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2022.09.14

家族をサポートするためにふるさとへ 東京生活とのバランスをとりながら暮らす ヤフーの新しい働き方

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コロナ禍になってからは帰省を控えていて、なかなかご家族に会えていない、という方も多いのではないでしょうか? また、東京で仕事をしている方にとって、遠方への帰省の機会は夏休みや冬休み、ゴールデンウイークなどの長期休みでなければ難しいことも…。そして、ご家族が高齢になったときなどに「家族のサポートをどのようにしていくか」考えるタイミングは多くの方にやってきます。
今回は、両親の生活をサポートするために実家のある北九州市へ移住し、定期的に東京と往復している近藤に、時間の使い方、両親との生活で心がけていること、リモートワークでのコミュニケーションの工夫などを聞きました。

近藤 恭代(こんどう やすよ)
2004年入社。校正・校閲などの担当を経て、社内システムや各種ツールの情報設計・UI設計、UX向上施策などを担当。現在は主に広告配信設定ツールのUI設計、UX向上施策を担当している。

「北九州市の魅力は、海と山の両方が近くにあること。豊かな自然はもちろんですが、九州の玄関口としての活気があり、都市としての魅力も感じます。
北九州から東京までの出社が必要な際には、新幹線を利用しています。5時間弱かかりますが、飛行機利用の場合、空港まで、空港からの移動時間や搭乗までの待ち時間を考えると、実はかかる時間はそれほど変わりません」

「どこでもオフィス」を利用して「親孝行」 帰省の回数を増やせた

働く場所を自由に選択できる「どこでもオフィス(以下「どオフ」)」が月5回取得できるようになった2016年ごろから、両親が暮らしている北九州市に帰る回数を増やしました。たとえば、平日5日間「どオフ」して土日とつなげれば、9日間実家で過ごすことができます。遠方のため、それまでは実家に帰るのはお盆と年末年始、ゴールデンウイークくらいだったのですが、どオフ制度を使うことで「働きながら」こまめに帰って少しでも親孝行したい、と思って試行錯誤してきたことが、今のワークスタイルにつながっています。

幸い、両親は今のところ、身の回りのことは自分でおおむね問題なくできています。ただ、何年か前に母が転んで腰を圧迫骨折してしまい、しばらくあまり動けなかったことがあります。その後は年齢を重ねたこともあり、今までのようには動きにくくなったり、家事をするときもだいぶ疲れやすくなったりしてきました。両親からもたびたび「(帰ってきてくれて)助かったよ」と言ってもらえたので、私が家事などを手伝うことで、サポートしていきたいと考えるようになりました。

「北九州の台所」として市民に親しまれている、旦過(たんが)市場。今年4月と8月の火災により大きな被害が発生したが、クラウドファンディングなどで復興に向けた支援の動きが広がっている。写真は2022年5月撮影。

両親を「無理なく」サポートするために選んだ、北九州と東京の往復生活

2020年、コロナ禍で「どこでもオフィス」の回数制限が撤廃された際、実家で半年ほど過ごしました。両親のことが心配だったので、コロナ禍が本格化する前に帰ったのですが、当時はあまり頻繁に移動できる状況ではなかったので、そのまま半年滞在することになりました。その間、両親の体調に気を配りながら日常生活をサポートできたのは良かったのですが、そこまで長期間両親と一緒にいるのは親元を離れて暮らすようになって以来数十年ぶりだったのと、休日は家事に追われて自分の時間が持てなかったため、だんだん疲れが出てきてしまいました…。そして両親も、それまでの高齢者2人だけの生活にまだ現役世代の私が入ってくることで、生活のリズムが変わってしまい疲れてしまうことがあるのではないかと感じていました。
とはいえ、ずっと離れていると私は両親のことが心配ですし、両親も私がいることで助かると言ってくれていたので、無理なく一緒に過ごしていくためにはどうしたらいいのだろうか? と考えていました。
その結果選んだのは、国内なら全国どこでも居住可になった今年の4月に北九州市の実家に移住するとともに、それまでの住まいをセカンドハウスとして残しておき月1回は東京で過ごす、というスタイルです。

実家にいるときは、平日の始業前や休日に家事をサポートしています。買い物やゴミ出しなど、高齢の両親にとって負担の大きそうなことは私がやるようにしています。朝食の後片付けをすませた後、早い時間から開いているスーパーに買い出しに行くこともあります。休日は、食事の支度や後片付けを私が一手に引き受けています。

また、九州は台風が多いですが、台風が接近した際、飛ばされやすいものを取り込んだり固定したりといった備えも私がいればやってあげられることも、安心につながっているように思います。

