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2021.07.21

約1分でその日の天気をわかりやすく伝える 天気動画の6つの工夫

約1分でその日の天気をわかりやすく伝える 天気動画の6つの工夫

2014年から、Yahoo!天気・災害(PC版、スマホウェブ版)、Yahoo!天気アプリ(iOS版、Android版)で見られる天気動画をご存じでしょうか。1日3回(状況に応じて号外動画あり)、7時半ごろ、15時半ごろ、19時ごろに更新されるこの動画(以下、天気動画)では、約1分でその日の天気や翌日の天気がわかります。
気象予報士の方たちが自ら作成、出演し、動画の編集も担当しているこの天気動画について、開始時からキャスターを担当しているウェザーマップの多胡さんに、この天気動画をどのように作っているのか、インターネット動画で天気予報をわかりやすく伝えるための工夫などをお聞きしました。

  1. 動画の構成決めから出演、編集まですべて担当することも
  2. 動画で天気予報を伝えるための工夫
  3. コロナ禍で「お出かけ日和」という表現が使えなくなった
  4. 天気予報が外れるこわさはあるけれど、心を決めて言い切る
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多胡 安那(たご あんな)さん

ロンドン出身。聖心女子大学を卒業後、ウェザーニューズに就職。天気原稿の作成やラジオ出演などを行う。2008年には読売テレビ「ズームイン!!SUPER」に出演し、その後日本テレビ営業局勤務を経て、2013年よりウェザーマップ所属。現在はテレビ局の天気コーナー出演やニュースの執筆などを主に担当している。

好きな二十四節気
立春(りっしゅん):冬至と春分の中間にあたり、春の始まりとされる日。
「立春は2月4日ごろなので、実際は最も寒い時期に暦の春を迎えます。まだ寒いけれど、暦だけでも春になったという喜びと同時に、春と言っているのに、実際はまだ真冬の寒さであるというギャップが気に入っています。というのも、私は冬の寒さがそんなに嫌いではないからです。矛盾しているようですが、寒いのに春という暦に明るさを感じ、春だけどまだ寒さが続くといううれしさの両方で立春が好きです」

※二十四節気(にじゅうしせっき) 日本では平安時代から使われている、太陽の位置を元に1年を24等分した暦のこと。季節の変化をさらにきめ細かくとらえることで、農業の目安などとして使われていました。

動画の構成決めから出演、編集まですべて担当することも

天気動画は、(Yahoo!天気・災害)サービスマネージャーの田中さんからご要望をいただいて2014年から始まりました。天気予報をインターネット動画で伝えるのは、当時私たちも初めての取り組みでした。

天気動画は出演者と作る人のペアで制作することが多く、
・出演者:メニューを決めて絵を考えて話す
・作る人:絵を作ったり、動画を編集したりする
このように分担しています。

ただ、私や石上さん(石上沙織さん)などは、自分が出演しながら作ることも。そのときは画面作り(構成決め)から最後の動画のアップロード作業まで、すべてやります。動画の編集作業はそれまでまったくやったことがなかったのですが、天気動画を担当するようになってから一から覚えました。
1本の動画の構成決め、撮影、編集、公開までを2時間以内で行うことを目標にしています。

動画で天気予報を伝えるための工夫

1)いつ見られても違和感のない表現を心がける

テレビ番組のお天気コーナーでも、短い時間で予報を伝えていますが、動画で天気予報を伝えるにあたっては、ネットとの違いをしっかり認識して取り組む必要がありました。テレビ番組は一発勝負なので、その瞬間に発表されている警報や、現在の大雨の状況などをリアルタイムでお伝えすることに意味があると思いますが、動画ではそれができません。放送される時間帯が決まっているテレビ番組とは違い、動画はいつ、誰がどのタイミングで見るかを推測するのは難しいため、どの時間帯に見られても違和感のない使い回しできる表現が必要になります。
そのため、たとえば動画を撮っている瞬間は雨が降っていても、その方が見たときにはもうやんでいるかもしれない、ということを意識して作っています。

