ヤフー株式会社は、2023年10月1日にLINEヤフー株式会社になりました。LINEヤフー株式会社のコーポレートサイトはこちらです。
当ページに記載されている情報は、2023年9月30日時点の情報です。

企業情報

2021.09.24

コロナ禍で活用される混雑状況予測と知的財産の取り組み

画像

混んでいる電車に乗りたくないときや、休日のおでかけは混んでいる場所を避けたいというとき、電車や目的地の混雑状況を確認して行動を変えることが日常となってきました。新型コロナウィルスによる生活様式の変化により密を避ける行動が必要になった今、混雑状況をより簡単に把握できる仕組みが求められています。

ヤフーでは、利用者の皆様の外出の一助となるよう、混雑状況に関する情報をYahoo! 乗換案内の「混雑予報」やYahoo! MAPで提供する「混雑レーダー」などで提供しています。

【混雑予報】検索ログから「いつもと違う混雑」を予測

Yahoo!乗換案内は、検索された目的地情報や乗車予定日時等の検索ログを分析して、イベント時などの普段の状況と異なることを検知し、混雑情報として提供します(特許第6283001号)。さらにはニュース記事やTwitter等のつぶやき等ソーシャルの投稿情報等に基づいて、混雑の理由を推定し合わせて表示します(特許第6542943号)。混雑しそうな駅と、混雑の理由を表示することで、利用者が納得した上で行動を変えるきっかけを作る機会を提供しています。

【混雑予報】路線の駅間の混雑傾向を表示

Yahoo!乗換案内は路線の混雑傾向を4段階のアイコンで示し、混んでいるルートや時間帯を回避するなど電車を利用するための参考情報として役立ちます。過去の路線検索データをもとに、路線、方面ごとの検索数の推移を集計して、AIを使って路線の駅間の混雑傾向を判定しています。

【混雑レーダー】位置情報をもとに混雑状況をヒートマップで表示

Yahoo! MAPの「混雑レーダー」では、Yahoo! JAPANが提供する各アプリ上で位置情報の利用を許可しているユーザーのデータの情報を統計化して利用し、混雑度を色で段階的に表現するヒートマップとして確認できます。最短20分前から24時間20分前までの混雑状況をチェックすることが可能です。

混雑状況分析・予測サービスの知的財産ポートフォリオを構築

特許・意匠・商標でサービスを多面的に保護 ヤフーでは、混雑状況分析・予測を社会課題への重要な解決策のひとつと位置づけ、特許・意匠・商標の出願に注力しています。 知的財産戦略に基づきサービスを特許権・意匠権・商標権で多面的に保護することで、将来にわたって安定的にサービスを提供できるよう努めています。

特許番号(代表例)

特許番号 概要
特許第6283001号 過去に行われた経路検索回数と未来時刻での経路検索回数とを比較することで、未来の異常混雑を予測する技術
特許第6542943号 将来混雑する場所を予測し、混雑の理由をその場所で将来行われるイベント情報から特定する技術
特許第6687678号 利用者の未来時刻の経路検索ログや属性情報に基づいて移動目的地を予測する技術
特許第6767952号 利用者の未来時刻の経路検索ログから訪問場所を特定し、特定した訪問場所に基づいて、利用者の属性を推定する技術
特許第6814115号 利用者の未来時刻の経路検索ログから所定の場所に訪れる利用者を推定し、その中から日常的に当該所定の場所を利用している利用者以外の利用者を原因利用者として推定して、原因利用者の情報から混雑の原因となる事象を特定する技術

登録意匠

意匠登録番号 意匠に係る物品
意匠登録第1634344号 混雑状況確認機能付き電子計算機
意匠登録第1634345号 混雑状況確認機能付き電子計算機

登録商標

登録番号 商標
商標登録第5840594号 混雑レーダー

混雑状況予測に込めた研究者の思い

坪内 孝太(つぼうち こうた)
Yahoo! JAPAN研究所 上席研究員
2012年3月まで東京大学でオンデマンド交通システムの研究に従事。2012年4月よりYahoo! JAPAN研究所上席研究員、データサイエンティスト。 Yahoo! JAPAN研究所では人の行動ログ(位置情報、検索ログ、買い物履歴、センサーデータなど)に着目したデータ解析の研究に従事している。 2010年に東京大学にて博士(環境学)の学位を取得。

2015年、位置情報を使って10分後の未来の人の流れを予測する研究の学会発表を聞きながら、Yahoo!乗換案内の検索ログを使えば、もっと未来の人の流れが予想できるのでは?とピンとひらめいたところから、この研究は始まりました。Yahoo!乗換案内には、未来の時刻に人がどこからどこへ移動しようとしているのか、未来の行動を想定して検索されたログが大量に蓄積されています。早速、乗り換え案内の担当者にログをもらって試しに予測してみると、想定通りの結果がすぐに出てきて、この仮説は正しいと確信をもつことができました。

この混雑予想の領域は、当時学術的にも知財的にも完全なブルーオーシャン!研究をすすめて論文で発表すると同時に、この研究成果を産業界でも活用できるよう、複数の特許出願を行いました。研究成果が出た当初は、この混雑予想は生活に必須とまではされていませんでしたが、コロナ禍になってヤフーの他のサービスでも活用されることとなり、結果として社会貢献につながったと感じています。

この混雑予想は、乗換案内等で混雑を回避することのみならず、様々なシーンでの利用が考えられます。例えば駅前のお弁当屋さんが「異常混雑」を事前に知ることができれば、お弁当の仕入れ数を増やすこともできると考えています。人の流れを事前に、しかも充分準備ができるくらいの事前に把握して予定を立てられることは、人々の生活にとってインパクトは大きいはずで、いろいろな可能性を秘めています。

引き続きコロナ禍の時代を少しでも快適に過ごせるよう、サービスの開発と改良を進めて参ります。

このページの先頭へ