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企業情報

2023.03.24

「インターネットの力で遠くとつながる」オンライン会社見学だからこそできるようになったこと

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ヤフーは、中学生・高校生のみなさんに向けて2007年から会社見学を実施しています。2020年からは、コロナ禍の状況に合わせて、オンライン会社見学も開始しました。
今回は、オンライン会社見学をどのように実施しているのか、特に力を入れていること、オンラインだからこそできるようになったことなどを担当者に聞きました。

左から小谷、大野
大野 憲司(おおの けんじ)
2003年入社。インターネット広告営業、社内カフェ&レストラン立ち上げ、Yahoo!ショッピングセミナー講師、スマートデバイスに関する部署などを経て、現在は災害支援推進室ならびにCSR推進室に所属。会社見学のプロジェクトマネージャー、災害対応とIT人財育成プロジェクト講師を担当している。

小谷 浩一(こたに こういち)
2000年にインターネット広告営業担当として入社。その後、株式会社GYAOでインターネット広告営業や企画開発、ヤフーのインターナルコミュニケーション室で社内広報、全社朝礼、イベント運営、グッドコンディション推進室で社内レストランの運営などを担当。現在はCSR推進室で会社見学とIT人財育成プロジェクトを担当している。

オンラインでリアルタイムに実施 ヤフーの会社見学

ヤフーの会社見学
・2007年から開始 目的 ・次世代(主に中高生)にインターネット業界を身近に感じてもらう ・社会で働くことへの理解を深めてもらう

大野:
ヤフーの会社見学は、これから社会に出て働いていく世代である学生のみなさんに、インターネットの業界を身近に感じていただくこと、そして社会で働くことに対しての理解を深めてもらうことを目的に、2007年から実施しています。

インターネットは、テレワークなどにより働き方の可能性を広げ、自ら会社やサービスを立ち上げられるなど、他業種と比べてさまざまなチャンスをつくることができると考えています。この会社見学をきっかけに、インターネットが学生のみなさんの可能性を広げるツールだということもお伝えしていきたいと思っています。

コロナ禍前は学生のみなさんに来社いただく形が中心でしたが、コロナ禍以降は、オンラインと対面のハイブリッドで実施しています。
2010年に岩手から会社見学に来てくれた学生さんが、その後(2021年度)新卒社員として入社したということもありました。彼は当時中学生だったのですが、会社見学をきっかけに、インターネット業界に興味を持ったそうです。会社見学をきっかけにインターネット業界で働くようになった学生さんが他にもいたら、いつかまためぐり合うことがあるかもしれないですし、そうなったらうれしいですね。

小谷:
ヤフーには約100のサービスがあります。そのすべては、まず企画書を作成するところから始まり、企画書をデザインに起こし、プログラミングを行い、サービスを公開します。そして公開後はカスタマーサービスがユーザーの声を集め、その内容を分析した結果をもとに改善する「PDCA」を回すことで、さらにサービスを良くすることに取り組んでいます。

ヤフー社員の職種の多くはエンジニアですが、インターネット業界にはそれ以外の多くの仕事がある、ということも会社見学ではお伝えしています。そのため、コロナ禍前は、たとえばYahoo!ニュースの担当者がYahoo!ニューストピックスの見出しの作り方を学生さんに伝えたり、働く現場も見せたりするなど、ヤフー社員の働く姿を直接見てもらっていました。

ですが、コロナ禍をきっかけに私たちの働き方がオンライン中心に変わったこともあり、会社見学もオンラインで実施することにしました。どのような内容にしたら、オンラインでも学生さんたちにまるで会社に来たように感じてもらえるか検討した結果、オンライン、かつライブで実施することにしました。

具体的には、各学校とZoomでつないで、リアルタイムにやりとりしながら進めています。プログラムの中には、ヤフーのオフィスについて学生に説明しながらカメラを持って社内を移動し、オフィスの様子やオフィスから見える景色なども映しながら案内する時間もあります。
私たちが思っていた以上に、このプログラムが学生さんたちに楽しんでもらえたようで、とても反応が良かったんですね。この経験から、オンラインでもライブ感のある伝え方や、状況に合わせた配信ができるのではないかと思いました。

