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2021.11.10

災害時に「届く」情報とは? 自治体と連携し「命を守る」情報を届ける 災害協定の10年

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ヤフーは、災害発生時に自治体から発表される避難に関する情報、自治体が指定する避難所の開設情報などに住民が「いつでもどこからでも」アクセスできるようにするため、全国の自治体と「災害協定」を結んでいます。
この取り組みがはじまったのは、東日本大震災が発生した2011年。今年11月8日で開始から10年となります。災害情報をはじめ、昨年は新型コロナウイルスの感染を防ぐための情報など、さまざまな情報をお届けしてきました。

今回は、自治体が情報を配信する際に、どのようなタイミングで送ればよいのか、どのようなタイトルで配信すれば、より多くの方に読んでもらえるのかなどのノウハウを担当者に聞きました。
また、災害協定をご使用いただいている自治体からの声や、より多くの方に情報を届けるための工夫、そしてこれからの10年に向けた災害協定の「今後の展望」もお伝えします。

    目次:
  1. 災害時に必要とされる情報は?
  2. 災害時に配信する情報を、より効果的に届けるためには
  3. 読まれるための2つのポイントは、発信タイミングとタイトル
  4. ヤフーの災害協定について
  5. 緊急情報を配信している自治体からのコメント
  6. 今年で10周年を迎えた災害協定の「次のステージ」は?

災害時に必要とされる情報は?

大きな災害が発生した際に検索された「災害時に必要とされた情報」を可視化すると、発災後の時間の経過とともにそのニーズが変わっていったことがわかりました。
たとえば、2011年の東日本大震災発生時、被災地での検索上位は自治体のウェブサイトでしたが、そのニーズは以下のように日々変わっていきました。

発災2日後:「〇〇断水」「〇〇給水」など、水道に関する検索
発災3日後:ガソリンや「〇〇交通」「〇〇バス」などの交通関連、「〇〇風呂」「〇〇銭湯」などの入浴関連のワード
発災4日後:「安否確認」やスーパー

災害発生後、タイミング別に検索された情報
発災直後:自治体のウェブサイト
発災2日後:水道に関する検索
発災3日後:交通関連、入浴関連
発災4日後:安否確認、スーパー

災害発生時には、その地域の自治体が発信する情報や、ライフラインに関する情報がより求められることがわかります。

災害時に配信する情報を、より効果的に届けるためには

災害協定を締結すると、各自治体は3000万ダウンロードを突破したYahoo!防災速報、Yahoo! JAPANアプリからその地域の住民に直接、情報を配信できます。また、プッシュ通知で配信する「地域ニュース」は、国内の重要ニュースと同じくらい開封率が高くなっています。

プッシュ通知の3つのメリット
1.広さ:Yahoo!防災速報とYahoo! JAPANアプリから送信
2.手軽さ:1分以内に届く
3.確実性:(設定しておけば)必ずスマホの画面に表示されるので、読まれやすい

そして、目立つ場所にすぐ届くこと

読まれるための2つのポイントは、発信タイミングとタイトル

1)発信に適したタイミング

たとえば、神戸市は今年の春に3回目の緊急事態宣言が決まり、発令前日の4月24日に配信しています。多くの住民が関心を持つタイミングに配信することも大切です。

また、2020年に発生した台風10号の接近前から通過後までに各自治体で配信された通知のタイトルの一部をご紹介します。

接近前
・【えびの市からのお知らせ】台風10号へ万全の備えを(えびの市)
・台風10号が接近しています(阿蘇市)
・【日向市長メッセージ】台風第10号に最大級の警戒を!(日向市)
接近中
・小学校・中学校「登校時間変更」のお知らせ!(奈義町)
・台風10号接近に伴う自主避難所の開設について(合志市)
・都城市内全域を対象に、避難準備・高齢者等避難開始を発令しました。(都城市)
通過
・台風10号接近に伴う避難所開設のお知らせ(雲仙市)
・警戒レベル4 避難勧告発令 避難所開設のお知らせ(水俣市)
・避難指示(緊急)を発令しました(大牟田市)
・避難所の受け入れ状況 9/6 13:00現在(壱岐市)
・受け入れ人数に達した避難所について(宮崎市)
通過後
・【台風10号】避難勧告を解除しました(菊陽町)

2)関心を持たれるタイトルのつけ方

関心をもたれるタイトルのつけ方のポイントは、通知の対象を絞ることです。
また、「呼びかける」のタイトルにすることで、プッシュ通知の開封率が大きく変わります。たとえば、名古屋市で配信された「市長から市民・事業者の皆様へのお願いです」という通知の開封率は、他市で配信されたタイトル「コロナ週報」の約3倍でした。

