真剣な眼差しでプログラミングに取り組む子供たちの画像真剣な眼差しでプログラミングに取り組む子供たちの画像

課題解決特集 #1情報技術社会の発展「プログラミングの楽しさを知ってほしい」
2020年を見据えて取り組むプログラミング教室
「Hack Kids Caravan」体験レポート

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北九州の地に着いた田中の画像

ハーレーの前で仁王立ちする田中の画像

こんにちは、ハーレーに乗るLIGブログ編集部員の田中です。

こちらは九州の玄関口、北九州市です。今回、ヤフー株式会社が取り組んでいる小学生のためのプログラミング教室『Hack Kids Caravan』が、ここ北九州にあるヤフー北九州センターで開催されるとのことで、その模様をレポートしようと東京からひとっ走りしてきました。所要時間? そうですね、ハイウェイで12時間ってところでしょうか。

『Hack Kids Caravan』とは

より多くの子供たちにプログラミングの楽しさを知ってほしい。『Hack Kids Caravan』は、そんな思いからヤフーが2017年5月よりスタートした小学生向けのプログラミング教室です。

大都市圏ではすでに多くの子供向けプログラミング教室が開催されていますが、その一方で、地方ではプログラミングを容易に体験できる場がまだまだ少ないのが現状です。そこでヤフーでは、事業所のある青森県八戸市、宮城県石巻市、長野県北安曇郡白馬村、高知県高知市、福岡県北九州市、大分県大分市という6拠点を中心に、その地方に住む小学生を対象としたプログラミング教室を開いています。

2020年から小学校で必修となるプログラミング教育では、プログラミング学習を通じて、論理的思考能力や課題解決能力などを伸ばすことを目的としています。『Hack Kids Caravan』では、未経験の子供たちでも習得しやすい「Scratch」(スクラッチ)というビジュアルプログラミング環境を主に用いることで、それらの能力を伸ばすだけでなく、プログラミング自体の楽しさを知ってもらい、子供たちの将来の可能性を広げることも目標としているのです。

「田中さん、北九州までようこそお越しくださいました。『Hack Kids Caravan』の責任者を務める金澤です」

PROFILE

  • 顔写真:金澤亜矢子

    金澤亜矢子

    ヤフー株式会社 SR推進統括本部 社会貢献事業本部 きっず企画 Hack Kidsプロジェクトマネージャー
    1990年8月12日生まれ、北海道出身。2013年、ヤフー株式会社に新卒入社。2016年9月まで「ヤフーショッピング」のエンジニアとして、カートや「お気に入りリスト」の開発・保守を担当。現在はこの『Hack Kids』プロジェクトマネージャーとして、プログラム内容の検討やイベント告知、PR活動など運営全般に加え、チュータースタッフの育成とその働きは多岐にわたる。趣味は国内旅行とおいしい日本酒を飲むこと。座右の銘は「健康第一」。

※所属や肩書は2017年12月現在のものです。

金澤さんを見て「かわいい」と心の中で呟く田中の画像

「(……かわいい)」

『Hack Kids Caravan in 北九州』スケジュール

ハックキッズイン北九州の会場全景

いよいよ始まる「Hack Kids」。子供たちの準備も万端。
  • 1日目(9:00〜16:00)
    開会式
    自己紹介・レクリエーション
    コンピューター組み立て
    みんなでランチ
    プログラミング体験
    プログラム開発・制作
  • 2日目(9:00~16:00)
    プログラム開発・制作
    みんなでランチ
    作品発表会
    修了式・記念撮影

『Hack Kids Caravan in 北九州』体験レポート

子供たちに混じってプログラミングに挑む田中の画像

子供たちに混じって田中も参加。実は人生初のプログラミング体験。はたしてどうなるやら。

これまでの人生で、プログラミングの「プ」にすら触れたことがなかった完全初心者の私。小学校を卒業してから30年(!)がたっていますが、今回、2017年11月に開催された小学生向けプログラミング教室『Hack Kids Caravan in 北九州』に特別に参加、プログラミングを初体験してきました。