オンラインの会社見学でも、ライブ感とリアルタイムなやりとりを大切に

大野:
会社見学をオンラインで実施するようになったときに、それまで対面で実施していたプログラム内容を一新しました。ですが、ライブ感(リアルタイム性)と学生さんたちとヤフー社員との交流だけは、変わらず残しています。
オンラインであれば、たとえば事前に撮影しておいた会社説明の動画を流すという方法もあります。ですが、それではコンテンツをインプットするだけの「会社紹介」になってしまうと思いました。

学生さん一人ひとりに合わせたタイミングで伝えるためには、対面でもオンラインでも、同じ時間を共有し、リアルタイムなやりとりをすることが大切だと考えました。
「会社見学」という名前ですが、インターネットを使った新しい働き方を伝えたり、インターネットを使うことで可能性がこんなに広がるという、わくわくした気持ちになってもらえたりする時間もお渡ししたいと思っています。

小谷:
ライブで実施しているからこそ、私たちの熱量が学生さんたちに伝わるような気がします。リアルタイムに届ける人と受け取る人がいて、相互に反応することでどんどん盛り上がってくる感覚が近いかなと思います。そのため、大枠の内容は決まっていますが、あまり細かくプログラムの内容を決めないようにして、その場の学生さんたちの反応を見ながら進めています。

また、会社見学のプログラム内容への反応が良くても悪くても、「変え続けていく」ことを常に意識しています。実施後のアンケートや、その場のリアクションなどをもとに、プログラムの内容を固定化することなく、現在もアップデートし続けています。

インターネットを使うことで、遠い場所、もの、人とつながることができる

大野:
コロナ禍に在宅勤務や在宅授業が始まったとき、インターネットを使った教育環境は、離島や熊本県などが最先端の取り組みをしていたように思います。
熊本地震の発生後、熊本県では学生さんが学校に通えなかったことから、インターネットで授業する仕組みなどを早くに構築されていましたし、離島では交流のためにインターネットを使う機会が多いので、他の地域よりもかなり進んでいたところもあった印象です。

そのため、2020年7月中旬ぐらいまでの約3カ月、プライベートの時間を使って企業や自治体のイベント、先ほどお話した九州の先生方が中心となったオンライン授業の勉強会など、いろいろなオンラインイベントに80回くらい参加しました。それらの勉強会で教えていただいたオンラインでの授業の進め方や機材セッティングをまねしたり、研究、試行錯誤を繰り返したりして対面の実施から、オンライン会社見学へと変化させました。

物理的に遠い距離や、自分が普段接している分野と遠い業界などが一瞬でつながれるのがインターネットの強みですし、そこに面白さがあると思います。
ただ、学校でオンライン授業を実施する際は、なかなか外との交流のためにインターネットを使うことをメインに伝えにくいこともあるようです。これは私の考えですが、安全に管理された中で「さあ使っていいですよ」と言われても、そこから自由な発想で何か生み出すのは難しいかもしれません。

小谷:
会社見学に参加してくださる学校には、企業で働いた経験のない先生も多いので、「自分たちが教えられないことを会社見学で生徒に届けられている」と言っていただくこともあります。
学校でもキャリア教育はしていますが、実際に企業で働いたらどんな風に働くのか、ということは、先生方の多くも想像でしかないんですね。会社で働いている私たちが普段こんな風に働いている、ということをそのまま伝えるだけでも、学校では伝えることが難しい、価値のある体験を提供できていると感じてくださっているようです。会社見学のあとで「こういう授業をやりたかったんです!」と先生が盛り上がっていらっしゃることもありますね。

オンライン会社見学を複数の学校に向けて実施するときは、ヤフー社員との交流だけでなく、学校間の交流もしています。会社見学に参加した生徒同士がインターネットを通じて語る様子を見ていた先生方から、「生徒が生き生きしていた」「本当にいい経験ができた」などと言っていただけると、本当によかったなと思います。

