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企業情報

2016.12.01

【アスリート社員として働く】車いすマラソン:武村浩生

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障がい者アスリートが現役期間中に競技活動と両立して業務経験を通じスキルを習得できる、「障がい者アスリート制度」を使ってヤフーで働くアスリート社員たち。

これまで3人の社員を紹介してきましたが、最後にご紹介するのは、2016年リオパラリンピックの車いすマラソンで、日本最上位の7位に入賞した洞ノ上と同じ北九州オフィスで働いている武村です。
車いすマラソンとヤフー入社のきっかけになったという洞ノ上との出会いや、仕事と選手生活を両立する上での工夫、4年後に向けての思いなどを聞きました。


-  現在の、選手生活と仕事の両立スタイルについて教えてください。

平日は、朝9時に出勤し16時まで働いています。会社から自宅が少し離れているので、帰宅するとだいたい17時過ぎで、そこからだいたい、20~21時くらいまで練習します。また、土日はいつもの2倍練習ができるので、二部練構成にして行います。練習をして残った時間は、昼寝をして体を休めたり、道具のメンテナンスなどに使ったりしています。

ヤフー障がい者アスリート社員のなかで、私だけが16時までの勤務です。入社時の条件としては13時までの勤務となっていたのですが、先輩の洞ノ上にも相談し、実力がもっとつくまでは勤務時間を長くする、と決めました。
「(車いすマラソンの)実力がまだ(上位の選手には)及ばないから、その分働いた方がいい」というのが、洞ノ上の持論なんだそうです。
確かに、仕事とは違い1日のうち8時間も走る練習はできないんです。車いすマラソンの場合、2時間走ると40キロくらい走ってしまうので……。

職場では、お客様からのご意見やクチコミなどをサービスに反映したり、最新の情報に更新するといった業務を担当しています。勤務時間が長い分、チームメンバーといられる時間も長いのでうれしいですね(^^

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車いすマラソンをはじめるきっかけになった、洞ノ上との出会い

-  入社前は、どのような生活だったのですか? ヤフー入社のきっかけは?

事故に遭ったのが3年前で、退院したのが2年前です。事故後1年くらいは、何をしようか迷っていました。車いすでの生活になったことで、将来に不安もありましたし、とにかく、何かしないといけないという気持ちが強かったんです。
私は体を動かすことが大好きなので、まず「スポーツをやりたい!」と思いました。車いすでできるスポーツをいろいろ見学に行きましたが、陸上は、やればやるほどタイムに反映されるという面が、自分にあっていると思いました。

ある日、河川敷で常用の車いすをこいでいたら、競技用の車いすが猛スピードで自分を追い抜いていったんです。Uターンして戻ってきたときに「僕もやってみたいです」と伝えたら、「来週の日曜日にまたここに来るからおいで」と言ってくれました。それが洞ノ上でした。
実際に競技用の車いすに乗ってみたら、最初はむちゃくちゃキツかったですね。競技用の車いすには、正座して下を向いて乗るんですが、慣れるまでは思った以上に進まなかったですね。事故後しばらくは、ただひたすらに練習をする日々でした。
そして、すでにヤフーで働き始めていた洞ノ上が「若手で、成長の可能性があるヤツがいる」と紹介してくれたことが、ヤフー入社のきっかけです。

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-  限られた時間のなかで効率よく働いたり練習したりするために、工夫していることは?

私たちは着替えに時間がかかるので、事前に練習用の下着やウエアを着ておくことで、上だけ着替えればすぐに走れるようにしています。
また、心身ともにいい状態で練習がしたいので、外が暗くなったら無理をせずに室内での練習に切り替えるなど、練習をその時その時の状況に合わせて行うようになりました。
前は「雨でもなんでもとにかく走る!」という感じだったのですが、今は雨だったら「今日は筋トレに切り替えよう」「明日は今日鍛えた部分を休ませるためにロング走をしよう」とか。
練習メニューは基本自分で考えていますが、迷った時などはトレーナーさんにも相談しながら決めています。

仕事については、もし時間内に終わらなければメンバーが巻き取ってくれるよう調整してくれているので、不安もなく、やりやすい状態で働かせてもらっています。
今やっている業務を早く覚えて、みんなと同じレベルになった上で、誰かのフォローをしたり、「これやっておいて」と突然頼まれても対応できたりと、応用がきく社員になりたいと思っています。
そのうち、勤務時間を他の選手と同じように13時までにしてもらうこともあるかもしれないので、そうなった時に、より効率よく働くためにも今からいろいろなことができるようになっておきたいです。

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-  仕事と練習の両立がつらいなと思ったことはないですか……?

