こんにちは。Yahoo! JAPANビッグデータレポートチームです。
新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)影響が継続する中、全国でワクチン接種が進行しつつあります。人々のワクチン接種への関心も2021年4月頃から伸び始め、直近はさらに伸長しています(図1)。
今回は、新型コロナのワクチン接種に関する人々の関心についてビッグデータで探っていきます。
(図1)「コロナ」「ワクチン接種」検索数の推移(期間中の最小値を規準とした指数)

ワクチン接種への関心の中身
ワクチン接種への関心にも、積極的なものから消極的・懐疑的なものまで幅広いことが考えられます。国民の関心は総じてどのような方向なのでしょうか。ここでは、以下の検索ワードを含む検索をワクチンに積極的・消極的な意図を持つ検索と推定します。
意味合い | 対象ワード(「ワクチン」および以下を含む) | |
ワクチンに積極的 | 接種に向けた情報収集、あるいは接種済みと考えられる検索ワード | 予約、1回目、2回目、接種、パスポート、キャンセル待ち、クーポン、空き |
ワクチンに消極的 | 接種したくない、あるいはデメリット情報収集と思われる検索ワード | 危険、危ない、怖い、死者、打ちたくない、打たない、効かない、不妊 |
ワクチンに積極的な関心と消極的な関心の変化を見てみましょう。いずれも2021年4月以降伸びていますが、総量としては積極的な関心がより大きく伸長しています。
(図2)新型コロナワクチンへの関心の変化

性世代の差はあるのか?
次に性年代別の傾向です(図3)。春頃までは年代による差が比較的大きく、若年層、特に女性ではやや消極的な傾向があったようです。ワクチンの副反応は若年層や女性に出やすいとの報告がされており、それらの情報と関心の方向性がリンクしていると言えそうです。ただしいずれの年代でも積極的な関心が高まっており、特に若年層は大きく関心度合いが増加しています。その結果、直近では性別や年代による差異があまり見られなくなりました。
(図3)性年代別のワクチン接種への積極的関心率

では、消極的・懐疑的な方向ではどのような事柄が気にされているのでしょうか。消極的関心の中身を見たところ、いずれの年代でもリスクに関する情報が求められているようです。若年女性では「不妊」関連の関心が高めなのが特徴です。厚生労働省のホームページ(外部リンク)にあるとおり、これまでに日本で使用されたどのワクチンも不妊の原因になるという科学的な根拠は存在せず、ワクチン接種により妊娠しにくくなるという根拠も確認されていません。デマに惑わされず、正しい情報にアクセスすることが重要と言えるでしょう。
(図4)性年代別 ワクチンに消極的な検索ワードの構成

政党関心層別のワクチン接種への関心
切り口を変えて、主要な政党関心層ごとのワクチンへの関心を確認してみましょう(図5)。政党による時期のがたつきはあるものの、与野党による傾向差などは見られず、おおむね積極的な関心が伸びています。政治的スタンスにかかわらず、国民的関心事であることが推測されます。
(図5)政党関心層のワクチンへの積極的関心率

都道府県別の関心と接種率
エリア別ではどうでしょうか。図6は都道府県別のワクチン接種に関する積極的関心率とワクチン接種率を表しています。上図の接種率は9月1日現在の数値を採用しています。横に引いた青線は全都道府県平均です。下図の棒グラフの濃い青は2021年9月12日までの緊急事態宣言実施区域(外部リンク)です。
ワクチンへの積極的関心は緊急事態宣言実施区域で特に高い傾向があるようです。また、例外もありますが、ワクチン接種率が低めのエリアで積極的関心が高い傾向も見られます。各地での速やかな対応が望まれます。
(図6)都道府県別のワクチン接種率とワクチンへの関心

まとめ
- 新型コロナワクチン接種への関心は高まっており、積極的な関心が消極的な関心を大きく上回っている
- 以前は若年層にやや消極的な傾向が見られたものの、次第に積極的な関心が高まり、今では世代の差があまり見られない
- 政党関心層別に見ても、与野党かかわらずいずれでも積極的関心が高い
- 緊急事態宣言実施区域では特に関心が高く、速やかなワクチン接種対応が望まれる
Yahoo! JAPANビッグデータレポートチームでは、データから見える世の中の動きを可視化してお届けします。今後ともよろしくお願いいたします。