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2021.05.19

「誰もがありのままで生きられる社会の実現を目指して」ヤフーが婚姻の平等に賛同する理由

「誰もがありのままで生きられる社会の実現を目指して」ヤフーが婚姻の平等に賛同する理由

近年、世界中で急速にLGBTに関する法整備が進んでおり、現時点で29の国と地域で婚姻の平等が制度化されています。日本でも同性カップルに対し、結婚に相当する証明書を発行する自治体が増えています。

ヤフーでは、2017年6月より同性パートナーや内縁パートナーに対し、育児休暇や結婚祝金など、配偶者と同等の福利厚生を適用しています。民法上の婚姻を問わなくとも、該当する書類を提出し受理されれば、同性カップルや内縁関係にある社員も結婚休暇や結婚祝金など、配偶者を持つ社員と同等の福利厚生を受けられます。
今回は、ヤフーの制度が生まれたきっかけ、企業がこのような取り組みを推進する意義などを聞きました。

吉成 彩(よしなり あや)
2016年入社。ヤフーのダイバーシティPJ事務局として発足当時から関わる。現在はビジネスパートナーPD本部でHRBP(Human Resource Business Partner)を担当している。

ダイバーシティ推進における基本的な考え方

ヤフーは、経験・価値観・ライフステージ・属性の違いにかかわらず、社員ひとりひとりを尊重し、活躍できる土台をつくり、多様なサービスや事業のイノベーション創出に生かしています。その取り組みの一つとして、ダイバーシティプロジェクト(女性・育児・LGBT・障がい者・グローバルなどのプロジェクトで構成。以下ダイバーシティPJ)を発足し、ダイバーシティを推進しています。

ダイバーシティPJができた背景には、「生まれつきのものや、本人が選んでいないことで不利益を被っている状態は望ましくない」という考え方があります。これは、ヤフーの人事施策のコアコンセプトである「才能と情熱を解き放つ」ことができない状態になってしまうからです。
そのような障壁を取り払って、誰もが持っている能力を発揮できる土台を整える必要があるというのが、ヤフーのベースにある考え方だと思っています。また、そのような土台がある企業に集まるバックグラウンドの多彩な人、多様性を持った人たちが最大限の能力を発揮すれば、組織力も最大化されイノベーションを生み出すというのが、ヤフーの「ダイバーシティの基本方針」としても掲げられています。

また、最近は「心理的安全性」という言葉やそれがパフォーマンスにいかに影響するかということも調査結果でわかってきています。具体的には、自分を偽ることなく安心して本音で語れる環境にあることがパフォーマンスの発揮を最大化する、という考え方です。人が生きていく中で、会社で仕事に費やしている時間は短くはありません。職場での状態が良くない社員は、短期的には良いパフォーマンスを出せても長期的には難しくなるでしょう。長期的にパフォーマンスを発揮するためにも心理的安全性はとても重要です。

この、心理的安全性を人によって異なるライフステージや背景に合わせて確保していくためにダイバーシティは大きな存在です。自分を偽らなければならなかったり、周囲からこんなことを言われてしまうかもと思ったりするような、社会的マイノリティーが不安を感じながら仕事をするようなことはなくそう、というのがヤフーのダイバーシティ推進における基本的な考え方です。

同性パートナーに関する制度は当事者社員の声がきっかけ

ヤフーの同性パートナーに関する制度ができたのは、当事者の声がきっかけでした。社内のLGBT当事者有志社員によるレインボーPJのメンバーが、パートナーとのいわゆる婚姻を考えているという相談が人事にありました。当時のヤフーにはまだ、そのような制度がなかったため、すべての社員が安全・安心に働き続けられる環境をつくりたいと思い、既存の福利厚生、社内制度、社内規定を同性パートナーと内縁パートナーも配偶者に準じた内容で社内規定を変更しました。

この制度ができた2017年当時は、同性カップルを結婚に相当する関係と認める、いわゆる自治体のパートナーシップ制度が導入されている自治体の数は6でした。先日、最新情報を確認してみたところ、今年2021年4月で100まで増えていたことに驚きました。
また、当時は厚労省が出しているハラスメント対策指針の中でもLGBTを対象に含めた文言が加わって改正された頃でもあります。また、企業内でのマイノリティー、性的少数者に対する差別を禁止し、職場の環境や制度づくりをしてほしいという提言が経団連からも出たのもこのころです。世の中がちょうど大きく動き始めた時期でもありました。

一方、ヤフーでは、ダイバーシティに関する各PJが発足し活動し始めてはいたものの、具体的な制度はまだありませんでした。当時レインボーPJを担当していた執行役員が、他の役員に向けてLGBTに関する勉強会を実施し、その後社内向けにも行い理解促進を図りました。
また、制度を変えるだけでは中身が伴わなくなってしまうおそれがあるため、この年に東京レインボープライド(※1)にヤフーとして初協賛をするなど、啓発活動も並行して行っていきました。
※1 東京レインボープライド:
LGBTQといわれる性的少数者が、差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現」を目指した団体、イベントの総称。

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(写真:アフロ)

ヤフーが「Business for Marriage Equality」に賛同した理由

ヤフーでは2018年にYahoo! JAPAN IDを新規登録する際に性別の選択肢に「その他」「回答しない」という項目を追加しています。もちろん、ユーザーファーストの観点による変更ですが、このような取り組みも、企業の姿勢を明示的に伝えられる1つであり、サービスを通じた社会に向けたメッセージにもなり得るのではないかと考えています。

今回ヤフーは「Business for Marriage Equality」(※2)キャンペーンに参加しましたが、このキャンペーンは同性婚の法制化に向け「司法が変わるためには社会が変わらないといけない」という考えのもと、展開されています。企業は社会と密接に結び付いている関係であり、すでに同性パートナーの婚姻を理解し賛同している企業もたくさんあります。ですが、企業が明示的にアクションをしないと社会には影響がないので、それを可視化しようというのがこのキャンペーンだと聞いています。

今までは、当事者一人ひとりが声を上げていましたが、それだけでは社会を動かす力としては非常に弱いです。企業がこういった姿勢を見せることで、ムーブメントをつくっていくことができると思います。そして、一企業だけだと限界があるかもしれませんが、今回のキャンペーンの賛同のように、固まりになることによって大きな力を生み出せることは間違いないと思います。

※2「Business for Marriage Equality」キャンペーン:
日本国内における婚姻の平等(同性婚の法制化)に賛同する企業の可視化を目的に、日本で活動する3つの非営利団体、一般社団法人 Marriage For All Japan(MFAJ)、NPO法人 LGBTとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)、認定NPO法人 虹色ダイバーシティが共同で運営するキャンペーン。現在146社が婚姻の平等への賛同を表明している。

同性パートナーや内縁パートナーに対する福利厚生について

ヤフーでは、正社員、契約社員を対象とするそれぞれの社内規程において「同性パートナー」および「内縁パートナー」を配偶者と準じています。
 ・休暇、休職 (結婚、忌引、介護、育児など)
 ・転勤、海外勤務(単身赴任手当、赴任旅費など)
 ・慶弔(結婚祝金、出産祝金、弔慰金)
※公正証書、パートナーシップ証明書・宣誓書受領書、同一世帯の住民票(3年以上)などいずれかの提出が必要です

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