また、東京都・渋谷区では、新型コロナウイルスの緊急情報として、若い世代に向けたタイトルで配信しました。このように、通知の対象を絞ったタイトルも効果的です。

新型コロナ関連の通知はとても開封率が高いです。特に首長メッセージは開封率が高く、また、毎日コロナ関連の情報を配信している自治体でも開封率が下がりません。

緊急事態宣言の発令:広島県へ緊急事態宣言発令
新型コロナウイルスへの注意喚起:家族、大切な人を守るため協力をお願いします!
首長メッセージ:「まん延防止等重点措置」の期間延長に伴う蕨市の対応について(市長メッセージ)

その他にも、その地域ならではの緊急情報を配信できます。

野生動物の目撃:クマが目撃されました(注意喚起情報)
ボランティア募集:熊本県人吉市ではボランティアの力を必要としています!

災害時に配信する情報を、より効果的に届けるためのポイントまとめ
1)適切なタイミングで配信する
・台風の接近前など、事前の備えができるタイミング
・緊急事態宣言発令前など多くの住民が関心を持つタイミング

2)より「読まれる」ためのタイトルをつける
・配信内容をわかりやすく伝える
・通知を届けたい人が誰なのかを明確にする
・通知の対象を絞ったタイトルも効果的
・数字を入れるなど具体的な表現を心がける

ヤフーの災害協定について

ヤフーの災害協定は、自治体が発信するさまざまな災害情報に、「いつでも」「どこからでも」アクセスできるようYahoo! JAPANで集約・整理して提供する仕組みです。

ヤフーの災害協定は、自治体が発信するさまざまな災害情報を
1)守る:キャッシュサイトを用意
2)掲載する:避難場所マップで公開
3)拡散する:緊急情報を直接配信できるようにする

1)自治体からの情報を守る:キャッシュサイト(別の複製サイト)を用意

自治体が運営するウェブサイトのキャッシュサイトを用意し、ヤフーのサーバー上で表示することで、自治体のウェブサイトにアクセスが集中して閲覧しづらい状況になった場合に備えます。

2)自治体が発信する情報を掲載する:避難場所マップを用意し、地図で公開

災害発生時の避難場所(※1)情報のデータを提供していただくことで、ヤフーのサービス上で避難場所情報を確認できるようになります。対象の地域に住んでいる方や職場がある方に、普段から災害別の避難場所がどこにあるかを知っていただけるなど、防災意識を高める効果も期待できます。また、災害ごとの避難場所を一覧で表示できます。
※1:避難場所:災害発生時、危険から逃れるためにまず避難する場所

3) 自治体からの情報を拡散する:緊急情報を、Yahoo!防災速報アプリなどで直接配信

Yahoo!防災速報とYahoo! JAPANアプリを利用し、避難所(※2)の開設情報などの避難情報、災害時の注意喚起などの緊急情報を自治体から直接配信できます。また、位置情報を利用することで、観光客や出張で来ている人など、普段その地域で生活していない人への情報発信も可能です。
※2:避難所:災害発生後、避難したり家に戻れなくなったりした住民が一定期間生活をする場所

緊急情報を配信している自治体からのコメント

災害協定をご使用いただいている自治体のご担当者に、情報を発信する際に意識していること、今後取り組んでいきたいことなどをうかがいました。

1)「平成30年7月豪雨」の際に避難場所を掲載

広島県 危機管理監 危機管理課 危機対策グループ 主査 松浦 健高さん

協定締結後、どのような情報を発信したか

平成30年3月からは、Yahoo!防災速報では配信されていない
・避難所開設情報
・河川水位や潮位の基準値超過情報
・記録的短時間大雨情報 
などの重要な情報を本県のシステムと連携し広島県からの緊急情報として自動配信しています。また、台風接近時や災害発生時には県民のみなさまに避難の呼びかけや注意喚起のメッセージを手動で配信しています。

情報を発信する際に意識していること

情報を発信する際には、避難所開設や河川水位などの最新の状況が確認できるよう、配信文面に「広島県防災Web」の該当ページURLを掲載しています。また、配信によるサイトへのアクセス集中を回避するため、ヤフーが提供しているキャッシュサイトのURLを掲載することで、「情報を得られない」ことがないようにしています。

今後、協定の仕組みを使ってどのようなことに取り組んでいきたいか

県民の皆様に災害から命を守っていただくためには、日頃から地域の災害リスクを把握した上で、いざという時には躊躇(ちゅうちょ)することなく適切な避難行動をとっていただくことが重要と考えています。
広島県では、令和2年度からお住まいの地域の災害リスクを確認し、避難のタイミング・避難先などをあらかじめ決めておく「ひろしまマイ・タイムライン」の普及促進に取り組んでいます。令和3年8月にYahoo!防災速報に追加された「防災タイムライン」の企画段階から意見交換を行い、協力をさせていただいた経緯もあり、県内でこれからも普及促進を進めていきます。