『Hack Kids Caravan in 北九州』は、朝から夕方まで、2日がかりでプログラミングに取り組むイベント。当日会場に集まったのは、事前に募集した20名の小学生(+私)です。2日間、慣れないプログラミング体験ということもあり、体力と集中力を維持したまま最後までやり遂げることができるのか……。

開会のあいさつ、そして自己紹介タイム。「脳内シート」に「ハーレー」とだけ書く田中の画像

開会のあいさつ、そして自己紹介タイム。田中の脳内は「ハーレー」一択でした。

しかし、そんな心配をよそに、1日目のカリキュラムは流れるように進んでいきます。5人ずつ4つに分けられたチームごとについてくれる指導役のチューターの紹介に始まり、そのチームのなかで参加者同士の自己紹介や、絵しりとりなどを実施。そんなレクリエーションをこなすうちに、同じ小学生同士、すっかり打ち解けることができました。私も絵しりとりでプレッシャーをかけられるくらいに仲良くなることができました。

チューターの説明に耳を傾ける子供たち。そんな元気な子供のペースに巻き込まれる42歳田中の画像

チューターの説明を真剣に聞く子供たち。そして元気いっぱいなペースに巻き込まれる田中。

また、2日がかりとはいっても、子供たちのことを考えて頻繁に休憩があったり、ずっと同じプログラムの開発にかかりきり、というわけでもありません。まずは、プログラミングに必要な小型のコンピューター「Raspberry Pi」(ラズベリーパイ)を使えるようにするセットアップ作業。これでコンピューターの周辺機器の接続方法をざっと知ることができます。

こちらが小型のコンピューター「ラズベリーパイ」。こんなにコンパクト!

見慣れない「ラズベリーパイ」を手に、チューターの指示に合わせて組んでいく子供たちの画像

見慣れない「ラズベリーパイ」を手に、チューターの指示に合わせて組んでいく子供たち。

次に、開発に使うビジュアルプログラミング環境「Scratch」(スクラッチ)の基礎的な使い方を学んで、その後はいよいよプログラム(ゲーム)の自作に挑戦します。ただし、1日目も2日目も、プログラム制作の合間にはちょっとした課題が出されます。画面内のキャラを動かす「Scratch」のコードの穴あき問題や、ゲーム内でのアクションに音を付ける方法など。こうした課題をこなすことで、子供たちがプログラミングでつまずきがちなところの解決方法や、よりゲームらしく仕上げていけるテクニックなどを無理なく身に付けられるようになっていくのです。

モニターとキーボードを前にマウスを動かし、動作チェックをしていく子供たちの画像

モニターとキーボードを前にマウスを動かし、動作チェックをしていきます。

プログラミング講座、スタート!わからないところはチューターに聞きながら作業を進めていく子供たちの画像

プログラミング講座、スタート! わからないところをチューターに聞きながら作業を進めていきます。

作業を進めていく子供たちの画像

取り組むテーマごとにチューターがしっかり説明。個別でもわかりやすく教えてくれます。

子供同士で教えあう画像

子供たちの飲み込みは早く、どんどん進めていく子も!

自作プログラムについても、何もないところからいきなり本格的なものを作るのは大変。なので、1人ずつ単語が書かれたカードを2枚だけ選び、そこから作るプログラムのアイデアを練ります。例えば2枚のカードの言葉を組み合わせて「○○が△△する」プログラムを作るというもの。子供たちはさっさと決めていくなか、私はなかなか最後まで決められなかったため、結局シャッフルしてチョイス。そして選んだのが「ギター」と「大きくなる」という単語でした。

赤と青のカードの画像

赤いカードと青いカードを一枚ずつ選び、どんなことができるゲームにするか決めます。

子どもがカードを選ぶ画像

興味が湧くカードが多く、みんな想像を膨らませながらカードを選んでいました。

カードを選ぶ田中の画像

考えすぎて決めかねた42歳田中。シャッフルしたものから無作為に選んだのは「ギター」「大きくなる」……え?

