも上がったと感じています。
仕事も子育てにも全力で取り組んだことで、仕事・育児の双方にプラスの影響がありました。

仕事が大好きだから、あえて1年半「週休3日」で中学受験をサポートすることを選んだ

まず、中学受験をする、しないは、それぞれのご家庭によって判断が分かれると思います。
我が家の場合、私もパートナーも中学受験の経験者ということ、そして娘も早くから中学受験に挑戦するつもりでいたことから受験を決めました。

私が受験のサポートをするために週休3日の働き方を選んだ理由は、「仕事が好きすぎて、時には没頭しすぎてしまうから」です。だからこそ、3日目の休日であるこの日は会社の仕事をしない、というルールを自分に課そうと決めました。
中学受験は、早い方だと小学3年生くらいから対策が始まります。ですが、娘が中学受験をすると決めてからも、これまでと変わらず仕事に没頭していました。「娘の受験で大切な時期に仕事ばかりしていて、いい親なのか、悪い親なのか…」という葛藤も心のどこかでありました。

そのように気持ちは揺れ動いていたものの、受験のサポートも本格的になってきてかなり忙しくなってきたので、長女が5年生の2020年10月から今年3月末までの約1年半、週休3日で勤務すると決めました。
都内の中学受験は、4年生から対策カリキュラムが本格的に始まります。塾にもよりますが、4年と5年で重要部分のインプットが終わるようにできており、6年生では演習や、過去問対策という流れです。4年、5年の勉強がとても大切なので、本当は4年生から週休3日にしてもよかったのかもしれません。ただ、まだなんとか仕事も生活も回せていましたし、私も仕事が大好きで楽しかったので、なかなか踏ん切りがつきませんでした。

ですが、5年生で塾のカリキュラムが週3回になるとさすがに時間も足りなくなり、仕事もサポートも回らなくなってきました。当時パートナーは単身赴任中で、仕事面では経営統合に向けた準備で忙しくなり、自分も初めて管理職になったこともあり、可処分時間に対してやることが膨れ上がっていました。
さらに、私が仕事をすればするほど娘の成績が下がる…ということも起きてきました。実は一度、Excelで自分の労働時間と娘のテストの成績をグラフにしてみたことがあります。そうしたら、私の労働時間が長くなるとテストの成績が下がるという相関関係が出ていました。

このときわかったのは、娘は親に助けを求めてくるタイプだということでした。「全部1人でやる」というタイプではなく、「親が勉強にコミットしてくる」ことに喜びを感じる子だったんですね。

週休3日になる前は、家で仕事をしているときに、娘が「この問題がわからない」と相談したがっていてもなかなかフォローできないこともありました。
私の考えすぎだったかもしれないですが、まるで成績を下げることで「もっとサポートしてほしい」とサインを出しているように感じました。そこで、仕事にかける時間を一度、物理的にセーブして本格的に娘をサポートしようと決めました。

実は、仕事と育児でかなり余裕がなくなってしまったときに、上司から「週休3日っていう手もあるんじゃない?」と提案してくれたことがありました。また、私より先に週休3日の働き方を選んでいた先輩からもアドバイスしてもらったことも後押しになりました。

中学受験をサポートするために週休3日勤務を選んだ理由
・仕事が大好きなので、あえて仕事をしない日を作ると決めた
・親のサポートを必要とするタイプの子だとわかったから
・受験対策が本格的になる5年生から、週休3日の働き方に

リモートワークの働き方で生まれた時間が、週休3日の働き方にもプラスに

週休3日で働き始めると、稼働日の1日がなくなるので、勤務時間は短くなりました。
ですが、フルリモートワークになったことで、これまで他のことで埋まっていた時間が空いたことは思わぬメリットでした。 たとえば、往復1時間の通勤時間は仕事に費やせるようになり、土日に出社のために必要な服などを買いに行く時間も受験サポートのために使えるようになりました。また、オンライン中心の働き方になったことで、打ち合わせや取締役会なども、オンライン開催になり、リアル開催だった時に必要だった、会場を整えるなどの事前の準備はほぼなくなりました。関係部署の協力も得て、業務フローを整理するきっかけにもなりました。
週休3日で「失われた1日分」の時間は、リモートワークによってかなり生み出すことができたと感じています。

