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2022.11.28

「地球にやさしく、雨雲のチェックも簡単」自転車の移動を便利に Yahoo! MAPアプリの自転車ルート検索機能

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経済産業省の発表(※1)によると、新型コロナの感染拡大が始まった2020年以降、自転車をスポーツやレジャーとして、ライフスタイルに取り入れる人が増えています。また、コロナ禍をきっかけに、通勤・通学の移動手段として自転車を利用するようになった、初めて行く場所に自転車で行くようになった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、近年「環境にやさしい移動手段」としても注目されています。
※1 経済産業省 電動アシスト車が牽引、堅調な自転車産業 2020年、コロナ禍での動き

これから冬になるため、自転車での移動には少し厳しい季節にはなりますが、「この場所までなら自転車で行けるかな?」と調べてみたり、お休みの日に少し遠い場所までのサイクリングを楽しんだりしてみてはいかがでしょうか。

Yahoo! MAPアプリ(iOS版、Android版)は今年6月、自転車のルート検索機能(以下、自転車のナビ)を追加しました。今回は、この機能の導入のきっかけや実装が難しかった点などについて、担当者に聞きました。

渡辺 太郎(わたなべ たろう)
2005年テストエンジニアとして入社、QA担当としてモバイル関連案件、音声アシストアプリのサービス企画などを担当。2021年4月から、Yahoo!カーナビのサービス企画、Yahoo! MAPアプリのプロジェクトマネージャーを担当している。

Yahoo! MAPアプリの自転車のルート検索機能とは

1)自転車で移動したいルートの雨雲の動きを確認できる

毎日の通勤や通学、買い出しなどに自転車を利用される方は、「目的地につくまでに雨が降らないか」「目的地から帰宅するときに雨が降らないか」などが気になるのではないでしょうか。 自転車ナビでは、目的地までのルート上に雨雲レーダーを重ねて、1時間前から最大6時間先の雨雲の動きと降水量が確認できます。

2)自転車に最適なルートを提案

可能な限り走りやすい広い道を優先するなど、自転車での走行に最適化した安全・安心・快適なルートを提案します。また、目的地までの交差点の案内を「画面地図」だけでなく、「音声」も組み合わせて使うことができます。
「どのくらい先に次のポイントがあるのか」「右折なのか左折なのか」などを音声で確認できるので、運転中に画面を見て確認しなくても、安全に目的地まで移動できます。

Yahoo! MAPの自転車ナビとは
・自転車移動に最適な安全・安心・快適なルートを提案
・「音声」でも案内するので、画面を見なくても移動が可能
・雨雲レーダーを重ねることで、移動ルートの雨雲を簡単に確認できる

自転車用のナビゲーション機能を導入したきっかけ

コロナ禍前から、「自転車用のナビゲーション機能の追加を検討していました。
2020年に新型コロナウイルスが流行し始めてからは、多くの方が、
「できるだけ自宅にいてください」
「基本的に必要な用事は自宅の近辺で済ませてください」
「なるべく密にならない移動手段を選択して用事を済ませてください」
といわれるなかで過ごしていたと思います。

そのタイミングで、「Yahoo! MAPに自転車ナビゲーションを」という、ユーザーからの要望が増えました。これは(自転車用のナビゲーション機能を搭載する)時機が来たということだと思い、コロナ禍での移動に困っている方たちの課題を解決する目的で、今年6月に提供を開始しました。

なぜ自転車専用のナビゲーションが必要かというと、自転車は法律で原則として車道を走らなければならないという乗り物であることがまず挙げられます。とはいえ、自転車は自動車とまったく同じ道を通ることはできません。また、走行するのが危険な道もあります。
そのため、「自転車は車道を走るもの」という前提でナビゲーションする仕組みを作ろう、ということになりました。
参考)自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~(警察庁)

自動車ナビを自転車用にどのようにカスタマイズしたのか

では、自転車の走り方がどう車と違うのかについて説明します。自動車では「右折レーン」があり、そこに入って交差点を右折する場合が多いと思います。ですが、自転車は右折レーンがある交差点でも、そのまま右折レーンを使って右折はできず、「※2 二段階右折(※)」をする必要があります。
※2 二段階右折:
左車線を直進し、交差点を渡った先で方向を変えてから直進する右折方法。原付(原動機付自転車)もこのルールで右折する必要がある。

