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2020.11.25

新型コロナウイルスはボランティアをどう変えた? Yahoo!ボランティアの展望

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2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために他者との物理的な距離をとることが求められ、対面での活動が基本となるボランティア活動を実施することが難しくなりました。まず、スポーツイベントなどの中止や介護施設などを訪問するようなボランティア活動の受け入れが激減。また、令和2年7月豪雨では、県をまたいだ移動の自粛により県外からのボランティアを受け入れることができないという課題もありました。
その一方で、コロナ禍において誰もが厳しい状況であるからこそ、困っている方の力になりたいと思う人も増えています。最近は、現場での支援とオンラインによる支援を組み合わせるなど、新しいボランティアの形も生まれてきました。

今回は、ボランティアのメリット、コロナがボランティアに与えた影響、今後の展望などを担当者に聞きました。また、ボランティアコーディネートをしているNPO法人「ボランティアインフォ」の方にも、コロナ状況下のボランティア状況などをうかがいました。

鈴木 哲也(すずきてつや)
Yahoo!ショッピング、ヤフオク!でコンサルティング営業、法人ストアのカンファレンス(ベストストアアワード)の企画運営などを担当後、復興支援で3年半、石巻に常駐。IT技術を活用した地方創生に関わったのち、Yahoo!ボランティアのサービスマネージャーに就任。
杉本 康裕(すぎもと やすひろ)
防災速報、Yahoo!ニュースアプリ、Yahoo! JAPANアプリなどのメディア系アプリのプロジェクトマネージャーを経て、Yahoo!ネット募金、Yahoo!ボランティアのプロジェクトマネージャーを担当している。

ボランティア活動をすることで得られるもの

鈴木:
文部科学省では、ボランティアを社会奉仕の一環や、生涯学習の1つとして、また、自分自身の技術や知識を活かせる場所と位置づけています。
「ボランティア」とは「意志」「善意」の意味をもつラテン語の 「VOLUNTAS(ウォルンタース)」が語源といわれており「自分自身の自由な意志によって、援助のために進んで行動する人」のことです。誰もが人間らしく豊かに暮らしていける社会を目指し、できることを自分の意志で周囲と協力しながら無償で行う人や社会に貢献する活動が「ボランティア活動」です。

ボランティア活動に参加するメリットは、活動したことで感謝してもらえるという点以外にも、たとえば次のようなものがあります。

・人間関係や視野が広がる
・新しい経験ややりがいを得られる
・自主性を鍛えられる
・さまざまな文化を学べる

震災復興や地域活性化などの目的に対して同じ思いを持っている人とのつながりをそこで得られる、自分と近い価値観を持つ仲間と同じ目標に向かっていくコミュニティをつくれる、という点を特にメリットとして感じていらっしゃる方が多いのではないかと思います。ここでいうコミュニティは、ボランティア活動を一緒にするもの、ボランティア先の地域の方とのつながりが生まれ、その後も交流が続いているものの2種類があります。

杉本:
また、たとえばプロボノ(※1)といわれる、自分の経験を活かしたい、経験値を得たい、本業とは別の活動で自分を高めるために参加したい、という方もいらっしゃるようです。
※プロボノ:
ラテン語で「公共善のために」を意味する「pro bono publico」の略。各分野の専門家がもっている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動や、それに参加する専門家のこと

ボランティアは、同じ趣味を持つ仲間に出会えるきっかけでもある

鈴木:
ボランティアセンターの方にお聞きしたところ、昔は商店街や地域でボランティアに近い活動も多かったけれど、今はそのような活動自体も減ってきて、いわゆる学校行事以外で地域活動に参加する若い世代は少なくなってきているそうです。
ボランティア活動をしている若い世代は、SNS上で情報を探したり、友だちが一緒に行こうと誘ってくれたので行ったり、というきっかけで参加することが多いようです。今後は若い世代の人がまず一度ボランティアに気軽に参加してもらうための仕組みづくりにも力を入れていきたいです。

まだボランティアに参加したことがないという方が参加をためらう理由として、「自分が行っても役に立てるのだろうか」という不安を挙げることが多いです。
ボランティア活動を始める際には、自分の趣味につながることから探してみるとよいと思います。私は以前、スポーツイベントや音楽イベントのボランティア運営をよくやっていたのですが、そのときに「初めてボランティアをやりました」「それまでやったことがなかったけど、やってみたらすごく楽しかった」という人が多く、ボランティア活動以外の時間もとても楽しんでいた方が多かったのが印象的でした。
たとえばツール・ド・東北のようなスポーツイベントであれば、自転車で走っている様子が見られたり、選手と触れ合えたりしますし、音楽イベントであればライブを見られることもあります。そのように、まず趣味の延長としてのボランテイアからはじめてみてもいいかもしれません。

ボランティアの場が同じ趣味を持つ人との出会いのきっかけになり、そこで出会った仲間とまた別のボランティアにも参加することで、ボランティアへの参加のハードルが下がります。さらにイベント運営側は、ボランティア活動に慣れた方が、多く来てくれるので助かるという、両者にとっていい効果が生まれているようです。
このように自分の楽しみと社会や地域などへの貢献がセットになるというのは、ボランティア参加のひとつのいい形なのではないかと思います。

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ITの力でボランティア参加のハードルを下げる

ボランティアインフォ代表北村孝之さん:
新型コロナウイルスの影響で、多くのボランティア活動は中止や延期となりました。一部はオンライン化して活動を継続していますが、ボランティア活動の性質上、オンラインなどへの移行が難しいボランティアがほとんどです。
ですが、2020年秋ごろからは少しずつイベントも再開し、ボランティア活動もコロナ対策を実施したうえで再開するところが増えてきました。多くの人数を扱えなかったり、コロナ対策で費用がかかったりなど、ボランティア受け入れ側にとっては厳しい状況は今後も続くと思います。

