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CSR

ヤフー従業員、SDGs「アウトサイド・イン」を体感
「SDGsダイアログ2019」

SDGsダイアログ2019の画像

ヤフーは2019年2月19日、ステークホルダーダイアログの一環として、従業員向け「SDGsアウトサイド・イン・ワークショップ」を実施した。「課題解決エンジン」を掲げるヤフーは、どのようにSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献できるのか。自社のリソースを生かしながら、社会課題を解決するアイデアを従業員同士が議論し、「課題解決エンジン」としてのさらなる可能性を探った。今回のワークショップは単なる従業員セミナーではなく、CSR部門がビジネスアプローチのアイデアを検討していくなど、ヤフーの今後のCSR/サステナビリティ戦略に生かされていく。その意味で、同社は今回のワークショップを従業員とのダイアログ(対話)やエンゲージメント(中長期的に良好な関係を築くこと)と位置付けている。

SDGs17目標のアイコンの画像
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年9月に国連加盟国193カ国が全会一致で採択した行動計画。スローガンとして「No one will be left behind.(誰一人取り残さない)」を掲げる。17目標・169ターゲットから成り、2030年までに目標を達成することを目指す
小南晃雅の画像
ヤフーの取り組みを紹介する同社SR推進統括本部 社会貢献事業本部 CSR推進室 マネージャーの小南晃雅

2015年9月に国連で採択されたSDGsは、17目標・169ターゲットの達成に向けて、企業を主要な実施主体の一つに位置付け、課題解決のための創造性とイノベーションを発揮することを期待している。

ヤフーは、SDGsや社会課題解決の取り組みとして最も力を入れている領域を「4つのUPDATE」として掲げている。具体的には「情報技術社会の発展」「災害・社会課題への支援」「ダイバーシティの推進」「持続可能な社会への挑戦」だ。

さらに、ヤフーSR推進統括本部 社会貢献事業本部 CSR推進室 マネージャーの小南晃雅は、SDGsを意識しながら進めたプロジェクトとして、刑務所でのIT職業訓練を紹介した。山口県美祢市と連携し、受刑者の社会復帰を支援するとともに、再犯防止を図っている。

企業はなぜSDGsに取り組むのか

ワークショップの画像
ワークショップには、さまざまな部署から従業員が自発的に参加。SDGsについて学ぶだけではなく、ワークショップ形式で事業に落とし込んでいく

講師を務めた「オルタナ」の森摂編集長は、企業がSDGsに取り組む理由として、「リスク(事業リスクとCSRリスク)の低減」「事業機会の創出」「ES(従業員満足度)やCS(顧客満足度)の向上」「SS(社会満足度)の向上(地域に支持される)」「未来に選ばれる会社になること(顧客創造)」の4つを挙げた。

SDGsの企業行動指針「SDGコンパス」では、世界的・社会的なニーズに基づいて、事業目標を設定し、そのギャップを埋めていく「アウトサイド・イン」のビジネスアプローチを推奨している。今回のワークショップでは、「アウトサイド・イン」の発想でリスクとチャンスにどう対応していくのか、グループごとに議論していった。ワークショップには、サービス担当者、コーポレート部門担当者、エンジニア、人事担当者など部門横断的に多様な参加者が集まった。

「チャンス」と「リスク」は表裏一体

ワークショップで使用したチェックシートの画像
ワークショップで使用したチェックシート。17目標に対する自社の強みと弱み、リスクとチャンスを洗い出す

参加者は4グループに分かれ、チェックシートを使い、SDGsの17目標と「自社の強み」「自社の弱み」を分析。グループごとに一番強いところ、一番弱いところを一つずつ選んでいく。続けて「事業上のチャンス」「事業上のリスク」を分析し、同じようにグループごとに一つずつ選んだ。

「産業基盤がしっかりしていなければ、そもそもビジネスができない。目標6は、リスクでもあるが、ヤフーの強みを生かせそうな分野だ」
「森林や生物多様性の損失は、間違いなく脅威になる」
「持続可能な消費を進める目標12は、ヤフーの知見やサービスを生かせるのでは」
「チャンスになりそうな分野は、リスクにもなりえる。表裏一体の関係にありそう」

ヤフー従業員は熱心に議論を進める。分析を終えると、解決したい社会課題を一つ選び、技術、ノウハウ、資金、人など自社のリソースを洗い出し。それらを組み合わせて、ビジネスアプローチを検討していく。17目標だけではなく、169のターゲットを確認しながら、より具体的なアプローチを模索した。

参加者が議論している画像
社会課題に対して、自社のリソースをどのように使えるのか議論した

社会課題を解決する4つのビジネスアプローチ

ワークショップの最後には、グループごとにビジネスアプローチを発表。社会課題を解決する4つの提案がされた。

菅将徳の画像
Aチーム代表、メディア統括本部の菅将徳

Aチーム:子どもたちにITの楽しさとリスクを伝えたい(目標4:質の高い教育をみんなに)

