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企業情報

2022.02.08

with/afterコロナに考えるべき、これからの「消費者理解」

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2022年1月にオンラインで開催した「Yahoo! JAPAN DATA CONFERENCE 2022」では、データ活用の具体的な事例にもとづき、6つのセッションを行いました。
今回はそのなかから、with/afterコロナに考えるべき、これからの「消費者理解」について、ヤフーのCDO(チーフデータオフィサー)の谷口と、データソリューション事業部の村田の講演内容をお届けします。

谷口 博基(たにぐち ひろき)
ヤフー株式会社 チーフデータオフィサー(CDO)
村田 剛(むらた つよし)
ヤフー株式会社 データソリューション事業本部 本部長

谷口:
この、75%という数字は何だと思いますか? 
これは、コロナ禍以前の生活には戻らないというふうに考えていらっしゃる方の割合を表しています。
私もこの1、2年で変わった生活のスタイル、仕事のやり方などを考えると、もし仮に完全にコロナのない時代が来ても、もう以前のような生活には戻らないだろうと感じています。

上記の写真が表すように、働く場所や会食、スポーツ観賞など、さまざまなことにおいて大きな変化のあった2年だったと思います。

私自身も去年、オフィスに出社したのはおそらく10回以下だと思います。これは2、3年前に比べると想像もできないような変化だと思います。また、このイベントをご視聴いただいているみなさまにも大きな変化があったのではないかなと思います。

こういった変化についてヤフーの各種サービスから生まれるデータで見てみましょう。まず、このグラフは「沖縄旅行」と「ハワイ旅行」に関する検索数の推移を表しています。

旅行に関するような興味やニーズは、コロナの影響が出てから減ってきています。これは多くの方にとって実感を伴うものではないかと思います。

次に、ご自宅でつくった食事を食べる機会が増えたため、人気のレシピの検索がとても増えていることがわかります。

また、コロナの前後で増えた・減っただけではなく、このように短い期間でニーズがぐっと上がるというケースも多く見られています。こちらは「ジェンガ」と「パズル」の検索ボリュームの推移で、ご自宅で遊ぶものの例です。この例に限らず、多くのニーズ、多くの興味・関心が、ある一瞬だけ高まる、ある一瞬を境に増える・減るといったような消費者の興味・関心の移り変わりが、現代ではコロナでより顕著になっていると思います。

ここまで挙げたものは一例ですが、消費者理解が大きく変わってきている局面なのではないかと思います。具体的には、以下の3点です。

1つ目は、消費者を理解する重要性が増しているということ。
2つ目は、重要性が増しているのに加えて、難易度が上がり、より難しくなっているということ。
3つ目は、重要性も難易度も上がった上に、これを必要とする人、必要とするタイミングが増えているということ。

このような時代に対し、ヤフーのデータソリューションができることは、消費者理解をより民主化することだと考えています。

ここで言う「民主化」とは、より多くの方により簡単な方法で、より早く消費者理解をしていただくための道具を持っていただくことだと考えています。

もちろん、データを扱う上で最も優先されるべきは、ヤフーをご利用いただいているユーザーのみなさまのプライバシーです。ユーザーの方のプライバシーをしっかり守った上で、データの価値をより世の中に届けていきたいと考えています。詳しくはYahoo! JAPANプライバシーセンターで詳細を説明していますのでご覧ください。

先ほどお話した、消費者理解に関する重要性・難易度・必要性が上がっている局面という点について、もう少し具体的に説明します。

重要性・難易度が増している

先ほど、検索の推移の変化をご覧いただきましたが、変化がより高速化し、より個別化していると思います。さらに、不連続になっていて、過去の傾向の延長ではない変化が起こる回数が多くなっていると感じています。このような理由から、消費者の理解が難しくなっている一方で、とても重要になっているのではないかなと思います。

必要性が増している

これまで、消費者を理解する必要があったのは、たとえばマーケティングの部門や商品開発の部門など一部の企業の一部門だったかもしれません。ですが、現在においてはすべての企業やお店、自治体にとっても、消費者を理解することが非常に重要になっていると思います。
また、オフラインの行動が減ってきたことにより、これまでのようにオフラインとオンライン、それぞれ分けて考えるのではなく、これらのデータをしっかり組み合わせて考えていく、消費者の皆さまの行動や考えを理解していくことが重要になっていると考えています。

このような理由から、私たちはYahoo! JAPANの各種サービスから得られるデータをもとにしたデータソリューションというサービスを通じ、「消費者理解の民主化」を実現していきたいと思っています。

消費者理解の民主化が実現した社会とは?