このように、走行する際の法律上の違いや、道路の左側の車線を走るという決まりがあることなどが、自動車とは違う点です。また、高速道路のように自転車が進入できない車道なども、実はかなりあります。自転車ナビでは、そのような道を除外する仕組みをまず入れる必要がありました。

また、自動車用のナビゲーションでは、基本的に目的地までの経路上で可能な限り広い道を優先してルート線を引く仕様になっています。
その結果、住宅街の中を通る道路と自動車が通りやすい幹線道路が併走していた場合、自動車用のナビゲーションでは幹線道路のほうにルートが引かれることが多くなります。この仕組みを自転車ナビにそのまま適用してしまうと、自転車だったら通れるはずの細い道が除外されてしまい、かなり遠回りのルートが提案されることもでてきてしまいました。そのため、自転車ナビでは幹線道路を最優先にするのをやめ、自転車が通れる道路を優先しています。

例)遠回りになってしまったルートの例(ミッドタウンから東京ガーデンテラス紀尾井町)
左:自動車ナビで引かれたルート 右:自転車ナビで引かれたルート

ただ、自転車が通れる道路の幅をどこまで狭く設定したらいいのか、どういう道路までを優先したらいいのか、という点はかなり悩んだ点です。
検討した結果、幅2メートルまでの道なら自転車は問題なく通れるので、優先して案内するという設定に落ち着きました。

また、これまでは自転車で移動するときに徒歩用のナビを利用していたという方も多くいらっしゃいました。ですが、徒歩用のナビでは階段や一方通行の道などを避けるようになっていないため、自転車で利用した際には階段や行き止まりにぶつかってしまい移動に困った、という声もありました。

今回実装した自転車ナビでは、そのような場所は避けるようになっていますので、問題なくご利用いただけると思います。

自転車ナビに雨雲レーダーを実装した理由

現在、Yahoo! MAPアプリで確認できる移動手段は、公共交通、自動車、徒歩、自転車の4つです。
自転車以外の3つの移動手段は、雨や雪が降っても回避策があります。徒歩なら傘を差す、自動車や公共交通の場合はそもそも雨が降っていることが問題になりません。ですが、自転車に関しては、雨や雪が降るかどうかが、行動を決める上で非常に大きく左右します。

自転車のルート検索については、すでに他社さんも実装されています。そのため、より便利に使っていただくためにはどうしたらいいのか、かなり検討を重ねました。
そのなかで、日常生活でほぼ毎日、自転車を使って買い物に行くというユーザーをターゲットに考えてみました。たとえば自転車でスーパーに行き、買い物を30分くらいですませて家に帰ってくるまでに、「雨が降るのか降らないのか」が時間軸でわからないと、自転車で行くかどうかの判断は難しいのではないでしょうか。

つまり、自転車でのルートを調べるときには、そのルート上に雨が降っているか、これから降るかどうかということが、自転車で行くかどうか決める時に非常に大きな要素なのではないかと考えました。そして、すでに多くの方にご利用いただいている雨雲レーダーの機能を、Yahoo! MAPアプリと組み合わせることで、新たな価値を生み出したいと考えました。

自転車ナビのメインターゲットは、毎日の移動手段として自転車に乗るユーザー

また、自転車ナビのメインターゲットを検討した際、自転車に乗るユーザーを大きく2つに分けました。
1)自転車に乗ることをスポーツとして楽しむ方
ロードバイクやクロスバイクなどを使って何十キロという距離をロードバイクで走るような方です。
2)生活の中で、移動手段として自転車に乗る方
たとえば、お子さんの送り迎えや、食材や日用品などの買い物のために自転車に乗る方がそれにあたります。

これらのユーザーは、乗っている自転車の種類が違うだけではなくて、自転車に乗る頻度や走る距離が大きく異なります。日常の移動手段として使われている方の大半は、ほぼ毎日、5~6キロ前後の距離を走っていることが多いです。一方、ファンライドを楽しむ方は、10キロ以上の距離を普通に走るのですが、その頻度は週1回くらいの方が多いようです。