「若年層のインターネットの使い方に問題意識を持っている。早い子は赤ちゃんのころからスマホに触れている。今後はプログラミング教育もますます重要になってくる。ヤフーには『学校とのネットワーク』『キッズ向けサービス』『プログラミング教育』といった資産がある。そこで『子ども版LODGE※』を提案したい。インターネットの楽しさとリスクを学ぶイベントを開催し、子どもが意見を発信しやすくなるようにヤフーとして後押しできれば」

LODGE:ヤフー東京オフィスにあるコワーキングスペースの名称

甲斐伸彦の画像
Bチーム代表、プラットフォーム統括本部の甲斐伸彦

Bチーム:情報や教育格差を解消したい(目標4:質の高い教育をみんなに)

「学生や子どもの情報離れによって発生している情報格差が、教育観点で必要な知識や情報に触れる機会も減少させていると考えた。学生や子どもたちにも理解しやすく、役立つと思えるコンテンツの提供の仕方は、もっと工夫ができそうだ。
また、教育格差の観点では、さまざまな理由から日本の一斉教育の文化に合わなかった人たちのセーフティーネットとして、ヤフーの抱える情報資産(Yahoo!ニュースやYahoo!知恵袋など)とHack Kids※やLODGEといった資産を活用した教育コンテンツも提供できそうだ。今後は、外国の方々、その子どもたちも日本に増えてくる。
既存のコンテンツおよび、上記のコンテンツの多言語化も必要になってくるのではないか。
多様性を尊重し、情報格差、教育格差の無い社会に向けた取り組みができると思う」

Hack Kids:ヤフー主催の子ども向けプログラミング体験イベントの名称

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Cチーム代表、GYAOの清宮寛司

Cチーム:テクノロジーで地域間の教育格差を解消したい(目標4:質の高い教育をみんなに)

「都市と地方など、地域間の教育格差や、経済的なことに起因する教育格差もある。ヤフーには教育制度やテクノロジー、会社への信頼などの資産がある。そこで、地域格差を解消するために、テクノロジーで教育の質を上げたり、Yahoo!アカデミア※などでの体験をxRの技術を活用して遠隔地でも提供できたりするのではないか。今年から5Gの技術も展開され、より動画の視聴が身近なものとして活用できるようになる。GYAO!では、タレントの木村拓哉さんとのコラボレーションもしているので、例えばそういった方にアカデミアの講師を務めていただいき、それを動画で配信するといった楽しい形でも何か社会貢献できるのではないか」

Yahoo!アカデミア:2014年に設立された、ヤフー社内の企業内学校

Dチーム:ビッグデータや技術力で社会に貢献したい(目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう)

村田雅和の画像
Dチーム代表、技術支援本部の村田雅和

「ビジネスアプローチとして『データの提供によるベンチャーキャピタル』を提案したい。ヤフーの強みはビッグデータやエンジニア、産学連携できるネットワークのほか、Hack Day※などイベントのノウハウもある。個人情報の問題もあるが、犯罪が予測されるエリアを特定し、犯罪の防止などにも役立てられるかもしれない」

Hack Day:誰もがテクノロジーを楽しめる、モノづくりの楽しさに触れられるイベント

教育に関心があるGYAOの清宮さんは、「教育格差の問題はITで解決できることもあるはず。GYAO!を通じてSDGsを伝えていきたいが、社会課題をストレートに発信しても伝わりにくい。これまでのITやエンタメ環境での経験を生かして楽しく伝えていけたら」と意気込む。

参加者からは「ヤフーの強みを生かして価値創造をしたい」「ビジネスチャンス、新サービス立ち上げの切り口がまだまだあるなと感じた」「リスクや脅威に対し、人によってとらえ方が違うのが面白かった」などの感想があった。

特に「ヤフーで大きな社会課題を解決したいと思っていたが、賛同が得られにくいことなのかと思っていた。社内にこんなに社会課題を解決したいと思っている人たちがいることを知ることができた。同じように考えている人がいるなら、ぜひビジネスとして成立させて社会に貢献したい」という力強い声が印象的だった。

ダイアログを受けて、執行役員 コーポレートグループ SR推進統括本部長の西田修一は、次のようにコメントした。

「SDGsは誰かの犠牲の上に成り立ってきた過去の経済発展を反省し、掲げられた国際目標。『地球上の誰一人として取り残さない』というSDGsの誓いは、私たちが創造したいと考える未来の姿と一致する。誰もが安心して暮らしていける社会、自然環境や人、生物を犠牲にしない事業成長、出自や能力によらず誰もが社会の一員として活躍できる機会の創出など、テクノロジーやデータ、インターネットの可能性を最大限に活用しながら持続可能な社会づくりに貢献していきたい」

企業が長期的に社会から必要とされ、存続していくためには、事業を通じて社会に貢献していく姿勢が必要だ。こうしたプロセスを通じてこそ企業価値や利益率を高められ、企業自身もサステナブル(持続可能)な存在になる。今回のダイアログで従業員たちはその点を強く体感したようだ。

文中の従業員の所属、役職は2019年2月当時のものです。

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