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企業情報

2022.10.07

「子ども×地域」をテーマに福岡に移住し地域の魅力を発信 ヤフーの新しい働き方

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新型コロナウイルスの影響で、私たちを取り巻く社会状況や働き方は大きく変化しました。多くの企業がリモートワークという新しい働き方を導入したことで、これまでの「職場」ではない場所で仕事をする方も増えたのではないでしょうか。
このような状況下で近年注目されているのが、自宅やオフィス、学校とは異なる第3の場所「サードプレイス」。これは仕事をしている自分、妻や夫、母や父などとの役割とは異なる「自分らしさ」を出せる場所です。

ファーストプレイス 睡眠、食事、入浴などの時間を過ごす自宅
セカンドプレイス 学校や職場など、自宅以外で長い時間過ごす場所。
生活を維持するために必要な場所だが、他者との関わりが多く、責任が重いため「自分らしくふるまえない」と感じる人も
サードプレイス セカンドプレイスでの肩書や属性の関係なく、一個人として「自分らしく」過ごせる場所。
生活する上で絶対に必要ではないが、他者とのコミュニケーションを通して刺激を受けたり、リラックスしたりできる

8年前に福岡に移住し、地域活性化に取り組み「もうひとつの場所」を持ったことで「自分が本当にやりたいことに出会えた」という真山。
移住後はどのように地域に溶け込んでいったのか、地域活性化の取り組みをどのように進めたのか、「やりたいこと」の探し方などを聞きました。

    目次:
  1. Yahoo!ショッピングの福岡営業所の立ち上げをきっかけに福岡へ移住
  2. 子どもには人と人をつなぐ力がある 「子ども×地域」をテーマに活動
  3. 「自分が何をしているときが楽しいのか?」を知ることが大事 やりたいことを探すには
  4. ビジネススクールに通うことで、仲間を得ながら「学び」と「実践」が可能に
  5. オンライン上で研修を実施する際に心がけていること
  6. 移住をきっかけに、当事者として地域に関わる「スイッチ」が入った
  7. 違う世代の人同士が話せる 大学生×地域を実現するシェアハウスづくり
真山 昌(まやま まさる)
2006年入社。サービス企画、開発ディレクション、サービスマネージャーを経て、2014年よりYahoo!ショッピングのストアコンサル営業を担当。九州・沖縄エリア営業チーム立ち上げにも関わり、現在はYahoo!ショッピングの出店ストアコンサル営業部隊の人材育成や組織開発を担当している。
2015年に家族とともに福岡県遠賀郡岡垣町に移住。子どもの学びを通じた地域活性化を目指し、2021年より「生きる力を地域が育てる『岡垣スタイル』」の活動に取り組んでいる。東京生まれ、東京育ち。

Yahoo!ショッピングの福岡営業所の立ち上げをきっかけに福岡へ移住

2015年にYahoo!ショッピングの九州・沖縄エリアコンサル営業部隊の立ち上げの際、東京から福岡に移住しました。立ち上げメンバーとしてコンサル営業を担当後、現在は営業メンバーの育成を担当していて、新入社員研修や、スキルアップ研修などを行っています。

福岡は妻の出身地ということもあり、お盆やお正月、里帰り出産などでよく来ていて、将来は福岡のような豊かな自然の中で伸び伸び子育てをしたいと思っていました。Yahoo!ショッピングの福岡営業所の立ち上げへの参加をきっかけに、妻の実家の隣町である「岡垣町」に移住して今年で8年目です。
今住んでいる自宅からは海まで10分ぐらいで行けます。自宅周辺にもきれいな川が流れていたり、田んぼがあったりという、豊かな自然の中で暮らしています。

子どもには人と人をつなぐ力がある 「子ども×地域」をテーマに活動

移住先は、それまでは関わりのなかった土地でした。まずは地域の魅力を満喫したいと思い、子どもと一緒に海や川に遊びに行ったり、地域のイベントに参加したりしました。
また、週1回は社外の人に会おうと思い、会社帰りにイベントやセミナー、勉強会に参加しました。それらのイベントや勉強会などで出会った人たちの話を聞き、SNSでつながるうちに、自分が興味のあることについての情報がどんどん集まってくるようになっていきました。