「コロナ禍になってから、実家で過ごすときは家の中でもマスクを着用し、こまめに消毒や換気を行うなど、高齢の両親に配慮して感染防止策をとっています。長距離移動の疲れが出ないよう、睡眠をしっかりとる、しっかり食べるなど健康管理にも気をつけています」

移住後も東京での人間関係や趣味を継続

現在は、1カ月の約3分の2を北九州で暮らし、残りは関東に滞在してセカンドハウスでリモートワークをしつつ、仕事の後や休日に歌舞伎を見たり、習い事をしたりして楽しんでいます。

北九州に移住してからも定期的に上京したいと思ったのは、東京の友人や習い事の師匠など、これまで築いてきた人間関係を途切れさせたくないと思ったからです。また、歌舞伎やミュージカルなどの観劇が趣味なので、これからも東京で多くの舞台を見たいと思ったことも理由でした。
習い事は長唄(ながうた)と日本舞踊を続けています。師匠のお人柄が素晴らしいので、このご縁を大切にし、できる限りお稽古を続けていきたいと思っています。

上京したときは土日と次の土日とつなげて10日くらい滞在することが多いため、部屋を残しておくことで、ホテルに長期間滞在するよりも過ごしやすく、滞在先を安定して確保できるメリットがあると考えました。

写真右:上京の際は、歌舞伎やミュージカルを見に行ったり、国技館で大相撲を観戦したりと、趣味を楽しんでリフレッシュ。観劇が大好きで、地元福岡にある劇場「博多座」や関西の劇場にも足を運ぶ。
写真左:左は長唄の稽古本と白扇。師匠が手づくりの表紙をつけてくださった稽古本には、曲の詞章などが書かれている。表紙に書かれた「六七弥」は名取名(名取の資格をとった際にいただいた名前)。右は、日本舞踊の稽古扇。流派(正派若柳流)にちなんだ柳が描かれている。

フルリモートになってから社内異動 コミュニケーションで工夫、意識していること

「どこでもオフィス」が月5日だった当時は、オフィスでみんなが会議していて私だけリモートで参加することが多かったのですが、そのときは議論に参加しにくいと感じたこともありました。また、逆に自分がリアルな会議の場にいて、他の人がリモートで参加しているときに、その人への配慮が行き届かないこともあったと思います。
今は、ヤフー社員のみんなが基本的にオンラインで働いているので、みんながフラットに議論に参加しやすくなったと感じています。

リモートワークでのコミュニケーションをスムーズにするため、主に以下のようなことを心がけています。

1)朝会などで定期的にコミュニケーションの時間をつくる

フルリモートの働き方になってから現在の部署に異動したため、最初は、まったく知らない人たちと一度も会っていないなかで働くことへの不安がありました。
私が一緒に仕事をしている開発チームでは「スクラム(※1)」という手法を導入しており、毎日の朝会や、2週間ごとの「スプリントレビュー(※2)」「スプリント計画(※3)」を実施しています。
そのため、最低でも1日1回はチームメンバーとコミュニケーションを取る機会があります。朝会などの機会を活用して積極的に業務内容のキャッチアップや相談を行うことで、新しい部署や業務に早く慣れることができました。もし、朝会のない部署に異動していたら、不安がもう少し続いていたかもしれません。

オンライン環境では特に、ちょっとしたことを相談できる時間があるのとないのでは、仕事の進めやすさがだいぶ違うと感じました。今のチームメンバーとは、異動して1年たってから初めて対面で会えたのですが、毎朝Zoomで話していたからか、全然違和感がありませんでした。

※1 スクラム:
「コミュニケーション」を重視しながら短期間で開発する手法。毎日決められた時間にミーティングを行い、短期間での開発やテスト、レビューなどを繰り返すことが特徴。
※2 スプリントレビュー:
スプリント(開発期間。1週間、2週間など開発チームによって異なる)の最後に実施されるレビューのこと。
※3 スプリント計画:
プロジェクトを進めるために必要な開発項目を短い時間枠で区切り、計画を立てること。

2)年齢や立場にかかわらず同じ言葉遣いで接する

若手社員も含めてみんなが話しやすい雰囲気になるよう、仕事の場では入社年次や年齢、立場などに関係なく誰に対しても敬語を使い「さん」付けで呼ぶなど、同じように接することを心がけています。
また、雑談タイムで話題がないときに自分から口火を切ったり、会議の冒頭にアイスブレークでちょっとしたことを話したりといったことも心がけています。

3)文字のコミュニケーションでは絵文字も効果的に使う

Slackなど文字のコミュニケーションは無機質な印象になりがちなので、社内の人とのやりとりでは、状況によって絵文字を意識的に使ったり、末尾の語尾に音引きを付けて伸ばしたりする(例:「ありがとうございますー」)など、相手が構えなくて済むような雰囲気を出すことも心がけています。