中学受験のサポートは、思っていた以上に大変だった

お子さんがいらっしゃる方の多くは、産後に「寝られない、外に行けない、ドライヤーをかける時間もなかなかとれない…」など、こんな大変だったのか! と子どもを産む前には想像もしなかった大変さを感じたことがあったのではと思います。中学受験もまさにそれと同じでした。

私は中学受験を経験しているので、ある程度わかっているだろうと思っていました。ですが、受験を親として経験するのと子ども目線で経験するのでは、大きな違いがありました。
また、私は地方出身なので、東京の受験事情についてはあまり知らなかったこと、さらにこの20年くらいの間に受験業界ががらりと変わっていたこともあり、自分の受験経験がほぼ役立たない、ほとんどゼロからのスタートでした。

受験サポートでやったこと
・学校説明会や学園祭に行く、その日程調整
・学校研究に必要な情報を整理しまとめる
・大量のプリントのファイリングやポイントに付箋を貼る
・自宅での勉強サポートとして、受験対策ノートを作成

社会の受験対策ノート。「塾によっては、親は勉強面のサポートをしなくていいとアドバイスされる場合もあります。娘が通っている塾もそうだったのですが、たとえば歴史では同じ時代を何回かやるため、その都度新しい情報(プリント)が追加されます。それらの情報を一元化するために、これ1冊頭に入れればOKという対策ノートを作っていました」

親のサポートとして、このような「受験対策ノート」まで作る必要は正直ないと思います。
ただ、私の場合は「娘が小1から小4ぐらいまでの間は仕事に没頭しすぎていたかもしれないな…」という気持ちが強かったんですね。中学受験では娘にかなりストレスやプレッシャーがかかるし、それこそ親の助けが欲しい時期だなと思ったので、できる限り娘と向き合い、サポートに徹することにしました。

心がけたのは、娘は手厚いサポートが必要な子だと理解した上で、こまめに声をかけること。勉強をしているときに「わからないところある?」と声をかけると、「待ってました!」という感じで相談してくることが多かったですね。受験対策ノートは気に入って活用してくれて、内容を覚える時も「一人だと覚えられないからクイズ出して!」と言われ、クイズ形式で覚えていくのにつきあいました。

子育ては、育児書や先輩のパパママたちから聞いた話が当てはまらないことがたくさんあると思います。これは子どもが幼いときだけでなく、成長してからも本当にそうだなと、受験をきっかけに改めて感じました。
受験の際、親は勉強の内容には立ち入らないほうがいい、関わり過ぎるとよくない、というアドバイスも聞きます。でも、私の娘は親のサポートを必要としていました。それなら、「実はもっとできたかもしれないのに、会社の仕事に没頭していてサポートしなかった」という後悔はしたくないと思いました。

仕事と子どもと、どうバランスをとったらいいのか悩んだことも

在宅勤務になったことで、私が仕事にフルコミットしている姿が家族にもよりはっきりと見えてしまうようになりました。 たとえば仕事に集中しすぎて、子どもに話しかけられても「ちょっと待って」を4時間ぐらい言い続けてしまうようなこともありました。私が家で仕事をしていることで、子どもたちは「(自分たちは)お母さんにとって仕事よりもプライオリティーが低いのかな」と感じていたと思います。

自分の中でも、「子どもより仕事を優先している」と感じて、つらかったこともありました。 職場では相手を4時間待たせることなどしないのに、子どもからの「ちょっと手を止めて話を聞いてほしい」に対して、その5分も手を止められないのかと。
業務時間中に仕事を優先することは当然ですが、自分の中で仕事と子どもと、どうバランスをとったらいいのか苦しかったこともありました。

日々の生活ならまだ、夜にフォローができても、中学受験は娘にとって人生のビッグイベントです。娘がどこまで全力でやりきれたかは、その後の人生に少なからず影響を与えると思いました。そして、思春期に親からのサポートを求めている気持ちには、今この時しかこたえられないのではないかと感じました。
二度と来ることのない娘の大事な時期に、私の時間をどう分配すべきなのか。そう考えた時、少なくとも今の時期は仕事の時間を減らして(ただしパフォーマンスは落とさずに)、代わりに得られた時間で娘を全力でサポートしようと思いました。