杉本:
今年はコロナの影響を受け、施設や団体などの活動先まで行かなくても、在宅やオンライン(Zoomやメールなど)で参加できるボランティア活動の募集が増えていると聞いています。

鈴木:
オンラインボランティアや、リモートワークの隙間時間を使ってのボランティアなどは、ITのツールを使うことでさらに効率化できるのではないかと思っています。「短時間で効果を上げる」というのはITが得意なことなので、今後推進していければと思っています。
災害が発生したとき、どうしても被災地や現地までは自分は行けないけれど、データをまとめたり、資料を作成したり、問い合わせに返信したりなどの事務局的な業務を遠隔地からITを使って行うことは可能です。今後は、ITの力でボランティア参加のハードルを下げることにも取り組んでいきたいですね。

人のつながりをつくるためのサービスとして貢献したい

「ボランティアインフォ」代表北村さん:
私たちが運営している「ボランティアインフォ」では、東日本大震災以降、災害時にボランティア情報を収集・発信してきました。
今後は、属性にあったボランティア情報のレコメンドや、その関連情報の提供が可能になれば、もっと気軽にボランティアに参加する人が増えると思っています。その人の持っている特技やスキルを活かした活動などに結びつけることで、ボランティア満足度や達成感をより強く得られ、ボランティア活動のリピートにもつながっていくと考えています。
ボランティアを受け入れる側は、参加希望者の特技やスキル、ボランティア経験のデータがあることで、リーダー選びや、チームビルディングがしやすくなるというメリットも出てきます。そういったシステムを用意することで、これまでと違った新しいボランティアの形を作っていきたいです。

杉本:
Yahoo!ボランティアは、2004年にサービスを開始して今年で16年になります。今後は、ボランティア情報の質の向上、検索機能の改善を行うことで、ボランティアを探す方の興味・関心があるボランティアの情報がすぐに出てくるサイトに改善していく予定です。
また、ボランティアに参加した経験を振り返ることができるようにして、継続して参加したいと思えるサイクルや、その活動に参加した人が新しい人を呼んでくるような仕組みをつくっていきたいです。また、ボランティアの情報をくださっている団体とともに、ボランティア活動をオンライン上・オフライン上ともにさらに広げていきたいと思います。

鈴木:
その人が最初に参加したボランティア体験がよいものであればその後も続くという仮説があるので、今後もより多くの人に適した受け入れ先ときちんとマッチングできるようにしていきたいです。参加する側も受け入れる側も、楽しめたり、いい関係がつくれたりするようなマッチングができるプラットフォームになっていきたいです。

人生の中で、ボランティア活動に関わるタイミングは実は数多くあると思います。みなさんが意識せずにやっている活動も、実はボランティアだった、ということがあります。地域における共助の概念、支え合いなどは、まさしくそうだと思います。その辺りが一時希薄になり、最近はまた見直されてきています。コロナの終息後、地域や人同士の支え合いや共助などの活動がより活発になるときに、Yahoo!ボランティアが人のつながりをつくるためのサービスとして貢献できればと思います。

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ボランティアの種類・探し方

ボランティアの種類は、現地に行って実際に活動するものだけでなく、インターネット上から行えるものまでさまざまです。たとえば、次のように分けられます。

・環境保全ボランティア
地域の清掃活動、リサイクル活動、緑化活動など
・教育支援ボランティア
子どもや青少年を対象としたレクリエーション活動、野外活動、学校の教育活動や環境整備の支援など
・イベントのボランティア
スポーツイベント、音楽イベントなどの運営や参加者のサポートなど
・地域活性化ボランティア
交通安全活動、防災活動、防犯活動、地域のイベント・お祭りへの協力など
・災害支援ボランティア
被災地のがれきや家財道具の撤去、家屋のかたづけ、ゴミ・泥の除去、支援物資の仕分けなど
・国際交流・国際協力ボランティア
発展途上国への支援、日本在住の外国人への支援活動、国際交流の行事やイベントでの通訳など
・その他
クラウドファンディング、寄付、使用済みの切手やプリペイドカードなどを集めて送るなど

ボランティア活動を探す方法は以下のようなものがあります。

・ボランティアセンターに相談
地域に密接した情報が得られること、専門スタッフと顔を合わせて相談できることがメリットです。
・ボランティア団体が開催しているイベントやセミナーへ参加
実際に活動している方の話を聞けるなど、組織や活動状況について理解を深めることができます。
・インターネット上にある募集サイトを活用
Yahoo!ボランティアのようなボランティア募集サイトは多くの情報を手軽に収集できることがメリットです。

「ボランティアインフォ」代表北村さん:
ボランティアには、たくさんのジャンルがあります。阪神大震災以降、災害時には必要不可欠な存在になった災害ボランティアや、スポーツを支えるスポーツボランティア、その他、福祉や環境などさまざまなシーンでボランティア活動は存在していますが、東日本大震災以降、「災害ボランティア」という存在が市民権を得てきたように感じます。
最近は、今までボランティアとは無縁だった若者の参加も目立ってきました。インターネットやSNSで気軽にボランティア募集情報を探すことができるようになったことも大きく影響していると考えられます。
今年は新型コロナウイルスで延期になってしまいましたが、東京オリンピック、パラリンピックを前にスポーツボランティアが盛り上がっています。するスポーツ、見るスポーツに続く、「支えるスポーツ」として、幅広い世代でボランティアの参加者が増えていると感じています。
また、地域のイベントや行事なども含めて、これまで以上にボランティアを受け入れる場も増えてきているのではないかと思います。

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