2)一番伝えたいことをベースに、重点的にコメントするエリアを選ぶ

約1分から1分20秒の内容の中に全国の天気の内容を盛り込む必要があるため、私は「あきらめるところはあきらめ」その日に一番お伝えしたいことをベースに、重点的にコメントするエリアを選ぶようにしています。
以前は、北海道から沖縄まで全国のみなさんに喜んでいただきたいので、できるだけ多くの地域についてコメントしたいと思っていました。でも、そうすると最終的には結局何が言いたいのかよくわからなくなってしまいます。「今日の動画ではこれを伝えたかった」ということがきちんとわかる方が、聞いてくださった方によりしっかりと受取っていただけるのではないかと思っています。

3)1分の中で「今の状況」をどこまで伝えるか割合を決める

(天気動画の)キャスターを7年くらいやらせていただいていますが、今の気象状況が一番悪いときほど、伝える内容を決めるのが大変です。天気動画を公開するのは撮影時の2時間後くらいなので、その時は状況がすでに落ち着いている可能性もあるからです。
今、天気が荒れているのにまったく触れないのも不自然ですが、そこにあまり時間を割いてしまうと、約1分という長さの中では、少し先のことを知りたい方のニーズにこたえられなくなってしまいます。そのため、撮影時の気象状況をどのくらい動画に反映するかについては、毎回かなり悩んでいます。

4)その日の状況に合わせて伝え方を変える

その日の天気に合わせて予報の伝え方のパターンをいくつか用意しています。テレビでもよく見る、天気図を表示し天気マークを出して、気温を伝えて締めるオーソドックスな形があると思うのですが、私はその順番でお伝えして効果があまりないと思った日はあえて順番を変えています。
たとえば、「今日は猛暑日になります」と伝えたい日だったら、冒頭で天気の話は一切せずにいきなり気温を見せることも。また、台風が発生した直後だったら発生したこと自体がニュースだと思っているので、他の情報よりも先に台風情報を出すなど、その日ならではのトピックが一番伝わる画面づくりを心がけています。

5)朝の動画では「寝ている間に何が起きたか」も伝える

朝に動画を見ていただくときは、「寝ている間にどのような天気だったか」わからない方が多いと思うので、起きた瞬間に「今の天気がどうなっているのか」がわかるよう、今の状況がわかる絵(現在の雨雲の動き、けさの最低気温、積算降水量など)を1枚目に入れるようにしています。また、朝の通勤・通学中に音を出さずに電車内などで見てくださっている方もいらっしゃると思いますので、絵だけでわかりにくいものには、なるべくテロップを入れています。
朝の天気予報は「今日どんな洋服で出かけるか」「洗濯物を干して出かけられるか」など、みなさんの行動の目安になるので、できるだけその参考にしていただけるよう、その日の天気に重点を置いてお伝えしています。

6)情報の3段重ねをして、より印象を強くする

私は、雨がこれから降るような、天気が下り坂に向かう日は、あえて「わかりにくい絵」から順に出すと決めています。雨の日に一番わかりにくい絵は、日本列島に傘マークだけが並んでいる絵ではないでしょうか? 雨が降ることだけはわかるけれど、これだけでは自分の住んでいる所でいつ降るのか、どれくらい降るのかもわからないですよね。これは、あくまでも「まず全国で雨が降ります」ということだけをお伝えするための絵です。
2枚目は、どこから雨雲が来るのかをイメージしていただきたいので、動画で雨雲が流れていくレーダー画像を入れます。それを見ることで「雨雲は西からくるのか、私が住んでいるのは西日本だから早めに天気がくずれるな」という情報までお伝えできます。

でも、レーダー動画を見ても、自分の地域に何時何分に雨が降るかはまだわかりませんよね。レーダーもまだ情報としては足りないので、自分の県がどうなのかを知っていただくために、3枚目には何時に雨マークがつくのかがわかる時系列の絵を入れています。