(車いすマラソンを)やめたいと思ったことは、正直何回もあります(^^
速い選手を見ると、明らかにスピードが違うんです。それを見て、考えるんですよね。
「なんでこんな風に走れるんだろう?」
「何をしたらこんな風に走れるんだろう」
「体型もそんなに変わらないのに、何が違うんだろう?」って。
考えても考えても全然わからなくて、しまいには「自分には才能がないのかな……」と考えてしまうことはよくあります。
そんな時に洞ノ上に相談すると「そんなこと考えていても仕方ない。走ればいいやん」って言われるんですけどね。「走った方が結果が出るだけやから」と。

でも、どれだけ悩んだとしても、「今日は練習せずに帰ってしまおうか」と思ったことは一度もないんです。
一日一日、どうやったら少しでも速く走れるかを考えてやっていますし、全部自分にかえってくるとわかっているので、体を故障させないために休む必要がある時以外、練習を休むことは絶対ないですね。
ただ、今はまだ、結果は出せていません。もしパラリンピックに出場できたら、その時にはじめて「仕事と選手を両立できた、両立してよかった」と言えるのだろうと思います。

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- 車いすマラソンの魅力はどんなところですか?

車いすマラソンの強さを決める要素は、冷静な判断ができることと、自分の力を本番で出し切れること。その駆け引きが魅力です。
トップ選手になればなるほどゴール前では接戦になるのですが、その時に「ここで前に出る」という判断を間違えないことがとても大切です。出るタイミングを間違えると負けますし、でも、出ないと絶対に一番にはなれない。
海外の選手はスプリントが強いですし、体型も違うので、日本人が選ぶ戦略はどうしても限られてくるんです。ゴール1キロ手前くらいで加速して、一気にそのままゴールまで抜き去っていくのが一番、勝てる可能性がある戦い方だと思います。

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2020年、東京パラリンピックで勝つことが「恩返し」

-  選手として、4年後に向けてはどのように考えていますか?

もちろん「洞ノ上選手」と一緒に東京パラリンピックに出たいです!
でも、洞ノ上には勝たなくてはいけないと思っています。それが恩返しだと。
(洞ノ上に)よく言われるのが「俺ができるんだから誰でもできる。あとはそれをできるかできないか」だと。すごく重みのある言葉だと思います。

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私は結果をすぐに追い求めてしまうので、そこは自重していきたいです。結果は、後からついてくるもの、やったから結果が出るのではなくて、やり続けたから結果が出る、と言われているのですが、つい焦ってしまうので……。
今、目の前の試合でタイムが良かったとしても、それだけで東京(パラリンピック)に出られるわけではありません。4年後に向けてタイムを見定めた上で「このレースではこれができた」「このレースでは結果は出なかったけど、自分の思い通りの走りができた」ということを大切にしたい。もっと広い視野でものごとを見られるようになりたいです。

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(先日の大分国際車いすマラソン大会では「新人賞」を受賞)

(写真:國分隆次、大谷夏子@Yahoo! JAPAN公式カメラ隊、今野大介、井上六郎)

【関連リンク】

武村浩生公式ブログ

「みんなの顔が浮かんでくると頑張れる。会社に自分のデスクがあることが幸せ」 アスリート社員として働く(車いすマラソン リオパラ五輪代表:洞ノ上浩太)
「インターネットの会社だからできる両立を目指して」アスリート社員として働く(車いすフェンシング:加納慎太郎)
「アスリートとしての夢もヤフーでかなえたい」 アスリート社員として働く(パラバドミントン:杉野明子)
「競技活動と業務経験の両立を支援する」 ヤフーの障がい者アスリート制度

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