2日目の最後まで「なぜギターが大きくなるのか」という疑問が頭から離れませんでしたが、それでも画面上部から降ってくる鈴を、画面下部で待ち構えるキャラを動かしてキャッチすると、画面中央のギターがどんどん大きくなる、という次世代の落ちモノゲームをなんとか作り上げることができました。アドバイスしていただいたチューターの方々や同じチームの子供たちには感謝しかありません。

ゲームを制作する画像

天井から落ちてくるベルをキャッチすると、背後にあるギターが大きくなるという目的のよくわからないゲームを制作。隣の男の子からレクチャーを受けるシーンも。

子供たちはどうだったかというと、「宇宙船をたおす」「お化けを追いかける」「魔女とお化けが戦う」といったテーマで、シューティングゲームやアドベンチャーゲーム、リズムゲームの開発にチャレンジしていました。2日目にシューティングゲーム風に弾を発射する方法や、音を付ける方法を学んだこともあり、時間とともに完成度がみるみるアップ。伸び盛りの子供たちのポテンシャルに、大いに脱帽してしまったイベントでした。

ゲームを手がける子どもの画像

田中よりもグレードの高いゲームを手がける天才児も。将来は凄腕プログラマーか?

『Hack Kids Caravan in 北九州』のプログラミング教室体験を終えて

語り合う金澤さんと田中の画像

田中宏亮の写真

田中

『Hack Kids Caravan in 北九州』が終わりました。2日間お疲れさまでした。初めてのプログラミングで、いつもは使わない筋肉を使った感じです。この『Hack Kids Caravan』、そもそもどういう経緯でスタートしたのでしょう。

金澤亜矢子の写真

金澤

キッカケは、2020年からの小学校のプログラミング教育必修化が決まったことでした。そこから社内で「子供にプログラミングを教えるのはどうか」という検討が始まったんです。子供向けのプログラミング教室は地域格差があって、IT企業が集中している都心部にはもともと多い。でも、地方は学べる場所が少ないという課題がありました。プログラミングのスキルをもつ人が、地方にそもそも少ないのが原因かもしれないのですが。

田中宏亮の写真

田中

それでヤフーのオフィスがある拠点を中心に開催しているわけですね。ヤフーにとってそれらの拠点で開催するメリットとは?

金澤亜矢子の写真

金澤

ヤフーは日本全国に拠点があるんですが、拠点があること自体あまり知られていないように思います。実際には、北は北海道から南は九州まで、東京を含め13拠点あって、そのうち6拠点を中心にして『Hack Kids Caravan』を開いています。各拠点の社員と一緒にこうした『Hack Kids Caravan』を実施することで、全国にあるヤフーの拠点をアピールできますし、参加者である地元の人ともたくさん交流できます。われわれ東京拠点にいるヤフー社員と、他の拠点の社員とが、コラボレーションしながらイベントを作り上げていくのは、互いに貴重な経験にもなります。

この世代からプログラミングに触れることで、デジタル時代への対応力を高めていけるのです。

田中宏亮の写真

田中

2020年から小学校でプログラミング教育が必修化ということですけど、金澤さん自身が小学生のとき、パソコンを用いた授業はありましたか。

金澤亜矢子の写真

金澤

プログラミングをすることはなかったのですが、パソコンは普通にありました。Microsoft OfficeのPowerPointやWordなんかはよく使っていたので、言ってみれば私たち(20代)はデジタルネイティブの世代になるのかもしれません。

田中宏亮の写真

田中

そういう視点から、『Hack Kids Caravan』のプログラミング教室はどんな風に感じますか。

金澤亜矢子の写真

金澤

私が小学生だったら同じことができるかなあ? それだけ今の小学生の熱意はすごいと思います。私が小学生のときは周りにプログラミングをやっている人は1人もいなかったんですけど、もし自分が同じような講座をきちんと受けることができていたら、今頃はスーパーエンジニアになっていたかもしれませんね(笑)。

田中宏亮の写真

田中

インターネットが本格的に普及し始めたのって、僕が大学生の頃(1990年代)だったと思います。それから30年近い月日がたちましたが、ヤフーとしては『Hack Kids Caravan』を通して子供たちにどういう手助けをしたいと考えているのでしょう。