どちらのユーザーをメインターゲットにするか検討した結果、今回の実装では、自転車を「移動手段」の1つとして使っている方に設定しました。具体的には、家にあるシティサイクルや、駅などで借りられるシェアリング自転車を使って、あくまでも移動手段として自転車に乗っているユーザーが使いやすいように作るのがベストなのではないかと考えました。

コロナ禍をきっかけに生まれた、新たな自転車利用のニーズ「ご近所の再発見」

みなさんが日々のお子さんの送り迎えや買い物のときに自転車を利用する際は、すでに道を知っているのでルートを調べることはないと思います。
ですが、シェアリングサイクルを借りて移動する際は「これまで行ったことのない新しい目的地」を調べるニーズがあるのではないでしょうか。コロナ禍前は、たとえば区役所などに手続きをしに行く場合に公共交通機関を使っていた方が多かったと思いますが、コロナ禍をきっかけに、公共交通機関の利用を避けるために自転車での移動を検討された方もいらっしゃると思います。

このように、コロナ禍をきっかけに、
・自動車や公共交通機関に加えて、自転車が選択肢に加わったという方が増えたのではないか
・今まで公共交通機関を使っていた場所へ、自転車で行ってみたら意外と近かった、という「ご近所さんの再発見」のようなことも世の中で起きているのではないか
という仮説も立てました。

また、自転車でちょっとご自宅から足を延ばしてみたら、新たなお店の発見があるかもしれません。特に都市部では自転車なら少し細い道でもスイスイ行けますし、自動車よりも停めやすいのでちょっと気になったお店に寄り道もしやすいのではないでしょうか? 
お住まいの場所から自転車で行ける範囲の中で、新たな発見を楽しんでいただけたら、という思いも込めています。

CO2の排出量を減らせる自転車を、移動手段のひとつに

国交省が調査している「輸送量」という単位があります。これは、「その移動距離をどの乗り物でどれぐらいの人数を輸送したか」を単位で出していくものです。この調査では、ほとんどの場合1人か2人で移動することの多い自家用車が一番、CO2排出量の観点では効率が悪いことがわかっています。
参考)自動車輸送統計調査(国土交通省) 

自転車は人がこぐ乗り物ですが、人が出す呼気も「CO2」なので自転車を利用しても排出量はゼロにはなりません。ただ、目的地によって自動車よりCO2が少ない自転車を移動手段として選ぶことで、排出量を少しでも削減することにつなげられるのではないかと考えています。

今回、自転車専用のルートを調べられるようになったことで、自転車で移動するハードルを少し下げられたと思います。「この場所には自転車で行ってみよう」と思う方が増えたらうれしいですね。

「サイクリングを楽しみたい」というニーズにもこたえていきたい

コロナ禍をきっかけにロードバイクに乗り始めた方、自転車で家の近所を散歩することが多くなった方、自転車でちょっと遠出をしてみようという方も多くなっているようです。そのようなユーザー向けに、ファンライドの要素も加えた機能を追加していこうと考えています。
たとえば、「サイクリングロード」といわれている、自転車専用の道路があります。今回の自転車ナビでは、このサイクリングロードにはルートがあまり引かれない設定になっています。これは、目的地までの距離を優先してルートを引くことを優先したためです。

今後は、サイクリングロードのような「自転車で走って景観を楽しめる」道路を優先してルートを引くというような機能も入れていく予定です。ユーザーの「きょうは休日だし天気もいいので、サイクリングを楽しもう」というニーズにもこたえられるようにしていけたらと思っています。 ユーザーの自転車の乗り方が変化していくスピードとともに、Yahoo! MAPの自転車ナビもより便利に使っていただけるものへと成長していきます。

「自転車のルート検索」、「自転車 ターンバイターン方式のナビ」、「雨雲レーダー」の使い方
1.Yahoo! MAPアプリを起動後、検索窓や周辺検索ボタンなどから目的地を検索
2.「ルート検索」ボタンをタップ
3.「自転車」ボタンをタップすると画面下部に、現在地から目的地までの所要時間と距離が表示
4.「雨雲レーダー」を確認する場合は、「雨雲ボタン」をタップ
5. 「ナビ開始」ボタンをタップすると現在地からのナビが開始

マンガ「自転車ルート検索機能」の使い方

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