私は娘の中学受験をサポートするために「週休3日」で働くことを決めましたが、子育てや介護など以外にも、みんなそれぞれやりたいことや働きたい形があると思います。それらを応援しあえる環境やサポートしてくれる制度が、ヤフーにはあると感じています。実際週休3日の働き方ができたのは、支えてくれた上司や同僚の温かいサポートがあってこそでした。

また、ヤフーには子育て中の社員を応援するさまざまな活動があります。
Slackには現在、約1700名の(プレ)パパママ社員が子育て情報について自由に会話できるチャンネルがあり、たとえば「夏休みに子連れにおすすめの遊び場がありますよ」という情報交換や、子どもの年齢別にパパママ社員に質問できます。面識がないメンバーも多いのですが、ちょっとした相談を気軽にでき、「みんな同じ気持ちで頑張っているんだ」と思えます。ちょっとしたグチを投げ込んだら共感してもらえる場があるのはありがたいですね。
パパママプロジェクト(※2)などの有志プロジェクトによる活動もあり、子育てセミナーや子育て中の同僚とのオンラインランチなどにも支えられていると感じます。

※2 パパママプロジェクト:
2012年に有志社員による活動をスタート。子育て中の社員を対象とした座談会や情報交換、悩み相談ランチ会、個別の相談の受付などを行っている。発起人は育休から復職した女性社員。自身の経験として、育児中の情報共有や相談できる場が必要だと感じ、同僚と協力して立ち上げた。

子育ても「サステナブル」に 日々調整しながら変化に対応し続けていく

週休3日にする前は、かなり余裕のない時期もありました。でも「この状況はサステナブルではない。持続可能にしていかなければ。いつかまた仕事にフルコミットするためにも、働き続けられる道を探ろう。今後同様の状況になるかもしれない他の社員のためにも、週休3日でサステナブルな働き方を、まずは私が実現しよう」と強く思いました。週休3日にしたのは、それも理由です。
仕事もしながら中学受験をサポートするためには、仕事と受験サポートの両方の「パイを少しずつ減らし、限られたパイの中では全力でこなす」という方法が私には合っていたように思います。

娘の中学受験は終わりましたが、今でも毎日、仕事と育児のバランスを取り続けています。それこそ毎日、「今日はできるかな、できる。やるぞ!」と綱渡りをしているような気持ちです。
でも、子育てをしている限りはずっと、その状態が続くのだと思います。それは仕事でも同じです。
毎日毎日、「今日はこんなことが起きた! じゃあどう対応しようか」の連続です。
子育てで鍛えられた調整力・環境への適応力は仕事にも確実に生きています。

そして、子育ては子どもの年齢や子どもの個性によって、必要なサポートの内容や期間が変化していきます。「今この期間は子どものサポートの役割が多くを占める」から、子育てしながら仕事とのバランスをどう取るか、その形は親子の数だけあると思います。

自分はどうバランスをとっていくか考えるとき、利用できる制度の選択肢ができるだけ複数あれば、それらをうまく組み合わせて、工夫しながら働き続けることができます。
今回週休3日で働いてみて大事だと感じたのは、仕事にも子どものサポートにも、自分がどれだけコミットするか「決める」ことでした。

ヤフーには「えらべる勤務制度」や時短勤務、リモートワークで働ける環境があるので、それらを組み合わせたことで、仕事にも家族のサポートにも全力でコミットできました。そのように、(制度の)ピースが1つでも増えれば、さらに選択できる組み合わせの幅が広がり、多くの人にとっての働きやすさにつながっていくのではないでしょうか。

「サステナブル」な子育てに必要なのは、日々調整しながら変化に対応し続けていくこと。そして、会社の制度などの選択肢をうまく使いながら、自分で「今はどこにプライオリティーを置くか」を決めることが大切だと思います。

「サステナブル」な子育てに必要なこと
・日々調整しながら変化に対応し続けていく
・会社の制度などの選択肢も使うなど工夫する
・「今はどこにプライオリティーを置くか」決める

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