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2022.07.27

第26回参院選予測をビッグデータで振り返る

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こんにちは、Yahoo! JAPANビッグデータレポートです。2022年7月10日(日)第26回参議院議員通常選挙(以下、参院選)の投開票が行われました。選挙前にリリースした私たちのビッグデータによる議席数予測と答え合わせをしてみましょう。予測の詳細は前回のレポートをご覧ください。
今回は、慶應義塾大学SFCでヤフーの寄付講座を受講している学生のみなさんにも予測に参加いただきましたので、あわせてご紹介します。

    目次:
  1. 予測の一致率は?
  2. 注目度と得票数の相関
  3. 政党別の注目度
  4. 政党別の得票コンバージョン
  5. まとめ

まず選挙結果の確認です。自由民主党が議席数を伸ばし、野党が軒並み苦戦する中、日本維新の会は躍進しました。なお、話題となっていた参政党は、比例区で1議席獲得に至りました。

(図1)2022年 第26回参院選の結果

改選前議席数と改選後議席数を比較した棒グラフ
資料:総務省ホームページ

予測の一致率は?

予測の一致率は、「政党ごとの実績と一致した予測議席数の和÷改選議席数」で算出しています。今回のヤフー予測は、参政党の得票コンバージョンを過去の新党と比較して高かった場合(予測①)と低かった場合(予測②)の2種類をシミュレーションしていました。いずれも一致率94%と、高水準の結果を得られました。
またSFC学生予測は個人の予測を集めてクラス平均をとったものです。こちらも一致率89%とほぼ9割正解でした(図2)。

(図2)2022年 第26回参院選の結果

ヤフー予測およびSFC学生予測を選挙結果と比較して一致率を算出した棒グラフ
資料:総務省ホームページ、ヤフー検索。学生予測はSFC課題平均

なお、SFCの講座では過去のクラスでも選挙予測を行ってきました。課題の都合上、より単純なデータのみで予測を行っているにもかかわらず常にほぼ9割の精度が得られており、あらためてビッグデータの力を感じます。これからも学生の皆さんにビッグデータのおもしろさを実感してもらえるような取り組みを継続していければと思います。

(図3)SFC学生による選挙予測の一致率推移

2019年以降のSFC学生による選挙予測の一致率の推移を示した折線グラフ
資料:総務省ホームページ、ヤフー検索。学生予測はSFC課題平均

注目度と得票数の相関

では、選挙結果を検証していきます。主要7政党のインターネット上の注目度と得票数には今回も正の相関が見られました。ただし、自民と国民民主党が回帰線から乖離しており、ゆるい相関にとどまっています(図4)。

(図4)インターネット上の注目度と得票数の相関(主要政党のみ)

主要7政党のインターネット上の注目度と比例代表・選挙区の得票数の相関図
資料:総務省ホームページ、ヤフー検索(2022年6月22日~7月9日)

先の7政党にれいわ新選組、NHK党、参政党を追加してみます(図5)。すると、注目度以上に得票数を集める、つまりコンバージョンの高い政党群と、逆に注目度は高いものの得票にはつながりにくいコンバージョンの低い政党群が見えてきます。れいわ、N党など比較的新しい政党はコンバージョンが低く、中でも参政党は非常に高い注目度の割にはコンバージョンが低かったことがわかります。

(図5)インターネット上の注目度と得票数の相関(主要政党のみ)

10政党のインターネット上の注目度と比例代表・選挙区の得票数の相関図
資料:総務省ホームページ、ヤフー検索(2022年6月22日~7月9日)

政党別の注目度

政党別の注目度の推移を見ると、公示前から与野党の注目度が伸びる中で、特に参政党の注目度が大きく伸長していました(図6)。

(図6)政党別の注目度

2021年12月から2022年7月の政党別の注目度と構成の変化を表した時系列グラフ
資料:ヤフー検索(2021年12月~2022年7月)