そのなかで自分がどんなことに興味があるのか深掘りしていくと、テーマとして「地域」と「子ども」に絞り込まれました。移住後に子どもを通じて地域の中に溶け込むことができた経験があったことも理由です。子どもと一緒に歩いているだけで、地域の方が気軽に声をかけてくれたり、親同士でつながったりできました。そんな中、「子どもには人と人をつなぐ力がある」ことを発見しました。
また、今後社会が大きく変わっていく中で、地域のコミュニティーにしっかりつながりを深めていく必要があると思い、「子ども×地域」をテーマに活動していくことを決めました。

最初に取り組んだのが、地域の方々にビジョンを伝え、共感や信頼を得るために参加した、福岡県主催のビジネスコンテスト。「子どもを通じて地域をつなぐ」ことを目的に「子どもたちと農家を取材してECサイトを作り野菜を販売する」取り組みを発表しました。地域の生産者さんの魅力を子どもたちが発見し、子どもたちから保護者や家族、友だち、地域の人たちにその魅力が伝わることで広がっていく、という流れを作りたいと思いました。
この発表で入賞したことをきっかけに、町長とお会いできたり現地の新聞やテレビで紹介してもらったりする機会をいただき、地域の信頼を得てから活動をスタートできました。

左:生産者取材、右:ECサイト制作

その後、クラウドファンディングで資金を集めて、子どもたちに地域の魅力に触れてもらう体験イベントを地域の事業者さんと実施しました。その際に地域の事業者さんを取材し、「どんな思いで今の事業に取り組まれているか」語っていただき記事にしました。記事を作ったことで、事業者さんたちが「自分の思いを受け取ってくれ、地域に発信してくれる仲間」として私を受け入れていただけるようになっていったように思います。
その後、広島の高校が修学旅行で訪問してくれたり、地域外から講演依頼をいただいたりと、少しずつ応援してくださる方が増えていきました。

高校生の修学旅行

移住先に溶け込み、信頼を得るためにやったこと
・子どもと一緒に海や山に遊びに行ったり、地域のイベントに参加したりした
・週1回は会社帰りに地域イベントやセミナー、勉強会にも参加
・出会った人たちとSNSでつながる
・福岡県主催のビジネスコンテストにも参加し、実績を作った

「自分が何をしているときが楽しいのか?」を知ることが大事 やりたいことを探すには

「移住」と一言でいっても、移住した地域との関わり方も多種多様です。まずは、「自分が何をやったら心から楽しいと感じるのか」探すのがいいと思います。私は「子ども」を通じて地域に関わることがフィットしましたが、それ以外にも、たとえばスポーツやエンタメ、自然の中での活動などいろいろなテーマがあるので、自分が心から夢中になれるものを探していけるといいと思います。

とはいえ、実は多くの人が、自分が本当に夢中になれるものが何か、すぐにはわからないのではないでしょうか? 移住前の私もそうでした。仕事などの「やらなくてはいけないこと」を日々頑張ってやっているうちに、(やらなくてはいけないことから離れたときの)自分にとって楽しいこと、夢中になれることがわからなくなっていたような気がします。

左:野菜の収穫体験、右:陶芸体験

さまざまな魅力的な活動をされている方々からお話を聞いたことで、自分の興味がどこにあるのか少しずつわかってきました。そして、実際に現地に行って、さらに詳しくお話を聞くことを繰り返しながら、「自分はこれだ」と思えることにたどり着けたという感覚です。心から夢中になれることがわかると、それはいくらやっても疲れず、むしろ楽しくて、仕事とはまた違った充実感を得られると思います。
もちろん、移住しなくても、たとえば今住んでいる地域で自分が好きなことに関連するイベントやコミュニティーなどに参加してみると、新たな出会いや発見をたくさん見つけることができるのではないかと思います。

やりたいことを探すには
・心から楽しいと思える、夢中になれることを探す
・「やらなくてはいけないこと」から少し離れてみる
・好きなことに関連するイベントやコミュニティーに参加し、新たな出会いや発見を見つける

左:中学生への授業の様子、右:自治体主催イベントでの講演

ビジネススクールに通うことで、仲間を得ながら「学び」と「実践」が可能に

移住後は、継続してビジネススクールに通っています。「子ども×地域」というテーマを設定できたのも、ビジネススクールのさまざまなフレームの中で、自分がやりたいことを整理していった結果でした。
ビジネススクールでは、知識のインプットはもちろん、自分が何を目指し、どこに課題があり、どう突破しようとしているのか、同期生と意見交換を繰り返していきます。そこでアドバイスやつながりを得ることで、目指す未来が具体化しやすくなると感じています。先ほどお話した福岡県のビジネスコンテストに参加したのも、当時のビジネススクールの同期生がビジネスコンテストで入賞したことで活動の認知が広がり、周囲の信頼を得て、プランを実現していく姿を見たことがきっかけです。

