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2023.04.11

再配達問題の背景とは? 多様化する配送ニーズに対応 Yahoo!ショッピングの取り組み

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近年、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛やリモートワークなど、多様化するライフスタイルとともにeコマースが急速に拡大しました。それに伴って再配達件数も増加し、CO2排出量の増加、ドライバーの長時間労働やドライバー不足などが社会課題となっています。

このような背景のもと、来年2024年春からドライバーの年間時間外労働の上限が960時間に制限されます。それにより、輸送量が減少し予定通りに配達ができなくなるなど、私たちの生活にも大きく影響するといわれています。
国土交通省では、2024年春まで残り1年となる2023年4月を「再配達削減PR月間」として、宅配便やeコマース・通販事業者とともに再配達削減に向けた取り組みを行うと発表しました(※1)。

Yahoo!ショッピングでも、この課題の解決に向けてさまざまな取り組みを進めています。 今回は、担当者に問題の背景や取り組みについて聞きました。

※1:国土交通省<再配達削減PR月間 特設ページ

杉本 務(すぎもと つとむ)
2006年入社。ヤフオク!のエンジニアとして開発を担当。2013年にYahoo!ショッピングの開発へ。現在、Yahoo!ショッピングのユニットマネージャーを務めている。
須田 琢磨(すだ たくま)
2022年入社。Yahoo!ショッピングで事業開発チームのマネージャーを務めている。
大江 寿登(おおえ ひさと)
2017年入社。Yahoo!ショッピングで事業企画を担当し、おトク指定便を企画した。

物流の「2024年問題」とは?

須田:
2024年問題とは、政府主導で2024年4月に始まる働き方改革に伴う、「配送キャパシティーが逼迫(ひっぱく)しそうなため、世の中全体で取り組んでいく必要がある」という社会課題だと認識しています。
トラックドライバーの年間時間外労働の上限が960時間になることで生じる3つの懸念点を、国が提示しています。

  1. 運べる荷物が減ってしまう
  2. ドライバーの収入が減ってしまう
  3. ドライバーの収入減により、慢性的な人手不足になる可能性がある
大江:
これまで、EC業界は右肩上がりで拡大を続けてきました。宅配便の個数は年々増え、2022年には50億個(※2)に迫っています。
そのような状況のなか、2024年問題の影響で現在の配送サービスレベルが維持できなくなることは、Yahoo!ショッピングにとっても、ユーザーのみなさまにとっても大きな問題点です。
野村総合研究所の試算では、2030年には2015年比で、全国の35%の荷物が運べなくなると推測されています(※3)。この問題は一般消費者や各種業界にも大きな影響を与えかねないため、配送、物流サービスの負荷の軽減に社会全体で取り組んでいく必要があると考えています。

※2:国土交通省<令和3年度 宅配便実績について
※3:野村総合研究所<トラックドライバー不足の地域別将来推計と地域でまとめる輸配送

日時指定に力を入れているYahoo!ショッピングの取り組み

杉本:
Yahoo!ショッピングは、「欲しい時に欲しいモノを届ける」をスローガンに掲げて、ユーザーの配送体験の向上を目指しています。配送リソースとeコマースの成長は切っても切り離せない問題のため、私たちも危機感を持っています。
現状の再配達率は全体の約11.8%というデータもあり(※4)、まずは再配達の削減が物流の負荷軽減につながると考えられます。ユーザーのみなさまが指定日配送を使い「この日に受け取る」と決めた日時で、可能な限り1回で受け取っていただくことで、再配達率を少しでも減らしていければと考えています。
今年4月に国交省が行っている強化月間に合わせて、Yahoo!ショッピングのトップページやお知らせなどを活用して、ユーザーのみなさまへ呼びかけていきます。また、強化月間以降も、指定日配送を選択しやすいよう、UI(ユーザーインターフェース)の改善などを行う予定です。

※4:国土交通省<令和4年10月の再配達率は約11.8%

物流の多面的な社会課題に対応していきたい

大江:
2024年問題の解決に向けて、さまざまな施策を通じて物流全体の負荷を下げることが必要だと考えています。
Yahoo!ショッピングに出店してくださっているストア担当者へヒアリングを行い、データを分析した結果、繁忙期やセールなど、キャンペーンのタイミングではどうしても瞬間的に注文が増えてしまい、物流の現場にも負担がかかってしまうことが課題になっているとわかりました。 このような課題を解決するためにリリースしたのが「おトク指定便」です。これは、余裕のあるお届け日を選んだユーザーに、ストアがポイントを付与できる機能です。

この機能を全ストアに向けて展開する前にLOHACOで実証実験を行った結果、注文者の半数以上のユーザーがおトク指定便を利用し、お届け日が分散しました。また、おトク指定便の導入前と比較して、注文から2日いないにお届けする優良配送(※5)の比率も向上、「物流のコストが下がって品質は上がる」という成果が得られました。
今後はYahoo!ショッピングの全ストアがおトク指定便を利用できるようになるので、出荷作業の分散化により、配送サービスの負荷軽減にさらにつながることを期待しています。

※5:優良配送

須田:
今後、この機能を少しでも多くのストアに使っていただくことが重要です。ストア側に理解していただき、しっかり使っていただけるよう、ていねいにコミュニケーションをとっていきたいですね。

先ほどの杉本の話にもあった通り、Yahoo!ショッピングでは「欲しい時に欲しいモノが届く世界」をスローガンに掲げています。多くのユーザーにとって「早く受け取りたい」というニーズが高いのが現状です。そのため、昨年より「安心かつスピーディー」というコンセプトで優良配送を拡大促進してきました。
ただ、LOHACOの実証実験結果から、受け取りを急いでいない注文も一定数あることがわかっています。限られた配送リリースのなかで、早く受け取りたい方は早く受け取れる、急いでいない方はゆっくり、おトクに受け取れるなど、さまざまな配送ニーズに対応できる世界を実現したいですね。

ユーザーの利便性を高めながら、社会課題の解決にチャレンジしていきたい

杉本:
この春から新たにスタートした、おトク指定便を含めた日時指定の取り組みが、ストア側の負荷軽減、再配達の削減につなげられるよう、今後も取り組んでいきます。
また、Yahoo!ショッピングではパートナーであるヤマト運輸さんとともに、「EAZY(※6)」という、ユーザーが指定した場所で受け取れる集荷配送サービスも進めています。その他、店頭受け取りによって、送料無料でご利用いただける「実店舗在庫サービス(※7)」もあります。

再配達をはじめとした物流に関わる問題は、社会全体として取り組むべきだと思っています。課題はまだ多いですが、「欲しい時に欲しいモノを届ける」ために、ユーザーのみなさまの利便性を高め、サービスをアップデートし続けていきたいと思います。

※6:EAZY
※7:実店舗在庫サービス

Yahoo!ショッピングの取り組み

    おトク指定便
  • 余裕のある配送日を選ぶとポイントが付与される
  • 配送日を分散することで配送サービスへの負担を軽減できる
集荷配送サービス(「EAZY」)
  • ユーザーが指定した場所で受け取れる
実店舗在庫サービス
  • 店頭にて送料無料で受け取れる

迫る物流の「2024年問題」に向けて、私たちができること

  • 一度で受け取れる日時・場所を指定する
  • 不在時は宅配ボックス・ロッカー、コンビニや店舗受け取りも使用する
  • 急いでいないものはできるだけまとめて注文し、配送回数を減らす

【関連リンク】

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