4)オンライン上でもアンケートなどでユーザーの声を集める

私が業務で担当しているのは主に社内ツールなので、社員がユーザーです。そのため、比較的ユーザーの要望や意見を集めやすいのですが、オンライン中心の働き方になったことで「気軽に話を聞く」機会は減りました。そこで、アンケートを定期的に実施したり、Slackを活用したり、オンラインでユーザーの声を拾える仕組みを作るようにしています。
新機能を追加したときや改善を行ったときにSlackで周知すると「いいね」や拍手、クラッカーのスタンプが押されるなど、社内だからこそユーザーの反応がすぐにわかるのはありがたいですね。

5)オフィスに出社したときは積極的に同僚と交流する

上京したときは、必ず1回は紀尾井町オフィスに出社するようにしています。そのときにかつて同じ部署で仕事をしていた人などに偶然会うこともあり、近況報告を兼ねてちょっとした会話をすることで、仕事に役立つことも多いからです。

コミュニケーションの工夫
・朝会などで定期的にコミュニケーションの時間をつくる
・年齢や立場にかかわらず同じ言葉遣いで接する
・文字のコミュニケーションでは絵文字も効果的に使う
・オンライン上でもアンケートなどでユーザーの声を集める
・オフィスに出社したときは積極的に同僚と交流する

継続して家族のサポートをしていくために大切なこと

これから、ご両親のサポートをするためにふるさとへの移住も検討していらっしゃる方にお伝えしたいのは、「100パーセントのサポートを目指さないほうがいい」ということです。
「できるだけ一緒にいていろんなことをサポートしたい」と思っても、実際やってみると大変です。あまり完璧を追わず、自分が一息つける場や1人の時間を定期的につくることは、継続してご家族をサポートするために大切だと思います。また、自分では良かれと思っていても、ご両親にとって逆に負担になってしまうこともあるかもしれないので、「お互いが無理のない範囲」を探りながらサポートするのがよいのではないでしょうか。

私の場合、実家にいるときは、両親の生活リズムと私の仕事のスタイルをなるべくくずさないことを心がけています。たとえば、平日の夕食は両親の都合の良い時間に自分たちで作って先に済ませてもらい、私は仕事が終わってから食べるようにしています。そのぶん、平日の始業前や休日には私がやる家事を増やし、バランスをとっています。
東京で過ごすときは、家事から解放されて大好きな舞台を見に行ったり習い事に行ったりすることで、しっかりリフレッシュもできます。自分の時間を定期的に持っていることで、気持ちに余裕が生まれ、無理なく両親をサポートできているような気がします。
今後、両親の体調に変化があった場合は今のような生活は続けにくくなるかもしれませんが、状況に応じて最適な形を考えていきたいと思います。

また、複数拠点で生活することを考えた場合、どこに住民票を置き、主な居住地とするかは、住民税や選挙にも関わってくるので、よく考えて決めるほうがよいと思います。
細かな点では、郵便物の扱い(主な居住地のほうにすべて届くようにするのか、それぞれに届くようにするのか)、かかりつけの病院をどうするかなども考えておく必要があります。

複数拠点で生活するための住居費や滞在費もかかるので、賃貸物件を用意するのか、宿泊施設を利用するのかなど、生活スタイルに合わせて効率的な方法を選択するのがおすすめです。そのためにも、複数拠点で生活・仕事をする目的や生活のイメージを明確にしておくことが大切だと思います。

家族のサポートや複数拠点の生活で心がけたいこと
・100パーセントのサポートを目指さない
・「お互いが無理のない範囲」を探る
・どこを主な居住地とするかよく考えて決める
・郵便物の扱い、かかりつけの病院など生活の細かなことも考慮する
・複数拠点生活の目的・イメージを明確にしてから決めるとよい

実家の庭にある梅の木から収穫した実で梅干しづくり。都会の生活ではなかなかできなかったことができるのも、移住生活の魅力。

ふるさとに「帰省」ではなく「移住」してみて感じること

北九州に生活拠点の軸足を移したことで、地元の魅力を再発見する時間を多くとれるようになりました。私は高校を卒業してすぐ大学入学と同時に上京し、大学卒業後は東京で就職したため、地元について知らないことがたくさんあります。これからは、北九州市民として地元のことをより広く・深く知っていきたいと思っています。

せっかく北九州にUターンしたので、地域のコミュニティーを大切にしながら地域の課題解決に貢献できたらと考えています。まずは、アンテナを張って情報収集をしながら課題を発見し、自分なりに貢献できる方法を考えていきたいです。
「首都圏に住んでいてたまに帰ってくる」のでなく、移住してその土地の人として暮らしていくことで、見えてくるものややれることも出てくると思います。ヤフーの働き方の制度も活用しながら、地元をより良くするために取り組んでいきたいと思います。

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