学んだことを地域で実践し、その結果をスクールに持って帰って意見交換するというサイクルで、「学び」と「実践」を両軸で進めていくことで成長が加速することを実感しています。去年は「子ども×地域」の活動に役立てられると思い、「社会教育士(※)」の資格を取りました。これからも学び続けていきたいと思っています。
※社会教育士:
令和2年度から始まった制度で、学びを通じて、つながりづくり・地域づくりに中核的な役割をはたす専門人材。地域社会の多様な分野における学習活動の支援を通じて、人づくりや地域づくりに携わる役割が期待されている。参考)社会教育士について

オンライン上で研修を実施する際に心がけていること

私は、Yahoo!ショッピングの出店コンサル営業の研修を約30人の社員に向けて行っています。1カ月の研修後、営業の現場に不安なく出てもらうためにも、気をつけていることがいくつかあります。

1)情熱と才能を解き放つための安全安心な場づくり

営業という職種ということもあり、どこかで「ふるいにかけられるのではないか」「自分は生き残れるのか」というような不安を感じる人もいるようです。その不安を少しでも減らしてもらうためにも「誰一人取り残さない研修」を心がけ、不明点などには徹底的に向き合います。また、自分が感じたこと、気づいたことなど、積極的に話してもらうための声かけ、働きかけをこまめに行っています。

2)研修中に、横のつながりをつくってもらう

同期同士の相互理解を深めることも大切にしています。自分のことをできるだけ話してもらうのもそのためです。互いの思いを知って対話を重ね、支え合い、応援し合う機会をできる限りつくっていきます。
そうすることで、「たまたま同じタイミングで研修を受けている人たち」がだんだん「仲間」になっていきます。苦しいことも一緒に乗り越えていけるパートナーシップが、困難を乗り越えていくための力になると思っています。その人のモチベーションが続くかどうかは、実は仲間の支えが大切なのかもしれません。

オンライン研修の様子

移住をきっかけに、当事者として地域に関わる「スイッチ」が入った

その地域に長く住んでいる方にとっては、その魅力を実感できていないことが多いと移住してみて気がつきました。ついつい悪いところ、足りないところにばかり目がいきやすく、いいところにはなかなか目が向きにくいようです。
私が東京からこういう思いでこの町に来て、こういう取り組みをしている、と話すと多くの人が共感してくださいます。そこから新たなつながりが生まれ、そこから自分の価値観、世界観が広がっていくことがとても楽しいですね。なかには、私が地域の魅力を伝えたら「自分が生まれ育った地だけれど何もない…と思っていたこの地を、こんなにほめてくれる人に初めて会った」と、涙ぐみながら喜んでいた方もいました。

私は、東京にいる間はどうしても「やらなければいけないこと」を優先して過ごしていました。移住をきっかけに、「当事者として地域に関わりたい」という思いに「スイッチ」が入ったのだと思います。
ただ、今思えば東京でも1歩でも2歩でもいいので、もっと地域に踏み込んでいたら、いろいろな発見やつながりが得られたかもしれないと感じています。自分の住んでいるところの魅力をしっかり味わっていけば、どこにいても、いろいろな刺激や経験が得られるような気がします。

多世代の人が集う 大学生×地域を実現するシェアハウスづくり

来年のオープンを目指して、福岡教育大の学生向けのシェアハウス作りを進めています。未来の先生である学生たち、子どもたちと一緒に、地域のさまざまな魅力を題材に学び、体験をする機会を作りたいと思っています。
シェアハウスを拠点に、子どもたちが宿題をしに立ち寄り、お年寄りがスマホを習いに立ち寄り、食卓を囲んで談笑できるような、多世代のコミュニティーを目指しています。 学生たちがその経験を胸に全国に羽ばたいていくことで、「子ども×地域」の取り組みが広がっていくのでは、と思っています。

都市部でも地方でも、多様な価値観と触れることで、未来は大きく広がっていきます。子どもを中心にさまざまな人がつながることで、これから地域の方たちと一緒に未来をつくっていきたいと思います。

「夢授業」の様子

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