また、一方的な情報の提供になってしまうと、受け取る方は疲れてしまうと思います。そのため、相手に質問を投げて返事をもらい、さらに返事を戻すなどの「揺らぎ」のタイミングをつくるようにしています。ライブで実施しているからこそ、オンライン上でも急に指されるので、学生さんたちも油断できなくなり、単調なペースが変わることで刺激になるような気がします。
もちろん、私たちから質問を投げかけたら、それだけ学生さんからの答えも戻ってくるので、そのやりとりのために時間が押してしまうこともあります。それでも学生さんにとって少しでも生きた時間にしたいと思っているので、時間ぎりぎりまで調整しながら進めています。

オンライン会社見学だからこそできるようになったこと

大野:
コロナ禍前は対面で実施していたので、社員のいるフロアに15人ぐらいの学生さんたちが回っていくというスタイルで実施していましたが、オンラインだからこそ、もっといろいろなことができるのではないかと考えました。
具体的には、これまでは参加者が対面実施では1回に1校のみ、そして15人を上限としていましたが、オンライン会社見学では人数制限をなくし、最大約400人に向けて実施したこともあります。

また、都心と地方の学校を一緒にしたり、離島の学校同士をつないだり、農業高校と普通科の高校で学校見学を同時に実施するなど、普段はなかなか交流が生まれにくい学校同士をあえて組み合わせて実施したこともあります。
対面で実施していたときは東京に修学旅行に来た学生さんたちしか参加できませんでしたが、国内のどこからでも参加できるようになり、これまで実施できなかったいろいろなパターンで開催できるようになったことも大きな変化です。

SDGsでいわれる「誰一人取り残さないこと」はインターネットを使った教育分野においても可能だと思っています。
たとえば、オンライン上でもみんなの動きが見えていれば、誰一人取りこぼさずに授業ができますよね。今では、どんな学校であってもインターネット環境があれば、この会社見学のプログラムをお届けできるようになりました。
参加している全員からできるだけ反応をもらいたいと思っているので、事前にメモとしてお送りしているノートの裏表の色(赤と青)を使い、参加した学生さん全員に質問に答えてもらうこともあります。

オンライン会社見学だからこそできるようになったこと
・人数制限をなくすことができた
・インターネット環境さえあれば国内のどこからでも参加してもらえるようになった
・全員に参加してもらえるプログラムを提供できる ・都心と離島、農業高校と普通科の高校など、学校同士の交流も可能に

インターネットは、遠くの人とつながる、遠くの人に届ける、遠くの人同士をつなげるなど、「遠い何かとつながるために使うことで、より強みが生かせるツール」だと思っています。
そして、インターネットやデジタルをどう使いこなしたら、遠い何かとつながることができるだろう? と考えながらいろいろなことにチャレンジしていくと、やりたいことがどんどん広がっていくかもしれません。

今は便利な時代で、本に書いてあることやインターネット上にあることは、検索したら3秒以内にはだいたいわかってしまいますよね。でも、「答え」を知るためだけではなく、世の中の課題を知り、「自分から遠いところあるものとつながる」ためには、自分からどんどん「外」の世界につながっていくことが必要です。学生のみなさんにはぜひ「つながる」きっかけや、「つながり続ける」仕組みとしてインターネットを使ってみてほしいと思います。

私たちはこれからも、インターネットをまだ活用していない人や地域、業界などに「インターネットのチカラ」を伝えることで課題解決をしていきたいと考えています。
インターネットとまだ「遠い」ところにいる人たちの課題解決を考えた結果、受刑者の再犯防止・社会復帰のためのインターネットを活用した訓練を刑務所で実施したり、離島の学生がオンラインで訪問する企画を実施したり、農業に携わったり、といろいろな分野の課題に挑戦しています。

また、日常生活や学校などで何か不便を感じている子どもたちに、インターネットやデジタルを使うことで、普通にできるようになることもある、ということも伝えていきたいと考えています。たとえば、言葉が少し苦手な子でも事前にプレゼンテーション資料を作っておけば発表しやすくなります。オンラインでつながることで、大人と一緒にこの資料を作ることもできるかもしれません。
今後は、より多くの人が便利に生活できるよう、デジタルの利活用を伝える会社見学もやってみたいですね。

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