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2017.09.21

のび太役・小原乃梨子さん「心の通う話し方」

声優の小原乃梨子さん

「ドラえもん」の「のび太」役を26年間演じていた、声優の小原乃梨子さんをお迎えして「心の通う話し方」を教えていただく特別講義を開催しました。

声優として長年活躍されてきた小原さん。「台本の内容をただ正しく伝えるだけでは、相手に『生きた言葉』としては伝わらない」と語ります。

そのときの、その人の気持ちにしっかり向き合う

台本は、そのままでは書かれた「文字」でしかありません。そこから役の「気持ち」を感じ取り、他の役者の方たちと一緒に作り上げていくことで、初めて生きた「言葉」になります。 大切なことは、そのときの、その人(役)の気持ちにしっかり向き合うこと。 そのためには、自分が置かれたことのない環境についても想像できるように、普段の生活の中でたくさんの心の蓄えを持つことが必要です。

たとえば、私は男の子の役をいくつも演じていますが、人生の中で男の子になったことはありません。それでも、母親として男の子を育てたことはあります。 子育ての中で、男の子はどんなに小さな子でもしっかりプライドを持っていることを知りました。また、あるとき私が転んで道で倒れてしまったとき、ふと見上げると、いつも見ていた道端の木がとても背が高いことに気づきました。子どもの視線で見ると、こういうふうに見えるんだなとわかったんですね。 そのようないくつもの日常での気づきが蓄えとなって、のび太くんやペーターの言葉を生み出すときに役に立っているのです。

小原さん、ヤフー公式アナウンス部部長の高橋

顔を見て、目を見て、表情を見て話す

話をする時、相手の顔を見て、目と目を合わせて話をするチャンスがあれば、それを大事にしてください。怖いのは自分の思い込みで話してしまうことです。 自分の選んだ言葉、発した言葉が相手にどう届いたかを知るために、相手の顔を見て、表情を見て、相手の気持ちに入り込むことが必要です。

インターネットが発達して、メールやメッセージだけでやりとりをする人が増えているので、もしかしたら直接顔を見て話すことに慣れていない方もいるかもしれません。 そんな方は、鏡を見て話す練習をしてみてください。自分が話すときに、ほほえみながら話せているかを確認してみてください。ほほえみながら話せば、相手にも伝わります。きっと良い関係で話ができると思います。 笑うのが苦手という方は、まず心から笑う練習をしてみてはいかがでしょうか。心から笑うことで、幸せをより感じることができるでしょう。

「挨拶のことば」を大切にする

気持ちを伝えるために、大切にしてほしいのが「あいさつ」です。 残念ながら、今は本当に心を込めてあいさつをしている人は少ないと思います。単純な言葉にこそ心をこめて、家族やパートナー、同僚の方たちに言ってみてはいかがでしょう。

毎回でなくてもいい。大切だと思うときに、相手のことを思って本当に心から「おはよう」「ありがとう」「ごめんなさい」という、なにげないけれど人と人とをやさしくつなぐ魔法の言葉をかけてみてください。自分から先に発信するのです。本当に心を込めれば、人はあいさつだけでも涙を流すことさえあります。

講演の様子

ことばは、ガラスのようなもの

小原さんがご自身の著書「声に恋して 声優」より、一文を素敵な声で朗読してくださいました。

「声は神から与えられたかけがえのない宝物だし、ことばもまた、人間の智恵から生まれた素晴らしい財産だ。

そして、ことばは、ガラスのようなものだと思う。ガラスは、それ自体透明だけれど、放っておけばすぐ曇る。墨を塗れば、何も見えないし光も通さない。また、不注意に取り扱えば手から滑り落ちて粉々に割れて飛び散り、鋭い破片で血を流すこともある。

けれどていねいに磨き上げれば、キラキラと輝いて暖かな太陽の光も通すし、鏡のように姿を映すこともできる。

この壊れやすいけれど人間の宝物である“ことば”を、大切に私の心の宝石箱にしまっておこうと思う。そしてやさしく温かな、人を幸せにすることばでいっぱいになったら、そっと取り出してみんなにプレゼントしよう。もちろん忘れずに、私自身にも――。」

公式アナウンス部のメンバー

最後に「銀河鉄道の夜」を題材に、参加者一人一人に丁寧なコメントをつけながら特別レッスンをしてくださいました。

集合写真

小原さん、ありがとうございました!

【講師 声優・小原乃梨子さんのプロフィール】
民放テレビ草創期よりドラマに出演する傍ら、ブリジット・バルドー、シャーリー・マクレーン、ジェーン・フォンダ、カトリーヌ・ドヌーブなどを吹き替えの持ち役としてきた。 アニメーションでは、「ドラえもん」の「のび太」、「未来少年コナン」の「コナン」、「アルプスの少女ハイジ」の「ペーター」、「タイムボカン」シリーズの「マージョ」、「ドロンジョ」、「アンパンマン」の「氷の女王」や「黒バラ女王」「ナンドバット」など、子どもから大人まで幅広いファンを持つ。 声優としての活動のほか、1988年より「心とことば」「心の通う朗読の世界」をテーマに、全国の大学・自治体などで講演を行い、東京都港区立笄(こうがい)小学校では、国語特別教師として毎年朗読の特別授業を行っている。 また、「伝えたいこころの童話シリーズ」のCDを制作しており、2017年には「銀河鉄道の夜」を全編朗読・収録した。

【声優としての思い出】
「テレビで外国映画の放送が始まったころ、テレビドラマに出演をしていた私も吹き替えの仕事を受けるようになりました。映画が大好きだったので、ブリジット・バルドーやジェーン・フォンダ、カトリーヌ・ドヌーブといった時代を映す女優の方たちを演じられたことはとても幸せでした。 やがて、「未来少年コナン」の「コナン」や「アルプスの少女ハイジ」の「ペーター」などアニメーションの男の子も演じるようになったのですが、特に26年間のび太を演じていたときは、毎日楽しかったですね。初めての収録のときには、藤子・F・不二雄先生がいらしてくださって「僕がのび太だったんですよ」とおっしゃったので驚きました。ご自身の少年時代を投影したキャラクターがのび太くんだったんです。大変な役だと思いましたが、一生懸命に演じるうちに日本中で、そして世界中で愛されるほどの人気が出るまでになったので、少しは先生のご期待に応えられたかなと思っています」

【主な受賞歴】
2004年5月 第14回日本映画批評家大賞 田山力哉賞(ドラえもん声優陣)
2006年11月 第11回アニメーション神戸 特別賞(ドラえもんレギュラー陣)
2007年3月 第1回声優アワード 功労賞
2007年3月 東京国際アニメフェア(現 東京アニメアワード)2007 第3回功労賞(ドラえもんレギュラー陣)
2013年3月 第7回声優アワード シナジー賞(タツノコプロ50周年)

【ヤフーのアナウンス部について】
インターネットの世界から派生したイベントや映像の重要性が高まる中、司会者やナレーターなどの「語り手」の育成が急務と考えた社員によって立ち上げられた社内の組織です。すでにその活動も三年目になり、Yahoo! JAPAN公式のアナウンサーが、社内外のイベントなどで活躍しています。 今回の特別講義は、Yahoo! JAPAN公式アナウンス部が開催いたしました。

【関連リンク】

写真/隼田 正洋

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