2)新型コロナウイルス関連の情報を積極的に発信(千葉市)

市民局市民自治推進部広報広聴課 明平 翔さん

協定締結後、どのような情報発信をしたか

台風の接近など災害が予想される場合の注意喚起や、災害時の避難指示及び避難所開設情報、令和元年度の台風や大雨では停電や給水の生活支援情報など、緊急情報を発信してきました。最近では、新型コロナウイルス関連の情報として、感染者の最新状況や市民への感染予防の呼びかけ、ワクチン接種に関するお知らせなどを発信しています。

情報を発信する際に意識していること

対象となる方に必要な情報を届ける(開封してもらう)ため、タイトルで概要(対象者、種別など)が伝わるよう留意しています。
また、発信の時間帯も帰宅時間に合わせてできるだけ夕方にするなど、工夫をしながら発信しています。

今後協定の仕組みを使ってどのようなことに取り組んでいきたいか

災害や新型コロナウイルスなど、生活に大きな影響を及ぼすものは、市民も迅速な情報発信を求めています。Yahoo!防災速報による情報発信は、多くの利用者に対し速やかに情報を発信できるため、引き続き活用したいと考えています。

今年で10周年を迎えた災害協定の「次のステージ」は?

ヤフーは、「情報技術のチカラで日本をもっと便利に。」をミッションに掲げ、日本のさまざまな課題解決に取り組んでいます。
災害発生時には、自治体が発信する情報(被害情報、ライフライン情報、必要物資情報、安否情報、避難勧告、避難指示など)を少しでも広く伝えることが、迅速な避難行動や適切な支援体制につながると考え、各自治体と災害協定を結び連携してきました。ヤフーが災害協定を通じて自治体からの情報を集約・整理し提供することで、日本中のどこにいても必要な情報が受け取れるようにしていきます。

災害協定の企画・営業を担当してきた関口、情報配信の品質向上を担当している森に、これからの10年に向けた災害協定の「今後の展望」を聞きました。

関口 和明(せきぐち かずあき)
2016年より災害協定のプロジェクトマネージャーとして、災害協定の企画・営業・運用業務を担当。

災害時に被災された自治体と連絡を取り合い連携できるように、そして自治体の持つ「命を守るための情報」を一人でも多くの方にお届けするという想いで取り組んできました。
災害協定は、2021年9月末で1344(人口カバー率は94.8%)の自治体と締結し、多くの地域で支援できる環境が整ってきました。
当初は自然災害を想定した取り組みでしたが、新型コロナウイルスの影響がではじめたときには「コロナも災害のひとつ」と考え、自治体からの緊急情報を活用した「新型コロナウイルスの感染を防ぐための情報」の配信に注力しました。2021年の1月~9月末時点では、感染者の情報や注意喚起、ワクチン接種など5,000通以上の通知が配信され、住民のみなさまが「今知りたい」情報をお届けできたのではないかと思います。
ただ、まだまだお届けできていない「命を守るための情報」が多々あることも課題です。住民の命を守るための避難行動に結びつくよう、今まで以上により地域に特化した地域情報が必要です。
災害に関する正確な情報を持つ自治体と、多くの住民にお届けできるヤフーの各サービスが連携することで、「命を守るための情報」をこれまで以上にしっかりとお届けしていきたいと思います。

森 禎行(もり さだゆき)
災害協定を含めたヤフーの災害支援プラットフォーム(※3)のプロジェクトマネージャー。また、災害協定における情報配信の品質向上にも取り組んでおり、自治体がアプリで配信するタイトルや内容の改善提案も定期的に行っている。
※3 災害支援プラットフォーム:
災害時の情報配信から被災地へのサポート、復興支援までを、被災地の自治体などと連携しながらワンストップ、ワンパッケージで支援する取り組み。

2011年の取り組み開始以来、協定を結んでいただくための活動を地道に続けてきました。新型コロナウイルスの影響があった2020年、そして今年は、オンラインセミナーも開催するなど、途切れることなくこの10年取り組んできました。
昨年の新型コロナウイルスの影響などもありますが、昨年からは各自治体様から配信される情報の数と種類が増えただけでなく、より多くの方に見ていただくための配信内容の質向上もできました。最終的には、全国すべての自治体と協定を締結することを目指します。
また、これからの10年は、「防災から復興期」までの一貫配信での住民防災力向上を目指して「自治体」をハブにした災害支援プラットフォームをより発展させるために取り組んでいきます。

ヤフーの災害協定を使っていただくことで、災害が発生したときや、今回の新型コロナウイルスのような感染拡大時など、「自治体が住民に向けてすぐに届けたい情報」を迅速かつ正確に届けられる環境を自治体のみなさまに提供し続けることで、住民のみなさまの安全・安心な暮らしを守るための取り組みを続けていきます。

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