各党の公示前の注目度を基準として公示中の変化を見たところ、選挙直前に自民と国民の注目度が大きく跳ねており、盛り上がり度(公示中の注目度÷公示前の注目度)が大きかったことがわかります。なお、参政党の盛り上がり度は他の主要な野党と同じくらいでした。高い注目は集めたものの、投開票前の盛り上がりが突出していた訳ではないようです(図7)。

(図7)注目度の変化と盛り上がり度

政党別注目度の公示前を基準とした公示中の変化を表す折線グラフと、政党別の盛り上がり度を示した棒グラフ
資料:ヤフー検索(2022年6月4日~7月9日)

過去の国政選挙と比較しても、自民と国民の盛り上がり度は高めでした。れいわは初登場だった前回の2019年参院選では大きく盛り上がっていましたが、今は他の主要政党と同水準に落ち着いています(図8)。

(図8)政党の盛り上がり度の変化

2012年衆院選から2022年参院選までの国政選挙における政党別盛り上がり度の変化を表した折線グラフ
資料:ヤフー検索。立憲は民主党・民進党を含む、国民は希望の党を含む

政党別の得票コンバージョン

得票コンバージョン(注目度の得票へのつながりやすさ)はどうだったでしょうか。図9は国政選挙における各政党の得票コンバージョンの相対的な強さの推移を表しています。自民のコンバージョンは2021年衆院選の時よりはやや落ちるものの、時系列では上昇傾向です。今回は投票日直前に選挙運動中の元首相銃撃という大変に不幸な事件がありましたが、コンバージョンのトレンドに大きな影響はなかったように見受けられます。自公平均を赤の点線で表してみたところ、さらに安定的なトレンドが見てとれ、自民と公明の補完関係が伺えます。また、今回躍進した維新は比例代表のコンバージョンが上がっています。
総じて比例・選挙区ともに、10年前と比べると主要政党のコンバージョンの差が開いてきている傾向が見られます。

(図9)政党の得票コンバージョン
主要政党のつながりやすさ平均を1としたときの指数

2012年衆院選から2022年参院選までの国政選挙における得票コンバージョンの推移を表した折線グラフ
資料:総務省ホームページ、ヤフー検索。立憲は民主党・民進党を含む、国民は希望の党を含む

なお、公明党はインターネット上の注目度と関わりなく得票率が一定の割合に収まる傾向にあることが過去の分析でわかっています。今回はどうだったのでしょうか? 比例代表における公明党の得票率は11.7%と、過去水準をやや下回りました。これがヤフー予測で公明党議席数を1議席読み誤った理由です。従来と異なる事象が起きているのか、それともたまたまにすぎないのか、今後もウオッチしたいと思います。

(図10)参院選における公明党の得票率(比例代表)

1998年以降の参院選比例代表における公明党の得票率の推移を表したグラフ
資料:総務省ホームページ

与党優位に進んだ選挙と見えますが、選挙区の結果を精査すると、全国合計で与党の得票率は46%、45選挙区のうち与党が過半数を獲得したのは22選挙区でした。決して大勝したエリアばかりではなく、拮抗した戦いも多かったと言えるでしょう(図11)。

(図11)第26回 参院選 選挙区別の得票率

選挙区別の与野党の得票率を構成比で表し、与党降順にソートした棒グラフ
資料:総務省ホームページ

まとめ

  • ビッグデータによる選挙予測は引き続き一定以上の精度で可能だった
  • 注目度と得票数の正の相関はあるものの得票コンバージョンが高い政党と低い政党に分かれる傾向
  • 参政党の得票コンバージョンはかなり低かったが大きな注目度を集めた結果、議席数獲得に至った
  • 歴史的な事件の直後においても、自民の得票コンバージョンは引き続き上昇傾向にあり、10年前と比較して主要政党間の差が開いてきている
  • 公明党の得票率は過去の一定範囲をやや下回った

Yahoo! JAPANビッグデータレポートでは、私たちの未来にとって大事な選挙をはじめ、今後もさまざまな社会課題・生活課題についてビッグデータを元に検証し、考察を行っていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。

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