消費者理解を民主化して、あらゆる方にあらゆるタイミングで消費者理解を簡単にしていただけるような世界が訪れた暁には、消費者ニーズをこれまで以上に素早く取り入れることができ、

ユーザーにとって最適なタイミングでサービスや商品が世の中に出てくるようになります。
具体的には、
・ニーズにしっかりと応えられる商品が出てくる
・求められる商品開発ができるようになる
・行政サービスにおいてもユーザーの声がしっかり反映され、生活をより便利にする住民サービスがタイムリーに届く

企業の皆さま・自治体の皆さまには、お客さまに喜んでいただける世界が、また、消費者、生活者の皆さまには、欲しいものやサービスが、欲しいタイミングで手に入る世界が、データを通じて実現できるのではないかと考えています。
「消費者理解を民主化する」ことで、消費者のニーズに即応する社会を実現していきたいと思います。

データソリューションのサービス

村田:
ヤフーのデータソリューションは、
・デスクリサーチツールであるDS.INSIGHT
・ヤフーのデータを扱うことに長けたデータアナリストがオーダーメードで分析するDS.ANALYSIS
・自社の分析環境にヤフーの検索ビッグデータを連携できるDS.API
この3つのラインナップでサービスを展開しています。

2020年11月のYahoo! JAPAN DATA CONFERENCEでは、「日本列島総DX化」という名の下に、DS.INSIGHTを利用しやすいラインナップで提供しました。その結果、月間の累計利用者数は1万5,000人と、多くの方にご利用いただいています。

データソリューションでは今後も、消費者理解を進化させる新しい提案をしていく予定です。
その第一歩として、DS.INSIGHT Personaという機能をリリースしました。

DS.INSIGHT Personaは、これまでのDS.INSIGHTの利点である「すぐに確認できる」という利点を残したまま、多角的なヤフーのデータを使って、さまざまな角度で顧客像を理解できる機能です。具体的には、属性、興味関心、検索キーワード、この3つの軸から顧客の理解を深められます。

具体的に、3つの例を紹介します。

1)英会話に関心を持っている層に対して、より具体的な顧客像をつかんでもらう

DS.INSIGHT Personaを使って分析してみると、40代女性という特徴が出てくるのと同時に、旅行によく行き、スポーツジムの入会を検討しているというような興味の特徴がわかります。
このような特徴を総合すると、たとえば育児が落ち着いて少し自分に対する時間が取れるようになった方が、自分を高めるために時間を使っていこうと考え、英会話に興味を持ったというようなことを推測できます。そして40代女性だけではなく、そこから一歩、二歩踏み込んで、より顧客像を鮮明にできます。

2)CMなどで新しいタレントを起用するための検討材料として利用するケース

これはタレント自身を見るというより、そのタレントに興味を持っているファンがどういう層なのかをヤフーのデータから分析し、ファン層に自社商品に興味がある方がいるのかを調べながらタレントキャスティングに役立てるケースです。

3)睡眠への関心者層から複数のペルソナが見えてくる例

まず1つ目は30代女性で、生まれたばかりの子供がいる層のペルソナA。続いて、ペルソナBとして、歯に関する興味と睡眠が重なっている層。この2つのペルソナについては、それぞれ睡眠不足から睡眠へ興味があると思われます。
次に、ペルソナCは、睡眠への関心のほか、旅行にも関心があるため、睡眠不足というよりも、より睡眠の質に関心が集まっているのではないかと推測できます。
このA、B、C、それぞれ睡眠に対する関心はあるのですが、それぞれ別の顧客像が見えるというような例です。 このように、代表的な顧客像というのがすでに見えていても、2つ目、3つ目の顧客像が見えてくることによって、新しい発見の可能性が高まるのではないかと思います。

このVUCA(ブーカ)時代(※)と呼ばれている、不確実で先が見えにくい状況下で、顧客像を知りたいと思ったときにすぐ確認できたり、少しぼんやりとした顧客像から、顧客理解の解像度を上げたりという使い方も可能です。また、データを比較しながら、顧客像の理解を深めていける点がPersonaの活用ポイントです。

※VUCA時代: VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語。
将来を予測するのが困難な状態を示す言葉で、「これまでの常識を覆すような社会変化が次々と起こる時代」という意味で使われる。
例)スマートフォンの登場によって、個人がデジタルデバイスを所有するようになり、社会全体のデジタルシフトが一気に進んだこと。
新型コロナウイルスなどの病気や台風、地震などの災害、AI(人工知能)技術の急激な進化などにより、現代は世の中の変化を予測しにくい状況だと言える。

データソリューションサービスのロードマップ

私たちは「消費者理解の民主化」を実現するために、DS.INSIGHTをはじめ、さまざまなプロダクトで消費者理解についての提案をしていきたいと思っています。
たとえば、DS.INSIGHTでは消費者理解の別のかたちとして、人の動きを中心とした商圏に対する分析による顧客理解の仕組みも開発を始めています。さらに今後は、戦略や企画をしていく過程で必要とする顧客理解に対しても、新しい機能をどんどん提供していきたいと考えていますのでご期待ください。

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