金澤亜矢子の写真

金澤

エンジニアになってほしいとか、スーパーエンジニアを輩出したいとは思っていないんです。まずはプログラミングが楽しいということを知ってもらって、その後に将来の仕事の選択肢の1つとしてプログラミングがあることに気付いてもらえればいいなと思っています。プログラミング環境として「Raspberry Pi」を選んだのも理由があって、プログラミングといえばデスクトップパソコンやノートパソコンをイメージすると思うんですけど、こういう小さいのもあるんだ、ということを知ってほしかったからです。

田中宏亮の写真

田中

僕はこれまで経験はなかったんですが、今回プログラミングに触れることができて良かったと思います。大人にとっても学びになるし、いつもとは違った頭を使う。大人からもこういったプログラミング教室をやってほしいという声もあるのでは?

金澤亜矢子の写真

金澤

「教員や保護者向けのプログラミング講座を開いてくれないか」という声もたしかにあります。この『Hack Kids Caravan』は2020年にやってくるプログラミング教育に先駆けて、子供たちにプログラミングの楽しさを直接伝えたいという点が大きく、現在いただいている要望についても『Hack Kids Caravan』のようなテーマ性を持たせて取り組みたいと考えています。そのためには、現場の教員や大人たちがどういったニーズを持っているのか、についてしっかりリサーチしたいですね。

田中宏亮の写真

田中

ところで『Hack Kids Caravan』は、最後の作品を発表するとき以外は完全に子供だけで、保護者の見学を認めていないのが面白いところですね。どうしてこういうルールにしているんですか。

ハックキッズの取り組みについて熱く語る金澤さんの画像

金澤亜矢子の写真

金澤

『Hack Kids Caravan』では、「子供たちの自主性」と「子供同士での交流」を大切にしているんです。親子での参加となると、親御さんの興味が勝ってしまったり、親御さんが口を出してもめてしまったり、親子だけで作業に没頭してしまう……というケースが生まれてしまいがちです。先んじて作業をこなした子が他の子に教えてあげる、子供たちだけで考えてみる、というような子供同士のコミュニケーションも大事にしています。

田中宏亮の写真

田中

今回も子供たち同士で積極的に教え合っていたのが印象的ですね。

金澤亜矢子の写真

金澤

みんな楽しんでできていたのも良かったと思いますね。プログラミングは楽しいのが一番です。

田中宏亮の写真

田中

僕のプログラミングに取り組む姿はどうでしたか?

金澤亜矢子の写真

金澤

見た目と中身のギャップがすごいですよね(笑)。ごつくて髪型もすごいのに、中身が優しげだなって。

田中宏亮の写真

田中

(おっ……これって脈アリやん?)

金澤亜矢子の写真

金澤

………?

田中宏亮の写真

田中

……最後に、この『Hack Kids Caravan』を将来的にどんなプログラミング教室にしていきたいか、教えてください。

金澤亜矢子の写真

金澤

いただいたアンケート結果を見てみると、「開催頻度を上げてほしい」「保護者向けの自宅学習案内の内容について教えてほしい」という要望が見受けられ、前向きに検討していきたいと思っています。また、イベント後に出た反省点については次の開催までにフィードバックできるよう努めていきたいですね。例えばですが、座学だけだと飽きてしまう子供もいるので、アクティブラーニングを実践したり。今後はヤフー社内の協力者をさらに増やし、多くの子供たちにプログラミングを体験してもらえる機会を増やしたいですね。

田中宏亮の写真

田中

ありがとうございました。今回プログラミングを体験してみて、正直、こんなのを楽々とこなすプログラマーはすごいな、自社(LIG)のエンジニアの仕事の中身が垣間見えて見方が変わったなど、いろんなことを感じさせられた2日間でした。

じゃあ、そろそろ行きましょうか。

金澤亜矢子の写真

金澤

あ、はい。お疲れさまでし……た?

「金澤さん、2日間お疲れ様でした。それでは僕はこれからこのハーレーで東京まで帰りますが……金澤さん、よかったら東京までお送りしますよ」

「え? 東京までバイクで?……あ、いや、この後 会場の後片付けもあるので、今回はご遠慮させていただきます」

「そうですか、ではまた東京で! 風を感じたくなったらいつでもご連絡ください」

「………」

「………?」

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