同僚が「Yahoo!地図には食べることが大好きなあまり、数年前から棚田のオーナーになっているメンバーがいますよ!」と教えてくれました。
自分が作ったお米で炊いたご飯はさぞおいしいだろうなあ……とつやつやのお米で握ったおにぎりの姿を想像しながら、インタビューに向かいました。
棚田は、山の斜面や谷間の傾斜地に階段状に作られた水田で、日本の水田のうち約8%が棚田だといわれています。
文学作品にも描かれるほど景観が美しい棚田ですが、田んぼ一枚一枚の面積が小さいうえに、傾斜地で田植え作業などの労力がかかるため、地域の過疎や高齢化に伴い、今では40%以上の棚田が消えているそうです。
- 棚田オーナーになったきっかけを教えてください!
棚田オーナー歴は6年で、大学のオープンキャンパスでやっていたビール講座に参加したことがきっかけです。すでに何年か棚田オーナーをやっていた方と知り合い、農業に興味があるならやってみたら? と声をかけてもらい、岐阜県にある「坂折棚田」のオーナーになりました。
私の人生の最終目標はお百姓さんになることなんです。百の姓(かばね)、と書いて「百姓」ですが、これは「なんでもやる人」という意味だと思っています。自分で食べるもの、着るものを作ってできるだけ自給自足の生活をしていけたらいいなという思いや、畑仕事へのあこがれが以前からありました。
棚田にひかれた理由は、やはりあの段々が魅力なところですね……。(うっとり)
棚田の美しさが一番満喫できるのは草取りの時期、田植えをして1、2カ月後ごろだと思います。田植えの時にはまだ小さかった稲が生長して、風にそよぐ姿は最高ですよ!
また、私は地理学科で学んでいたこともあり、国土地理院で出している地形図が好きなので、棚田の段々のひとつひとつが、等高線に見えてくるんです……。
棚田は水を蓄えるために同じ高さの土地を平らにし、次の段を作って段々にするので、これはまさに等高線だと。普段地図で見ているものが、目の前で立体になっていると思うととてもテンションが上がります!
- 棚田オーナーの作業内容を教えてください。
棚田オーナーの作業は年間に4回あります。
・田植え(5月末~6月頭ごろ)
・草取り(7月上旬ごろ)
・刈り取り、はざ掛け※(10月頭ごろ) ※刈り取った稲を逆さにして天日乾燥させること
自分のエリアとして借りているのは1畝(せ)(※)で、年間約42kgのお米が収穫でき、そのうちの30キロを報酬としてもらっています。
(※)坂折棚田は、1段であたり2畝(せ)=約200㎡。借りているのはその半分の1畝=100㎡ほど
自分で作ったお米はとてもおいしいです! もっとおいしく食べたくて、精米機とご飯専用の土鍋も持っているほどです。精米後に出る米ぬかも、炒ってホットケーキミックスに混ぜたり、米ぬかクッキーにして余すところなく食べています(^^
お米を食べる機会が以前より増えましたし、買ったお米を食べる時も、作る過程を知ったことでおいしさが全然違います。
お米作りをしてみて実感したのは、その年の天候によってお米の味が違うこと。見た目もモチモチ感も最高のお米ができる年もあれば、そうでもない年もありました。
秋に新米を食べながら「今年は夏らしい夏だったな」「今年は雨が多かったな」などと、1年を振り返っています。

- オーナーになってよかったことは何ですか?
毎年通っているうちに地元の方からも声をかけてもらえるようになったことです。最近では、茶店の方から「植えてきたの? 大変だったでしょう~、暑かったね」とお茶やお菓子をいただくこともあるんですよ。もうひとつ実家ができたような感覚です(^^
これまでは日帰りで行っていたのですが、近い将来、宿泊場所ができるそうです。車中泊で朝日を撮りに来るカメラマンも多いらしく、そういう方にも使ってもらえるような場所にしたい、と現地の方がおっしゃっていました。これで私も田植え後にお酒が飲めそうです(笑)
- これから、お米以外に作ってみたいものはありますか?
野菜も作ってみたいと思って、庭つきの家に引っ越しました!
そして、お酒が大好きなので、酒税法の制約は重々承知ですが、麦を栽培してビールを作ることに憧れます♪
ただ、以前ビール工場主催のビール作り体験に参加したことがあるのですが……大変でした! 1分で1度ずつ温度を上げていきながら1時間かけて 麦を煮て麦汁を抽出するんですよ。そこに酵母を混ぜ、発酵させてビールを作ります。
麦汁は原液のまま飲むとものすごく甘いんです!「これはビールを飲んだら太るのも納得だ!」と思いました(^^
- 棚田オーナーをやってみたい、と思っている人に一言!
私はオーナーになってお米のおいしさにさらに目覚めたので、食いしん坊な人はとても向いていると思います(笑)
また、写真が好きな方にもオススメです。以前、カメラ女子を誘ったら、その時の写真が棚田写真コンテストで入賞したんですよ♪ 棚田だけでなく自然がとても豊かなので、撮影スポットとしてもかなりオススメです。
景色を眺めているだけでもかなりリフレッシュできるので、自然を味わう目的だけでもぜひ一度足を運んでほしいです!(^^