全国的に雨が降る → 雨は西から降り出す → 自分の県では何時に雨が降る
というように、情報の3段重ねをして、より印象を強くすることを心がけています。

コロナ禍で「お出かけ日和」という表現が使えなくなった

コロナ禍では、天気動画でも「お出かけ日和」という言葉は使えなくなりました。
今年のゴールデンウイークはもう終わりましたが、いつもなら、2週間くらい前からは連休の天気を毎日お伝えしていたのですが、コロナ禍の去年と今年はお伝えしていません。
出かけられないことがわかっているのに、「連休は晴天が続きます」と言われたら、ちょっと悲しい気持ちになる方も多いのではないかと思ったためです。そのため、できるだけ「衣替え日和」など、家の中でできることでお伝えすることを意識しました。

あるとき、私が書いた記事のタイトルに「傘の出番」という表現を使ったときに、「出かけるなと言われているのに、傘をどこに持っていけばいいのか」というコメントをいただいたことがありました。
私としては、お仕事などで外出しなければならない方は確実にいらっしゃるので、その方たちに向けてお伝えしているつもりでした。ですが、お出かけできずにご自宅にいらっしゃる方からすると、出かけたいのに出かけられないときに「傘の出番」と言われてつらい気持ちになったのだろうなという気づきがありました。

天気予報が外れるこわさはあるけれど、心を決めて言い切る

お天気動画を始めたころは、予報を外してしまうことも、外してしまったことでお叱りがくることも怖かったです。でも、そうするとだんだん守りに入ってしまうんですね。
どちらになってもいいような少しあいまいなコメントにすることで、気持ちは確かに少し楽になりますが、何を言いたかったのかわからない動画になってしまうと思い、どっちつかずの表現はしないと決めました。

今でも、動画を準備しているときは撮影する直前まで、「雨は降るかな、降らないかな」などと、とても迷っています。でも、スタジオに立ったら絶対に心を決めて「今日の予報はこうです」と言い切るようにしています。それで仮に外れてしまってお叱りをいただいたとしても、それまでにさんざん迷っている間に、自分の中ではしっかり解析をした上で答えを出しているので、「もし外れてしまっても仕方ない」と思えるようになりました。
それでも、どうしても決められないというときもあります。そんなときは正直に「今日は予報をするのが難しいです」「どこで降るのかわからないので、雨マークがついていない地域でも念のため傘が必要だと私は思います」などとお伝えしています。その方が、あいまいなコメントをするよりも誠実なのではないか、洗濯物をぬらしてしまって困る方を少しでも減らせるのではないかと思うからです。

たとえば全国の天気図を表示されて「今日は所々で雨が降るでしょう」と言われても、「所々ってどこ…?」と感じるのではないでしょうか。見ている人は所々で雨が降ることが知りたいのではなくて、自分が住んでいる地域で雨が降るかを知りたいはずです。それなら、伝える時間が足りないときは、せめてどこが一番降りやすいのかだけでもしっかりお伝えしたいと思っています。
「全国的に、所々で雨が降るでしょう」より「今日は関東地方で一番雨が降りやすいです」と言えば、関東地方の方は覚悟できますよね。そのように、なるべく予報の対象となる地域を狭めた表現を心がけています。

雨の日など、天気がくずれやすい日の天気動画は、特にどの気象予報士も工夫していると思います。そういう日にはぜひ見ていただいて、「わかりやすい絵」がどのタイミングで出てくるか注目してみてください。 また、絵だけで伝わりにくい内容をどのようにコメントするかは、私たち気象予報士が一番考え抜いている点でもあるので、そこを見ていただけたらうれしいです! 

天気動画の見方

Yahoo!天気・災害(PC版、スマホブラウザー版)

全国概況の下に最新の天気動画が表示されます。

Yahoo!天気アプリ(iOS版、Android版)

天気アプリを起動し、「全国」メニューをタップすると天気動画が見られます。

プッシュ通知設定で動画ニュースを「ON」に設定すると、最新の天気動画を見逃さずに確認できます。

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